接続 (ファイバー束)

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テンプレート:Pathnav テンプレート:Otheruses ファイバーバンドル接続(せつぞく、テンプレート:Lang-en-short)とは、ベクトルバンドルの接続概念(Koszul接続)を任意のファイバーバンドルに拡張したものである。

これにより、原理的には任意のファイバーバンドル上で接続の概念を考えられるようになるが、実際に研究が進んでいるのはベクトルバンドルの場合とそれに対応する主バンドルの場合、具体的にGLn()GLn()回転群SO(n)ユニタリ群U(n)シンプレクティック群Sp(n)スピン群Spin(n)等、一般線形群やその閉部分リー群に対する主バンドルの場合である。 なお、これらはそれぞれ実ベクトルバンドル、実計量ベクトルバンドル、複素ベクトルバンドル、複素計量ベクトルバンドル、シンプレクティックバンドル、テンプレート:仮リンクに対応する。

こうした群の場合、主バンドルの接続からベクトルバンドルの接続が定義でき、逆にベクトルバンドルの接続から主バンドルの接続が定義できる事を本章で見る。ファイバーバンドルの接続、特に主バンドルの接続を考える主目的はベクトルバンドルの接続を別の角度から捉え直す事にある。

チャーン・ヴェイユ理論では、特性類という主バンドルを使って特徴づけられる概念を用いるので、上記のように主バンドルに対して接続を定義することで、理論の記述が可能になる。

以下、本項では特に断りがない限り、多様体、関数、バンドル等は全てテンプレート:Mvar級の場合を考える。よって紛れがなければ「テンプレート:Mvar級」を省略して単に多様体、関数、バンドル等という。

名称に関して

ファイバーバンドルの接続のことをエーレスマン接続[1]テンプレート:Lang-en-short)と呼ぶ場合があるが[2]主バンドルに対する接続の事を「エーレスマン接続」と読んでいる書籍[3]もあるので注意が必要である[4]。なお主バンドル上においても両者の概念は同値ではなく、ファイバーバンドルの接続のうち構造群の作用に関して不変なものを主バンドルの接続と呼ぶ。

両者の区別のため、一般のファイバーバンドルの接続を一般の接続テンプレート:Lang-en-short[5])、主バンドルの接続を主接続テンプレート:Lang-en-short[6])と呼ぶ場合がある。

またファイバーバンドルの接続のうち、完備なもののみを「エーレスマン接続」と呼ぶ場合もある[7]。なおエーレスマン自身による定義では完備性を仮定していた[8]

動機

テンプレート:See also 本節では、ファイバーバンドルの接続、中でも特に主バンドルの接続を定義する動機を説明する。


リーマン多様体接バンドル上のレヴィ・チヴィタ接続、あるいはより一般に任意の多様体ベクトルバンドル接続はベクトルバンドルEM上の微分演算子テンプレート:Mvarによって定義されている。

テンプレート:Mvar上のベクトル場テンプレート:Mvarに対し行列ω(X)

(Xe1,,Xem)=(e1,,em)ω(X)

により定義し、テンプレート:Mvarω(X)を対応させる行列値の1-形式ω=(ωij)ijを局所的な基底(e1,,em)に関する接続テンプレート:Mvar接続形式テンプレート:Lang-en-short)という[9]

テンプレート:Mvarが定義する共変微分はライプニッツ則により、

Xs=X(sj)ej+siωij(X)ej

とかけるので、接続形式テンプレート:Mvarが分かれば接続テンプレート:Mvarが再現でき、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarは1対1対応する。ここでs=sjejテンプレート:Mvarの切断である。

実はむしろテンプレート:Mvarから接続概念を定義したほうが、数学的に有利である事が示唆され、このアイデアを結実したのが主バンドルの接続概念である。

接続形式テンプレート:Mvarから接続概念を定義したほうが有利な理由は2つある。第一に、リーマン多様体であればテンプレート:Mvarから定義される曲率テンソルを使って記述できた恒等式、例えば(第二)構造方程式や(第二)ビアンキ恒等式は、一般のベクトルバンドルではテンプレート:Mvarを使わないと記述できない(接続 (ベクトル束)#曲率を参照)。


