随伴行列

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テンプレート:Hatnote 数学の特に線型代数学における行列の, エルミート転置 (Hermitian transpose), エルミート共軛 (Hermitian conjugate), エルミート随伴 (Hermitian adjoint) あるいは随伴行列(ずいはんぎょうれつ、テンプレート:Lang-en-short)とは、複素数を成分にとる テンプレート:Math 行列 テンプレート:Math に対して、テンプレート:Math転置およびその成分の複素共役(実部はそのままで虚部の符号を反転する)をとって得られる テンプレート:Math 行列 テンプレート:Math を言う。

A=[12i1+ii]A*=[11i2+ii]

記法と名称

式で書けば、行列 テンプレート:Math に対してその随伴は

A*=(aji)

で与えられる。ここで テンプレート:Mathテンプレート:Mathテンプレート:Math-成分で、1 ≤ in および 1 ≤ jm である。また上付きのバーはスカラーに対する複素共軛(すなわち テンプレート:Math を実数として テンプレート:Math)である。あるいはこれを

A*=A(=(A)=A)

と書くこともできる。ただし、テンプレート:Mathテンプレート:Math転置を、テンプレート:Mathテンプレート:Math の各成分の複素共軛をとったもの(複素共軛行列)の意味とする。ここで、テンプレート:Math は少々曖昧な表現だが、転置をとってから複素共軛をとること(転置共軛; transjugate)と、共軛複素をとってから転置をとること(共軛転置; conjugate transpose)とは、操作としては異なるが結果として同じことであるので、混乱のもとにはならない。また テンプレート:Math と書く代わりに テンプレート:Math と書く流儀もある。

ほかにも テンプレート:Math の随伴を表す記号として

文献によっては、単に成分の複素共軛をとる操作を テンプレート:Math で表す場合もあり、その場合、随伴は別途転置をとる形、すなわち テンプレート:Math, テンプレート:Math, テンプレート:Math などで表す。

基本的な注意

正方行列 テンプレート:Math

をそれぞれ満たすときに言う。

行列 テンプレート:Math が正方行列でない場合にも、二つの行列 テンプレート:Math および テンプレート:Math はともにエルミートであり、実は正定値になる。

成分がすべて実数であるような行列 テンプレート:Math の随伴を求めることは、(実数の複素共軛はその実数自身であるから)テンプレート:Math転置行列を求めることに還元される。

動機付け

随伴行列の動機付けは、複素数が行列和と行列積の規則に従うことで テンプレート:Math 実行列として有効に表現できることに注意することによってなされる:

a+ib[abba]

これはつまり各「複素」数 z は、ガウス平面 テンプレート:Math(を「実」ベクトル空間 テンプレート:Math2 と見たもの)上で z を乗算することによって生じる テンプレート:Math 上の「実」一次変換としての「実」テンプレート:Math 行列として表現されるということである。

従って、複素数を成分とする テンプレート:Math 行列は、実数を成分とする テンプレート:Math 行列として表される。このとき共軛転置は、この形に書いた実行列に対して単に転置をとること(をもとの テンプレート:Math 行列に立ち返って見ること)によって極めて自然に生じる。


性質

一般化

上に掲げた性質

テンプレート:Math をユークリッド型のヒルベルト空間 テンプレート:Math から テンプレート:Math線型変換と見るとき、行列 テンプレート:Math が線型変換 テンプレート:Math随伴作用素に対応するものであることを示すものと見ることができる。従って、ヒルベルト空間の間の随伴作用素の概念は、行列の随伴の概念の一般化と考えられる。

別な一般化の仕方もある。テンプレート:Math を複素ベクトル空間 テンプレート:Math から別の複素ベクトル空間 テンプレート:Math への線型写像とするとき、転置線型写像と同様にテンプレート:仮リンクを定義することができる。つまり、複素線型写像 テンプレート:Math の共軛転置写像 テンプレート:Mathテンプレート:Math の転置写像の複素共軛写像である。テンプレート:Mathテンプレート:Math の共軛双対空間から テンプレート:Math の共軛双対空間への複素線型写像である。

関連項目

外部リンク