積測度

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数学において、ある2つの可測空間とその上の測度が与えられたとき、その空間に対する直積可測空間(ちょくせきかそくくうかん、テンプレート:Lang-en-short)と積測度(せきそくど、テンプレート:Lang-en-short)を導出することができる。概念としては、これは集合直積や2つの位相空間の直積位相を定義することと似ている。しかし積測度に関しては多くの自然な選び方が存在する。

(X1,Σ1)(X2,Σ2) を2つの可測空間とする。すなわち Σ1Σ2 はそれぞれ X1X2 の上のσ-代数である。また μ1μ2 をそれらの空間上の測度とする。Σ1Σ2 によって、B1×B2 の形の部分集合によって生成されるデカルト積 X1×X2 上のσ-代数を表す。ただし B1Σ1 および B2Σ2 である。このような Σ1Σ2 はその直積空間上の「テンソル積σ-代数」(tensor-product σ-algebra)と呼ばれる。

積測度 μ1×μ2 は、可測空間 (X1×X2,Σ1Σ2) 上の測度で、すべての B1Σ1, B2Σ2 に対して次の性質を満たすものとして定義される。

(μ1×μ2)(B1×B2)=μ1(B1)μ2(B2).

無限大となることもあるような測度の掛け算において、その積がゼロであるとは任意の因子がゼロであることとして定義する。

実際、空間が σ-有限であるとき、積測度は一意的に定義され、すべての可測集合 E に対して

(μ1×μ2)(E)=X2μ1(Ey)dμ2(y)=X1μ2(Ex)dμ1(x)

が成立する。ただし Eテンプレート:Sub = {yXテンプレート:Sub|(x,y)∈E} および Eテンプレート:Sup = {xXテンプレート:Sub|(x,y)∈E} で、それらはいずれも可測集合である。

この測度の存在はコルモゴロフの拡張定理によって保証される。積測度の一意性は、(X1,Σ1,μ1) および (X2,Σ2,μ2) のいずれもが テンプレート:仮リンクであるときにのみ保証される。

ユークリッド空間 Rテンプレート:Sup 上のボレル測度は、実数直線 R 上のボレル測度の n 個のコピーの積として得られる。

直積空間の二つの因子がたとえ完備測度空間であっても、その直積空間自身が完備測度空間であるとは限らない。したがって、ボレル測度をルベーグ測度に拡張したり、二つのルベーグ測度の積を直積空間上のルベーグ測度を与える上で拡張するためには、完備化の手順が必要となる。

二つの測度の積の構成と反対の手順は、テンプレート:仮リンクとして知られている。これはある意味において、与えられた測度を測度の族に「分ける」作業である。そのようにして分けられた測度から、元の測度を得ることも可能である。

  • 2つの測度空間が与えられたとき、それらの直積空間上の唯一つの極大積測度 テンプレート:Math で次の性質を満たすものが存在する:ある可測集合 テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Math が有限であるなら、任意の積測度 テンプレート:Math に対して テンプレート:Math2 が成立する。特に、任意の可測集合に関するその測度の値は、他の任意の積測度の値を下回ることはない。これはホップの拡張定理によって作られる測度である。
  • テンプレート:Math2 を可測集合とするとき、テンプレート:Math2 で与えられる唯一つの極小積測度 テンプレート:Math が存在する。
  • ここで直積空間が複数の積測度を持つ例を考える。Xルベーグ測度を伴う単位区間、Y数え上げ測度を伴う単位区間とし、すべての集合は可測であるとしたとき、直積空間 X×Y を考える。このとき、極小積測度に対しては、ある集合の測度はその水平部分の測度の和となるが、一方、極大積測度に対しては、A×Bの形式の可算集合の和集合に含まれていない限り、無限大となる。ここで、Aはルベーグの測定値0、またはBのいずれかが単一点である。(この場合、測度は有限または無限となるだろう。)特に、極小積測度に対してはその対角部分は測度 0 となるが、極大積測度に対しては無限大となる。

関連項目

参考文献

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