第二に、接続概念において重要な役割を果たす平行移動の概念は接続形式テンプレート:Mvarと強く関係しており、底空間テンプレート:Mvarの曲線c(t)に沿って定義された局所的な基底(e1(t),,em(t))テンプレート:Mvarで微分したものが接続形式ω(dcdt(0))に一致する。

よって特に(レヴィ・チヴィタ接続などの)テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの計量と両立する接続の場合、テンプレート:Mvarによる平行移動は回転変換、すなわちSO(n)の元なので、その微分である接続形式テンプレート:MvarSO(n)のリー代数𝔰𝔬(n)の元、すなわち歪対称行列である[注 1]


このように接続形式を用いるとベクトルバンドルの構造群(上の例ではSO(n))が接続形式の構造をリー群・リー代数対応により支配している事が見えやすくなる。

上では回転群SO(m)の場合を説明したが、GLn()(を自然にGL2n()の部分群とみなしたもの)やUn()物理学で重要なシンプレクティック群スピン群に対しても同種の性質が証明でき、接続形式がリー群・リー代数対応により支配されている事がわかる。


こうした事実は接続概念を直接リー群と接続形式とで記述する方が数学的に自然である事を示唆する。後で説明する、リー群の主バンドルに対する接続はこのアイデアを定式化したもので、主バンドルの接続は接続形式に相当するものを使って定義される。


そこで本項では、まずベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の両方を包括する概念であるファイバーバンドルの接続概念を導入する。この概念は「そもそも平行移動とは何か」を直接的に定式化したもので、この概念それ自身が接続形式の言葉で記述されるわけではない。

そして次にファイバーバンドルの接続概念を用いて主バンドルの接続概念を定義すると同時に、主バンドルの接続を接続形式の言葉で再定式化する。そして構造群を持つファイバーバンドルにその主バンドルから接続を誘導する方法を説明する。そして最後にベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の接続形式の言葉で記述する。

ファイバーバンドルの接続の定義テンプレート:Anchors

ファイバーバンドルの接続概念は、ベクトルバンドルの接続における平行概念を自然に拡張する事で定義する。

定義の背後にある直観テンプレート:Anchors

π:EMをベクトルバンドルとし、テンプレート:MvarをこのバンドルのKoszul接続とする。テンプレート:Mvar上の任意の曲線テンプレート:Mathテンプレート:Math上の任意の切断テンプレート:Mathで平行なものに対し、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar上の曲線とみなしたときにdsdtが入るテンプレート:Mvarの部分空間を「水平部分空間」と呼ぶ。

以上のように接続テンプレート:Mvarから水平部分空間が定まるが、逆に水平部分空間の情報があれば接続を再現できる事も知られている。実際、dsdtが常に水平部分空間に入るような切断テンプレート:Mathを平行な切断とみなす事で水平部分空間から平行が再現でき、平行概念から接続概念を再現できる事も知られている[10]

よってベクトルバンドルの場合は接続概念は水平部分空間の概念は等価なので、一般のファイバーバンドルに対する接続を水平部分空間の概念を用いて定義する事にする。

定義

以上の考察を元に、ファイバーバンドルの接続を定義する。そのためにまず「垂直部分空間」という概念を定義する。π:EMをファイバーテンプレート:Mvarを持つファイバーバンドルとし、テンプレート:Mathテンプレート:Mvarの元とするとしテンプレート:Mvarが誘導する写像をπ*:TETMとするとき、

𝒱e:={ξTeEπ*(ξ)=0}=Te(Eπ(e))

を、テンプレート:Mvarにおけるテンプレート:Mvar垂直部分空間テンプレート:Lang-en-short)という[11][12]テンプレート:Refn。そしてファイバーバンドルの接続を以下のように定義する:テンプレート:Math theorem

