ヘンゼルの補題

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数学ヘンゼルの補題(ヘンゼルのほだい、テンプレート:Lang-en-short)とは、1変数多項式素数 テンプレート:Mvar を法としてテンプレート:仮リンクを持つならば、その根は テンプレート:Math の任意の冪乗を法とする根に一意的に持ち上げられるという、合同算術における補題である。この補題は、多項式が法 テンプレート:Math で2つのテンプレート:仮リンク因数分解できるならば、その因数分解は テンプレート:Math の任意の冪乗を法とする因数分解に持ち上げることができるという補題に一般化できる。因数分解に現れる多項式の次数が1の場合が根の場合に相当する。ヘンゼルの持ち上げ補題テンプレート:Lang-en-short)とも呼ばれる。名称はクルト・ヘンゼルに因む。

テンプレート:Mvar の冪指数を無限に大きくしていったときの(射影極限の意味での)極限を取ることにより、法 テンプレート:Mvar での根(または因数分解)を [[P進数|テンプレート:Mvar 進整数]]上での根(または因数分解)に持ち上げることができる。

この補題は、任意の可換環を係数とする多項式に対して、テンプレート:Mvarイデアル、「互いに素な2つの多項式」を「2つの多項式が生成するイデアルが1を含む」に置き換えることにより一般化できる。一般化された補題も同じ名前で呼ばれる。

ヘンゼルの補題は、解析的整数論の一分野である [[p進解析|テンプレート:Mvar 進解析学]]の基礎である。

ヘンゼルの補題の証明はテンプレート:仮リンクであり、証明からヘンゼル持ち上げの効率的なアルゴリズムが得られる。これは多項式の因数分解のアルゴリズムの基礎である。また有理数体上の線型代数学についての最も効率の良いアルゴリズムが得られるテンプレート:要検証

ヘンゼルの補題は、ヘンゼルよりも早く1846年にテンプレート:仮リンクによって証明されていたテンプレート:Sfn。また、「存在」についての主張だけならシェーネマンよりも早くカール・フリードリヒ・ガウスによっても知られていたテンプレート:Sfn

還元と持ち上げ

還元と持ち上げを図で表したもの。還元は何の困難もなく行えるが、持ち上げは可能ではないこともある。また、可能であっても一意でないこともある。

もともとのヘンゼルの補題は、整数を係数とする多項式の因数分解と、素数 テンプレート:Mvar、もしくはその冪乗をとする剰余類環を係数とする多項式の因数分解との関係についてのものであった。素数 テンプレート:Mvar極大イデアルに置き換えることで、この補題は整数から任意の可換環へそのまま一般化できる( の極大イデアルはある素数 テンプレート:Mvarp と書けるのであった)。

この一般化を正確に書くためには、整数の場合の合同算術を一般化しておく必要があるので、この文脈で通常使われる用語を正確に定義しておこう。

テンプレート:Mvar を可換環、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarイデアルとする。テンプレート:Mvar の元をテンプレート:仮リンク RR/I による像で置き換えることを、テンプレート:Mvar法とする還元、または テンプレート:Mvar での還元と呼ぶ。

例えば、fR[X]テンプレート:Mvar 係数の多項式とするとき、その テンプレート:Mvar を法とする還元 fmodI とは、テンプレート:Mvar の係数を R/I での像に置き換えることで得られる (R/I)[X]=R[X]/IR[X] の多項式のことをいう。R[X] の2つの多項式 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が法 テンプレート:Mvar で係数が等しくなるとき、つまり fgIR[X] であるとき、この2つの多項式は法 テンプレート:Mvar合同であるといい、fg(modI) で表す。hR[X] の法 テンプレート:Mvar での因数分解とは、テンプレート:Mvar を法 テンプレート:MvarR[X] の2つ(以上)の多項式 テンプレート:Mvar の積として書き表す hfg(modI) ことをいう。

持ち上げとは還元の逆の操作である。つまり、R/I の元を使って表されている対象があったとき、持ち上げとは対象の性質を保ったまま還元するとこの対象に等しくなるように R(もしくはある テンプレート:Math に対する R/Ik)の元に置き換えることをいう。

例えば、多項式 hR[X] が法 テンプレート:Mvarhfg(modI) と因数分解されているとき、この因数分解を法 Ik へ持ち上げるとは、多項式 f,gR[X] であって ff(modI), gg(modI), hfg(modIk) を満たすものを見つけることである。ヘンゼルの補題は、この因数分解の持ち上げが緩い条件のもとで常に可能であることを主張するものである。

ヘンゼルの補題の主張

元々のヘンゼルの補題は、整数を係数とする多項式の素数 テンプレート:Mvar を法とする因数分解テンプレート:Mvar の冪乗を法とする因数分解、もしくは [[p進数|テンプレート:Mvar 進整数環]]上の因数分解に持ち上げることを主張(そして証明)するものであった。この補題は、整数を任意の可換環、素数を極大イデアル、そして テンプレート:Mvar 進整数環をその極大イデアルについての完備化に置き換えることで簡単に一般化できる。証明の仕方も同じである。この一般化された補題も広く用いられる。本記事で述べるのもこれである。

