分配束
テンプレート:出典の明記 分配束(ぶんぱいそく、テンプレート:Lang-en-short)とは、数学において、結びと交わりの演算が互いに分配的である束のことである。この種の構造の典型例は、集合の族であり、束演算が和集合と積集合によって与えられるものである。実際、このような集合の束は全体像を完全に記述している。すなわち、すべての分配束は同型の意味で集合の束として与えられる。
定義
任意の束の場合と同様に、分配束 L を順序理論の構造としてまたは普遍代数の構造として考えることができる。両方の見方とその相互対応は束に関する記事で論じられている。本稿では代数的な記述がより便利であるように思われる。
束 (L,∨,∧) が分配的であるとは、L のすべての x, y, z に対して次の追加的な等式が成り立つことである。
- x ∧ (y ∨ z) = (x ∧ y) ∨ (x ∧ z).
束を半順序集合として見るとき、これは交わり演算が空でない有限な結びを保つことを意味する。上の条件がその双対と同値であることは束論の基本的な事実である[1]。
- x ∨ (y ∧ z) = (x ∨ y) ∧ (x ∨ z) (L のすべての x, y, z に対して)。
すべての束において、順序関係 p≤q を通常通り p∧q=p として定義すると、不等式 x ∧ (y ∨ z) ≥ (x ∧ y) ∨ (x ∧ z) とその双対 x ∨ (y ∧ z) ≤ (x ∨ y) ∧ (x ∨ z) は常に成り立つ。逆の不等式の一方が成り立てば、束は分配的である。この条件と順序理論の他の分配性条件との関係についての詳細はテンプレート:仮リンクの記事に記載されている。
Sholander (1951) は[2]、 と のみを用いた分配束の簡略化された特徴付けを与えている。
射
分配束の射は束に関する記事で述べられている束準同型に他ならない。すなわち、2つの束演算と整合的な関数である。このような束の射は束の構造を保つため、分配性も保ち(したがって分配束の射となる)。
例
分配束はあらゆる場所に現れるが、同時にかなり特殊な構造でもある。すでに述べたように、分配束の主な例は集合の束であり、結びと交わりは通常の集合論的な演算によって与えられる。さらなる例としては以下のものがある。
- 連言と選言を支持するほとんどの論理学のテンプレート:仮リンクは分配束である。すなわち「かつ」は「または」に対して分配し、その逆も成り立つ。
- すべてのブール代数は分配束である。
- すべてのハイティング代数は分配束である。特にこれはすべてのテンプレート:仮リンクを含み、したがってすべての位相空間の開集合の束を含む。また、ハイティング代数は直観主義論理のリンデンバウム代数として見ることができ、これが最初の例の特殊な場合となる。
- すべての全順序集合は、最大を結び、最小を交わりとする分配束である。
- 自然数は、最大公約数を交わり、最小公倍数を結びとすることで(条件付き完備な)分配束を形成する。この束は最小元として 1 をもち、したがって 1 が結びの単位元となる。
- 正の整数 n が与えられたとき、n の正の約数の全体は、やはり最大公約数を交わり、最小公倍数を結びとする分配束を形成する。これは n が平方因子を含まない場合に限りブール代数である。
- 格子順序ベクトル空間は分配束である。
- 整数分割を表すヤング図形の包含順序によって与えられるテンプレート:仮リンクは分配束である。
- テンプレート:仮リンク(座標ごとの最小演算と座標ごとの最大演算のもとで閉じた凸多面体)の点が、これら 2 つの演算を束の結びと交わりとして形成する束[3]。
束論の発展の初期、チャールズ・サンダース・パースはすべての束が分配的である、すなわち分配性は束の公理の残りから従うと信じていた[4][5]。しかし、シュレーダー、Voigt(de)、テンプレート:仮リンク、テンプレート:仮リンク[6]、デデキント[4] によって独立性の証明が与えられた。
特徴的性質
上の定義にはさまざまな同値な定式化が存在する。例えば、L が分配的であることは、L のすべての元 x, y, z に対して次が成り立つことと同値である。 同様に、L が分配的であることは
- かつ ならば常に
が成り立つことと同値である。

最も単純な分配的でない束は M3(「ダイヤモンド束」)と N5(「ペンタゴン束」)である。束が分配的であることは、その部分束のいずれも M3 または N5 と同型でないことと同値である。ここで部分束とは、元の束の結びと交わり演算のもとで閉じた部分集合のことである。これは元の順序のもとで束となる部分集合(ただし結びと交わりの演算が異なる可能性がある)と同じではないことに注意されたい。さらなる特徴付けは次の節の表現論から得られる。
同じ事実を別の方法で述べると、すべての分配束は2 元鎖の複数のコピーのテンプレート:仮リンクであり、あるいは分配束のクラスにおける唯一のテンプレート:仮リンクな元は 2 元鎖である。系として、すべてのブール束もこの性質をもつ[7]。
さらに分配性はいくつかの他の良い性質を伴う。例えば、分配束の元が交わり素であることと交わり既約であることは同値であるが、後者は一般的にはより弱い性質である。双対性により、結び素と結び既約な元についても同様のことが成り立つ[8]。束が分配的であれば、そのテンプレート:仮リンクは中央値グラフを形成する[9]。
また、すべての分配束はモジュラー束でもある。
表現定理
序論ですでに分配束の最も重要な特徴付けを示唆した。束が分配的であることは、集合の束(集合の和と集合の共通部分のもとで閉じた束)と同型であることと同値である(後者の構造はこの文脈で時として集合環と呼ばれる)。集合の和と積が上の意味で実際に分配的であることは基本的な事実である。逆方向はより自明でなく、以下に述べる表現定理を必要とする。この特徴付けから得られる重要な洞察は、すべての分配束で成り立つ等式(等号関係)は、まさに上の意味でのすべての集合の束で成り立つものと一致するということである。
