二年生の夢

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数学において二年生の夢(にねんせいのゆめ、テンプレート:Lang-en-short)とは、1697年に数学者ヨハン・ベルヌーイが発見した以下の恒等式(特に1つ目)を指すときの名称として用いられる。

011xxdx=n=11nn(=1.29128599706266354040728259059560054149861936827)01xxdx=n=1(n)n(=0.78343051071213440705926438652697546940768199014)

この名前は一年生の夢と対照的に付けられた名前であるテンプレート:Harv。 一年生の夢とは、誤った[1]等式 テンプレート:Math を表す語であり、二年生の夢もこれと同じように「出来過ぎた」形をした式となっている。ただし一年生の夢と異なり、二年生の夢は実際に成り立つ式である。

証明

区間 テンプレート:Math における テンプレート:Mathテンプレート:Math のグラフ。

テンプレート:+float

2つ目の等式を証明する。1つ目の等式も2つ目と同様に証明が可能である。

テンプレート:Math冪級数展開を用いて、被積分関数 テンプレート:Math を次のように展開する。

xx=exp(xlogx)=n=0xn(logx)nn!

よって、与式の左辺は以下のように表せる。

01xxdx=01n=0xn(logx)nn!dx

冪級数一様収束性より、右辺の積分と総和は以下のように交換できる。

01n=0xn(logx)nn!dx=n=001xn(logx)nn!dx=n=01n!01xn(logx)ndx

ここで、テンプレート:Math による次のような置換積分を考える。

01xn(logx)ndx=(1)n(n+1)(n+1)0uneudu

この右辺の定積分は第二種オイラー積分

0uneudu=Γ(n+1)=n!

であるから、次のようになる。 1n!01xn(logx)ndx=(1)n(n+1)(n+1)

ゆえに 01xxdx=n=01n!01xn(logx)ndx=n=0(1)n(n+1)(n+1)=n=1(n)(n)

ベルヌーイによる証明

元々の証明は テンプレート:Harvtxt において与えられ、のちに現代的な証明が テンプレート:Harvtxt において与えられた。これらの証明の違いは項別積分

01xn(logx)ndx

の計算方法であり、このような(項別積分などの)過程の細かい差異を除けば同じである。上述の証明では置換積分によってガンマ関数を括りだす方法で計算をしているが、当時はまだガンマ関数は知られておらず、ベルヌーイ部分積分を繰り返し適用する方法で計算した。

再帰的な関係を明らかにするため二つの指数をそれぞれ別の文字で表し、次のように部分積分を行う(対数関数の原始関数の一覧を参照)。まず不定積分の計算から始めるが、積分定数 テンプレート:Math は定積分の計算の際に消えること、および元々の証明においても省略して計算が行われたことより以下省略する。

xm(lnx)ndx=xm+1(lnx)nm+1nm+1xm+1(lnx)n1xdx(m1)=xm+1m+1(lnx)nnm+1xm(lnx)n1dx(m1)

これにより テンプレート:Math の指数が テンプレート:Math 減る(テンプレート:Math)。ここで テンプレート:Mvar は整数であるから、これを繰り返すと有限回で テンプレート:Math の指数が テンプレート:Math となり、単なる テンプレート:Mvar の積分となって終了する。ゆえにこの積分は次のような有限和となる。

xm(lnx)ndx=xm+1m+1i=0n(1)i(n)i(m+1)i(lnx)ni

ただし テンプレート:Math は下降階乗冪ポッホハマー記号)である。

ここで テンプレート:Math とし、どちらも整数であるとする。 xn(lnx)ndx=xn+1n+1i=0n(1)i(n)i(n+1)i(lnx)ni

テンプレート:Math から テンプレート:Math まで積分すると、右辺の和は最後の項を除いてすべて消滅[2]し、次のようになる。

1n!01xn(lnx)ndx=1n!1n+1n+1(1)n(n)n(n+1)n=(1)n(n+1)(n+1).

現代的な観点から言えば、これは(縮尺の違いを除いて)異なる積分区間で第二種オイラー積分の計算をしているのに等しい。第二種オイラー積分自体も上と似たような手続きで計算することができる。

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:Refbegin

テンプレート:Refend

関数

テンプレート:Refbegin

テンプレート:Refend

関連項目

  1. ただし テンプレート:Mvar が素数であるとき、標数が テンプレート:Mvarおよび単位的可換環では成立する。また、正しい等式は二項定理により与えられる。
  2. ロピタルの定理より limx0+xm(lnx)n=0 であるから、テンプレート:Math のとき全ての項が消滅する(ベルヌーイはこの詳細を省いた)。また テンプレート:Math であるから、テンプレート:Math のとき最後の項を除いて全て消滅する。