テンプレート:Mvar を可換環、𝔪 をその極大イデアルの1つ、そして

h=α0Xn++αn1X+αn

R[X]多項式最高次の係数 α0𝔪 に含まれないものとする。

𝔪 を極大イデアルとしているので、 その剰余環 R/𝔪である。したがって (R/𝔪)[X]単項イデアル整域なので、 特に一意分解環である。これは、任意のゼロではない (R/𝔪)[X] の多項式は (R/𝔪) のゼロでない元とモニック(最高次の係数が1という意味)な既約多項式の積として一意的にかけることを意味する。

ヘンゼルの補題は、テンプレート:Mvar の法 𝔪 での互いに素な多項式への因数分解は、任意の テンプレート:Mvar に対して 𝔪k を法とする因数分解に一意的に持ち上げられることを主張する。

もう少し詳しく書くと、上述の仮定のもとで、法 𝔪 でモニックかつテンプレート:仮リンクな多項式 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar を使って hα0fg(mod𝔪) と分解できたとすると、全ての正の整数 テンプレート:Mvar に対してモニック多項式 fkgk が存在して次の式

hα0fkgk(mod𝔪k)fkf(mod𝔪)gkg(mod𝔪)

が成り立ち、しかもこのような性質を持つ fkgk は法 𝔪k で一意ということを主張する。

単根の持ち上げ

大切で特別な場合として f=Xr であるときを考える。この場合、互いに素という仮定は テンプレート:Mvarhmod𝔪単根であるということを意味する。したがってこの場合にはヘンゼルの補題の主張は次のようになる(これもヘンゼルの補題と言われる)。

記号と仮定は今までと同じとし、テンプレート:Mvarhmod𝔪 の単根とする。このとき、テンプレート:Mvar は全ての正の整数 テンプレート:Mvar に対して hmod𝔪n の単根に一意的に持ち上げることができる。つまり、任意の正の整数 テンプレート:Mvar 対して hmod𝔪n の単根 rnR/𝔪n であって rnr(mod𝔪) を満たすものが一意的に存在する。

完備化への持ち上げ

全ての正の整数 テンプレート:Mvar に対して R/𝔪n に持ち上げることができるので、テンプレート:Mvar を限りなく大きくしていったときの"極限"を考えたくなる。これが [[p進数|テンプレート:Mvar 進整数]]が考案された主な理由の1つである。

テンプレート:Mvar を可換環、𝔪 を極大イデアルとすると、𝔪 のベキたちは テンプレート:Mvar𝔪 進位相と呼ばれる位相についての基本近傍系になる。この位相による完備化は局所環 R𝔪 の完備化と同一視でき、また射影極限 limR/𝔪n とも同一視できる。この完備局所環は R^𝔪 と一般的に書き表される。テンプレート:Mvar が整数環で 𝔪=pテンプレート:Mvar は素数)であるときには、この完備局所環は テンプレート:Mvar 進整数環 p である。

完備化の射影極限を使った定義と上述のヘンゼルの補題の主張から、多項式 hR[X] の法 𝔪 での因数分解がどの2つの因子を取っても互いに素であるなら、それは テンプレート:MvarR^𝔪[X] における像の因数分解に一意的に持ち上げられることが導かれる。同様に、テンプレート:Mvar の法 𝔪 での任意の単根は テンプレート:MvarR^𝔪[X] における像の単根に持ち上げられる。

証明

ヘンゼルの補題は、R/𝔪n での因数分解を R/𝔪n+1 での因数分解に持ち上げる(#1次持ち上げ)ことを繰り返すか、または R/𝔪2n での因数分解に持ち上げる(#2次持ち上げ)ことを繰り返すことにより証明されることが多い。

証明では、体を係数とするテンプレート:仮リンクに対してベズーの等式が成り立つということが重要な役割を果たす。ベズーの等式とは、(ここで使うのは R/𝔪 の場合)を係数とする互いに素な1変数多項式 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar があったとすると、ある多項式 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar であって、dega<degg かつ degb<degf かつ次の式

af+bg=1

を満たすものが存在するということである。

ベズーの等式が成り立てば 𝔪 が極大イデアルではなくともヘンゼルの補題を証明することができる。

それゆえ、以下では テンプレート:Mvar を可換環、テンプレート:Mvar をそのイデアルhR[X] を最高次係数が法 テンプレート:Mvar で可逆(R/I における像が R/I可逆元ということ)な多項式、テンプレート:Mvar もしくは テンプレート:Mvar の冪乗を法とする テンプレート:Mvar因数分解に現れる因子が法 テンプレート:Mvar でベズーの等式を満たす、という設定のもとで証明を行う。証明では、AB(modI) という式で ABIR[X] であることを表すことにする。

