Vieta jumping

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テンプレート:暫定記事名

数論におけるVieta jumping(ヴィエタ ジャンピング)あるいはroot flippingは、証明方法の一つ。2つの整数の関係と解が与えられた問題に用いられる。特にディオファントス方程式 の1つの解から新しい解を作る際に使う。Vieta jumpingには多様なバリエーションが存在しており、大抵は根と係数の関係ヴィエタの公式)を使用した方程式の解を探すことによる無限降下に関連している。

歴史

Vieta jumpingはディオファントス方程式テンプレート:仮リンクの論理における基本的な解法である。 例えば、1879, 1953年のミルズの論文において、マルコフ方程式の解析に使われているテンプレート:Sfn

1988年の国際数学オリンピックにおいて、コンテストで最も難解であるとされた問題の解法に使用され、数学の競技で注目されるようになった[1][2]

テンプレート:Mvarを、テンプレート:Mathテンプレート:Mathを割り切るような2つの正の整数とする。 a2+b2ab+1平方数であることを示せ[3]

テンプレート:仮リンクはこの問題の難易度について、次のように言及した。

テンプレート:Quote

この問題で最高得点を獲得した11人の中にはゴ・バオ・チャウテンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクがいる[4]。ブルガリア代表のエマヌエル・アタナソフ(Emanouil Atanassov)は、一段落でこの問題を解き、特別賞を受賞した[5]テレンス・タオエロン・リンデンシュトラウスは問題を解けず1点に収まった。

Standard Vieta jumping

standard Vieta jumping のコンセプトは背理法であり、次の4つの工程から成る[6]

  1. 与えられた条件に背くいくつかの解テンプレート:Mathが存在するという矛盾を想定する。
  2. 最小性の定義に従って、解のうちの最小のものを取る。
  3. 式のテンプレート:Mathを変数テンプレート:Mvarに置き換え、テンプレート:Mathが解となる方程式を得る。
  4. ヴィエタの公式を用いて、より小さい解を探し、矛盾を導く。

1988年IMO問6: テンプレート:Mvarを、テンプレート:Mathテンプレート:Mathを割り切るような2つの正整数とする。テンプレート:Math が完全平方であることを示せ[7][8]

  1. 非平方数テンプレート:Mathを固定する。テンプレート:Mathを満たす正整数テンプレート:Mathの存在を仮定する。
  2. テンプレート:Mathを、テンプレート:Mathを満たしテンプレート:Mathが最小となる2つの正整数とする。ただしテンプレート:Mathとしても 一般性を失わない
  3. テンプレート:Mathを固定してテンプレート:Mathを変数テンプレート:Mathに置換すると方程式テンプレート:Mathが導かれる。この方程式の根の1つはテンプレート:Mathであるから、二次方程式の解と係数の関係より、テンプレート:Mathテンプレート:Mathが分かる。
  4. 一つ目の式よりテンプレート:Mathが整数であることが分かり、二つ目の式からテンプレート:Mathが非完全平方なのでテンプレート:Mathが分かる。テンプレート:Mathよりテンプレート:Math、そしてテンプレート:Mathが正整数であることが従う。テンプレート:Math より、テンプレート:Mathつまりテンプレート:Mathであるからテンプレート:Math。これはテンプレート:Mathの最小性に矛盾する。

Constant descent Vieta jumping

constant descent Vieta jumping は、テンプレート:Mvarの関係と定数テンプレート:Mathに何らかの関係があることを証明したいときに用いる[9]。standard Vieta jumpingとは異なり、 constant descentは背理法を使わない。

  1. 等号成立の場合はテンプレート:Mathを仮定して証明する。
  2. テンプレート:Mvarを固定し、テンプレート:Mvarの関係式を、テンプレート:Mvarを係数とし、テンプレート:Mathが1つの解となる二次形式に変形する。 他方の解テンプレート:Mathをヴィエタの公式で表す。
  3. 上の任意の基本の場合テンプレート:Mathについて、テンプレート:Mathと、テンプレート:Mathが整数であることを示す。同じ定数テンプレート:Mathに対してテンプレート:Mathテンプレート:Mathに置き換える操作を行い、最初の基本の場合に帰着するまで繰り返す。
  4. テンプレート:Mathのケースに対して主張を証明し、テンプレート:Mathがこの過程で不動であることからすべてのペアに対して主張が証明される。

テンプレート:Mvarを、テンプレート:Mathテンプレート:Mathを割り切る正整数とする。テンプレート:Mathを示せ[10]

