零点
テンプレート:Otheruses テンプレート:出典の明記 複素解析における正則函数 テンプレート:Mvar の零点(れいてん、ゼロてん、テンプレート:Lang-en-short)は函数が非自明でない限り孤立する。零点が孤立することは、一致の定理あるいは解析接続の一意性の成立において重要である。
孤立零点には重複度 (order of multiplicity) が定まる。代数学における類似の概念として非零多項式の根の重複度(あるいは重根)が定義されるが、多項式函数はその不定元を複素変数と見れば整函数を定めるから、これはその一般化である。
零点が孤立すること
以下、テンプレート:Mvar はガウス平面 テンプレート:Math の開集合、テンプレート:Math は正則で、テンプレート:Mvar の元 テンプレート:Mvar は テンプレート:Mvar の零点 (テンプレート:Math) とする。このとき函数 テンプレート:Mvar は、適当な半径 テンプレート:Mvar の開円板 テンプレート:Math において、整級数
に展開することができる。ここで定数項は テンプレート:Math だから、添字は テンプレート:Math から始まっていることに注意。また各項の係数は テンプレート:Math で与えられる。
- 定義 (テンプレート:Vanc)
- 複素函数 テンプレート:Mvar の零点 テンプレート:Mvar が孤立するとは、それが テンプレート:Mvar の零点集合の孤立点となる(すなわち、テンプレート:Mvar を中心とする十分小さな円板をとれば、その中に含まれる テンプレート:Mvar の零点が テンプレート:Mvar のみであるようにすることができる)ときに言う。
上記の級数展開において、以下の二者択一が考えられる: テンプレート:Ordered list 以上のことを、以下の定義および定理にまとめることができる。
- 定義 (テンプレート:Vanc)
- 正則函数 テンプレート:Mvar の孤立零点 テンプレート:Mvar のテンプレート:Vancが テンプレート:Mvar であるとは、自然数 テンプレート:Mvar が、任意の自然数 テンプレート:Math に対して テンプレート:Math かつ テンプレート:Math を満たすときに言う。このとき テンプレート:Mvar は テンプレート:Mvar-位の零点テンプレート:Sfnであるという。また、テンプレート:Math のときは テンプレート:Mvar を単純零点 (simple zero) とも呼ぶ。
- テンプレート:Mvar が テンプレート:Mvar の テンプレート:Mvar-位の孤立零点であるための必要十分条件は、テンプレート:Math に含まれる適当な開円板 テンプレート:Math 上で定義された正則函数 テンプレート:Mvar が存在して、テンプレート:Math かつ テンプレート:Math が満たされることである。
- 定理 (テンプレート:Vanc)
- テンプレート:Mvar の零点 テンプレート:Mvar が孤立しないならば、テンプレート:Mvar に属する適当な円板 テンプレート:Math 上で テンプレート:Mvar は恒等的に消えている。
例
テンプレート:Mvar を複素数とし、複素函数 テンプレート:Mvar を
と定めれば、これは整函数(つまり テンプレート:Math の全域で正則)で、テンプレート:Math-位の孤立零点である。実際、テンプレート:Math だが テンプレート:Math となることは容易に確かめられる。
応用
孤立零点の原理から、以下のような原理が導かれる。
解析的延長の原理
テンプレート:Main 以下、テンプレート:Mvar は テンプレート:Math の領域(連結開集合)とし、テンプレート:Math は テンプレート:Mvar 上で定義された正則函数とする。
- 定理 (一致の定理)
- 等化集合 テンプレート:Math が少なくと一つの集積点(非孤立点)を持つならば。テンプレート:Mvar 上恒等的に テンプレート:Math が成り立つ。
- 定理 (一致の定理)
- 点 テンプレート:Math および テンプレート:Mvar と異なる点からなる テンプレート:Mvar 内の点列 テンプレート:Math で テンプレート:Mvar に収束するものが存在して、任意の テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Math が成り立つならば、テンプレート:Mvar 上恒等的に テンプレート:Math が成り立つ。
例えば、テンプレート:Mvar を テンプレート:Math 内の連結開集合で、実数直線 テンプレート:Math 内の少なくとも二点を含む区間 テンプレート:Mvar(ゆえに テンプレート:Mvar の各点は孤立しない)を含むものとすると、
- 定理
- テンプレート:Mvar 上で定義された正則函数 テンプレート:Math が テンプレート:Mvar 上で一致するならば、テンプレート:Mvar の全域で一致する。
このことは、テンプレート:Math 内の区間 テンプレート:Mvar 上で定義された函数を、テンプレート:Mvar を含む テンプレート:Math 内の連結開集合 テンプレート:Mvar 上で定義された解析函数に延長する方法は高々一つしか許されないことを意味している。
- つまり例えば、複素指数函数は、実変数の指数函数の テンプレート:Math への唯一の解析的延長である。
- 函数関係不変の法則: 例えば実数の対 テンプレート:Mvar に対して等式 テンプレート:Math の成立はよく知られているが、解析接続により、テンプレート:Mvar は任意の複素数としてこの等式は成り立つ。実際、
- テンプレート:Mvar を実数として、テンプレート:Math(これも連結開集合)上で定義される二つの正則函数 テンプレート:Math を テンプレート:Math および テンプレート:Math と置けば、これら二つは テンプレート:Math 上で一致するから、一致の定理により、テンプレート:Math 上で一致する。つまり、テンプレート:Mvar を複素数として、任意の実数 テンプレート:Mvar に対し テンプレート:Math が成り立つ。
- テンプレート:Mvar を複素数として、テンプレート:Math 上定義される二つの正則函数 テンプレート:Math を テンプレート:Math および テンプレート:Math と置けば、(一つ前で見たとおり)これら二つは テンプレート:Math 上一致するから、(一致の定理により)テンプレート:Math 上で一致する。すなわち、任意の複素数 テンプレート:Mvar および テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Math は成り立つ。
零点の数
偏角の原理を用いれば、与えられた正則函数に対して適当な円板上に存在する零点の数を(重複度を込めて)数えることができる。 テンプレート:Math theorem この定理はベッセル関数の零点を計算するのにも用いられる(テンプレート:Harvtxt)。
零点の数値計算
解析関数の零点を数値的に求める手法についてはKravanja et al. (2000)、テンプレート:Harvtxtを参照せよ。
脚注
出典
参考文献
- テンプレート:Cite book
- Kravanja, P., Ragos, O., Vrahatis, M. N., & Zafiropoulos, F. A. (1998). ZEBEC: A mathematical software package for computing simple zeros of Bessel functions of real order and complex argument. Computer physics communications, 113(2-3), 220-238.
- Kravanja, P., Van Barel, M., Ragos, O., Vrahatis, M. N., & Zafiropoulos, F. A. (2000). ZEAL: A mathematical software package for computing zeros of analytic functions. Computer Physics Communications, 124(2-3), 212-232.
- Johnson, T., & Tucker, W. (2009). Enclosing all zeros of an analytic function—A rigorous approach. Journal of Computational and Applied Mathematics, 228(1), 418-423.