1次持ち上げ

テンプレート:Mvar可換環テンプレート:Mvar をそのイデアルhR[X]テンプレート:Mvar 係数の1変数多項式最高次の係数 α が法 テンプレート:Mvar で可逆(αR/I における像が R/I可逆元という意味)であるものとする。

そして何らかの正の整数 テンプレート:Mvar に対して

hαfg(modIk)

と因数分解でき、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarモニック多項式で法 テンプレート:Mvar で互いに素だったとする。ここで、"互いに素"というのはある a,bR[X] が存在して af+bg1(modI) という意味で使っている。このとき、多項式 δf,δgIkR[X] であって degδf<degf かつ degδg<degg かつ次の式

hα(f+δf)(g+δg)(modIk+1)

が成り立つものが存在する。しかもこれらの条件が成り立つ δfδg は法 Ik+1R[X] で一意的に定まる。

そして f+δfg+δgテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が満たすベズーの等式を同様に満たす。つまり a(f+δf)+b(g+δg)1(modI) が成り立つ。なぜ直前の主張からすぐにわかるこのことをあえて述べたかというと、テンプレート:Mvar の値を1つ大きくして反復計算を進めるときに、これが次のステップでの前提条件が満たされていることを意味するからである。

次に示す証明は、R/I または Ik/Ik+1 を係数とする多項式だけを使って δfδg を計算することによりなされている。R=I=p の場合には、これは法 テンプレート:Mvar での剰余類だけを使って計算できることを意味する。

証明: 仮定から α は法 テンプレート:Mvar で可逆である。したがって、ある βRγIR[X]αβ=1γ を満たすものが存在する。

多項式 δhIkR[X] を、次数が degh 未満で

δhhαfg(modIk+1)

が成り立つものとする。δh=hαfg と置いてもよいが、他のものを選んだ方が計算が簡単になることがある。例えば R=I=p の場合には、係数が区間 テンプレート:Nowrap に入る整数係数の多項式 δ'h を使って δh=pkδ'h と表せるようなものを取ることができるので、こう取ったほうがよい。

テンプレート:Mvar はモニックなので、多項式に対する除法の原理aδhテンプレート:Mvar に適用し、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvaraδh=qg+c かつ degc<degg となるものを見つけることができる。この テンプレート:Mvarテンプレート:MvarIkR[X] に入っている。同様に、q,dIkR[X]bδh=qf+d かつ degd<degf となるものを取る。

このとき q+qIk+1R[X] である。実際、まず

fc+gd=afδh+bgδhfg(q+q)δhfg(q+q)(modIk+1)

が成り立っている。fg はモニックなので、fg(q+q) の法 Ik+1 での次数が degfg の次数よりも小さくなるのは q+qIk+1R[X] のときだけである。

こうして、 Ik+1 を法とする合同を考えることにより次の式

α(f+βd)(g+βc)hαfgh+αβ(f(aδhqg)+g(bδhqf))δh(1+αβ(af+bg))αβfg(q+q)0(modIk+1)

が成り立つことがわかる。そして、

δf=βd,δg=βc

と置けば求めるものになっているので、存在が示せた。

一意性

記号 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarα は前節と同じとする。テンプレート:Mvar

hαfg(modI)

と、degf0+degg0=degh となる互いに素な多項式(前述の意味で)に因数分解できたとする。1次持ち上げを k=1,2,,n1 に適用して、多項式 δfδg であって degδf<degf かつ degδg<degg かつ次の式

hα(f+δf)(g+δg)(modI)n

を満たすものの存在がわかる。この多項式 δfδg は法 In で一意に定まる。つまり、同じ条件を満たす組 (δ'f,δ'g) が他にあったとすると、

δ'fδf(modIn)andδ'gδg(modIn)

が成り立つ。

証明: In を法とする合同は In1 を法とする合同を意味するので、 数学的帰納法を使って証明する。 テンプレート:Math の場合は明らかである。 テンプレート:Math の場合の一意性は証明されているものと仮定する。つまり、

δfδ'fIn1R[X]andδgδ'gIn1R[X]

と仮定する。仮定により

hα(f+δf)(g+δg)α(f+δ'f)(g+δ'g)(modIn)

が成り立ち、これから

α(f+δf)(g+δg)α(f+δ'f)(g+δ'g)=α(f(δgδ'g)+g(δfδ'f))+α(δfδgδ'fδ'g)InR[X]

が成り立つ。帰納法の仮定から右辺の2番目の項は In に含まれ、(左辺もそうなので)同じことが初項についても成り立つ。α は法 テンプレート:Mvar で可逆なので、ある βRγI が存在して αβ=1+γ が成り立つ。これと帰納法の仮定から

f(δgδ'g)+g(δfδ'f)=αβ(f(δgδ'g)+g(δfδ'f))γ(f(δgδ'g)+g(δfδ'f))InR[X]

