モーメント

固定された回転軸をもつ系に対して、力を作用させた時の物理量の関係。力のモーメント $\overrightarrow{\tau }$ と位置ベクトル $\overrightarrow{r}$ と力 $\overrightarrow{F}$ との関係（上の式）、および運動量のモーメント（角運動量）$\overrightarrow{L}$ と位置ベクトル $\overrightarrow{r}$ と運動量 $\overrightarrow{p}$ との関係（下の式）。

力学において、原点 O から点 P へ向かう位置ベクトル $\overrightarrow{r}$ と、点 P におけるベクトル量 $\overrightarrow{A}$ との外積（ベクトル積） $\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{A}$ を、O 点まわりの $\overrightarrow{A}$ のモーメント（英語：moment）あるいは能率という。また、ある軸まわりのモーメントは、ある軸方向の単位ベクトルを $\overrightarrow{\lambda }$ とすると、混合3重積$\overrightarrow{\lambda }\cdot (\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{A})$ で表される。こちらはスカラー量である。モーメントは、しばしば物体の回転運動を記述する際に利用される。

運動量のモーメント（角運動量）

テンプレート:Main 例えば点 P （位置ベクトルは$\overrightarrow{r}$ ）にある質点が運動量 $\overrightarrow{p}$ を持って運動しているとすると、運動量のモーメントは $\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{p}$ と記述される。ここで、もし $\overrightarrow{p}$ が $\overrightarrow{r}$ に平行であるならば $\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{p}$ は 0 となり、原点 O にいる観測者には、質点が $\overrightarrow{r}$ 方向に沿って自分から遠ざかって行くか、あるいは自分に向かって近づいてくるように見えるだけである。しかし、$\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{p}$ が 0 でなければ、運動量 $\overrightarrow{p}$ は $\overrightarrow{r}$ に垂直な成分を持ち、原点 O にいる観測者には、質点が自分のまわりを回転するように見えるであろう。それゆえ、$\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{p}$ は質点の回転運動を表す一つの量と考えることができる。これは一般に角運動量と呼ばれる。

力のモーメント、トルク

テンプレート:Main 一方、$\overrightarrow{A}$ として質点に作用する力 $\overrightarrow{F}$ を考えることもできる。この場合は、$\overrightarrow{r}\times \overrightarrow{F}$ は力のモーメントと呼ばれ、角運動量の時間変化に関係する量となる。ある決まった回転軸のまわりの力のモーメントをトルクと呼ぶ。

関連項目

• 偶力
• 慣性モーメント
• 断面二次モーメント