超幾何関数

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ガウスの超幾何関数 テンプレート:Math の複素数平面上における挙動

数学における超幾何関数(ちょうきかかんすう、テンプレート:Lang-en-short)とは、超幾何微分方程式なる常微分方程式の解となる特殊関数をいう。超幾何関数は、絶対値テンプレート:Math より小さい複素数 テンプレート:Math を引数として、以下の超幾何級数

2F1[a,bcz]0n(a)n(b)n(c)nznn!

で定義される関数 テンプレート:Math をいい、多くの初等関数や特殊関数を包含する。ここで テンプレート:Mathポッホハマー記号で表した昇べきである。厳密には、左辺の記号は原点の近傍で絶対収束するべき級数の和と、それから解析接続によって定義される解析関数としての超幾何関数を表すものである。ポッホハマー記号のガンマ関数による表現を用いれば、超幾何関数は

2F1[a,bcz]=𝛤(c)𝛤(a)𝛤(b)0n𝛤(a+n)𝛤(b+n)𝛤(c+n)znn!

と書き直すこともできる。このことからもわかるように、右辺の級数が収束するためには テンプレート:Math が零もしくは負の整数ではないことが必要である。超幾何関数は、ガウスがこの関数について詳しく研究していたことから、彼の名前を冠してガウスの超幾何関数と呼ばれることもある。

概要

以下の形をした二階線型常微分方程式をガウスの微分方程式または超幾何微分方程式という。

z(z1)d2wdz2+(c(a+b+1)z)dwdzabw=0

この微分方程式は テンプレート:Math, テンプレート:Math, テンプレート:Math においてテンプレート:仮リンクをもち、それ以外の点では特異点をもたない。各特異点での一般解はガウスの超幾何関数を用いて表せる事が知られており、適当な定数 テンプレート:Math, テンプレート:Math を用いて

w=c12F1[a,bcz]+c2z1c2F1[ac+1,bc+12cz]

と表せる。超幾何級数そのものはオイラーがよく研究したが、最初の体系的な扱いをしたのはガウスであるとされる。その後の研究には、クンマーリーマンらによる、超幾何関数が満たす微分方程式を用いた超幾何関数の基本的な特徴付けなどがある。超幾何微分方程式の確定特異点のうち、テンプレート:Mathテンプレート:Math に「融合させて」一級の不確定特異点とした二階線形常微分方程式

zd2wdz2+(bz)dwdzaw=0

は(クンマーの)合流型超幾何微分方程式と呼ばれ、この一般解をテンプレート:仮リンクという。

諸関数の表現

超幾何関数は、多くの初等関数や特殊関数を包含する。さらに一般化された超幾何関数を用いれば、より多くの関数を表現することができる。

1(1z)a=0n(a)nn!zn=2F1[a,z]
log(1+z)=z0n(1)nn+1zn=z2F1[1,12z]log1+z1z=2z0n12n+1z2n=2z2F1[1/2,13/2z2]
arcsinz=z0n(2nn)22n(2n+1)z2n=z2F1[1/2,1/23/2z2]arctanz=z0n(1)n2n+1z2n=z2F1[1/2,13/2z2]
K(k)=π20n(2nn)224nk2n=π22F1[1/2,1/21k2]E(k)=π20n(2nn)224n(12n)k2n=π22F1[1/2,1/21k2]
Bz(a,b)=0zta1(1t)b1dt=zaa2F1[a,1ba+1z]
Pλμ(z)=1𝛤(1μ)(1+z1z)μ/22F1[λ,λ+11μ1z2]
Pn(α,β)(z)=(α+1)nn!2F1[n,α+β+n+1α+11z2]

積分表現

ガウスの超幾何関数は、以下のようにオイラー積分

2F1[a,bcz]=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01tb1(1t)cb1(1tz)adt

として表現することができる。ここで テンプレート:Math である。ベータ関数を用いれば

2F1[a,bcz]=1B(b,cb)01tb1(1t)cb1(1tz)adt

となる。

証明

2F1[a,bcz]=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)𝛤(b)𝛤(cb)𝛤(c)0n(a)n(b)n(c)nznn!=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)0n𝛤(b+n)𝛤(cb)(a)n𝛤(c+n)znn!=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)0nB(b+n,cb)(a)nznn!=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)0n01tb+n1(1t)cb1dt(a)nznn!=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01tb1(1t)cb10n(a)n(tz)nn!dt=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01tb1(1t)cb12F1[a,tz]dt=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01tb1(1t)cb1(1tz)adt

