不変測度

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数学において不変測度(ふへんそくど、テンプレート:Lang-en-short)とは、ある函数によって保存される測度のことを言う。エルゴード理論は、力学系における不変測度についての研究である。クリロフ=ボゴリューボフの定理は、函数と考えている空間に関するある条件の下での不変測度の存在を示すものである。

定義

可測空間 テンプレート:Math 上の可測変換 テンプレート:Mvar に対し、テンプレート:Math 上測度 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の下で不変または短く テンプレート:Mvar-不変であるとは、

μ(f1(A))=μ(A)(AΣ)

が成立することを言う。これは、テンプレート:仮リンクを用いれば、テンプレート:Math とも書ける。さらに、可測変換のあつまり テンプレート:Mvar に対し、測度 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar-不変であるとは、任意の テンプレート:Math に対し テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar-不変となるときに言う。テンプレート:Mvar が何等かのモノイド(変換モノイド)となっている場合も少なくない。

テンプレート:Mvar 上の テンプレート:Mvar-不変測度(通常は確率測度)全体の成す集合を、しばしば テンプレート:Math と表す。エルゴード測度の集合 テンプレート:Math は、テンプレート:Math の部分集合である。さらに、二つの不変測度の任意の凸結合はまた不変であり、したがって テンプレート:Math凸集合を成す。テンプレート:Mathテンプレート:Math極点からなる。可測変換のあつまり テンプレート:Mvar に対する テンプレート:Mvar-不変測度の空間を同様に テンプレート:Math などで表す。

力学系 テンプレート:Math に対しても変換の一径数族 テンプレート:Math に関して不変な測度というものを考えることができる。すなわち、テンプレート:Mvarモノイド(直観的には時刻 テンプレート:Mvar の成す径数モノイド)、テンプレート:Math をフロー写像とするとき、テンプレート:Math 上の測度 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar-不変測度であるとは、任意の テンプレート:Math に対する テンプレート:Mvar 上の可測変換写像 テンプレート:Math に対して不変であることを言う。より明示的に、テンプレート:Mvar が不変測度であるための必要十分条件は、

μ(φt1(A))=μ(A)(tT,AΣ)

である。また、テンプレート:Mvar確率変数テンプレート:Math(それはマルコフ連鎖や、確率微分方程式の解であるかも知れない)に対する不変測度であるとは、初期条件 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar に従って分布する限りにおいて、その後の任意の時刻 テンプレート:Mvar に対する テンプレート:Mvar もそうであることを言う。

テンプレート:仮リンクは、テンプレート:仮リンク (紫) を面積が等しい別の双曲扇形へ写すもので、テンプレート:仮リンクを不変に保つ。青と緑の長方形もまた同じ面積に保たれている

最初に挙げた例である一次元ルベーグ測度は、定数倍による正規化定数の取り換えという自明な操作を除いて一意に決まる。しかし、一般の場合には必ずしもそのような一意性が存在するわけではない。例えば、二点集合 テンプレート:Math と、各点を動かさない恒等写像 テンプレート:Math を考えると、任意の(確率)測度 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar-不変である。テンプレート:Mvar は明らかに テンプレート:Mvar-不変成分 テンプレート:Math および テンプレート:Math分割される。

関連項目

参考文献

  • Invariant measures, John Von Neumann, AMS Bookstore, 1999, ISBN 978-0-8218-0912-9

外部リンク