巡回多元環
テンプレート:出典の明記 数学、とくに代数的整数論において、巡回多元環(じゅんかいたげんかん、テンプレート:Lang-en-short)とは、体の巡回拡大から構成される中心的単純環の一種で、一般四元数環の一般化。
定義
可換体 テンプレート:Mvar 上の多元環 テンプレート:Mvar が巡回多元環であるとは、それが テンプレート:Mvar 上 テンプレート:Mvar-次の正規単純環であって、かつ テンプレート:Mvar-次の巡回部分体を持つときに言うテンプレート:Sfn。
具体的に、体の テンプレート:Mvar 次巡回拡大 [[体の拡大|テンプレート:Mvar]] に対し、そのガロア群 テンプレート:Math の生成元を テンプレート:Mvar とし、テンプレート:Math をとる。テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar の定める テンプレート:Mvar 上の巡回多元環 テンプレート:Math は、テンプレート:Mvar 個の文字 テンプレート:Math を基底に持つ テンプレート:Mvar 次元 テンプレート:Mvar-ベクトル空間 テンプレート:Math (テンプレート:Math は直和) を台となる線型空間とし、テンプレート:Mvar に乗法を一般の元
に対して
と定めたものである。これは テンプレート:Math に対する以下の二条件
- 指数法則 テンプレート:Math を満たす。
- テンプレート:Math に対し交換則 テンプレート:Math を満たす。
を線型に拡張したものとして与えられる。特に、テンプレート:Math は テンプレート:Mvar の乗法単位元(したがって、テンプレート:Math)。また、テンプレート:Mvar は テンプレート:Mvar の元を動かさない テンプレート:Mvar の非自明な自己同型であるから、テンプレート:Mvar の元は テンプレート:Mvar と可換。これにより テンプレート:Math が テンプレート:Mvar 上中心的であることが従う。
性質
- テンプレート:Mvar 次巡回拡大 テンプレート:Mvar から定まる テンプレート:Mvar 次巡回多元環の テンプレート:Mvar 上の次数は テンプレート:Math である。
- 巡回多元環 テンプレート:Math は テンプレート:Mvar 上の中心的単純環で テンプレート:Mvar で分解する。すなわち、テンプレート:Mvar次巡回多元環 テンプレート:Math と テンプレート:Mvar との テンプレート:Mvar-多元環のテンソル積は テンプレート:Mvar 上 テンプレート:Mvar 次の全行列環 テンプレート:Math に テンプレート:Mvar-多元環同型: である。
- テンプレート:Mvar の標数が 2 でないものとすると、二次の巡回多元環 テンプレート:Math は テンプレート:Math-型四元数環である。ただし、テンプレート:Mvar は テンプレート:Mvar の平方元でなく、テンプレート:Mvar は テンプレート:Math を満たす テンプレート:Mvar-同型。
- 巡回多元環 テンプレート:Math は適当な テンプレート:Math に対して テンプレート:Math となるとき行列環 テンプレート:Math に同型であるテンプレート:Sfnテンプレート:Rpテンプレート:Sfnテンプレート:Rp。そうでないとき可除環であり巡回斜体 (cyclic division slgebra) と呼ばれるテンプレート:Sfn。
- 二つの巡回多元環 テンプレート:Math, テンプレート:Math が同型となるための必要十分条件は、テンプレート:Mvar の適当な元 テンプレート:Mvar が存在して テンプレート:Math と書けることであるテンプレート:Sfnテンプレート:Rp。
- 巡回多元環のテンソル積は適当な巡回多元環にブラウアー同値であるテンプレート:Sfnテンプレート:Rp。
- 体の分離拡大に関するブラウアー群(あるいは拡大のガロワ群のテンプレート:Ill2[1])の元(ブラウアー同値類)の代表元として接合積(とくに巡回多元環)がとれる。(see also: en:Brauer group#Cyclic algebras)
一般化
巡回多元環は、2-コサイクル(テンプレート:Ill2)に対するテンプレート:Ill2 (crossed product algebra)[2] と呼ばれる多元環に一般化される(巡回拡大に対する接合積が巡回多元環である[3]テンプレート:Rp)。接合積は群環の一般化でもある。