が成り立つ。

テンプレート:Mvar で互いに素という仮定から、ある a,bR[X] が存在して 1af+bg(modI) が成り立つ。帰納法の仮定をもう一度使うと

δgδ'g(af+bg)(δgδ'g)g(b(δgδ'g)a(δfδ'f))(modIn)

となる。したがって、次数が degg 未満の多項式が法 Inモニック多項式 テンプレート:Mvar ともう1つの多項式 テンプレート:Mvar の積と合同になったことになる。これが起こり得るのは wInR[X] の場合だけなので、これから δgδ'gInR[X] が得られる。同様に δfδ'fInR[X] に含まれることが示せるので、これで一意性が証明できた。

2次持ち上げ

1次持ち上げは法 In での因数分解を法 In+1 での因数分解に持ち上げるものであった。2次持ち上げでは法 I2n での因数分解に一気に持ち上げる。しかし、ベズーの等式の持ち上げも必要になり、(上述の1次持ち上げでは)法 テンプレート:Mvar での計算だけで済んだが法 In での計算が必要になるため、追加の計算コストがかかる。

どちらの方法でも大きな テンプレート:Mvar に対して法 IN まで持ち上げることができる。例えば N=2k の場合に法 IN まで因数分解を持ち上げるためには、1次持ち上げを使うと テンプレート:Math 回の反復計算が必要になるが、 2次持ち上げを使えば テンプレート:Math 回の反復計算で済む。しかし、2次持ち上げを使う方法では扱わなければならない係数のサイズが計算中に増大していく。これは、一番いい持ち上げの方法は、テンプレート:Mvar の値や テンプレート:Mvar の性質、 使用する乗算アルゴリズム、 ハードウェアの特性などの状況に依存することを意味するテンプレート:要出典

2次持ち上げは次の性質を利用する。

ある正の整数 テンプレート:Mvar に対して因数分解

hαfg(modIk)

があったとし、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarモニック多項式で、ある a,bR[X] が存在し af+bg1(modIk) が成り立つという意味で法 テンプレート:Mvar で互いに素だったとする。このとき、ある多項式 δf,δgIkR[X] が存在し、degδf<degf かつ degδg<degg かつ

hα(f+δf)(g+δg)(modI2k)

が成り立つ。さらに f+δfg+δg は次の形のベズーの等式

(a+δa)(f+δf)+(b+δb)(g+δg)1(modI2k)

を満たす(つまり2次持ち上げの反復計算を行うための前提が満たされる)。

証明: 最初の主張は1次持ち上げを テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の代わりにイデアル Ik に対して適用することでわかる。

α=af+bg1IkR[X] と置く。次の式

a(f+δf)+b(g+δg)=1+Δ

が、

Δ=α+aδf+bδgIkR[X]

と置くことで成り立つ。2つの多項式を δa=aΔδb=bΔ で定めると

(a+δa)(f+δf)+(b+δb)(g+δg)=1Δ2I2kR[X]

が成り立つ。これで2番目の主張も証明できた。

具体例

多項式 f(X)=X62[X] を考えよう。

この多項式に対して法2でのヘンゼルの補題を適用することはできない。なぜなら f(X) を法 2 で還元すると単に [1]pg 15-16

f¯(X)=X62=X6

となり、この6つの因子 X はどの2つを取っても互いに素ではないからだ。しかし、アイゼンシュタインの既約判定法を使って多項式 f(X)2[X] で既約であることは示せる。

一方、k=𝔽7 では

f¯(X)=X62=X616=(X34)(X3+4)

となる。4𝔽7 における2の平方根である。4は 𝔽7 における立方数ではないので、この2つの因子は 𝔽7 上既約である。したがって X627[X](または7[X])における既約多項式への因数分解は

f(X)=X62=(X3α)(X3+α),

となる。ここで α=4504547テンプレート:Efn7 における2の平方根で、先ほどの因数分解を持ち上げることで得られる。

最後に、この多項式は 𝔽727[X] においては

f¯(X)=X62=(X3)(X116)(X119)(X608)(X611)(X724)

と分解する。これらの因子はどの2つを取っても互いに素なので、727[X](または727[X])において6つの多項式 Xβ の積に分解する。β は(有理数ではない)727進数

β={3+545727+5377272+1617273+116+48727+1307272+4987273+119+593727+6677272+6597273+608+133727+597272+677273+611+678727+5967272+2287273+724+181727+1897272+5657273+