分解

TeE=𝒱ee

があれば、テンプレート:Mvarの元の𝒱eへの射影

Ve:TeE𝒱e

すなわちKerVe=eVe|𝒱e=idとなる線形変換を定義できる。このテンプレート:Mvar垂直射影テンプレート:Lang-en-short[13])もしくは接続写像テンプレート:Lang-en-short[13])といい、接続写像によって接続概念を定式化することも可能である:

テンプレート:Math theorem後で述べるように、この垂直射影テンプレート:Mvarが主バンドルの接続の場合は接続形式に対応している。

ジェットバンドルによる特徴づけ

本節ではテンプレート:仮リンクの概念を用いる事でファイバーバンドルの接続を特徴づける。

ジェットバンドルの定義

π:EMをファイバーバンドルとし、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの点とする。テンプレート:Mvarの近傍で定義されたテンプレート:Mvarの2つの切断テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarに対し、

sssu=suands*|u=s'*|u

という同値関係を定義し、その同値類をju1sと書き、テンプレート:Mvarの1次のジェットテンプレート:Lang-en-short)というテンプレート:Refn。さらに同値類全体をJu1Eと書き、J1E=uMJu1Eとすると、

ju1sJ1EuM

によりテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar上のバンドルとみなせる。このバンドルをファイバーバンドルπ:EMに関する1次のジェットバンドルという。なお、

ju1sJ1EsuE

によりテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar上のバンドルとみなすこともできる。

ジェットバンドルを使った接続の特徴づけ

ジェットju1sを一つ指定すると、点suEにおける平面su:=s*(TuM)で垂直部分空間と𝒱susu={0}を満たすものが定義できる。逆に𝒱susu={0}を満たす平面suTsuEからジェットju1sが1つ定まる事も容易に示せる。


ファイバーバンドルπ:EMの接続とはテンプレート:Mvarの各点テンプレート:Mvar𝒱ee={0}を満たすeTeEを定めるものであったので、上述の議論から、これはテンプレート:Mvarの各点テンプレート:Mvarsπ(e)=eを満たすジェットju1sを定める事に等しく、テンプレート:Mvarの各点にそのようなジェットを定める行為は

ju1sJ1EsuE

の切断を定める行為に等しい。よってπ:EMの接続概念を以下のように定式化できる:

テンプレート:Math theorem

「切断」という「水平部分空間」よりも数学的に扱いやすい対象によって接続を定義できる点でこの定義は有益である。

諸概念

本節では、上記の接続の概念に基づいて、一般のファイバーバンドルに対して平行移動、共変微分、および曲率形式の概念を定義していく。 ベクトルバンドルの場合にこれらの概念がこれまで議論してきた平行移動、共変微分、および曲率形式の概念に一致する事は後述する。

平行移動

平行移動の概念を以下のように定義する: テンプレート:Math theorem接続の定義から、

π*|e:|eTπ(e)M

はベクトル空間としての同型であるので、この逆写像

Lifte:Tπ(e)Me

を考える事ができる。Lifte(v)vTπ(e)Mテンプレート:Mvarへの水平リフトテンプレート:Lang-en-short[14])といい、テンプレート:Mvarに水平リフトを対応させる写像 Lifte:Tπ(e)Meクリストッフェル写像テンプレート:Anchorsテンプレート:Lang-en-short[15])という事もある。この写像とクリストッフェル記号の関係は後述する。


水平リフトの定義から明らかなように、切断s(t)が平行である必要十分条件は

ddts(t)=Lifts(t)(ddtc(t))

を満たす事である。


常微分方程式ddts(t)=Lifts(t)(ddtc(t))の解の局所的な存在一意性から、平行移動は局所的に存在し、かつ一意である。

すなわちテンプレート:Mvarを曲線c(t)の時刻テンプレート:MvarのファイバーEc(t0)の元とするとき、(テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarに依存した)テンプレート:Mvarの近傍(ε,ε)が存在し、(ε,ε)上ではテンプレート:Mvarの平行移動が一意に存在する。

