行列多項式
テンプレート:Distinguish テンプレート:出典の明記 数学における行列多項式(ぎょうれつたこうしき、テンプレート:Lang-en-short)は、行列テンプレート:Efn2を変数とする(一変数または多変数の)「多項式」を言う。行列多項式の係数には、スカラーや行列など、変数行列との積が定義できる様々な対象が考えられる。変数 テンプレート:Mvar が決まったサイズの正方行列を亙るものとすれば、行列多項式 テンプレート:Math には テンプレート:Mvar と同じサイズの行列 テンプレート:Mvar を代入することができて—代入した値を テンプレート:Math と書けば—評価写像 テンプレート:Math や「多項式函数」テンプレート:Math などが定まる。
例えば、変数 テンプレート:Mvar に関するスカラー係数の一変数行列多項式は (テンプレート:Mvar はスカラー) という形に書ける。テンプレート:Mvar に行列 テンプレート:Mvar を代入した は行列として定まるから、各 テンプレート:Mvar にこの テンプレート:Math を対応させる写像はテンプレート:Ill2として定まる。
行列多項式方程式 (matrix polynomial equation) は二つの行列多項式が相等しいことを記述する式で、考えている式を満足する行列が限られるものを言う。適当な行列環 テンプレート:Math 全体に亙る全ての行列が方程式を満足するならば、その行列多項式方程式は行列多項式恒等式 (matrix polynomial identity) と呼ばれる。
通常の多項式に対する汎函数計算
通常の(スカラー値の)多項式函数 に対して、行列 を「多項式 テンプレート:Math の行列 テンプレート:Mvar における値」と言うテンプレート:Sfn。
- 注
- 素朴な意味では通常の多項式に行列を代入することはできないのだから、多項式 テンプレート:Math を行列 テンプレート:Mvar において評価した値と言ったりそれを テンプレート:Math と書いたりすることは厳密には用語および記号の濫用だが、これを汎函数計算の簡単な一例として理解することができる。
特性多項式と最小多項式
行列 テンプレート:Mvar の「特性多項式 テンプレート:Math はテンプレート:Underlineである」。ところでケイリー–ハミルトンの定理の述べるところは、この多項式を行列多項式として テンプレート:Mvar 自身において評価した値が零行列となることであった: テンプレート:Math. すなわちその意味において、テンプレート:Mvar の「特性多項式は テンプレート:Mvar において消えるテンプレート:Underlineである」。
テンプレート:Mvar において消える次数最小の単多項式は一意に存在して、テンプレート:Mvar の最小多項式と呼ばれる。テンプレート:Mvar において消える任意の多項式(例えば特性多項式)は必ず最小多項式で割り切れるテンプレート:Sfn。
したがって、与えられた二つの多項式 テンプレート:Mvar に対し行列多項式方程式 テンプレート:Math が成り立つための必要十分条件は、テンプレート:Mvar の固有値を テンプレート:Math2 とすれば各 テンプレート:Mvar-階微分(導多項式)に関して が成り立つことであるテンプレート:Sfn。ただし テンプレート:Mvar は固有値 テンプレート:Mvar に対応する指数(対応するジョルダンブロックの最大サイズ)である。
行列の幾何級数
行列の幾何級数は通常の幾何級数と同様の仕方で計算できる。すなわち、行列多項式として テンプレート:Math と書くとき、 は一般に成り立つテンプレート:Efn2から、テンプレート:Math が正則となる テンプレート:Mvar における評価 は通常の通り正当化できる。あるいは テンプレート:Math となる冪零行列 テンプレート:Mvar における値は テンプレート:Math であるテンプレート:Efn2(これは無限幾何級数の和と対応すると考えることができる)。