である。

微分を用いた根の持ち上げ

f(x)整数(または テンプレート:Mvar 進整数)を係数とする多項式とし、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar を満たす正の整数とする。整数 テンプレート:Mvar に対して

f(r)0modpkandf(r)≢0modp

が成り立ったとする。このとき、任意の m>0 に対してある整数 テンプレート:Mvar が存在して

f(s)0modpk+mandrsmodpk

が成り立つ。この テンプレート:Mvar は法 テンプレート:Math で一意であり、次の式

s=rf(r)a

で具体的に計算できる整数である。ここで a は次の式

a[f(r)]1modpm

を満たす整数である。先程の式で テンプレート:Mvar を定めれば、f(r)0modpk なので条件 srmodpk は満たされている。なお、f(r)0modp であるときは、持ち上げ テンプレート:Mvar は存在しないかもしれないし複数存在するかもしれない(あとで「#ヘンゼル持ち上げ」で例示する)。

証明

テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar まわりでのテイラー展開

f(s)=n=0Ncn(sr)n,cn=f(n)(r)/n!

を使う。rsmodpk なのである整数 テンプレート:Mvar が存在して テンプレート:Math とかける。これを使うと

f(s)=n=0Ncn(tpk)n=f(r)+tpkf(r)+n=2Ncntnpkn=f(r)+tpkf(r)+p2kt2g(t)g(t)[t]=zpk+tpkf(r)+p2kt2g(t)f(r)0modpk=(z+tf(r))pk+p2kt2g(t)

と計算できる。mk としていたので、

f(s)0modpk+m(z+tf(r))pk0modpk+mz+tf(r)0modpmtf(r)zmodpmtz[f(r)]1modpmpf(r)

である。f(r)テンプレート:Mvar で割り切れないという仮定から、f(r) は法 pm で逆元を持ち、しかもそれは一意でなければならない。したがって、最後の式の テンプレート:Mvar についての解は法 pm で一意に存在し、テンプレート:Mvar は法 pk+m で一意に存在する。

関連する諸結果

多項式の既約性判定

テンプレート:出典の明記

仮定は今までと同じとし、既約多項式

f(x)=a0+a1x++anxnK[X]

a0,an0 だったとすると、

|f|=max{|a0|,|an|}

である。f(X)=X6+10X1 の場合だと、2[X]

|f(X)|=max{|a0|,,|an|}=max{0,1,0}=1

であるが、max{|a0|,|an|}=0 なので、この多項式は既約ではありえない。一方 7[X] では両方の値が等しいので既約である可能性がある。 既約であるかどうか決定するためにはニュートンの多角形を使う必要がある[2]pg 144

フロベニウス

a𝔽p に対してフロベニウス自己準同型 ()()p による多項式 xpa を考える。この微分は

ddxxpa=pxp10xp1modp0modp

となり常にゼロである。テンプレート:要検証

1の冪根

1の p 乗根は 𝔽p に存在しないが、方程式 xpx=x(xp11) の解は存在する。次の式

ddxxpx=pxp111modp

は決してゼロにならないので、解が存在すればそれは p に持ち上げることができる。フロベニウスにより ap=a なので、ゼロではない元全体 𝔽p× が解全体である。実は、p に含まれる1の冪根はこれらだけである[3]

ヘンゼル持ち上げ

補題を使って、多項式 テンプレート:Mvar の法 テンプレート:Math での根 テンプレート:Mvar を 法 テンプレート:Math での新しい根 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar mod テンプレート:Math となるように持ち上げることができる。 (テンプレート:Math と取る。数学的帰納法により大きい テンプレート:Mvar はしたがう)。

また、法 テンプレート:Math での根は法 テンプレート:Math での根でもあるので、法 テンプレート:Math での根はすべて法 テンプレート:Math での根の持ち上げである。

持ち上げた根 テンプレート:Mvar は法 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar と合同なので、 新しい根も f(s)f(r)≢0modp を満たす。

したがって、 最初の根 テンプレート:Mathf(rk)≢0modp を満たせば持ち上げの操作は繰り返すことができ、f(x)0modpk の解 テンプレート:Math からはじめて、テンプレート:Mvar の高次冪に対して同じ合同式を満たす解の数列 テンプレート:Math, テンプレート:Math, ... を作れる。

このことはまた、 テンプレート:Mvar の法 テンプレート:Math での根が全て単根であれば、 テンプレート:Mvar の法 テンプレート:Math での根の数は法 テンプレート:Math, テンプレート:Math, ... での根の数と同じであることを示している。

テンプレート:Mvar が法 テンプレート:Math で単根になっていないとき、このプロセスでは何が起きているのであろうか? これを見るために、次の状況

f(r)0modpkandf(r)0modp

を考えよう。このとき、srmodpkf(s)f(r)modpk+1 を意味する。つまり任意の整数 テンプレート:Mvar に対して f(r+tpk)f(r)modpk+1 が成り立つ。それゆえ次の2つの場合がある。