完備性

定義

前節で平行移動が局所的には必ず存在する事を見たが、平行移動の大域的な存在性は必ずしも保証されない。平行移動が大域的に存在するときに接続は完備であるという: テンプレート:Math theorem 任意のファイバーバンドルに完備な接続が少なくとも1つ入る事が知られている[16]


なお、接バンドルにおいては「完備」という言葉は

にも使われるが、上述した接続の完備性はこれらの完備性概念とは別概念である。実際、(アフィン接続に限らず)Koszul接続の場合には、平行移動は常に定義可能である[17]ので、Koszul接続は上述の意味で常に完備である。


ファイバーがコンパクトの場合も完備性が成り立つ: テンプレート:Math theorem

反例

本節では完備ではない接続の例をあげる。M=とし、テンプレート:Mvar上のファイバーバンドル

π:(x,y)M×xM

を考え、このファイバーバンドル上に下記のような接続を考える:

(x,y)M×における水平部分空間は、T(x,y)(M×)内の傾きy2の直線である[注 2]

ここで直線の「傾き」はT(x,y)(M×)を自然にM×=×と同一視したときの傾きである。

このようにすると、M=上の直線c(t)=tに沿って点0M=のファイバー上の点(0,y0)M×=×を平行移動した結果できる曲線は

(x,y)=(t,1y01t)

である事を容易に示す事ができる。この平行移動は

t<1y0

の範囲でしか延長できず、完備でない事が言えた。


上記の例でも分かるように、水平移動の局所的存在性において、水平移動が存在する範囲(ε,ε)がファイバーの元(上記の例ではテンプレート:Mvar)に依存しており、上記の例であればε<1y0でなくてはならない。この事が水平移動の大域的存在性を保証できない原因となっている。

共変微分

本節ではまず共変微分を天下り的に定義し、次に平行移動の概念を用いて共変微分の概念の意味付けを行う。

定義

テンプレート:Math theorem テンプレート:Math theorem

リフトとの関係

テンプレート:Mvar上のベクトル場テンプレート:Mvarに対し、テンプレート:Mvarの各点テンプレート:MvarLifte(Xe)を対応させるベクトル場を

Lift(X)

と書くことにすると、以下が成立する事が知られている[13]テンプレート:Math theorem

よって特に次が成立する: テンプレート:Math theorem

平行移動の定義より、s(t)が平行であれば、

ddts(t)=Lifts(t)(ddtc(t))

であった。この事からすなわち、共変微分dts(t)とは、平行移動からのズレを表す量である事がわかる。

成分表示とクリストッフェル写像テンプレート:Anchors

本節では共変微分を成分表示で表し、これにより水平リフトがなぜクリストッフェル写像と呼ばれるのかを見る。このためにファイバーバンドルπ:EMの点e0Eに対し、π(e0)Mの近傍テンプレート:Mvarにおける局所座標(x1,,xm)を選び、さらにe0Eの局所座標

((x1,,xm),(y1,,yn))U×VE

として、局所座標が((x1,,xm),(y1,,yn))の元をπ:EMで写像するしたものの局所座標が(x1,,xm)となるものを取る。


水平リフトはπ:EMの右逆写像であった事から、X=Xkxkテンプレート:Mvar上のベクトル場とすると、eEにおける水平リフトは何らかの実数の組(Γik(e))i,kを用いて

Lifte(X)=XkxkXkΓik(e)yi

という形に成分表示できる[18]テンプレート:Refn共変微分とリフトの関係性から、簡単な計算により、以下の定理を示すことができる:

テンプレート:Math theorem

上記の定理をKoszul接続に関する共変微分の成分表示と比較する事で、Γki(s(x))クリストッフェル記号に対応している事が分かる。事実Koszul接続ではΓki(s(x))テンプレート:Mvarに関して線形であり、成分表示がクリストッフェル記号と一致する(後述)。

水平リフトの事をクリストッフェル写像と呼んだのは以上の理由による。

定義

接続概念の定義において垂直方向への射影

Ve:TeE𝒱e

を導入したが、同様にして水平方向への射影

He:TeEe

も定義できる。

曲率概念はこのテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarを使って定義できる: テンプレート:Math theorem

なお、Frölicher–Nijenhuis bracket[,]FNを用いると、曲率形式は

Ω=12[V,V]FN=12[H,H]FN

とも書き表せる[19][注 3]。 さらに曲率形式に対する下記の(第二)ビアンキ恒等式が成立する事も示せる[19]

[V,Ω]FN=0.

