P進周期環
数学の テンプレート:読み仮名 ruby不使用とは、[[P進数|テンプレート:Mvar 進数体]]に関係するある一群の環の総称である。[[p進ホッジ理論|テンプレート:Mvar 進ホッジ理論]]や テンプレート:Mvar 進ガロア表現の理論、岩澤理論の研究に使われるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。テンプレート:仮リンクによって導入されたテンプレート:Sfn。
性質
テンプレート:Mvar を素数、テンプレート:Mvar を標数0の完備な離散付値体でその剰余体 テンプレート:Mvar は完全体かつ標数が テンプレート:Mvar であるものとするテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn。例えば テンプレート:Mvar 進数体 テンプレート:Math の有限次拡大などがこのような体の例であるテンプレート:Sfn。剰余体が有限体であることは必ずしも仮定しない。これは剰余体が代数閉体である場合を扱えるようにしておくためであるテンプレート:Sfn。
テンプレート:Mvar から テンプレート:Mvar 進周期環テンプレート:Sfnと呼ばれる環 テンプレート:Math, テンプレート:Math テンプレート:Efn2, テンプレート:Math が構成される(#構成参照)。テンプレート:Math は テンプレート:Mvar 進周期の体[1]テンプレート:Sfn、テンプレート:Math は crystalline period ring(テンプレート:Lit)テンプレート:Sfn と呼ばれることもある。これらの環は次に述べる性質を持っている。
記号テンプレート:Efn2 整数環が定義できる体 テンプレート:Mvar に対してその整数環を テンプレート:Math で表す。また体 テンプレート:Mvar に対してその代数的閉包を テンプレート:Math、絶対ガロア群を テンプレート:Math で表す。テンプレート:Math を テンプレート:Math の完備化とするテンプレート:Efn2。テンプレート:Mvar を テンプレート:Mvar に係数を持つテンプレート:仮リンクの環 テンプレート:Math とし、その商体を テンプレート:Math とする。テンプレート:Mvar は テンプレート:Math 上の有限次完全分岐拡大になる。テンプレート:Math を テンプレート:Math に係数を持つヴィット・ベクトルの環 テンプレート:Math の商体とする。テンプレート:Math を0以上の整数の集合とする。整数 テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Math で テンプレート:Math が円分指標の テンプレート:Mvar 乗で作用する テンプレート:Math 上の1次元ベクトル空間を表すテンプレート:Sfn。テンプレート:Math も同様。
- テンプレート:Math は完備離散付値体であるテンプレート:Sfn。その剰余体は自然に テンプレート:Math と同型である。テンプレート:Math の離散付値を テンプレート:Mvar、離散付値環 を テンプレート:Math で表す。
- 整数 テンプレート:Mvar に対して付値が テンプレート:Mvar 以上の元からなる テンプレート:Math の部分集合を テンプレート:Math で表す。これは テンプレート:Math の減少フィルトレーションを定める。
- テンプレート:Math には絶対ガロア群 テンプレート:Math が作用する。剰余体への射影 テンプレート:Math はこのガロア群の作用と可換である。
- テンプレート:Math の作用と可換な テンプレート:Math 線型な自然な単射 テンプレート:Math が存在する。この写像による0ではない元の像は テンプレート:Math の素元になる。この自然な単射から任意の整数 テンプレート:Mvar に対し自然な単射 テンプレート:Math が定まる。テンプレート:Math と テンプレート:Math は テンプレート:Math の作用も込みで同型である。
- テンプレート:Math
- テンプレート:Math は テンプレート:Mvar をその有限次拡大に置き換えても変わらない。
- テンプレート:Math は テンプレート:Math を含むテンプレート:Sfn。これは自明なことではないテンプレート:Sfn。
- テンプレート:Math は離散付値から定義される位相を持つテンプレート:Sfn。これとは別に、定義 テンプレート:Math に現れる テンプレート:Math の位相の逆極限から得られる位相もある。テンプレート:Harvtxt はこの位相を natural topology(テンプレート:Lit)と呼んでいる。
- 環準同型 テンプレート:Math であって テンプレート:Math が恒等写像となるものが存在する。ここで テンプレート:Mvar は テンプレート:Math からその剰余体 テンプレート:Math への自然な準同型である。しかし一意には定まらず テンプレート:Math の作用と可換にもならない。
- テンプレート:Math は テンプレート:Math 作用に関して閉じている テンプレート:Math の部分環であるテンプレート:Sfn。体の部分環なので整域であるテンプレート:Sfn。
- テンプレート:Math は テンプレート:Math と テンプレート:Math を含む(テンプレート:Mvar は任意の整数)テンプレート:Sfn。
- テンプレート:Math は テンプレート:Math の減少フィルトレーションから誘導される減少フィルトレーションを持つ。このフィルトレーションに関して テンプレート:Math が任意の整数 テンプレート:Mvar に対して成り立つ。これは形式的ローラン級数環 テンプレート:Math と係数の絶対値が急減少するべき級数からなるその部分環との関係に似ている。