例: テンプレート:Math として両方のケースを見てみよう。

f(x)=x2+1 とし、テンプレート:Math とする。このとき、f(1)0mod2f(1)0mod2 である。f(1)≢0mod4 なので、1の法4への持ち上げで テンプレート:Math の法4での根になるものは存在しない。

g(x)=x217テンプレート:Math とする。すると g(1)0mod2 かつ g(1)0mod2 である。また、g(1)0mod4 であるので、この解を法4へ持ち上げることができ、2つの持ち上げ(1と3)はともに解である。これらの解に対しても微分は法2でやはり0であるので、アプリオリにはこれらを法8に持ち上げられるかどうかは分からない。しかし実際には テンプレート:Mathテンプレート:Math も法8で0と合同であるので持ち上げることができる。法8では1, 3, 5, 7が解である。これらの中で テンプレート:Mathテンプレート:Math だけが法16で0なので、1と7だけが法16に持ち上げることができ、それらは1, 7, 9, 15である。これらの中では7と9だけが テンプレート:Math なので、同様に法32での解7, 9, 23, 25が得られる。任意の整数 テンプレート:Math に対して法2での テンプレート:Math の根1の法 テンプレート:Math の根への持ち上げは4つ存在することがわかる。

テンプレート:Mvar 進数の場合のヘンゼルの補題

テンプレート:Mvar 進数では、テンプレート:Mvar の冪乗を法とする有理数の合同類というものを、分母が テンプレート:Mvar の倍数でなければ考えることができる。このことを使うと、 法 テンプレート:Math での根 テンプレート:Math から法 テンプレート:Math での根 テンプレート:Math を求める反復計算をずっと直感的に行うことができる。次の合同式

tf(rk)(f(rk)/pk)modpm

を解いて整数 テンプレート:Mvar を見つける代わりに、有理数 テンプレート:Mvar を次の式

(f(rk)/pk)/f(rk)

で定める。分母に テンプレート:Math が出てくるように見えるが、 テンプレート:Mathテンプレート:Math で割れるため実際には出てこない。そして

rk+1=rk+tpk=rkf(rk)f(rk)

と置く。これは整数にはならないかもしれないが、テンプレート:Mvar 進整数にはなっている。数列 テンプレート:Math はある テンプレート:Mvar 進整数 に収束し、極限は テンプレート:Math の解になっている。そして、テンプレート:Math から テンプレート:Math を計算する漸化式をよく見てみると、実数の場合における求根アルゴリズムであるニュートン法の漸化式とまったく同じになっている。

テンプレート:Mvar 進数の中で計算を行い [[p進付値|テンプレート:Mvar 進絶対値]]を使うことで f(a)0modp となってしまう テンプレート:Math の解についても使えるようにしたヘンゼル補題がある。f(a) が0になってしまわないことは必要である。この一般化されたヘンゼルの補題は次のようになる。整数 テンプレート:Mvar

|f(a)|p<|f(a)|p2

を満たすものがあったとすると、テンプレート:Mvar 進整数 テンプレート:Mvarテンプレート:Math かつ |ba|p<|f(a)|p となるものが一意的に存在する。この テンプレート:Mvar を作るにはニュートン法の漸化式が初期値 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 進数に収束することを示しその極限を テンプレート:Mvar と置けばよい。条件 |ba|p<|f(a)|p を満たす根として テンプレート:Mvar が一意であることを示すには追加の議論がいる。

先ほどのヘンゼルの補題の m=1 の場合はこの一般化された補題の特殊な場合になっている。条件 テンプレート:Mathf(a)≢0modp|f(a)|p<1|f(a)|p=1 を意味するからである。

テンプレート:Mvar を奇素数、テンプレート:Mvar を0ではない テンプレート:Mvar を法とする平方剰余とする。このとき、テンプレート:Mvar 進整数環 p の中に テンプレート:Mvar の平方根が存在することをヘンゼルの補題を使って示すことができる。これを見るために f(x)=x2a と置く。テンプレート:Mvar を法 テンプレート:Mvar での テンプレート:Mvar の平方根とすると

f(r)=r2a0modpandf(r)=2r≢0modp

が成り立つ。2番目の式は テンプレート:Mvar が奇数であることによる。基本形のヘンゼルの補題を使って、テンプレート:Math から出発して反復計算を行うことにより整数の列 {rk}

rk+1rkmodpk,rk2amodpk

が成り立つように作ることができる。この列はある テンプレート:Mvar 進整数 テンプレート:Mvar に収束し テンプレート:Math を満たす。

この テンプレート:Mvar は、法 テンプレート:Mvarテンプレート:Math と合同になる p における テンプレート:Mvar の唯一の平方根である。逆に、テンプレート:Mvarp の平方数で テンプレート:Mvar で割り切れないものとすると、 これは0ではない法 テンプレート:Mvar での平方剰余である。テンプレート:Mvar が法 テンプレート:Mvar でゼロではない平方剰余かどうかは平方剰余の相互法則で簡単に判定できるので、これで(奇素数 テンプレート:Mvar に対する)テンプレート:Mvar 進数が テンプレート:Mvar 進平方根を持つかどうかを決定する実用的な方法が得られたことになる。テンプレート:Math の場合にも、一般化されたヘンゼルの補題を用いることでこの方法を拡張することができる(17の2進平方根の例を後で見る)。

