ヤコビの二平方定理

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ヤコビの二平方定理 (Jacobi's two square theorem) は、自然数を高々二個の平方数の和で表す方法の数を与える定理[1]。名称はドイツの数学者ヤコビに由来する。

自然数Nを高々二個の平方数の和で表す方法の数は

r2(N)=42dN(1)d12

で与えられる。但し、シグマ記号は2で整除されないNの約数(1とNを含む)について和を取ることを表す。言い替えれば、自然数Nを高々二個の平方数の和で表す方法の数は、Nの約数のうち、4を法にして1と合同になるものの個数から3と合同になるものの個数を引いたものの4倍に等しい。

具体例

例えば、

r2(25)=4((1)112+(1)512+(1)2512)=12

であるが、実際に25を高々二個の平方数の和で表す方法は

25=(±5)2+02=02+(±5)2=(±4)2+(±3)2=(±3)2+(±4)2

であり、符号と順序を区別すれば12個になる。

証明

テータ関数の比は楕円関数(二重周期を持つ有理型関数)になり、楕円関数の導関数も楕円関数になるから、

F(v)=v(ϑ1(v,τ)ϑ2(v,τ))=ϑ1(v,τ)ϑ2(v,τ)ϑ1(v,τ)ϑ2(v,τ)ϑ2(v,τ)2G(v)=(ϑ3(v,τ)ϑ2(v,τ))(ϑ4(v,τ)ϑ2(v,τ))=ϑ3(v,τ)ϑ4(v,τ)ϑ2(v,τ)2

F(v)G(v)は共に楕円関数である。且つ、

ϑ1(v+12+τ2)=ϑ2(v+12+τ2)=0ϑ1(v+τ2)=ϑ2(v+τ2)=0

であるから、G(v)=0となるところにおいて悉くF(v)=0となり、リウヴィルの定理によってF(v)/G(v)は定数である。v0として

ϑ1(0,τ)=0ϑ1(0,τ)=πϑ2(0,τ)ϑ3(0,τ)ϑ4(0,τ)

により、F(0)=πϑ2(0,τ)2G(0)を得る。従って、

F(v)=πϑ2(0,τ)2ϑ3(v,τ)ϑ4(v,τ)ϑ2(v,τ)2

である。右辺のテータ関数を無限乗積に展開し、v=14を代入し、q=eπiτと書くと

F(14)=π(2q1/4)2(2q1/4)2cos2π4m=1(1q2m)2(1+q2m)4(1q2m)(1+iq2m1)(1iq2m1)(1q2m)(1iq2m1)(1+iq2m1)(1q2m)2(1+iq2m)2(1iq2m)2=2πm=1(1q2m)2(1+q2m)4(1+iq2m1)2(1iq2m1)2(1+iq2m)2(1iq2m)2=2πm=1(1q4m)2(1+q2m)2(1+q4m2)2(1+q4m)2=2πm=1(1q4m)2(1+q4m)2(1+q4m2)2(1+q4m2)2(1+q4m)2=2πm=1(1q4m)2(1+q4m2)4

となり、ヤコビの三重積の公式により

F(14)=2π(n=q2n2)2=m=n=q2(n2+m2)

となる。一方、

ϑ2(v)=ϑ1(12v)ϑ2(v)=ϑ1(12v)

であるから

F(14)=ϑ1(14)ϑ2(14)ϑ1(14)ϑ2(14)ϑ2(14)2=2ϑ1(14)ϑ1(14)

であり、テータ関数の対数微分の公式により

F(14)=2πcotπ4+8πn=1q2n1q2nsinπn2=2π+8πk=0q2(2k+1)1q2(2k+1)(1)k(n2k+1)=2π+8πk=0(1)kj=1q2j(2k+1)

である。以上により、

F(14)2π=m=n=q2(n2+m2)=1+4k=0(1)kj=1q2j(2k+1)

が得られ、q2Nの係数を比較することにより、

r2(N)=42dN(1)d12

が得られる。

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出典

  1. Hardy & Write, 1938, An Introduction to the Theory of Numbers