曲率概念の可積分性による意味付け

曲率概念の意味付けをみるため、いくつかの概念を定義する。 π:EMを接続{e}eEが定義されたファイバーバンドルとし、テンプレート:Mvarをこの接続が定める共変微分とする。

テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの開集合テンプレート:Mvar上で定義されたテンプレート:Mvarの切断がテンプレート:Mvarの任意の点テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarにおけるテンプレート:Mvarの任意の接ベクトルテンプレート:Mvarに対し、

vs=0

を満たすとき、テンプレート:Mvar平坦(テンプレート:Lang-en-short)であるという[20]

定義から明らかなようにテンプレート:Mvarが平坦であるとは、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarからテンプレート:Mvarへの写像とみなしたとき、テンプレート:Mvarが誘導する写像s*:TUTEによるテンプレート:Mvarの像が常に水平部分空間に属する事と同値である。

テンプレート:Mvarの任意の点テンプレート:Mvarに対し、テンプレート:Mvarを通るテンプレート:Mvarの平坦な切断が存在するとき、接続{e}eE平坦であるという[21]

定義から明らかなように、接続{e}eEが平坦であるという事は、超平面の族{e}eE可積分である事と同値である[22]

フロベニウスの定理を用いると、次が成立する事を証明できる: テンプレート:Math theorem

したがって曲率形式は水平部分空間 {e}eEが可積分ではない度合いを表す量である

曲率概念のホロノミーによる意味づけ

これまで通りπ:EMを接続{Ve}eEが定義されたファイバーバンドルとする。さらにU22の原点テンプレート:Mvar開近傍とし、テンプレート:Mvarの元を成分で(x1,x2)と表し、φ:UMを埋め込みとし、i=1,2に対し、

^i:=φ*(i)i*:=Lift(^i)

とする。c(t)2上の以下のような閉曲線とする:O2からtだけ右に動き、tだけ上に動き、tだけ左に動き、tだけ下に動く。

このときφc(t)に沿って、φ(O)のファイバーEφ(O)の点テンプレート:Mvarを平行移動したものは、

et=Φ2tΦ1tΦ2tΦ1t(e) where Φit:=exp(ti*)

に等しい。このetを使って曲率形式を特徴づける事ができる:テンプレート:Math theoremテンプレート:Math proof

成分表示

クリストッフェル写像の節と同様に、テンプレート:Mvarの元がテンプレート:Mvarの局所座標(x1,,xm)およびテンプレート:Mvarの垂直方向の局所座標(y1,,yn)の組((x1,,xm),(y1,,yn))で書き表されているとし、eEに対し、 曲率を

Ωe(xk,x)=Ωik(e)yi

と成分表示する。さらにクリストッフェル写像の節と同様、eEにおける水平リフトを

Lifte(xk)=xkΓik(e)yi

と書く。


テンプレート:Math theorem

ホロノミー群

本節では特に断りのない限り、π:EM完備な接続={e}eEが定義されたファイバーバンドルでテンプレート:Mvar連結なものとする。

定義

x0Mテンプレート:Mvarの点とし、c(t)Mテンプレート:Mvarからテンプレート:Mvar自身への区分的になめらかな閉曲線とすると、接続が完備なのでテンプレート:MvarのファイバーEx0の任意の元テンプレート:Mvarに対し、テンプレート:Mvarc(t)Mに沿って一周平行移動してできた元をφc(e)Ex0とする事で、Ex0上の可微分同相写像

