積分判定法

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積分判定法の調和級数への適用。区間 テンプレート:Math での曲線 テンプレート:Math の下側部分の面積は無限大だから、長方形の面積の総和も無限大でなければならない。

テンプレート:Calculus

数学において、積分判定法(せきぶんはんていほう、テンプレート:Lang-en-short)は非負項無限級数収束性を判定する方法の一つである。コリン・マクローリンオーギュスタン=ルイ・コーシーによって発展させられたことから、マクローリン・コーシーの判定法の呼称でも知られている。

判定方法

整数 テンプレート:Math と、非有界区間 テンプレート:Closed-open で定義された単調非増加な実数値関数 テンプレート:Math を考える。このとき無限級数

n=Nf(n)

がある実数へ収束するための必要十分条件は、広義積分

Nf(x)dx

が有限値であることである。言い換えると、積分が発散するとき級数もまた発散する。

注意

広義積分が有限値のとき、次節の証明からは級数の収束値の上界・下界をも得ることができる。

テンプレート:NumBlk

証明

証明は基本的に比較判定法を用いる。区間テンプレート:Closed-openテンプレート:Closed-open のそれぞれで、テンプレート:Math の積分値と項 テンプレート:Math を比較する。

テンプレート:Math は単調非増加関数だから、

f(x)f(n)for all x[n,)

であり、また

f(n)f(x)for all x[N,n]

である。よって任意の整数 テンプレート:Math に対し

テンプレート:NumBlk

であり、任意の整数 テンプレート:Math に対し

テンプレート:NumBlk

である。

テンプレート:Math からある大きな整数 テンプレート:Math までの全ての テンプレート:Math にわたる和をとることで、(テンプレート:EquationNote) から

NM+1f(x)dx=n=NMnn+1f(x)dxf(n)n=NMf(n)

が得られ、(テンプレート:EquationNote) から

n=NMf(n)f(N)+n=N+1Mn1nf(x)dxf(n)=f(N)+NMf(x)dx

が得られる。これら2つの評価式を合わせると

NM+1f(x)dxn=NMf(n)f(N)+NMf(x)dx

テンプレート:Math を無限大に飛ばすことで評価式 (テンプレート:EquationNote) が得られ、かつ収束の必要十分性が示される。

適用例

調和級数

n=11n

は発散する。なぜなら、自然対数とその不定積分微分積分学の基本定理を用いることで

1M1xdx=lnx|1M=lnMfor M

であることが分かるからである。

これとは反対に、級数

ζ(1+ε)=n=11n1+ε

リーマンゼータ関数を参照) は任意の テンプレート:Math に対して収束する。なぜなら

1M1x1+εdx=1εxε|1M=1ε(11Mε)1ε<for all M1

であり、(テンプレート:EquationNote) によって上から

ζ(1+ε)=n=11n1+ε1+εε

と評価できるからである。この結果はリーマンゼータ関数のいくつかの特定の値と比較してみることができる。

発散と収束の境界線

調和級数に関する上記の例から、単調減少列 テンプレート:Math であって、

limnf(n)1/n=0andlimnf(n)1/n1+ε=

という意味で

ようなものは存在するかという問題が持ち上がる。もしそのような級数が見つかれば、テンプレート:Mathテンプレート:Math に取り換えて同じことを問うことができ、以下同様の議論が続けられる。このようにして級数の発散と収束の境界線を探究することができる。

具体的には、全ての自然数 テンプレート:Math に対して級数 テンプレート:NumBlk は発散する[1]一方、 テンプレート:NumBlk は全ての テンプレート:Math に対し収束することが示せる(証明は後述)。ここで テンプレート:Math は自然対数の テンプレート:Math-重の合成を表し、再帰的に

lnk(x)={ln(x)for k=1,ln(lnk1(x))for k2.

と定義される。また テンプレート:Math は、テンプレート:Math の左辺が well-defined で、かつこの不等式を満たす、つまり

Nkeeek es=ek

となる最小の自然数を表す。ここで矢印記法はテトレーションである(クヌースの矢印表記の一種)。

級数 (テンプレート:EquationNote) が発散することを証明する。連鎖律を繰り返し適用して、

ddxlnk+1(x)=ddxln(lnk(x))=1lnk(x)ddxlnk(x)==1xln(x)lnk(x)

だから

Nkdxxln(x)lnk(x)=lnk+1(x)|Nk=.

となり、積分判定法を用いれば発散することが分かる。

級数 (テンプレート:EquationNote) が収束することを証明する。連鎖律および上記の結果により

ddx1ε(lnk(x))ε=1(lnk(x))1+εddxlnk(x)==1xln(x)lnk1(x)(lnk(x))1+ε

だから

Nkdxxln(x)lnk1(x)(lnk(x))1+ε=1ε(lnk(x))ε|Nk<

となり、(テンプレート:EquationNote) から級数 (テンプレート:EquationNote) は上に有界であることが分かる。

有限和の場合

有限和の場合にも同様の議論で和を積分で近似することができる。つまり、自然数 テンプレート:Math と区間 テンプレート:Closed-closedで定義された単調(単調増加でもよい)なRiemann可積分関数 テンプレート:Math に対して

min{f(M),f(N)}n=MNf(n)MNf(x)dxmax{f(M),f(N)}

が成立する。

関連項目

注記

  1. テンプレート:Math のときの結果は、素数の逆数和が発散することの証明とも関係がある。テンプレート:仮リンクを参照。

参考文献

テンプレート:Mathanalysis-stub