球冠

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青で示された部分が球冠の一例である。

球冠(英語ではspherical cap, spherical domeやspherical segment of one baseという)とは、平面により切断されたの一部のこと。平面が球の中心を通り、球冠の高さが球体の半径と等しいときには半球となる。

体積と表面積

球冠の体積と曲面の面積は、次の値を組み合わせることで計算できる。

  • 球の半径 r
  • 球冠の底の半径 a
  • 球冠の高さ h
  • 球の中心から球冠の頂点(極)までの線と球冠の底を形作る円板の端との間の極角 θ
rh を用いる ah を用いる rθ を用いる
体積 V=πh23(3rh) [1] V=16πh(3a2+h2) V=π3r3(2+cosθ)(1cosθ)2
表面積 A=2πrh[1] A=π(a2+h2) A=2πr2(1cosθ)

ϕ地理座標における緯度を示す場合、θ+ϕ=π/2=90である。

hr の関係は0h2rであれば問題ない。例えば、図の赤い部分はh>rの球冠である。

rh を用いる式は、ピタゴラスの定理を用いてrの代わりに球冠の底面の半径aを用いる式に書き換えることができる。

r2=(rh)2+a2=r2+h22rh+a2,

つまり

r=a2+h22h.

となる。 これを式に代入すると

V=πh23(3a2+3h22hh)=16πh(3a2+h2),
A=2π(a2+h2)2hh=π(a2+h2).

となる。

球面扇形の体積から直感的に表面積を導出する

以下の議論ベースの計算とは別であるが、球冠の表面積は直感的な議論により球面扇形の体積 Vsec から導出することができる[2]

A=3rVsec=3r2πr2h3=2πrh.

直感的な議論は、総体積を無限小の三角錐の総体積を合計することに基づいている。角錐の体積の式V=13bhbは各角錐の底面(球体の表面にある)の無限面積で、h は底面から頂点(球の中心)までの各角錐の高さ)を用いる。極限をとったときの各hは定数であり、球の半径rと等しいため、無限小の角錐の底面積の合計は球冠の表面積に等しくなる。

Vsec=V=13bh=13br=r3b=r3A

計算を用いた体積と表面積の導出

緑の領域を回転させると、高さ h で球の半径rの球冠を作ることができる

体積と表面積の式は次の関数

f(x)=r2(xr)2=2rxx2 (x[0,h])

を調べ、表面積に対しては回転面の式、体積に対しては回転体の式を用いることで導出される。 表面積は

A=2π0hf(x)1+f(x)2dx

である。fの導関数は

f(x)=rx2rxx2

であるから

1+f(x)2=r22rxx2

となる。よって表面積の式は

A=2π0h2rxx2r22rxx2dx=2π0hrdx=2πr[x]0h=2πrh

となる。体積は

V=π0hf(x)2dx=π0h(2rxx2)dx=π[rx213x3]0h=πh23(3rh)

となる。

応用

2つの交差する球の和集合と交差部の体積

半径r1r2の球が交差したときの和集合の体積は[3]

V=V(1)V(2),

ここで

V(1)=4π3r13+4π3r23

は2つの独立した球の体積の合計で

V(2)=πh123(3r1h1)+πh223(3r2h2)

は交差を作り出す2つの球冠の体積の合計。dr1+r2 が2つの球の中心間の距離であるとき、変数h1h2を消すと[4][5]

V(2)=π12d(r1+r2d)2(d2+2d(r1+r2)3(r1r2)2).

となる。

平行な平板で囲まれた部分の表面積

2つの平行な平板で囲まれた球台の表面積は、それぞれの球冠の表面積の差である。半径rで高さがh1h2の球冠の場合、表面積は

A=2πr|h1h2|,

であり、地理座標である緯度ϕ1ϕ2を用いると[6]

A=2πr2|sinϕ1sinϕ2|,

となる。例えば、地球を半径6371 kmの球と仮定すると、北極(2016年8月現在、北極圏である緯度66.56°より北[7])の表面積は、2テンプレート:Pi·63712|sin 90° − sin 66.56°| = 2104万km2で、地球の総表面積の0.5·|sin 90° − sin 66.56°| = 4.125%である。

この式を用いることで、地球の表面積の半分が南緯30°と北緯30°の間にあることを示すことができる。この範囲は熱帯を包含する。

一般化

他の立体の部分

回転楕円体のドーム(spheroidal dome)は、ドームが円対称(回転軸を持つ)になるように回転楕円体の一部を切り取ることで得られる。楕円体から楕円体のドームも同様に得られる。

超球冠

一般的に、n次元ユークリッド空間における高さh で半径 rの超球冠のn次元の体積は[8]

V=πn12rnΓ(n+12)0arccos(rhr)sinn(t)dt

で与えられる。ここでΓガンマ関数)はΓ(z)=0tz1etdtで与えられる。

Vの式は、n次元球体単位の体積Cn=πn/2/Γ[1+n2]超幾何関数 2F1 、正規化不完全ベータ関数 Ix(a,b) を用いて

V=Cnrn(12rhrΓ[1+n2]πΓ[n+12]2F1(12,1n2;32;(rhr)2))=12CnrnI(2rhh2)/r2(n+12,12)と表すことができ、

表面積の式Aは、n次元球体単位の表面積An=2πn/2/Γ[n2]を用いて

A=12Anrn1I(2rhh2)/r2(n12,12)

と表すことができる。ここで0hrである。

それより前に[9] (1986, USSR Academ. Press) 次の式が導出されていた。 A=Anpn2(q),V=Cnpn(q), where q=1h/r(0q1),pn(q)=(1Gn(q)/Gn(1))/2,

Gn(q)=0q(1t2)(n1)/2dt.

奇数n=2k+1:に対しては

Gn(q)=i=0k(1)i(ki)q2i+12i+1.

漸近性

nおよびqn=const.である場合、pn(q)1F(qn)F()は標準正規分布の積分)であることが示されている[10]

より定量的な方法でこれを書くと[11]、境界A/An=nΘ(1)[(2h/r)h/r]n/2が与えられる。 大きな球冠(n(1h/r)4n=O(1))の場合、境界はnΘ(1)e(1h/r)2n/2と簡単にすることができる。

関連項目

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脚注

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関連文献

外部リンク

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  11. Anja Becker, Léo Ducas, Nicolas Gama, and Thijs Laarhoven. 2016. New directions in nearest neighbor searching with applications to lattice sieving. In Proceedings of the twenty-seventh annual ACM-SIAM symposium on Discrete algorithms (SODA '16), Robert Kraughgamer (Ed.). Society for Industrial and Applied Mathematics, Philadelphia, PA, USA, 10-24.