φc:Ex0Ex0

を定義できる。 テンプレート:Math theorem さらに以下を定義する: テンプレート:Math theorem

テンプレート:Mvarが連結である事から(制約)ホロノミー群の群構造はテンプレート:Mvarによらないので、紛れがなければHol(E,,x0)Hol0(E,,x0)を単にHol(E,)Hol0(E,)と書く。

ホロノミーリー代数

uMにおける接ベクトルvTuMに対し、eEuvテンプレート:Mvarでの水平リフトを対応させる

eEuLifte(v)eTeE

をファイバーEu上の切断とみなしたものをLift(vu)と書く。

2つのベクトルvu,wuTuMに対し、Lift(vu)Lift(wu)はいずれもEu上のベクトル場なので、曲率形式テンプレート:Mvarに対して、

Ω(Lift(vu),Lift(wu))VE=TEu

を定義でき、これはEu上のベクトル場とみなせる。さらにu0Mをfixし、テンプレート:Mvarからu0までつなぐ曲線c(t)に沿ってΩ(Lift(vu),Lift(wu))を平行移動したものをΩc(Lift(vu),Lift(wu))と書く。テンプレート:Math theorem実は以下の定理が成立する。なお、以下の定理は主バンドルに対するAmbrose–Singerの定理を任意のファイバーバンドルに一般化したものである:テンプレート:Math theorem

クリストッフェル形式

π:EMをファイバー空間テンプレート:Mvarを持つファイバーバンドル、{Ve}eEをその上の接続とし、テンプレート:Mvarの点テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの近傍テンプレート:Mvarに対し、π1(V)の局所座標を π1(V)U×Fとする。ここでテンプレート:Mvarmの開集合である。以下、紛れがなければπ1(V)とその局所座標U×Fを同一視する。

テンプレート:Math theorem

クリストッフェル形式を使うと曲率が以下のように書ける: テンプレート:Math theorem

上述の定理はあくまで局所座標で成立するものに過ぎないが、後述する主バンドルの接続の場合は局所座標ではなく手バンドル自身の上で同種の定理が成り立つことを後で示す。

接続の引き戻し

π:EMを接続{Ve}eEが定義されたファイバーバンドルとし、f:NMを多様体テンプレート:Mvarからテンプレート:Mvarへのなめらかな写像とすると、ファイバーバンドルの引き戻し

f*Ef~EππNfM

が定義できる。

テンプレート:Math theorem

曲率は引き戻しに対して自然に振る舞う: テンプレート:Math theorem


一方、接続に関する他の諸概念、例えば水平リフトは引き戻しに関して自然に振る舞うとは限らない。実際f:NMテンプレート:Mvarを一点に潰す写像であれば、テンプレート:Mvarの像は全てテンプレート:Mvarベクトルであるので、f*で写像してから水平リフトするのと水平リフトしてからf~*で写像したのでは結果が異なる。

水平リフトは引き戻しに関して自然に振る舞う条件は微分がfull rankになる事で、f*が点xNにおいてfull rankであれば、テンプレート:Mvarの元をf*で写像してから水平リフトするのと水平リフトしてからf~*で写像したのは結果が等しくなる。

主バンドルの接続テンプレート:Anchors

本節では主バンドルの接続を定義する。

定義

主バンドルの接続は、ファイバーバンドルの接続で群作用に対して不変になるものである: テンプレート:Math theorem ここで𝒱p垂直部分空間𝒱p:=π*1(Tπ(p)M)TpPであり、(Rg)*gGテンプレート:Mvarへの右からの作用Rg:pPpgPテンプレート:Mvarに誘導する写像である。pテンプレート:Mvarにおける水平部分空間という。


