数列の極限

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[[画像:Archimedes pi.svg|350px|thumb|alt=diagram of a hexagon and pentagon circumscribed outside a circle|単位円に外接する[[多角形|正 テンプレート:Mvar 角形]]の周長によって与えられる数列は円周長に等しい極限すなわち極限 テンプレート:Math を持つ。内接する多角形に対応する数列も同じ極限を持つ。]]

数学において、数列点列の極限テンプレート:Lang-en-short)は数列や点列の項が「近づく」値である[1]。そのような極限が存在すれば、その列は収束する (convergent) と言われる。収束しない列は発散する (divergent) と言われる[2]。点列の極限は解析学のすべての基本である[1]

極限は任意の距離空間位相空間で定義できるが、普通まず実数の場合に出会う。

歴史

ギリシアの哲学者ゼノンパラドックスの定式化で有名である。

レウキッポスデモクリトスアンティポンエウドクソスアルキメデスは、面積や体積を決定するために近似値の無限列を用いる取り尽くし法を発展させた。アルキメデスは現在ではテンプレート:仮リンクと呼ばれるものを計算することに成功した。

ニュートンは以下に関する彼の仕事で級数を扱った:Analysis with infinite series (written in 1669, circulated in manuscript, published in 1711), Method of fluxions and infinite series (written in 1671, published in English translation in 1736, Latin original published much later) and Tractatus de Quadratura Curvarum (written in 1693, published in 1704 as an Appendix to his Optiks) 。後の仕事では、ニュートンは テンプレート:Math の二項展開を考え、極限を取るテンプレート:Math とする)ことによって線型化した。

18世紀には、レオンハルト・オイラーのような数学者はいくつかの発散級数の和を求めることに正しい瞬間で止めることによって成功した;彼らは極限が存在するかどうかはそれが計算できる限りそれほど注意を払わなかった。世紀の終わりに、ラグランジュは彼の Théorie des fonctions analytiques (1797) で厳密さの欠如が解析学のさらなる発展を阻害すると述べた。ガウスは超幾何級数の彼の研究 (1813) において初めてどのような条件下で級数が極限に収束するかを厳密に研究した。

極限の現代的な定義(任意の テンプレート:Mvar に対して、ある テンプレート:Mvar が存在して、……)はベルナルト・ボルツァーノ (Der binomische Lehrsatz, Prague 1816, little noticed at the time) とカール・ワイエルシュトラスによって1870年代に与えられた。

実数

収束列 テンプレート:Math のプロットが青で示されている。視覚的に数列が テンプレート:Mvar が増大するときに極限 テンプレート:Math に収束することが分かる。

実数において、数 テンプレート:Mvar数列 テンプレート:Math極限であるとは、数列の数が テンプレート:Mvar にどんどん近づき、他の数には近づかないことをいう。

0.3333limni=1n310i
で定義される。前の列の極限であることに注意。

正式な定義

テンプレート:Mvar が数列 テンプレート:Math極限であるとは、以下の条件が成り立つことをいう:

任意の実数 テンプレート:Math に対して、ある自然数 テンプレート:Mvar が存在して、任意の自然数 テンプレート:Math2 に対して、テンプレート:Math2 が成り立つ。

一階述語論理を用いて形式的に表すと、

(ε>0)(N)(n)[n>N|xnx|<ε]

となる。言い換えると、任意の近さの度合い テンプレート:Mvar に対して、数列の項はやがて極限にそれだけ近くなる。数列 テンプレート:Math は極限 テンプレート:Mvar収束するといわれ、テンプレート:Math2 あるいは limnxn=x と書かれる。

数列がある極限に存在すれば、それは収束列であり、そうでなければ発散列である。

実数列 テンプレート:Math が収束するのは上極限 lim supnxn と下極限 lim infnxn が存在して、かつ一致することとも同値である。逆に lim supnxnlim infnxn が存在しても一致しないか、あるいはどちらかが存在しない(テンプレート:Math)とき テンプレート:Math は発散する。

性質

数列の極限は通常の算術について良く振る舞う。テンプレート:Math2 ならば、テンプレート:Math2 であり、テンプレート:Mvar もどの テンプレート:Mvarテンプレート:Math でなければ、テンプレート:Math である。

任意の連続関数 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Math のとき テンプレート:Math である。実は、任意の実数値関数 テンプレート:Mvar について、テンプレート:Mvar が連続であることと数列の極限を保つことは同値である(がこれはより一般の連続性の概念を用いるときには必ずしも正しくない)。

