四極子

四極子（横型）

電気四極子の等ポテンシャル面

四極子（しきょくし、テンプレート:Lang-en-short）または四重極とは、モーメントが等しい双極子が、2個逆向きに接近して並んでいるような単極子の分布をいう。単極子を正方形状に配置したものと、直線状に配置したものがあり、それぞれ横型、縦型と呼び分けられる。 また、有限の大きさの電荷分布が作る場をテンプレート:仮リンクしたときにも現れる。

電荷の分布を電気四極子、磁荷の分布を磁気四極子という。電磁気学においては単に四極子といえば、電気四極子を指すことが多い。

電気四極子モーメントは2階の対称テンソルであり、以下のように定義される :

$Q_{ij}=\int \mathrm{d}V\rho (𝒓)r_i{r}_j$

ここで、$\rho (𝒓)$ は位置 $𝒓$ における電荷密度で、添字 $i,j\in \{x,y,z\}$ である。直積を用いると

$𝑸=\int \mathrm{d}V\rho (𝒓)𝒓\otimes 𝒓$

あるいはトレースなしのテンソルとして以下のように定義される:

$\begin{array}{cc}{\mathrm{\Theta }}_{ij}& =\frac{1}{2}\int \mathrm{d}V\rho (𝒓)(3r_i{r}_j-{\delta }_{ij}{r}^2)=\frac{1}{2}[3Q_{ij}-{\delta }_{ij}(Q_{xx}+Q_{yy}+Q_{zz})]\\ \mathrm{\Theta }& =\frac{1}{2}\int \mathrm{d}V\rho (𝒓)(3𝒓\otimes 𝒓-1r^2)=\frac{1}{2}(3𝑸-1\mathrm{tr}𝑸)\end{array}$

$\delta$ はクロネッカーのデルタである。

電気四極子モーメントによる電位 $\varphi$ は

$\varphi =\frac{1}{4\pi ϵ}\frac{{𝒓}^{⊺}\mathrm{\Theta }𝒓}{r^5}$

で与えられる。$ϵ$ は 誘電率 である。

一般に四極子のポテンシャルφは単極子のそれφ_monopole の空間についての2階微分で表される。

$\varphi \propto \frac{{\partial }^2}{\partial x\partial y}{\varphi }_{\mathrm{m}\mathrm{o}\mathrm{n}\mathrm{o}\mathrm{p}\mathrm{o}\mathrm{l}\mathrm{e}}$　（横型）

$\varphi \propto \frac{{\partial }^2}{\partial x^2}{\varphi }_{\mathrm{m}\mathrm{o}\mathrm{n}\mathrm{o}\mathrm{p}\mathrm{o}\mathrm{l}\mathrm{e}}$　（縦型）

また、音響学においても用いられ、音源の一種として扱われる。

参考文献

• 『物理学辞典』 培風館、1984年

関連項目

• 単極子
• 双極子
• テンプレート:仮リンク
• 四重極磁石