自然対数

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンプレート:出典の明記

自然対数函数のグラフ: この函数は テンプレート:Mvar の増加に伴って緩やかに正の無限大に発散し、テンプレート:Mvarテンプレート:Math に近づくにともなって緩やかに負の無限大へ発散する(つまり テンプレート:Mvar-軸はひとつの漸近線となる)。ここに、「緩やか」とは任意の冪乗則冪函数あるいは多項式函数の増大度)との比較においてそれらよりも弱いことを意味する。

実解析において実数自然対数(しぜんたいすう、テンプレート:Lang-en-short)は、超越数であるネイピア数 テンプレート:Math を底とする対数を言う。テンプレート:Mvar の自然対数を テンプレート:Math や、より一般に テンプレート:Math あるいは単に(底を省略して)テンプレート:Math などと書く[1]。 通常の函数の記法に則って引数を指示する丸括弧を明示的に付けて、テンプレート:Mathテンプレート:Math などのように書いてもよいテンプレート:Efn[2]

定義により、テンプレート:Mvar の自然対数とは テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 自身に一致するような冪指数 テンプレート:Math のことに他ならない。例えば、テンプレート:Math となることは、テンプレート:Math となることを理由とする。特に テンプレート:Mvar の自然対数は テンプレート:Math であり、テンプレート:Math の自然対数は テンプレート:Math である。[2]

自然対数は、任意の正数 テンプレート:Mvar に対して 逆数函数 テンプレート:Mathテンプレート:Math から テンプレート:Math までの間のグラフの下にある面積テンプレート:Math のときは面積にマイナス記号をつけた値)として定義することもできる。この定義の単純さは自然対数を含む多くの公式によく馴染むことから、「自然」の語が冠されているのである。自然対数のこの定義は、負数や任意の非零複素数に対しても拡張することができる(ただし、それは多価函数を導く。複素対数函数の項を参照)。

実変数実数値の函数と見た自然対数函数 テンプレート:Math自然指数函数 テンプレート:Math逆函数であり、それは二つの恒等式 テンプレート:Mathテンプレート:Math の成立を意味する。

他の任意の対数がそうであるように、自然対数は

ln(xy)=ln(x)+ln(y)

なる意味で乗法を加法へ写す。これにより自然対数函数は正の実数乗法群 テンプレート:Math から実数の加法群 テンプレート:Math への写像 テンプレート:Math として 準同型になる。

テンプレート:Mvar 以外にも、任意の正数 テンプレート:Math に対して、それを底とする対数を定義することができるが、そのような対数は自然対数の定数倍として得ることができる(例えば二進対数は自然対数の テンプレート:Math 倍である)し、通常はそうして自然対数から定義される。対数は未知の量がほかの適当な量の冪と見なされる問題を解く際に有用で、例えば指数函数的減衰問題における減衰定数としての半減期を求めるときなどに利用できる。このように対数は、数学や自然科学の多くの分野において重要であり、また金融経済において複利を含む問題にも利用できる。

リンデマン–ヴァイアシュトラスの定理により、テンプレート:Math でない任意の(正の)代数的数に対してその自然対数は超越数となる。

自然対数
表式 lnx
逆函数 ex
導函数 1x
原始函数 xlnxx+C

テンプレート:E (mathematical constant)

歴史

テンプレート:Main

自然対数の概念が表立って現れるのは、1649年より以前にテンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクによる[3]の成した業績においてであり、その中にはテンプレート:仮リンク の面積を決定することによる直交双曲線 テンプレート:Math求積が含まれている。それら解法は、こんにち自然対数に結び付けられる性質を満足する「双曲対数」函数の必要から生じたものである。

自然対数への初期の言及はニコラス・メルカトルが1668年に著わした自身の著書 Logarithmotechnia(「対数の方法」)[4] にあるが、既に1619年には数学教師のテンプレート:仮リンクが事実上の自然対数表を編纂している[5]

記法の慣習

記法 "テンプレート:Math" および "テンプレート:Math" は何れも紛れなく テンプレート:Mvar の自然対数を表しているが、底を明示しない記法 "テンプレート:Math" もまた自然対数を表すのに用いられることがある。このような記号の使い方は数学では広く用いられ、一部の自然科学の文脈やさまざまなプログラミング言語テンプレート:Efnでも用いられる。ただし、別の文脈では "テンプレート:Math" が常用対数(底 テンプレート:Math の対数)を表すのに用いられる。

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称

テンプレート:CharCode

「自然」の意味

双曲線 テンプレート:Math (赤) と テンプレート:Math から テンプレート:Math までの面積 (橙の網掛け): この面積の値は テンプレート:Math の自然対数と等しい

直観的には、常用の記数法が[[十進法|底 テンプレート:Math の位取り]]であるため、10を底とする「常用対数」がよほど「自然」に感じられるかもしれない。だが、数学的に見れば10は何ら著しい特徴を持つ数ではなく、10 を用いるのは文化的な理由(典型的には両手の指の数が10本あること)からだ[6]。文化的な理由ではほかにも 5, 8, 12, 20, 60 などに基づく命数法がしばしば用いられる[7][8][9]