不等式 テンプレート:Math を満たす任意の複素数 テンプレート:Math に対し、

2F1[a,bcz]=𝛤(c)𝛤(a)𝛤(b)12πii+i𝛤(a+t)Γ(b+t)𝛤(t)𝛤(c+t)(z)tdt

が成り立つ。

特殊値の公式

ガウスの超幾何定理

以下の式をガウスの超幾何定理(英: Gaussian hypergeometric theorem)という。

2F1[a,bc1]=𝛤(c)𝛤(cab)𝛤(ca)𝛤(cb)

ここに テンプレート:Math である。また、この式に テンプレート:Math を代入すると、テンプレート:仮リンクを得る。

2F1[k,bc1]=Γ(c)𝛤(c+k)Γ(cb+k)𝛤(cb)=(cb)k(c)k

証明

ガウスの超幾何関数のオイラー積分表示に テンプレート:Math を代入する。

2F1[a,bc1]=𝛤(c)𝛤(a)𝛤(ca)01ta1(1t)cab1dt=𝛤(c)𝛤(a)𝛤(ca)B(a,cab)=𝛤(c)𝛤(cab)𝛤(ca)𝛤(cb)

クンマーの定理

以下の式をクンマーの定理(英: Kummer's theorem)という。

2F1[a,bab+11]=𝛤(a2+1)𝛤(ab+1)𝛤(a+1)𝛤(a2b+1)

証明

左辺をガウスの超幾何関数のオイラー積分表示を用いて計算する。

2F1[a,bab+11]=𝛤(ab+1)𝛤(a)𝛤(1b)01ta1(1t)b(1+t)bdt=𝛤(ab+1)𝛤(a)𝛤(1b)01ta1(1t2)bdt

ここで、右辺の積分において テンプレート:Math と置換する。

2F1[a,bab+11]=𝛤(ab+1)2𝛤(a)𝛤(1b)01sa/21(1s)bds=𝛤(ab+1)2𝛤(a)𝛤(1b)B(a2,1b)=𝛤(a2+1)𝛤(ab+1)𝛤(a+1)𝛤(a2b+1)

変換公式

パーフの変換公式

不等式 テンプレート:Math を満たす任意の複素数 テンプレート:Math に対し、

2F1[a,bcz]=(1z)a2F1[a,cbczz1]

が成り立つ。ここで テンプレート:Math である。これをパーフの変換公式(英: Pfaff's transformation)という。

証明

ガウスの超幾何関数のオイラー積分表示において テンプレート:Math と変数変換する。

2F1[a,bcz]=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01tb1(1t)cb1(1tz)adt=𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01(1s)b1scb1(1z+sz)ads=(1z)a𝛤(c)𝛤(b)𝛤(cb)01scb1(1s)b1(1szz1)ads=(1z)a2F1[a,cbczz1]

オイラーの変換公式

不等式 テンプレート:Math を満たす任意の複素数 テンプレート:Math に対し、

2F1[a,bcz]=(1z)cab2F1[ca,cbcz]

が成り立つ。ここで テンプレート:Math である。これをオイラーの変換公式(英: Euler's transformation)という。

証明

パーフの変換公式を繰り返し適用する。

2F1[a,bcz]=(1z)a2F1[a,cbczz1]=(1z)a(1zz1)bc2F1[ca,cbcz/(z1)z/(z1)1]=(1z)cab2F1[cb,cacz]

クンマーの二次変換公式

不等式 テンプレート:Math を満たす任意の複素数 テンプレート:Math に対し、

2F1[a,b2b2z]=(1z)a2F1[a2,a+12b+12(z1z)2]

が成り立つ。これをクンマーの二次変換公式(英: Kummer's quadratic transformation)という。

ベイリーの変換公式

不等式 テンプレート:Math を満たす任意の複素数 テンプレート:Math に対し、

2F1[a,b2b4z(1+z)2]=(1+z)2a2F1[a,ab+12b+12z2]

が成り立つ。これをベイリーの変換公式(英: Bailey's transformation)という。

超幾何微分方程式

テンプレート:Main

参考文献

関連項目

超幾何級数

合流型超幾何関数

その他

外部リンク

テンプレート:級数