カルタン形式 (物理学)
理論物理学において良く用いられる、四脚場 (テンプレート:Lang) やテンプレート:仮リンク (テンプレート:Lang) の理論は四次元多様体にテンプレート:仮リンクを適用した特殊例である。これは計量の符号がどのような場合でも適用することができる(計量テンソルを参照)。四次元でない場合は、三つ組 (テンプレート:Lang)や五つ組 (テンプレート:Lang)、二脚場 (テンプレート:Lang)、五脚場 (テンプレート:Lang)、十一脚場 (テンプレート:Lang)などの用語が用いられる。 一般の次元については多脚場 (テンプレート:Lang) という用語が用いられる。
基底依存の添字記法については、テンプレート:仮リンクを参照。
基礎的要素
テンプレート:Mvar をテンプレート:Mvar-次元可微分多様体、自然数 テンプレート:Mvar および テンプレート:Mvar が
を満たすものとする。さらに テンプレート:Mvar 上の テンプレート:仮リンク 主束 テンプレート:Mvar と、それに付随する テンプレート:Math-ベクトル束 テンプレート:Mvar が テンプレート:Math の自然な テンプレート:Mvar-次元表現として与えられたものとする。等価な表現として、テンプレート:Mvar は符号数 テンプレート:Math の計量 テンプレート:Mvar (非縮退二次形式)を備えた テンプレート:Mvar 上のランク-テンプレート:Mvar 実ベクトル束であるとも言える[1]。
カルタン形式の基礎的な要素は、テンプレート:Mvar 上のベクトル束から テンプレート:Mvar の接束 テンプレート:Math への可逆線形写像 テンプレート:Math である。可逆という条件は課されない場合もある。特に、テンプレート:Mvar が自明な束である場合は、(局所的には常に仮定できるが)テンプレート:Mvar は直交断面 を基底に持つ。すなわち、この基底に対し は定数行列である。テンプレート:Mvar 上の局所座標 (添字の負号は単に テンプレート:Math の添字と区別するためのもの)および対応する接束の局所標構 を選ぶと、写像 テンプレート:Mvar は基底断面の像
により決定される。これにより、接束の(非座標)基底が定義される(ただし、テンプレート:Mvar が可逆な場合。また、テンプレート:Mvar が局所的にのみ自明化される場合は基底も局所的なものとなる)。行列 はテンプレート:仮リンク、四脚場、多脚場などと呼ばれる。これの局所標構としての解釈は局所基底の暗黙の選択に依存する。
同値関係 が成り立つ場合は、テンプレート:仮リンクを テンプレート:Math のように縮小でき、これを接束の主束と呼ぶ。一般には、このような縮小は位相幾何学的な理由により不可能である。したがって、一般の連続写像 テンプレート:Mvar に対しては、テンプレート:Mvar 上のどこかの点で縮退してしまうことが避けられない。
例: 一般相対性理論
一般相対性理論における時空の幾何学を、普通使われている計量テンソル場の代わりに四つ組場を用いて記述することができる。計量テンソル テンプレート:Mvar は、接空間における内積を次のように直接定義する。
四つ組 テンプレート:Math は、接空間からミンコフスキー空間への、内積を保存する(線形)写像と見なすことができる。 よって、問題となる接空間上の二つのベクトルをミンコフスキー空間へと写像したうえで内積をとればよいことになる。
ここで、添字 テンプレート:Mvar および テンプレート:Mvar は接空間座標をなめ、 テンプレート:Mvar および テンプレート:Mvar はミンコフスキー座標をなめる。四つ組場 テンプレート:Math は計量テンソル場を上述の手続で次のように定義する。
構成法
テンプレート:Mvar 上の(擬)リーマン計量は テンプレート:Mvar の テンプレート:Mvar によるテンプレート:仮リンクにより定義される。換言すれば、TM の二つの断面 テンプレート:Mvar および テンプレート:Mvar に対し、以下のように計算される。
テンプレート:Mvar 上の接続形式 テンプレート:Mvar は、次の二つの条件を満たす接続形式として一意に定義される。
- テンプレート:Math (つまり テンプレート:Math) がテンプレート:Mvar 上の全ての可微分断面 テンプレート:Mvar および テンプレート:Mvar に対して成り立つ。ここで、テンプレート:Math はテンプレート:仮リンクである。このことは、テンプレート:Mvar が テンプレート:Math 主束上に拡張可能であることを意味している。
- テンプレート:Math が成り立つ。左辺は捩率テンソルと呼ばれる量である。この条件は基本的には、下に定義する テンプレート:Math が捩れなしになることを意味している。この条件はテンプレート:仮リンクでは課されないが、その代わりに テンプレート:Mvar が一意ではなくなる。
これはテンプレート:仮リンクと呼ばれる。
このようにして得られた テンプレート:Mvar を用いて、テンプレート:Math 上の接続 テンプレート:Math を同型写像 e を通じて定義することができる。
- テンプレート:Math が テンプレート:Math の全可微分断面 テンプレート:Mvar に対して成り立つ。
ここまでで テンプレート:Math ゲージ理論が得られたので、曲率 テンプレート:Mvar を各点のゲージ共変量として のように定義できる。これは単にリーマン曲率テンソルを微分形式で記述したものである。
上に用いた記法以外にも、接続形式 テンプレート:Mvar を テンプレート:Mvar、曲率形式 テンプレート:Mvar を テンプレート:Mvar、正準ベクトル値 1-形式 テンプレート:Mvar を テンプレート:Mvar、テンプレート:仮リンク テンプレート:Math を テンプレート:Mvar と書く記法もある。
パラティーニ作用
四つ組形式の一般相対性理論において四次元可微分多様体 テンプレート:Mvar の作用は、随伴場強度 を伴う四脚場 テンプレート:Mvar と接続形式 テンプレート:Mvar の汎関数として以下のように定義される。
ここで、 はゲージ曲率 2-形式、 は反対称レビ・チビタ記号、は の行列式である。ここで、関係式 および を使えば、上記の微分形式で書かれた作用が通常のアインシュタイン・ヒルベルト作用と等価であることがわかるだろう。導出途中ではプランク質量単位を用いて としてあるが、最後の項はSI単位の因子を全て含んでいることに注意されたい。
スピノル場が存在する場合、パラティーニ作用は が非零であることを意味する。したがって捩率テンソルが非零、すなわち となる。テンプレート:仮リンクも参照されたい。
脚注
- ↑ 別の構成法として、[[スピン群|テンプレート:Math]] 主テンプレート:仮リンクへの縮小を用いる方法もある。