自然対数 テンプレート:Math が「自然」であるというのは、数学において自然に生じ、よく見かけるということを根拠とするものである。例えば対数函数の微分の問題[10]ddxlogb(x)=ddx(ln(x)ln(b))=1ln(b)ddx[ln(x)]=1xln(b) を考えるとき、底 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に等しいならば、この導函数は単に テンプレート:Math となり、テンプレート:Math における微分係数は テンプレート:Math に等しくなる。

別な意味で底 テンプレート:Mvar の対数が最も自然と思わせる理由として、単純な積分やテイラー級数でそれが極めて容易に定義できること(それは他の対数ではできない)が挙げられる。この自然さの更なる意味は、微分積分学の中では見えてこないが、例えば自然対数を含む単純な級数が様々存在することによって知ることができる。ピエトロ・メンゴリニコラス・メルカトルがそれを「自然対数」(テンプレート:Lang-la-short) と呼んだのは、ニュートンライプニッツが微分積分学を繰り広げるよりも、何十年か先んじる[11]

定義

テンプレート:Math は曲線 テンプレート:Mathテンプレート:Math から テンプレート:Mvar までの面積で視覚化できる。テンプレート:Math では テンプレート:Mvar から テンプレート:Math までの面積を負で勘定する。
この双曲線の下にある面積は対数法則を満足する。ここでは テンプレート:Mathテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の間の双曲線下の面積を表している。

自然対数 テンプレート:Mathテンプレート:仮リンク テンプレート:Math の面積として定義される。それは具体的には定積分として

ln(a):=1a1xdx

と定めるということである。

この函数は対数の基本性質 テンプレート:Math を満足するという意味において対数である。これは、テンプレート:Math を定義する積分を2つに分割し、次に変数置換 テンプレート:Math (つまり テンプレート:Math) を行うことによって、 ln(ab)=1ab1xdx=1a1xdx+aab1xdx=1a1xdx+1b1atadt=1a1xdx+1b1tdt=ln(a)+ln(b). と示すことができる。

定数 [[ネイピア数|テンプレート:Mvar]] は テンプレート:Math を満足する正数 テンプレート:Mvar として定義される。

自然指数函数が先に(具体的には無限級数として)定義されている場合には、自然対数を自然指数函数の逆函数として定義することもできる。すなわち テンプレート:Mathテンプレート:Math を満足する函数である。実数全体で定義された自然指数函数の値域は正数全体の集合に一致し、また自然指数函数は狭義単調増大(ゆえに一対一)であるから、テンプレート:Math はこの方法で任意の正数 テンプレート:Mvar に対して矛盾なく定まる

テンプレート:Clr

一般化

複素数の対数

テンプレート:Main テンプレート:Math でない複素数 テンプレート:Mvar を極座標表示して

テンプレート:Math

と書けたとする。対数関数は指数関数の逆関数なので

テンプレート:Math

ということになる(テンプレート:Math と書くことはあまりない)が、この テンプレート:Mvar の選び方は一通りではなく 、テンプレート:Math の整数倍だけ異なる値を選ぶことができる。したがって、複素数の対数関数は多価正則関数である。

定義域を制限することによって、その定義域の上では正則な一価関数となるように テンプレート:Mvar の選び方を定めることができる。定義域は 0 を含まない単連結領域ならどれでもよいが、よく使われるのは複素平面から 0 と負の実数を除いた領域であり、変数の偏角を テンプレート:Math の範囲にとる。このとき、テンプレート:Math によって正則な一価関数が得られる。この関数を対数関数の主値と呼び、

テンプレート:Math

と書く(テンプレート:Math と書くことはあまりない)。

複素対数関数は、実数での対数関数が満たす恒等式を満たすとは限らないので注意が必要である。例えば、テンプレート:Mathテンプレート:Math は一般には成り立たない。テンプレート:Efn

バナッハ環における対数関数

テンプレート:Main テンプレート:Math を満たす テンプレート:Mvar に対して、テイラー展開

ln(1+x)=n=1(1)n+1xnn=xx22+x33x44+

が可能である。この級数展開も、1668年にメルカトルによって見出されたものである。

すべての固有値の絶対値が 1 より小さい正方行列 テンプレート:Mvar が与えられたとき、このテイラー展開の変数に テンプレート:Mvar を代入することにより、行列 テンプレート:Math の対数 テンプレート:Math が定義される。ここで、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar と同じサイズの単位行列である。これをさらに一般化して、和や積の構造と両立するノルムを持った完備な空間であるバナッハ環において、ノルムが 1 より小さい元 テンプレート:Mvar に対し、上の式によって テンプレート:Math の対数が定義できる。このとき、指数関数による テンプレート:Math の像は可逆元 テンプレート:Math になっている。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Notelist

出典

テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Div col

テンプレート:Div col end

外部リンク

テンプレート:ウィキプロジェクトリンク テンプレート:ウィキポータルリンク