単因子
代数学において、行列の単因子(たんいんし)とは、その「標準形」を定める不変量のことである。
定義
テンプレート:Mvar を単項イデアル整域(たとえば整数環 テンプレート:Math や複素係数の一変数多項式環 テンプレート:Math などのユークリッド整域)とする。また テンプレート:Math を テンプレート:Mvar 成分の テンプレート:Math 行列全体とし、特に テンプレート:Math のときは、これを テンプレート:Math と表すことにする。すべての行列 テンプレート:Math は、ある可逆行列 テンプレート:Math と テンプレート:Math を使って次の形に変形できるテンプレート:Sfn。
ここで テンプレート:Math かつ テンプレート:Math である。このような テンプレート:Math は単数倍を除いて一意に定まりテンプレート:Sfn、これを行列 テンプレート:Mvar の単因子という。右辺の行列は テンプレート:Mvar のスミス標準形 テンプレート:Langテンプレート:Sfn あるいは単因子標準形と呼ばれる。 この行列 テンプレート:Math は行列の基本変形を積み重ねることにより求められるテンプレート:Sfn。
性質
テンプレート:Mvar を体とする。
- 2つの行列 テンプレート:Math が相似であるための必要十分条件は、2つの行列 テンプレート:Math の単因子が一致することであるテンプレート:Sfn。
- 行列 テンプレート:Math の最小多項式は、行列 テンプレート:Math の最大次数の単因子(を規格化したもの)と一致するテンプレート:Sfn。
例
テンプレート:Mvar を複素係数の一変数多項式環 テンプレート:Math とする。次の行列 テンプレート:Math の単因子は可逆行列 テンプレート:Math として以下の行列を取れば テンプレート:Math とわかる。
脚注
参考文献
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- 木村達雄、竹内光弘、宮本雅彦、森田純:「代数の魅力」、数学書房、ISBN 978-4-903342-11-5 (2009年9月10日) の第2.4節と第2.5節。