クラウジウス–デュエムの不等式

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テンプレート:混同 テンプレート:連続体力学 クラウジウス–デュエムの不等式テンプレート:Lang-en-short [1] [2] )とは、連続体力学において熱力学第二法則を表現する方法である。本不等式材料の構成式熱力学的に許容可能であるかどうかを決定するのに特に有用である [3]

また、本式は特にエネルギーの散逸が関与している場合、自然過程の不可逆性に関する記述となる。式の名前はドイツ物理学者ルドルフ・クラウジウスフランスの物理学者ピエール・デュエムに因んで名付けられた。

単にクラウジウスの不等式ともいう。

比エントロピーの観点から見たクラウジウス–デュエムの不等式

積分形式

クラウジウス–デュエムの不等式は以下のように積分形式で記述することが可能である。

ddt(ΩρηdV)Ωρη(un𝐯𝐧)dAΩ𝐪𝐧TdA+ΩρsTdV.

上式でtは時間、Ωは体を表し、体の体積を区間として積分している。

Ωは体の表面、ρは体の質量密度ηは比エントロピー (単位質量あたりのエントロピー)、unΩ法線速度、𝐯Ω内部の粒子の速度𝐧は表面の単位法線、𝐪は熱流ベクトル、sは単位質量あたりのエネルギー源、Tは絶対温度。全ての変数は質点𝐱、時間tにおいてのものである。

微分形式

微分形式では、クラウジウス–デュエムの不等式は以下のように表される。

ρη˙(𝐪T)+ρsT

ここでη˙ηの時間微分、(𝐚)ベクトル𝐚発散

証明

Ωを任意の固定された検査体積と仮定すると、

un=0および微分形積分形の中で取ることが出来、

Ωt(ρη)dVΩρη(𝐯𝐧)dAΩ𝐪𝐧TdA+ΩρsTdV.

発散定理を用いると以下の式が得られる。

Ωt(ρη)dVΩ(ρη𝐯)dVΩ(𝐪T)dV+ΩρsTdV.

Ωは任意の数であるため、

t(ρη)(ρη𝐯)(𝐪T)+ρsT.

展開して、

ρtη+ρηt(ρη)𝐯ρη(𝐯)(𝐪T)+ρsT

または、

ρtη+ρηtηρ𝐯ρη𝐯ρη(𝐯)(𝐪T)+ρsT

または、

(ρt+ρ𝐯+ρ𝐯)η+ρ(ηt+η𝐯)(𝐪T)+ρsT.

ここでρη物質微分することにより、

ρ˙=ρt+ρ𝐯;η˙=ηt+η𝐯.

よって、

(ρ˙+ρ𝐯)η+ρη˙(𝐪T)+ρsT.

質量保存の法則よりρ˙+ρ𝐯=0。 ゆえに、

ρη˙(𝐪T)+ρsT.

比内部エネルギーの観点から見たクラウジウス–デュエムの不等式

不等式

クラウジウス–デュエムの不等式は内部エネルギーの観点から以下のように記述可能である。

ρ(e˙Tη˙)σ:𝐯𝐪TT

ここでe˙は比内部エネルギーe (単位質量あたりの内部エネルギー)の時間微分、σコーシー応力𝐯は速度勾配

上記の不等式は、エネルギー保存の法則と、運動量保存の法則をクラウジウス–デュエムの不等式に組み入れる。

証明

恒等式

(φ𝐯)=φ𝐯+𝐯φ を用いると、以下の式が得られる。

ρη˙(𝐪T)+ρsTorρη˙1T𝐪𝐪(1T)+ρsT.

ここで、直交座標系𝐞jに対する添字表記法を使用すると、

(1T)=xj(T1)𝐞j=(T2)Txj𝐞j=1T2T.

ゆえに、

ρη˙1T𝐪+1T2𝐪T+ρsTorρη˙1T(𝐪ρs)+1T2𝐪T.

エネルギー保存の法則から

ρe˙σ:𝐯+𝐪ρs=0ρe˙σ:𝐯=(𝐪ρs).

したがって、

ρη˙1T(ρe˙σ:𝐯)+1T2𝐪Tρη˙Tρe˙σ:𝐯+𝐪TT.

変形すると、

ρ(e˙Tη˙)σ:𝐯𝐪TT

発散

𝒟:=ρ(Tη˙e˙)+σ:𝐯𝐪TT0

は、単位体積当たりの内部エントロピーの生成速度と絶対温度の積として定義される発散量(散逸)である。ゆえにクラウジウス–デュエムの不等式は散逸不等式とも言われる。 実際の材料では、散逸は常にゼロよりも大きい。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

外部リンク