実数列の極限のいくつかの他の重要な性質の中には以下がある。

  • 数列に対してその極限が定まればそれは一意である。
  • limn(an±bn)=limnan±limnbn
  • limncan=climnan
  • limn(anbn)=limnanlimnbn
  • limnanbn=lim\limits nanlim\limits nbn, ただし limnbn0 のとき。
  • limnanp=[limnan]p
  • ある テンプレート:Mvar よりも大きい全ての テンプレート:Mvar について テンプレート:Math ならば、limnanlimnbn
  • はさみうちの原理)すべての テンプレート:Math に対して テンプレート:Math であり、かつ limnan=limncn=L であるならば、limnbn=L
  • 数列が有界かつ単調であれば、収束する。
  • 数列が収束することと任意の部分列が収束することは同値である。

これらの性質は面倒な正式の定義を直接用いる必要なしに極限を証明するのに広く用いられる。ひとたび テンプレート:Math2 が証明されれば、上の性質を用いて、ab+cnab(ただし テンプレート:Math2)を示すのが容易になる。

無限大の極限

数列 テンプレート:Math無限大に発散するとは、任意の テンプレート:Mvar に対して、ある テンプレート:Mvar が存在して、任意の テンプレート:Math に対して、テンプレート:Math となる、つまり数列の項がやがてどんな固定された テンプレート:Mvar よりも大きくなることをいい、このとき テンプレート:Math2 あるいは limnxn= と書く。同様に、テンプレート:Math とは、すべての テンプレート:Mvar に対して、ある テンプレート:Mvar が存在して、任意の テンプレート:Math に対して、テンプレート:Math となることである。数列が無限大あるいは負の無限大に発散するとき、発散するという(しかし、発散数列は必ずしも正または負の無限大に発散するわけではない)。

距離空間

定義

距離空間 テンプレート:Math の点 テンプレート:Mvar が点列 テンプレート:Math極限であるとは、任意の テンプレート:Math に対して、ある テンプレート:Mvar が存在して、任意の テンプレート:Math に対して、テンプレート:Math となることをいう。これは テンプレート:Math, テンプレート:Math のとき実数に対して与えられた定義と一致する。

性質

任意の連続関数 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Math のとき テンプレート:Math である。実は、関数 テンプレート:Mvar が連続であることと点列の極限を保つことは同値である。

点列の極限は存在すれば一意である。なぜならば、相異なる点はある正の距離によって離れているため、この距離の半分よりも小さい テンプレート:Mvar に対して、点列の項は両方の点から距離 テンプレート:Mvar 以内にいることは出来ない。

位相空間

定義

位相空間 テンプレート:Math の点 テンプレート:Mvar が点列 テンプレート:Math極限であるとは、テンプレート:Mvar の任意の近傍 テンプレート:Mvar に対して、ある テンプレート:Mvar が存在して、任意の テンプレート:Math に対して、テンプレート:Math となることをいう。これは、テンプレート:Math が距離空間で テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar から生成される位相であるとき、距離空間に対して与えられた定義と一致する。

位相空間 テンプレート:Mvar の点列 (xn:n) の極限はテンプレート:仮リンクの特別な場合である:定義域は拡大実数相対位相による部分空間 テンプレート:Mathbf で、終域は テンプレート:Mvar で、関数の引数 テンプレート:Mvarテンプレート:Math に向かう(この空間で テンプレート:Mathテンプレート:Mathbf集積点である)。

性質

テンプレート:Mvarハウスドルフ空間ならば点列の極限は存在すれば一意である。これは一般の場合には必ずしも正しくないことに注意;特に、2点 テンプレート:Math2テンプレート:仮リンクならば、テンプレート:Mvar に収束する任意の点列は テンプレート:Mvar に収束しなければならない。

コーシー列

テンプレート:Main

コーシー列 テンプレート:Math のプロット、青で示されていて、縦軸が テンプレート:Mvar, 横軸が テンプレート:Mvar. 視覚的に、列の項が テンプレート:Mvar が増大するにつれて近くなっているから、列が極限点に収束しているように見えることが分かる。実数では任意のコーシー列はある極限に収束する。

コーシー列は、最初の項を十分たくさん無視すれば最終的に項が互いにいくらでも近くなるような列である。コーシー列の概念は距離空間の点列の研究において、特に、実解析において、重要である。実解析における1つのとりわけ重要な結果は、列の収束のコーシーの判定法である:実数列が収束することとそれがコーシー列であることは同値である。これは他の完備距離空間においても正しい。

超実数における定義

超実数を用いた極限の定義は添え字の「非常に大きい」値に対して対応する項が極限に「非常に近い」という直感を定式化する。より正確には、実数列 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar に収束するとは、任意の無限大超自然数 テンプレート:Mvar に対して、項 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に無限に近い、すなわち差 テンプレート:Math無限小であることをいう。同じことだが、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:仮リンクである:

L=st(xH).

したがって、極限は

limnxn=st(xH)

によって定義できる、ただし極限が存在するのは右辺が無限大 テンプレート:Mvar の取り方に依らないとき、かつそのときに限る。

関連項目

脚注

証明

テンプレート:Reflist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

外部リンク

  1. 1.0 1.1 Courant (1961), p.29.
  2. Courant (1961), p.39.


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