以上の議論をもっと具体的に理解するために、7進整数環の中で"2の平方根"、つまり方程式 x22=0 の解を見つけてみよう。この方程式の法7での解の1つは3(もう1つの解は4)なので、r1=3 としよう。ヘンゼルの補題における r2 の計算式に現れる各種の数値は

f(r1)=322=7f(r1)/p1=7/7=1f(r1)=2r1=6

となる。これらの式から、次の式

tf(r1)(f(r1)/pk)modp

t61mod7

となり、これは t=1 を意味する。したがって、

r2=r1+tp1=3+17=10=137

と計算できた。簡単に確かめられるように、1022mod72 が成り立っている(ニュートン法の反復を直接7進数で使うと、r2=r1f(r1)/f(r1)=37/6=11/6 となる。11/610mod72 なので整合している)。

次の反復計算を行うと r3=108=3+7+272=2137 となる。この計算を1回繰り返すごとに(つまり テンプレート:Mvar の値が1つ増えていく度に)次の7の冪乗の項が追加され7進数での桁が1つが増えていく。7進整数環の中でこの数列は収束し、その極限は 7 での2の平方根となる。その7進展開の初めの方は

3+7+272+673+74+275+76+277+478+

となる。

最初に r1=4 を選んだ場合でも 7 における2の平方根が得られる。 これは法7で3ではなく4に合同になるもので、実は最初に得られた平方根を-1倍したものになっている(これは テンプレート:Math であることと辻褄があっている)。

元々のヘンゼルの補題は適用できないが一般化されたものなら適用できる例として f(x)=x217 を考える。a=1 とすると f(a)=16 であり、また f(a)=2 であるので、

|f(a)|2<|f(a)|22

が成り立つ。これから、ある2進整数 テンプレート:Mvar

b2=17and|ba|2<|f(a)|2=12

を満たすものが一意に存在する。二番目の式は テンプレート:Math を意味する。2進整数の中には17の平方根が2つ存在し、それらは符号が異なり、法2では合同であるが法4では合同ではない。これは、一般化された形のヘンゼルの補題から得られるのが法2ではなく法4で1と合同な17の2進平方根で、法4で一意であることと整合的である。最初の近似根として テンプレート:Math を取った場合でも一般化されたヘンゼルの補題を適用することができ、法4で3と合同になる唯一の17の2進平方根をやはり見つけることができる。これがもう1つの17の2進平方根である。

x217 の根を法 テンプレート:Math から法 テンプレート:Math へ持ち上げるやり方の場合、法2での根1からの持ち上げの過程は次のようになる。

テンプレート:Mathテンプレート:Math に持ち上がる。
テンプレート:Mathテンプレート:Math に、テンプレート:Mathテンプレート:Math に持ち上がる。
テンプレート:Mathテンプレート:Math に、テンプレート:Mathテンプレート:Math に持ち上がる。一方、テンプレート:Mathテンプレート:Mathテンプレート:Math での根に持ち上がらない。
テンプレート:Mathテンプレート:Math に、テンプレート:Mathテンプレート:Math に持ち上がる。一方、テンプレート:Mathテンプレート:Mathテンプレート:Math での根に持ち上がらない。

テンプレート:Mvar が3以上であれば テンプレート:Math には4つの根がある。しかし2進極限は2つしかない。持ち上げられた根と極限の2進展開を比べてみよう。例えば、法32での4つの根を法16で等しくなるものを組にして書くと次のようになる。

テンプレート:Mathテンプレート:Math
テンプレート:Mathテンプレート:Math

一方、17の2進平方根の展開は

1+23+25+26+27+29+210+
1+2+22+24+28+211+

となっている。

基本形は使えないが一般化された形のヘンゼルの補題なら使えるもう1つの例として、テンプレート:Math である任意の3進整数は 3 で立方数になることの証明を見よう。f(x)=x3c と置き、最初の近似根として テンプレート:Math を取る。任意の テンプレート:Mvar に対して f(r)0mod3 となってしまうので、基本形のヘンゼルの補題を使って テンプレート:Math の根を見つけることはできない。

一般形のヘンゼルの補題を適用するためには |f(1)|3<|f(1)|32 である必要がある。これは c1mod27 ということである。つまり、 テンプレート:Math であれば一般形のヘンゼルの補題から テンプレート:Math が3進根を持つことがわかり、テンプレート:Mvar が3進立方数であることがわかる。しかし、 テンプレート:Math というより弱い条件のもとでこの結果が欲しい。テンプレート:Math であれば、テンプレート:Math である。この3つの テンプレート:Math の値に応じて初期値を使い分けて一般形のヘンゼルの補題を適用する。テンプレート:Math なら、テンプレート:Math を使う。テンプレート:Math なら、テンプレート:Math を使う(4は法27での テンプレート:Math の根)。テンプレート:Math なら、テンプレート:Math を使う。なお、任意の テンプレート:Math は3進立方数になる、という主張は正しくない。例えば、4は法9で立方数にならないので3進立方数ではない。

