積に対するヤングの不等式

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数学における(積に対する)ヤングの不等式(ヤングのふとうしき、テンプレート:Lang-en-short)は二つの数の積を評価する不等式である[1]。名称は、ウィリアム・ヘンリー・ヤングに因む。ヤングの畳み込み不等式と混同すべきではない。

ヤングの不等式はヘルダーの不等式の証明に利用できる。二つの項の積がヤングの不等式によりそれらの項の冪を適当にスケールしたものの和として評価できることから、ヤングの不等式は偏微分方程式論における非線形項を評価するのにも広く用いられる。

標準的な主張

ヤングの不等式の標準的な主張では、テンプレート:Mvar非負実数とし、テンプレート:Mvarテンプレート:Math 以上の実数で テンプレート:Math を満たすもの(ヘルダーの意味での「共軛指数」)とするとき、abapp+bqq が成り立つことを述べる。

等号の成立には テンプレート:Mvar が必要十分である。この形のヤングの不等式はイェンゼンの不等式から証明することができ、ヘルダーの不等式の証明に利用できる。

テンプレート:Math proof

特別の場合として冪指数を テンプレート:Math ととった aba22+b22 はより初等的な証明が可能であるテンプレート:Efn。またここから、いわゆる テンプレート:Mvar 付きのヤングの不等式(テンプレート:Math は任意)aba22ε+εb22 も生じる。テンプレート:Efn

行列版

安藤毅は複素行列に対するヤングの不等式の一般化(順序はテンプレート:Ill2による)を示した[2]

定理 (行列ヤング不等式)
位数 テンプレート:Mvar の任意の複素行列の対 テンプレート:Mvar に対し、ユニタリ行列 テンプレート:Mvar が一意に存在して、U*|AB*|U1p|A|p+1q|B|q とできる。ここに テンプレート:Math行列の随伴で、|A|:=A*A とする。

増大関数による一般化

テンプレート:Mvar の作る矩形領域の面積は テンプレート:Mvar の下にある面積(赤)とテンプレート:Mvarの下にある面積(黄)の和を超えることはない。

ある種のヤングの不等式[3][4]テンプレート:Mvar を閉区間 テンプレート:Closed-closed (テンプレート:Math) で狭義単調増大な実数値連続関数で テンプレート:Math となるものを用いて記述される。テンプレート:Mathテンプレート:Mvar逆写像とすれば、任意の テンプレート:Math および テンプレート:Math に対し、ab0af(x)dx+0bf1(x)dx であり、等号成立は テンプレート:Math が必要十分。

フェンケル–ルジャンドル変換を用いた一般化

テンプレート:Mvar凸函数として、そのルジャンドル変換凸共軛)を テンプレート:Mvar と書けば、abf(a)+g(b) が成り立つ。これはルジャンドル変換の定義から直ちに従う。

より一般に、テンプレート:Mvar が実線型空間 テンプレート:Mvar 上で定義された凸函数で、その凸共軛を テンプレート:Mvar(これは双対空間 テンプレート:Mvar 上定義される)と書けば、u,vf(u)+f(v) である。ただし、テンプレート:Math双対性の内積とする。

関連項目

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Notelist

出典

テンプレート:Reflist

外部リンク