ザックール・テトローデ方程式

提供: testwiki
2024年11月26日 (火) 07:33時点におけるimported>ゲリラリラックスによる版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンプレート:統計力学 ザックール・テトローデ方程式(ザックール・テトローデほうていしき、テンプレート:Lang-en-short)またはザックール・テトローデの式(ザックール・テトローデのしき)とは、統計力学において内部自由度のない古典的理想気体エントロピーを表す状態方程式である。ザックールは「サッカー」、テトローデは「テトロード」とも言う。

希ガス水銀蒸気などの単原子気体標準モルエントロピーは、この方程式から計算される。

分子回転運動分子振動などの内部自由度がある理想気体では、この方程式から分子の並進運動によるエントロピーが計算される。

1912年ドイツオットー・ザックールテンプレート:Lang-de-short)とオランダテンプレート:仮リンクテンプレート:Lang-da-short)がそれぞれ独立に導いた。

内容

ザックール・テトローデ方程式は、温度 テンプレート:Mvar体積 テンプレート:Mvar、原子数 テンプレート:Mvar平衡状態にある単原子理想気体のエントロピー テンプレート:Mvar を表す方程式 テンプレート:Indent である。ここで テンプレート:Mvarボルツマン定数テンプレート:Mvarプランク定数テンプレート:Mvar は原子の質量である。導出の際にはギブズのパラドックスも考慮される。

この系の状態方程式は テンプレート:Indent と表され、これを用いると テンプレート:Indent となる。

この系の内部エネルギーテンプレート:Indent と表され、これを用いると テンプレート:Indent となる。

温度 テンプレート:Mvar に依存する熱的ド・ブロイ波長 テンプレート:Indent を用いると、ザックール・テトローデ方程式は テンプレート:Indent と簡潔に表すことができる。

この方程式によりエントロピーが定数を含めて定まり、熱測定から求めた第三法則エントロピーと比較することで、ミクロな定数の組み合わせ テンプレート:Math を決定することが出来る[1]

温度を絶対零度まで近づけていくと、ザックール・テトローデ方程式のエントロピーは負の無限大に発散してしまい、絶対零度でエントロピーはゼロであると主張する熱力学第三法則に反する。この方程式は古典領域(十分に高温)では良く成立するが、低温では破綻する。

統計力学を使わずに熱力学から導いた理想気体のエントロピーは、温度 テンプレート:Mvar、圧力 テンプレート:Mvar、物質量 テンプレート:Mvar の平衡において テンプレート:Indent である。ここで テンプレート:Mvarモル気体定数テンプレート:Mvar比熱比である。 また、テンプレート:Math はそれぞれエントロピー、温度、圧力の基準を与える適当な定数である。 この式とサッカー・テトローデ方程式と比較すれば、テンプレート:Math あるいは テンプレート:Math が満たされていることが分かる。 また、定数の間に テンプレート:Indent の関係にあることが分かる。


導出

古典的な分配関数による導出

古典系における分配関数を扱うため、十分に温度が高い状態を考える。まず3次元の体積 テンプレート:Mvar の容器の中を運動する1個の粒子を考えると、この1粒子系のハミルトニアン テンプレート:Mvarテンプレート:Indent と表される。テンプレート:Math は粒子が容器内に囚われていることを示すポテンシャルエネルギーであり、容器の中では テンプレート:Math になり、外では十分に大きな正の値をとる。このハミルトニアンを使うと、温度 テンプレート:Mvar の平衡状態での分配関数は位相空間上での積分より テンプレート:Indent となる。ここでΛは前述の熱的ド・ブロイ波長である。運動量による積分はガウス積分を用いて計算した。

次に粒子数を増やして テンプレート:Mvar 個の粒子を考える。気体粒子同士は相互作用をしないものとする。さらに各粒子は区別できないものとすると、テンプレート:Mvar 粒子系の分配関数は テンプレート:Indent となる。ここからヘルムホルツエネルギーテンプレート:Indent となる。ここで階乗対数スターリングの近似 テンプレート:Math を用いて評価している。従って、エントロピーは テンプレート:Indent となり、ザックール・テトローデ方程式が導かれる。

さらに圧力は テンプレート:Indent となり、この系が理想気体の状態方程式を満たすことが分かる。また、内部エネルギーは テンプレート:Indent となる。

ザックール・テトローデ定数

ザックール・テトローデ定数とは テンプレート:Indent で定義される定数である[2]。ここで テンプレート:Math原子質量定数である。 この定数の値は温度の基準として テンプレート:Math標準状態圧力として テンプレート:Math に選んだとき テンプレート:Indent であり(2022 CODATA推奨値[3])、標準状態圧力として テンプレート:Math に選んだときは テンプレート:Indent である(2022 CODATA推奨値[4])。

ザックール・テトローデ定数を用いれば、単原子理想気体のモルエントロピーが テンプレート:Indent と表わされる[2]。ここで テンプレート:Math相対原子質量である。

脚注

参考文献

関連項目

テンプレート:Statistical mechanics topics