方正函数
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数学における方正函数[1](ほうせいかんすう、テンプレート:Lang-en-short)は、「素性のよい」("well-behaved") 実一変数の函数である。方正函数の概念は可積分函数の一つのクラスとして生じたものであり、その特徴付けにはいくつか方法がある。方正函数は1954年にテンプレート:仮リンクが導入し、対応する積分をジャン・デュドネを含む数学結社ブルバキが提唱した。
定義
以下 テンプレート:Mvar はノルム テンプレート:Math を備えるバナッハ空間とする。函数 テンプレート:Math が方正函数であるとは、以下の同値な条件のうちの何れか一方(したがって両方)を満足することを言う テンプレート:Harv:
- 任意の テンプレート:Math に対して[[片側極限|左側極限 テンプレート:Math および右側極限 テンプレート:Math]] がともに テンプレート:Mvar において存在する(自明な注意ではあるが テンプレート:Math および テンプレート:Math は除いて言う);
- 適当な階段函数列 テンプレート:Math で一様に(つまり一様ノルム テンプレート:Math に関して)テンプレート:Mvar に収斂するものが存在する。
これら2つの条件が同値であることを知るには少しく手を動かす必要があるが、後の条件を次に示す形に言い換えるのは比較的容易である:
- 各 テンプレート:Math に対し、以下を満たす階段函数 テンプレート:Math が取れる:
- テンプレート:Mvar は閉区間 テンプレート:Math から テンプレート:Mvar への階段函数全体の成す空間 テンプレート:Math の閉包に属する(閉包は一様ノルムに関する意味で テンプレート:Math から テンプレート:Mvar への有界函数全体の成す空間 テンプレート:Math において取る)。
方正函数の性質
以下、方正函数 テンプレート:Math 全体の成す集合を テンプレート:Math と書くことにする。
- 空間 テンプレート:Mvar が体 テンプレート:Math(典型的には実数体 テンプレート:Math あるいは複素数体 テンプレート:Math)上のベクトル空間であるとき、方正函数同士の和およびスカラー倍はふたたび方正である。即ち、テンプレート:Math は同じ体 テンプレート:Math 上のベクトル空間を成す。テンプレート:Mvar が乗法を備えるならば、方正函数の(テンプレート:仮リンク)積もまた方正である。即ち、テンプレート:Mvar が テンプレート:Math-多元環ならば テンプレート:Math もそうである。
- 一様ノルムは テンプレート:Math 上のノルムを与え、一様ノルムの誘導する位相に関して テンプレート:Math は位相線型空間を成す。
- 既述の通り テンプレート:Math は テンプレート:Math における テンプレート:Math の一様ノルムに関する閉包である。
- テンプレート:Mvar がバナッハ空間ならば テンプレート:Math もまた一様ノルムに関してバナッハ空間を成す。
- テンプレート:Math は実無限次元バナッハ代数を成す。即ち、方正函数からなる有限線型結合および積は、やはり方正である。
- (テンプレート:Math のような)コンパクト空間上の連続写像は自動的に一様連続となるから、任意の連続函数 テンプレート:Math は方正である。実は一様ノルムに関して、連続函数全体の成す空間 テンプレート:Math は テンプレート:Math の閉部分空間になる。
- テンプレート:Mvar がバナッハ空間ならば、有界変動函数全体の成す空間 テンプレート:Math は テンプレート:Math の稠密部分空間を成す。式で書けば:
- テンプレート:Mvar がバナッハ空間のとき、函数 テンプレート:Math が方正となる必要十分条件はそれが適当な荷重 テンプレート:Mvar に対する重み テンプレート:Mvar-付き有界変動 (bounded テンプレート:Mvar-variation) となることである。即ち
- テンプレート:Mvar が可分ヒルベルト空間ならば テンプレート:Math はテンプレート:仮リンクと呼ばれるコンパクト性定理を満足する。
- 方正函数の不連続点全体の成す集合は可算である(これを示すには、各 テンプレート:Math に対して、左右の片側極限の差が テンプレート:Mvar より大きくなる点が有限個であることを見れば十分である)。特に不連続点集合はテンプレート:仮リンクとなり、従って方正函数は矛盾なく定まるリーマン積分を持つ。
- 階段函数に対して自明な仕方で定義される積分は、各方正函数に対してそれを一様極限に持つ任意の階段函数列の積分の極限を考えることにより、自然に テンプレート:Math まで拡張できる。この拡張は well-defined であり、積分の持つ通常の性質をすべて満足する。特にこの方正積分は:
- テンプレート:Math から テンプレート:Mvar への有界線型写像である。故に テンプレート:Math の場合には、この積分は テンプレート:Math の双対空間の元になっている;
- リーマン積分に一致する。
脚注
参考文献
- テンプレート:Citation テンプレート:MathSciNet
- テンプレート:Citation テンプレート:MathSciNet
- テンプレート:Citation テンプレート:MathSciNet
- テンプレート:Citation テンプレート:MathSciNet
- テンプレート:Citation
- ↑ ブルバキ『数学原論 実一変数関数 1』p. 52.