2の自然対数

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2の自然対数(にのしぜんたいすう)は、自然対数関数 テンプレート:Mathテンプレート:Math での値であり、テンプレート:Math と表記する。2の常用対数との混同を避けるため テンプレート:Math あるいはを明記して テンプレート:Math とも書かれる。テンプレート:Math は正の実数であり、その値は

テンプレート:Math

である。この数は無理数であるので数字の循環しない無限小数である。さらに超越数であるため、代数方程式の解にはならない。連分数表記では

テンプレート:Math

となる。また、この数は、核反応化学反応において物質濃度半減期を求める際に現れる数である。

定義

テンプレート:Math という級数の部分和(黒線)が テンプレート:Math(赤線)に収束する様子

ネイピア数 テンプレート:Mvar を底とした実数 テンプレート:Mvar変数とする対数関数 テンプレート:Mathテンプレート:Math のときにとる値が テンプレート:Math である。対数関数は指数関数逆関数であるので、

テンプレート:Math

を満たすただ一つの実数の テンプレート:Mvarテンプレート:Math である。

対数関数のテイラー展開

log(1+x)=n=1(1)n+1nxn(|x|<1)

である。これに形式的に テンプレート:Math を代入すると

log2=n=1(1)n+1n=112+1314+

となるが、この級数は実際に テンプレート:Math収束することが知られている(→交項級数アーベルの連続性定理)。

数学的性質

ディリクレテンプレート:仮リンク

η(s)=n=1(1)n+1ns

と定義されるので、上記のテイラー展開から、

テンプレート:Math

である。また、テンプレート:Math は以下のような級数でも求められる。

  • log2=n=11n2n
  • log2=n=0(1)n(13n+113n+2+13n+3)
  • log2=12n=01(4)n(24n+114n+314n+4)
  • log2=13n=01(27)n(36n+126n+316n+4)

さらに、

n=1(1)n+1n

の第 テンプレート:Mvar 項までの部分和と テンプレート:Math との差は

n=1N(1)n+1nlog2=(1)N(12N+n=0(1)nTn4NN2n)

と表される。ここで、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 番目のタンジェント数である。

積分では

12dxx=log2

であるから、双曲線 テンプレート:Math直線 テンプレート:Math および テンプレート:Mathテンプレート:Mvar 軸)とに囲まれた図形面積テンプレート:Math である。

リンデマンの定理より テンプレート:Math超越数であり、したがって無理数である。

テンプレート:Math正規数かどうかは分かっていない。

その他の性質

反応速度

原子核反応や化学反応の速度は、反応物質の濃度に比例する場合が多い。この法則をもとに濃度の半減期を求めると、以下のように テンプレート:Math が現れる。

まず濃度を テンプレート:Mvar, 反応速度定数テンプレート:Mvar とおくと、テンプレート:Mvar時間 テンプレート:Mvar微分したものがこの場合の速度なので、

テンプレート:Math

となる。濃度は単調減少するので、速度の符号は負であることに注意。ここで、

を与えて定積分すると、

C0C0/2dCC=0τkdt
logC0/2C0=kτ

となり、

テンプレート:Math

となる。すなわち、上記の微分方程式で表されるあらゆる反応において、テンプレート:Math は反応速度定数と半減期のになっている。

72の法則

複利計算における「倍増年」(元利合計が2倍になる年数)の近似計算にも テンプレート:Math が現れる。

元金テンプレート:Math、年利率テンプレート:Math とし、テンプレート:Mvar 年後に元利合計が2倍になるとすれば、

テンプレート:Math

となる。この両辺の自然対数をとると

テンプレート:Math
テンプレート:Math

ここで、テンプレート:Math、すなわち テンプレート:Mvarテンプレート:Math に比べて十分に小さい場合には、テンプレート:Math近似できるので、

テンプレート:Math

となる。

すなわち「倍増年」は、「0.693を年利で割った値」又は「69.3を年利(%表示)で割った値」で近似できる。実用上は、69.3を切りの良い70や約数の多い72で置き換えることが多い。たとえば、年利が3%ならば、72÷3 = 24 なので、約24年後に元利合計が倍増する。この法則は、72の法則と呼ばれ、15世紀のイタリアで知られていた。

関連項目

外部リンク