塩化ベンゼンジアゾニウム

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テンプレート:Chembox塩化ベンゼンジアゾニウム英語:Benzenediazonium chloride)は、化学式[C6H5N2]Clで表される有機化合物である。ジアゾニウムイオン塩化物イオンのである。極性溶媒に可溶な無色固体として存在する。アリールジアゾニウム化合物の代表であり、アゾ染料の製造に用いられる[1]

合成法

方法1

通常はジアゾ化と呼ばれる方法で合成される。で冷やしたアニリン塩酸中和させてアニリン塩酸塩を作る。この溶液を5テンプレート:℃以下で亜硝酸と反応させると塩化ベンゼンジアゾニウムが生成する。

CA6HA5NHA2 +HNOA2 +HCl [CA6HA5NA2]Cl +2HA2O

この反応では不安定な亜硝酸の代わりに亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩を用いることもできる[2]。この場合生成するのは水とその陽イオンの塩化物となる。この反応は分解を避けるため5テンプレート:℃以下の低温で行われなければならない。このように高温では不安定であるため[3]、この化合物の直接的な工業利用はできない。

CA6HA5NA+NClA +HA2OCA6HA5OH +HCl +NA2

方法2

塩化ベンゼンジアゾニウムは亜硝酸エステルとアニリンを塩酸の存在下で反応させることでも作ることができる。亜硝酸エステルアルコールと亜硝酸から作ることができる[4]

CA5HA11ONO +HCl +CA6HA5NHA2 [CA6HA5NA2]Cl +CA5HA11OH +HA2O

物理的性質

塩化ベンゼンジアゾニウムは無色透明な結晶である。水に溶け易いが、アルコールには難溶である。空気に触れることで分解して褐色になる。

化学的性質

テンプレート:Main ジアゾ基(N=N結合)はいろいろなフェニル化合物の誘導体置換される。

CA6HA5NA+ +NuACA6HA5Nu +NA2

この変換は多くの人名反応と関係がある。例えばシーマン反応ザンドマイヤー反応ゴンバーグ・バックマン反応などである。また窒素も多くの化合物やイオンで置き換えられる。例えばハロゲン化物SHACOA2HAOHAなどである。この化合物は染料を作るためにジアゾカップリングをする前段階の物質として多く用いられている。

CA6HA5NA+NClA +CA6HA5ONaCA6HA5N=NCA6HA5OH +NaCl
(ナトリウムフェノキシドについては英語版も参照)

アゾ染料の色

他のフェノール類と反応させると異なる色ができる。フェノールと反応した時にできるp-フェニルアゾフェノールは橙色テンプレート:仮リンク-クレゾールと反応した時にできる2-メチル-4-フェニルアゾフェノール(CA6HA3OHCHA3N=NCA6HA5)は黄色、1-ナフトール英語版)と反応した時にできる4-フェニルアゾ-1-ナフトール(CA6HA2(OH)CA6HA4N=NCA6HA5)は茶色、2-ナフトール(英語版)と反応した時にできるテンプレート:仮リンクCA6HA4CA6HA2(OH)N=NCA6HA5)は色、サリチル酸と反応した時にできる5-フェニルアゾサリチル酸(CA6HA3OHCOOHN=NCA6HA5)は薄い黄色になる[3]

安全性

塩化ベンゼンジアゾニウムを扱う人は化合物の激しい分解に注意すべきである[5]

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

  1. テンプレート:Cite book
  2. テンプレート:OrgSynth この記事ではベンゼンジアゾニウムのテトラフルオロホウ酸イオンについて述べられている。
  3. 3.0 3.1 ニューステージ化学図表、浜島書店、p.183「芳香族アミン」 ISBN 978-4-8343-4005-1
  4. テンプレート:Cite book
  5. テンプレート:OrgSynth