- テンプレート:Math はフロベニウスと呼ばれる単射自己準同型 テンプレート:Math を持つ。これは次の性質を持つ。
- テンプレート:Math のフロベニウスに関して半線型。
- テンプレート:Math の作用と可換。
- テンプレート:Math に対して テンプレート:Math が成り立つ。
- テンプレート:Math
- テンプレート:Math
- テンプレート:Math も テンプレート:Mvar をその有限次拡大に置き換えても変わらない。
- テンプレート:Math は テンプレート:Math 作用に関して閉じている テンプレート:Math を含む テンプレート:Math の部分環であるテンプレート:Sfn。体の部分環なので整域であるテンプレート:Sfn。
- テンプレート:Math は テンプレート:Math と書かれる一つの元で テンプレート:Math 上生成される。テンプレート:Math は テンプレート:Math 上超越的なのでテンプレート:Sfn、テンプレート:Math は テンプレート:Math 上の一変数多項式環と同型な環であるテンプレート:Sfn。テンプレート:Math は テンプレート:Mvar の素元 テンプレート:Mvar の取り方によるので、テンプレート:Math はこの素元の取り方に依存する環である。
- テンプレート:Math はフロベニウスと呼ばれる単射自己準同型 テンプレート:Math を持つ。フロベニウスの作用は テンプレート:Math 上では テンプレート:Math のフロベニウスと同じ。テンプレート:Math には テンプレート:Math で作用する。フロベニウスは テンプレート:Math の作用と可換である。
- テンプレート:Math はモノドロミー作用素と呼ばれる テンプレート:Math 上のテンプレート:仮リンク テンプレート:Mvar を持つ。テンプレート:Mvar は テンプレート:Math で定義され、テンプレート:Math の作用と可換である。
- フロベニウスとモノドロミー作用素は関係式 テンプレート:Math を満たす。
- テンプレート:Math
- テンプレート:Math
- テンプレート:Math
- テンプレート:Math は テンプレート:Math への埋め込みを忘れれば テンプレート:Mvar をその有限次拡大に置き換えても変わらず(モノドロミー作用素は分岐指数に応じて変わる)、テンプレート:Mvar の素元 テンプレート:Mvar の取り方にも依らない。
構成
テンプレート:Mvar 進周期環は次のように構成される。
環 テンプレート:Mvar を射影系
の逆極限 テンプレート:Math として定義するテンプレート:Sfn。つまり、テンプレート:Mvar は集合としては テンプレート:Math の元の無限列 テンプレート:Math であって テンプレート:Math を満たすもの全体である。また、環の加法や乗法は成分ごとに定義されたものである。
テンプレート:Math を テンプレート:Mvar を係数とするヴィット・ベクトルのなす環とする。テンプレート:Math から テンプレート:Math の完備化 テンプレート:Math の整数環 テンプレート:Math への写像 テンプレート:Mvar を
で定義する。ここで、テンプレート:Math は、テンプレート:Math の元 テンプレート:Math に対しその第 テンプレート:Mvar 成分 テンプレート:Math の第 テンプレート:Mvar 成分 テンプレート:Math を テンプレート:Math に持ち上げたものである。テンプレート:Mvar は全射の環準同型である。また、その核は単項イデアルである。
テンプレート:Mvar は自然に テンプレート:Math 代数になるテンプレート:Sfnので テンプレート:Math は自然に テンプレート:Math 代数になる。テンプレート:Mvar を テンプレート:Mvar 線型に延長した写像 テンプレート:Math を テンプレート:Math とし、テンプレート:Math を
で定義する。その商体を テンプレート:Math とする。
記号は前節と同じとするテンプレート:Sfn。テンプレート:Math を準同型 テンプレート:Math の核の生成元とし、テンプレート:Math の部分環 テンプレート:Math を
で定義する。テンプレート:Math の テンプレート:Mvar 進完備化を テンプレート:Math とし、テンプレート:Math を
で定義するテンプレート:Sfn。テンプレート:Math は テンプレート:Math に埋め込める。テンプレート:Mvar を自然な単射 テンプレート:Math による0ではない元の像とするテンプレート:Sfn。テンプレート:Math を
で定義する。
記号は前節と同じとするテンプレート:Sfn。テンプレート:Mvar を テンプレート:Mvar の素元として、テンプレート:Math を テンプレート:Mvar の テンプレート:Math における テンプレート:Mvar べき乗根の系、つまり テンプレート:Math を満たすような テンプレート:Math の元の列とする。テンプレート:Mathと置くと、これは テンプレート:Mvar の元を定める。テンプレート:Math の元 テンプレート:Math を テンプレート:Math のテンプレート:仮リンクとし、テンプレート:Math の元 テンプレート:Math を
で定義する。右辺の級数は テンプレート:Math であることにより テンプレート:Math が成り立つので テンプレート:Math で収束する。
テンプレート:Math を テンプレート:Math 上 テンプレート:Math で生成される環として定義する。