中身の詰まったトーラス

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ソリッド・トーラス

初等幾何学における中身の詰まったトーラス(なかみのつまったトーラス、テンプレート:Lang-en-short; ソリッドトーラストーラス体)は、一つの円周に沿って円板が掃く領域として定まる回転体である。位相的には、一つのハンドル体のみを持つ(すなわち種数 テンプレート:Math の)コンパクト図形である。

中身の詰まったトーラスを図示するには三次元空間に埋め込まれたテンプレート:Ill2(トロイド)として描くのが標準的な方法であるが、図示の仕方によっては互いに区別すべきトーラスと同様の見た目になることがある。トーラスとはトーラス形の表面(境界面)を成す二次元の図形のことであり、トーラスに囲まれる有界領域はソリッドトーラスの一種となる。

回転体としてのトーラス

テンプレート:Math を任意にとり固定して考えるとき、ソリッド・トーラスは半径 テンプレート:Mvar円周からの距離 テンプレート:Math なる点全体の成す集合である。したがってそれは、半径 テンプレート:Mvar の円板を、その円と交わらずその円の属する平面上に載っている軸の周りに、回転半径 テンプレート:Mvar がもとの円板の半径より大きくなるように、回転させて得られる[1]テンプレート:Rp

媒介表示

トーラスの媒介変数表示を以下のように与えることができる:

X(t,p)=(xyz)=R(costsint0)+a(costcospsintcospsinp)=((R+acosp)cost(R+acosp)sintasinp)(0ar,0t,p2π).

体積

ソリッドトーラスの体積は、函数行列式ヤコビ行列行列式)上の三重積分として計算できる。先の媒介表示に関するヤコビ行列は以下のように陽に書ける:

Jf=(x,y,z)(a,t,p)=(axpxtxaypytyazpztz)=(costcospRsintasintcospacostsinpsintcospRcost+acostcospasintsinpsinp0acosp),

ゆえにその行列式は det(Jf)=a(acosp+R) であり、この行列式の値は法ベクトルのノルムに等しい。すなわち、ソリッドトーラスの体積は

V=VdV=Γdet(Jf)dΓ=02πdt02πdp0rda(Ra+a2cosp)=2π2r2R

と計算される。

命題
ソリッドトーラスの体積は V=2π2r2R で与えられる。

この公式を、円板の面積 Ar=πr2 と中心軌跡(円周の長さ)UR=2πR を掛けたものと解釈することができる。これは円柱体の体積が Vcylinder=πr2l であるのと同様である。表面積の計算も同様にできて、ここでは二つの円周 Ur=2πrUR=2πR の積に等しい。これもやはり円柱の側面積が Ocylinder=2πrl であることに対応する。


位相的トーラス体

位相幾何学におけるソリッドトーラスは、円板 テンプレート:Math円周 テンプレート:Math との直積集合 テンプレート:Math直積位相を入れたものに同相であるな位相空間を言う[2]テンプレート:Rp

ソリッドトーラスは連結コンパクトかつ向き付け可能な三次元の境界付き多様体で、その境界は通常のトーラス テンプレート:Math に同相である。

円板 テンプレート:Math可縮ゆえ、ソリッドトーラスは円周 テンプレート:Mathホモトピー型を持つ[3]テンプレート:Rp。したがってソリッドトーラスの基本群およびホモロジー群は円周のそれに同型となる:

π1(S1×D2)π1(S1),
Hk(S1×D2)Hk(S1){if k=0,1,0otherwise.

関連項目

参考文献

テンプレート:Reflist テンプレート:Topology-stub