分配束に関するテンプレート:仮リンクは、すべての有限分配束が、その結び素(同値:結び既約)元の半順序集合の下集合の束と同型であることを述べる。これにより、すべての有限半順序集合の類とすべての有限分配束の類の間に(同型の意味での)全単射が確立される。この全単射は有限分配束の準同型と有限半順序集合の単調写像の間の圏の双対へと拡張できる。しかし、この結果を無限の束に一般化するには、さらなる構造を追加する必要がある。
もう一つの初期の表現定理はテンプレート:仮リンクとして知られている(この名はそれを最初に証明したマーシャル・ストーンに敬意を表している)。これは分配束を、特定の位相空間のコンパクトな開集合の束として特徴付ける。この結果はストーンの有名なブール代数の表現定理の一般化およびストーン双対性の一般的な設定の特殊化として見ることができる。
さらに重要な表現として、テンプレート:仮リンクが分配束に関するテンプレート:仮リンクにおいて確立したものがある。この定式化では、分配束を用いてその点上に追加的な半順序をもつ位相空間を構成し、(完全に順序分離された)順序ストーン空間(またはテンプレート:仮リンク)を得る。元の束はこの空間の開閉な下集合の集まりとして復元される。
ストーンとプリーストリーの定理の系として、すべての分配束が集合の束と同型であることが容易にわかる。しかし、両方の命題の証明はブール素イデアル定理、すなわち選択公理の弱い形式を必要とする。
自由分配束
生成元の集合 G 上の自由分配束は、一般の自由束よりもはるかに容易に構成できる。最初の観察は、分配律を用いることで、生成元の集合上の二項演算 と によって形成される任意の項が、次の等価な標準形に変換できるということである。
ここで は G の元の有限な交わりである。さらに、結びと交わりはともに結合的、可換、冪等であるから、重複と順序を無視でき、上のような結びの交わりを集合の集合として表現できる。
ここで は G の有限部分集合である。しかし、2 つのこのような項が分配束の同じ元を表すことは依然としてあり得る。これは、ある指標 j と k が存在して が の部分集合であるときに起こる。この場合、 の交わりは の交わり以下になり、したがって全体の項の解釈を変えることなく冗長な集合 を安全に取り除くことができる。その結果、有限部分集合の集合は、その元 のすべてが互いに比較不能(部分集合の順序に関して)であるとき、すなわちそれが有限集合のテンプレート:仮リンクを形成するとき、冗長でないと呼ばれる。
こうして、生成元の集合 G 上の自由分配束は、G の有限部分集合のすべての有限冗長でない集合の集合上で定義される。2 つの有限冗長でない集合の結びは、その合併から冗長な集合をすべて取り除くことで得られる。同様に、2 つの集合 S と T の交わりは の冗長でないバージョンである。この構造が必要な普遍性をもつ分配束であることの検証は定型的である。
n 個の生成元をもつ自由分配束の元の個数はデデキント数によって与えられる。これらの数は急速に増加し、n ≤ 9 に対してのみ知られている。その値は
- 2, 3, 6, 20, 168, 7581, 7828354, 2414682040998, 56130437228687557907788, 286386577668298411128469151667598498812366 テンプレート:OEIS
である。上の数は、空集合を含む元の有限集合の結びと交わりが束演算となる自由分配束の元の個数を数えている。空の結びと空の交わりを許さない場合、得られる自由分配束は 2 つ少ない元をもち、その元の個数の列は
- 0, 1, 4, 18, 166, 7579, 7828352, 2414682040996, 56130437228687557907786, 286386577668298411128469151667598498812364 テンプレート:OEIS
となる。
関連項目
- テンプレート:仮リンク — 無限結びが無限交わりに分配する束
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク
参考文献
関連文献
- ↑ テンプレート:Cite book §6, Theorem 9
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ テンプレート:Citation.
- ↑ 4.0 4.1 テンプレート:Citation, p. xlvii.
- ↑ テンプレート:Cite journal, p. 33 bottom
- ↑ テンプレート:Cite journal Korselt's non-distributive lattice example is a variant of M3, with 0, 1, and x, y, z corresponding to the empty set, a line, and three distinct points on it, respectively.
- ↑ Balbes and Dwinger (1975), p. 63 citing Birkhoff, G. "Subdirect unions in universal algebra", Bulletin of the American Mathematical Society SO (1944), 764-768.
- ↑ See Birkhoff's representation theorem#The partial order of join-irreducibles.
- ↑ テンプレート:Citation.