同様にして、少し準備が必要だが、ヘンゼルの補題を使って任意の奇素数 テンプレート:Mvar に対して法 テンプレート:Math で1と合同な全ての テンプレート:Mvar 進整数 テンプレート:Mvarpテンプレート:Mvar 冪乗数であることを示すことができる(テンプレート:Math の場合はこれは成り立たない)[4]

多変数への一般化

1つの多項式

ヘンゼルの補題は多変数の多項式への一般化もある。テンプレート:Math を整数係数の多項式とし、ディオファントス方程式

テンプレート:Math

を考える。これがある素数 テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Mathテンプレート:Mvar は非負整数)で解 テンプレート:Nowrap を持ったとする。つまり テンプレート:Math が成り立ったとする。さらに、少なくとも1つの変数について テンプレート:Mvar の偏微分の テンプレート:Math における値が テンプレート:Math でゼロではなかったとする。このとき、テンプレート:Mathテンプレート:Mathテンプレート:Math と等しい テンプレート:Math での解に持ち上がるテンプレート:Sfn。同様に テンプレート:SubSup の解に持ち上げることもできるので、このディオファントス方程式は テンプレート:Mvar 進整数環 Zテンプレート:Mvar で解を持つテンプレート:Sfn

複数の多項式

テンプレート:Mvarイデアル 𝔪 について完備可換環とし、f(x)A[x] とする。次の式

f(a)0modf(a)2𝔪.

を満たす テンプレート:Math のことを テンプレート:Mvar の近似根と呼ぶ。テンプレート:Mvar が近似根を持つなら、テンプレート:Mvar に"近い"本当の根 テンプレート:Math も持つ。つまり、次の式

f(b)=0andbamod𝔪

を満たす テンプレート:Mvar が存在する。さらに、f(a) が零因子でないならば、テンプレート:Mvar は一意的である。

このことは多変数の場合に次のように一般化できる[5]

定理: テンプレート:Mvar を可換環でイデアル 𝔪A について完備なものとする。f1,,fnA[x1,,xn]テンプレート:Mvar 係数の テンプレート:Mvar 個の テンプレート:Mvar 変数多項式とする。𝐟=(f1,,fn)テンプレート:Math から自身への写像と考え、J𝐟(𝐱) をそのヤコビ行列とする。テンプレート:Math = テンプレート:Mathテンプレート:Math の近似解、つまり
fi(𝐚)0mod(detJ𝐟(a))2𝔪,1in
が成り立つものとする。このとき、ある テンプレート:Mathテンプレート:Math を満たすもの、つまり
fi(𝐛)=0,1in
が成り立つものが存在する。さらに、この解は
biaimoddetJ𝐟(a)𝔪,1in
が成り立つという意味で テンプレート:Math に"近い"解である。

この定理の特別な場合として、fi(𝐚)0mod𝔪 がすべての テンプレート:Mvar に対して成り立ち、しかも detJ𝐟(𝐚)テンプレート:Mvar の単数なら、解 テンプレート:Math ですべての テンプレート:Mvar に対して biaimod𝔪 が成り立つものが存在することがわかる。

テンプレート:Math の場合、 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の元で J𝐟(𝐚)=Jf(a)=f(a) である。したがって、この多変数のヘンゼルの補題の仮定は1変数の場合には通常のヘンゼルの補題の仮定と同じになっている。

関連概念

環が完備であることはヘンゼルの補題が成り立つための必要条件ではない。1950年に、東屋五郎は可換な局所環であって極大イデアル テンプレート:Math についてヘンゼルの補題が成り立つものをヘンゼル環と名付けた。

1950年代に永田雅宜は、任意の可換な局所環 テンプレート:Mvar とその極大イデアル テンプレート:Math に対して テンプレート:Mvar を含む環 テンプレート:Math であって テンプレート:Math についてヘンゼルの補題が成り立つような最小の環 テンプレート:Math が常に存在することを証明した。この テンプレート:Math のことを テンプレート:Mvarヘンゼル化と呼ぶ。テンプレート:Mvarネーターなら テンプレート:Math もネーターである。また、テンプレート:Mathテンプレート:仮リンクの極限として構成されるので代数的である。したがって、テンプレート:Math はヘンゼルの補題が成り立つにも関わらず、通常は完備化 テンプレート:Mvar よりもずっと小さく、同じに属しているテンプレート:要説明

脚注

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注釈

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出典

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参考文献

関連項目