  1. テンプレート:Mathつまりテンプレート:Mathテンプレート:Mathを割り切る(すなわちテンプレート:Mathが1を割り切る)ならばテンプレート:Mathで、式テンプレート:Mathが成立する。以降テンプレート:Mathとしても一般性を失わない。
  2. 条件を満たすテンプレート:Mathについて、テンプレート:Mathとする。二次形式に変形して数を置き換えると、 テンプレート:Mathとなる。この方程式の解の1つはテンプレート:Mathで、ヴィエタの公式より他方の解をテンプレート:Mathとして、テンプレート:Mathが従う。
  3. 式よりテンプレート:Mathが正整数であることが示される。テンプレート:Mathと、テンプレート:Mvarがともに正であることからテンプレート:Mathでさらにテンプレート:Mathとなる。 テンプレート:Mathなのでテンプレート:Math。したがってテンプレート:Math が成立する。同じ定数テンプレート:Mathに対してテンプレート:Mathテンプレート:Mathに置換する操作を繰り返し、基本の場合になるまで続ける。
  4. ここで帰着する基本の場合はテンプレート:Mathの場合である。テンプレート:Mathが条件を満たすには、テンプレート:Mathテンプレート:Mathを割り切る必要があるが、これはつまりテンプレート:Mathは2を割り切る、即ちテンプレート:Mathは1か2である。テンプレート:Mathの場合は除外したのでテンプレート:Mathは2に限ることができる。このとき、 テンプレート:Mathテンプレート:Mathはこの過程(Vieta jumping)を通して不動であり、条件をみたす任意のテンプレート:Mathについてテンプレート:Math が証明された。

幾何学的解釈

Vieta jumpingは第一象限内の双曲線上の格子点に関する視点で幾何学的に説明できる[1]。 より小さな根を捜索する過程は下方の格子点を探す操作に等しい。この手順は次のようになる。

  1. 与えられた条件より、テンプレート:Mvarを入れ替えても変わらない、つまりテンプレート:Mathに対して対称な双曲線の族の方程式を得る。
  2. 双曲線とテンプレート:Mathの交点において主張を証明する。
  3. テンプレート:Mathとしても一般性を失わない。テンプレート:Mathを双曲線上の格子点とする。ヴィエタの公式を用いて、テンプレート:Mvar座標が同じで異なる枝上にある格子点と対応させる。テンプレート:Mathにおける鏡映で元の枝上の新たな格子点を得る。
  4. この操作によって、よりテンプレート:Mvar座標の低い格子点を得て(テンプレート:Mathのような)ある条件を達成するまで繰り返すことができることが示される。条件を双曲線の方程式に代入することで、求めるべき結論を証明できる。

1988年IMO問6をもう一度例にとって、幾何学的方法で証明する。 テンプレート:Mvarを、テンプレート:Mathテンプレート:Mathを割り切るような2つの正整数とする。テンプレート:Math が完全平方であることを示せ。

  1. テンプレート:Mathとし、テンプレート:Mathの値を固定する。テンプレート:Mathのときは明らかに完全平方。テンプレート:Mathならば、テンプレート:Mathとなってテンプレート:Mathの整数解は存在しない。テンプレート:Mathのとき、方程式テンプレート:Mathを双曲線テンプレート:Mathの式として定義すると、テンプレート:Mathテンプレート:Math上の格子点である。
  2. テンプレート:Mathテンプレート:Math上の格子点(ただしテンプレート:Math)とすると、(テンプレート:Mathは整数なので)テンプレート:Mathが分かる。命題の主張は点テンプレート:Mathにおいて真である。
  3. 今、第一象限テンプレート:Math内のテンプレート:Math上の格子点テンプレート:Mathをとる。ただしテンプレート:Math 。対称性より、テンプレート:Mathかつテンプレート:Mathテンプレート:Mathの上方の枝にあるとしてもよい。ヴィエタの公式を適用し、テンプレート:Mathは下方の枝の格子点となることが分かる。テンプレート:Mathとする。双曲線テンプレート:Mathの方程式より、テンプレート:Mathテンプレート:Mathよりテンプレート:Math。つまりテンプレート:Mathは第一象限にある。鏡映よりテンプレート:Mathもまた第一象限のテンプレート:Math上の点である。 さらにヴィエタの公式よりテンプレート:Mathテンプレート:Math が分かる。テンプレート:Mathと式を組み合わせてテンプレート:Mathを示すことができる。新たに取った点テンプレート:Mathは第一象限内かつテンプレート:Math上にあって、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar座標よりもそれぞれの座標が小さい。
  4. テンプレート:Mathが正のテンプレート:Math座標を持つときはいつでもこの過程を再現することができる。しかし、 これらの点のテンプレート:Math座標は非負整数の減少数列であるからテンプレート:Mathの上方の枝の点テンプレート:Mathに到達する前までは、有限回だけしか繰り返すことができない。代入によって、テンプレート:Mathつまりテンプレート:Mvarが平方数であることが示された。

関連項目 

出典

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外部リンク