テータ関数(テータかんすう、テンプレート:Lang-en-short)は、
で定義される関数のことである。それ以外にも、指標付きのテータ関数 、ヤコビのテータ関数、楕円テータ関数 と呼ばれる一連のテータ関数が存在する。
指標付きのテータ関数や楕円テータ関数は、その定義にいくつかの流儀があり、同じ記号を使いながら違ったものを指していることがあるので注意が必要である。
これらの関数は、テンプレート:Mvar の関数と見た場合には擬二重周期を持ち楕円関数に関係し、テンプレート:Mvar の関数と見た場合はモジュラー形式に関係する。
テータ関数の定義
テータ関数は次のように定義される関数のことを指すテンプレート:Sfn。
テータ関数を テンプレート:Mvar の関数と見た場合、周期 テンプレート:Math の周期関数であるテンプレート:Sfn。
一般には以下の等式を満たすテンプレート:Sfn。
ヤコビのテータ関数の定義
ヤコビのテータ関数は狭義の意味では次の関数のことを指すテンプレート:Sfn。
ただし、 は補母数、 は
第1種完全楕円積分、 はヤコビのツェータ関数テンプレート:Sfn
はヤコビのイプシロン関数、
は第2種完全楕円積分、
, は
ヤコビの楕円関数、 は振幅関数である。
また、ヤコビのエータ関数テンプレート:Sfn
を含めて、, , , のことをヤコビのテータ関数と呼ぶこともあるテンプレート:Sfn。ただし、 である。ヤコビのテータ関数は、後述の楕円テータ関数と以下の関係で結ばれているテンプレート:Sfn。
ただし、 は、楕円関数の基本周期の半分で、 である(, が楕円関数の基本周期に相当する)テンプレート:Sfn。
物理の教科書[1]では後述の をヤコビのテータ関数と呼んでいるが、やや不正確な言い方である。
指標付きのテータ関数の定義
以下のように定義された、添え字を 2 つ持つテータ関数のことを指標付きのテータ関数と呼ぶテンプレート:Sfn。
なお、指標付きのテータ関数の定義には 2 つの流儀があって統一的に用いられていないため、文献を読むときには注意しなければならない
テンプレート:Sfn。
この記事で使われているのは、テンプレート:Harvnb で使われているのと同じ定義であるテンプレート:Sfn。
楕円テータ関数の定義
楕円テータ関数(だえんテータかんすう、テンプレート:Lang-en-short)は、以下のように定義された関数であるテンプレート:Sfn。
ただし、, である。
楕円テータ関数にも定義に 2 つの流儀があり、注意が必要である。
フルヴィッツ・クーランの「楕円関数論」の定義では添え字が テンプレート:Math から テンプレート:Math ではなく、
テンプレート:Math から テンプレート:Math であるテンプレート:Sfn。
その場合は , , の定義は変わらず、
で定義される。
文脈から テンプレート:Mvar あるいは テンプレート:Mvar が明らかな場合は あるいは と書き、更に と書く。Mathematica では、 のことを テンプレート:Mvar と書いている。
擬二重周期
テータ関数は擬二重周期を持つ。
無限乗積表示と零点
ヤコビの三重積の公式により、
であるからの零点は
である。他の関数の零点も同様にして求められる。
テータ定数
テンプレート:Math のときのテータ関数の値をテータ定数(テンプレート:Lang-en-short)あるいはテータ零値(テンプレート:Lang-de-short)という。これは定数といいながら実は テンプレート:Mvar の関数である。
であるから、代わりに導関数を用いる。
とすると
となるが、オイラーの分割恒等式により、
であるから テンプレート:Math であり、故に である。
恒等式
テータ関数の間で次の恒等式が成立する。
擬二重周期と併せて
次の恒等式はヤコビの虚数変換式という。
他に テンプレート:Mvar を変換するものとして
これにより
ランデンの公式
次の恒等式はランデンの公式 テンプレート:En という。
第一式の右辺を展開すれば
となるが、 が奇数の項は で打ち消し合うから
となり、左辺を得る。第二式は第一式に を代入して得られる。
加法定理
例えば
であるが、 は共に偶数か共に奇数であるから、 とすれば
となる。ここで とすれば
となり、 とすれば
となる。これらにより
が得られ、同様にして数十もの恒等式が得られる。
テンプレート:Math とすれば
などが得られ、更に テンプレート:Math とすれば
が得られる。
対数微分
無限乗積表示
の対数微分により
である。同様に
である。
出典
テンプレート:Reflist
参考文献
関連項目
テンプレート:Normdaten
- ↑ たとえば、M.B.Green, J.H.Schwarz and E.Witten, Superstring Theory vol.1 and 2 や L.S.Schulman, Techniques and Applications of Path Integration など。