対称差


数学において、2 つの集合 テンプレート:Math と テンプレート:Math との対称差(たいしょうさ、テンプレート:Lang-en-short[1])とは、“テンプレート:Math に属し、テンプレート:Math に属さないもの” と “テンプレート:Math に属し、テンプレート:Math に属さないもの” とを全て集めて得られる集合であるテンプレート:Sfn。一般に、集合 テンプレート:Math と テンプレート:Math との対称差を、記号 テンプレート:Indent などで表す。例えば、テンプレート:Math と テンプレート:Math との対称差は テンプレート:Math に等しい: テンプレート:Math。
任意の集合に対して、その集合の冪集合は、対称差 テンプレート:Math を算法としてアーベル群となるテンプレート:Sfn。空集合 テンプレート:Math はその群の単位元であり、その群の任意の元はその元自身の逆元である。また、任意の集合に対して、その集合の冪集合は、対称差 テンプレート:Math を加法とし共通部分 テンプレート:Math を乗法とするとき、ブール環となるテンプレート:Sfn。
性質
対称差は、和集合と差集合の記号を用いて次のように表すことができるテンプレート:Sfn: テンプレート:Indent
テンプレート:Math を 1 つの集合とし、テンプレート:Math を テンプレート:Math の 2 つの部分集合とする。集合 テンプレート:Math における二項演算として排他的論理和 テンプレート:Math → テンプレート:Math を定義すれば、テンプレート:Math における指示関数に関して次が成り立つ: テンプレート:Math の任意の元 テンプレート:Math に対して テンプレート:Indent アイバーソンの記法を用いれば次のようにも書ける: テンプレート:Indent
対称差はまた、和集合、差集合、共通部分の記号を用いて次のように表すことができるテンプレート:Sfn: テンプレート:Indent 特に、テンプレート:Math は テンプレート:Math の部分集合である: テンプレート:Math。また、テンプレート:Math と テンプレート:Math とが互いに素であるときかつそのときに限り テンプレート:Math である。さらには、テンプレート:Math と テンプレート:Math とは互いに素であって、集合 テンプレート:Math は テンプレート:Math の 1 つの分割である。従って、対称差と共通部分とを最初に定義しておき、それらの記号を用いて、式 テンプレート:Indent によって和集合を定義することもできる。
代数学的な性質
対称差について、次の 4 つが成り立つテンプレート:Sfn:
- テンプレート:Math (結合法則)、
- テンプレート:Math、
- テンプレート:Math、
- テンプレート:Math (交換法則)。
テンプレート:Math を 1 つの集合とし、テンプレート:Math を テンプレート:Math の冪集合とする。テンプレート:Math の元 テンプレート:Math に テンプレート:Math の元 テンプレート:Math を対応させれば、テンプレート:Math における 1 つの二項算法が得られる。上の 4 つの性質から、その算法に関して テンプレート:Math はアーベル群となる。空集合 テンプレート:Math はその群の単位元である。テンプレート:Math の任意の元 テンプレート:Math に対して テンプレート:Math は テンプレート:Math の逆元であるから、テンプレート:Math はブール群でもある。テンプレート:Math がちょうど 2 個の元から成る集合であるならば、その可換群 テンプレート:Math はクラインの四元群 テンプレート:Mathテンプレート:Efnと同型である。
共通部分は対称差に対して分配法則を満たすテンプレート:Sfn: テンプレート:Indent よって、テンプレート:Math を 1 つの集合とするとき、テンプレート:Math の元 テンプレート:Math に テンプレート:Math の元 テンプレート:Math を対応させて得られる二項算法を加法とし、テンプレート:Math の元 テンプレート:Math に テンプレート:Math の元 テンプレート:Math を対応させて得られる二項算法を乗法とすれば、テンプレート:Math は環となる。また、テンプレート:Math はブール環でもある。
その他の性質
- テンプレート:Math を 1 つの集合とし、テンプレート:Math を テンプレート:Math の 2 つの部分集合とするとき、次が成り立つ:
- テンプレート:Math を 1 つの集合とし、テンプレート:Math の各元 テンプレート:Math に対して 2 つの集合 テンプレート:Math が定められているとき、次が成り立つ:
- テンプレート:Math を集合 テンプレート:Math から集合 テンプレート:Math への 1 つの写像とし、テンプレート:Math を テンプレート:Math の 2 つの部分集合とするとき、次が成り立つ:
多項対称差
対称差は結合法則と交換法則を満たすので、テンプレート:Math個の集合テンプレート:Mathの対称差テンプレート:Math = (⋯(テンプレート:Mathは順番に依らない。このことから対称差はより一般に(各元における重複度が有限であるような)集合族 に対し以下のように拡張できる。
上記のような集合族について テンプレート:Math 及び各 テンプレート:Math がともに有限集合であるとき、対称差の濃度について以下のような公式が成り立つ(和集合の場合にも同様の公式が成り立つ)。
測度空間上の対称差
2つの集合の対称差の「大きさ」は2つの集合がどれだけ異なるかを表していると思える。 今 テンプレート:Math を集合 テンプレート:Math 上の測度とし テンプレート:Math を測度有限な可測集合全体とする。 このときテンプレート:Math上の関数のテンプレート:Mathを
と定めると、これは テンプレート:Math 上の擬距離になる。
この擬距離に関して2つの集合間の距離が0になることは、2つの集合の定義関数が テンプレート:Math に関して殆どいたるところ一致することの必要十分条件である。
テンプレート:Math が テンプレート:Math の元であるとき が成立する。