複素ベクトル束

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数学において、複素ベクトル束(ふくそベクトルそく、テンプレート:Lang-en-short)は、ファイバーが複素ベクトル空間であるようなベクトル束である。

任意の複素ベクトル束はテンプレート:仮リンクによって実ベクトル束と見ることができる。逆に、任意の実ベクトル束 Eテンプレート:仮リンク

E

によって複素ベクトル束にすることができる。そのファイバーは ExR C である。

パラコンパクト空間上の任意の複素ベクトル束にはエルミート計量を入れることができる。

複素ベクトル束の基本的な不変量はチャーン類である。

複素構造

複素ベクトル束は実ベクトル束に付加的な構造、複素構造 (complex structure) を付け加えたものと考えることができる。定義により複素構造は実ベクトル束 E とそれ自身の間の束写像:

J:EE

であって J がファイバー上 −1 の平方根 i として作用するものである、つまり、Jx:ExEx がファイバーのレベルでの写像であれば、線型写像として Jx2=1 である。E が複素ベクトル束であれば、複素構造 J を、Jxi によるスカラー乗法とすることで定義できる。逆に、E が複素構造 J を持った実ベクトル束であれば、次のようにして E を複素ベクトル束にすることができる:任意の実数 a, b と、ファイバー Ex の実ベクトル v に対して、

(a+ib)v=av+J(bv).

: 実多様体 M の接束上の複素構造は通常概複素構造と呼ばれる。ニューランダー・ニーレンバーグの定理は、概複素構造 J が「可積分」であること、つまりある複素多様体の構造から誘導されることと、J に関するあるテンソルが消えることが同値であるという定理である。

共役束

E が複素ベクトル束であれば、E共役束 (conjugate bundle) E は数の複素共役を通して作用する複素数を持つことによって得られる。したがって、下にある実ベクトル束の恒等写像: EE=E は共役線型であり、E とその共役 テンプレート:Overline は実ベクトル束として同型である。

Ek-次チャーン類

ck(E)=(1)kck(E)

によって与えられる。特に、Eテンプレート:Overline は一般には同型でない。

E がエルミート計量を持っていれば、共役束 テンプレート:Overline は計量を通して双対束 E*=Hom(E,𝒪) に同型である、ただし 𝒪 は自明複素直線束である。

E が実ベクトル束であれば、E の複素化の下にある実ベクトル束は E の 2 つのコピーの直和である:

(E)=EE

(なぜならば任意の実ベクトル空間 V に対して VRC = ViV だから)。複素ベクトル束 E が実ベクトル束 E' の複素化であれば、E'Eテンプレート:仮リンクと呼ばれ(1つよりも多くの実形式があるかもしれない)E は実数上定義されていると言われる。E が実形式を持てば、E はその共役に同型であり(なぜならばそれらは両方実形式の 2 つのコピーの和であるから)、したがって E の奇チャーン類は位数 2 を持つ。

関連項目

参考文献

テンプレート:Topology-stub