一般のファイバーバンドルの接続の場合と同様、垂直射影{Vp}pPを用いて接続概念を定義することも可能で、

  • 任意のpPに対し、Vp|𝒱p=id
  • 任意のpPgGに対し、(Rg)*Vp=Vpg(Rg)*

により接続概念を定義づけられる。

しかし次節に見るようにリー群・リー代数対応に着目する事で、リー代数の言葉を使った定式化も可能である。

リー代数を使った定式化テンプレート:Anchors

本節では、前節で定義した主バンドルの接続概念をリー代数を使って特徴づける。

そのためにまず、定義のために必要な概念を導入する。

基本ベクトル場

テンプレート:Mvarをリー群とし、𝔤をそのリー代数とし、さらにテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarが右から作用する多様体(例えばテンプレート:Mvar-主バンドルπ:PMの全空間テンプレート:Mvar)とする。

テンプレート:Math theorem

なお、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar-主バンドルπ:PMの全空間テンプレート:Mvarの場合にはA_pは垂直部分空間𝒱pの元である事が容易に示せる。

随伴表現

テンプレート:Math theoremここでGL(𝔤)𝔤上の線形同型全体のなすリー群である。随伴表現の定義はh(t)の取り方によらずwell-defninedである。

定式化

基本ベクトル場の定義より明らかに各pPに対し、写像

ζp:A𝔤A_p𝒱p

は全単射であるので、テンプレート:Mvarの写像の逆写像を垂直射影と合成する事で、

TpPVp𝒱pζp1𝔤

作る事ができる。この写像を𝔤に値を取る1-形式とみなしたものを

ωp𝒜p1(P;𝔤)

とし、各点テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarを対応させるテンプレート:Mvar上の𝔤値1-形式の場テンプレート:Mvar接続形式テンプレート:Lang-en-short)というテンプレート:Refn。ここで𝒜p1(P;𝔤)テンプレート:Mvar上の𝔤値1-形式全体の集合である。

以上の議論から明らかに垂直射影からテンプレート:Mvarが定まり、逆にテンプレート:Mvarから垂直射影が定まるのでテンプレート:Mvarによって接続概念を定式化できる:

テンプレート:Math theorem

主バンドルとしての接続から前述の方法でテンプレート:Mvarの接続形式が定まり、逆に接続形式テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarになる方向を水平方向とすることでテンプレート:Mvarに主バンドルとしての接続が再現できるので、両者の定義は同値である。

諸概念

本節では主バンドルの接続に関する諸概念を接続形式を使って表現する。

共変微分

接続が定義された主バンドルπ:PMにおいて、切断テンプレート:Mvarの共変微分は

Xs|u:=Vs(u)(s*(Xu))

により定義されていた。一方主接続の接続形式テンプレート:Mvarは垂直射影Vs(x)を基本ベクトル場を考えてリー代数と対応付ける事で定義されていた。よって次が成立する:テンプレート:Math theoremここで

ζp:A𝔤A_p𝒱p for pP

である。

本節では、上記で定義したリー代数による接続の記述を使って曲率形式をリー代数の言葉で書き換える。

そのために𝔤-値1-形式テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarに対し、

[α,β]𝔤(X,Y):=[α(X),β(Y)]𝔤[α(Y),β(X)]𝔤

と定義する。ここで[,]𝔤上のリー括弧である。さらに前節同様

ζp:𝔤𝒱p

を考える。紛れがなければ添字テンプレート:Mvarを省略し単にテンプレート:Mvarと書く。

テンプレート:Math theorem曲率形式は次を満たす:テンプレート:Math theoremここでテンプレート:Mvarは水平部分空間への射影である。

モーレー・カルタン形式

接続形式の意味を見るため、リー群のモーレー・カルタン形式を定義する。

テンプレート:Math theorem

モーレー・カルタン形式は以下を満たす[23]テンプレート:Math theorem 上記の2式のうち下のものをモーレー・カルタンの方程式テンプレート:Refnテンプレート:Lang-en-short)、もしくはリー群テンプレート:Mvar構造方程式テンプレート:Refnテンプレート:Lang-en-short)という。


一点集合{x0}テンプレート:Mvar次元多様体とみなし、テンプレート:Mvar{x0}上のテンプレート:Mvar-主バンドルG{x0}とみなすと、上記の定理から明らかにモーレー・カルタン形式はこのバンドル上の接続となる。

構造方程式から以下が明らかに従う: テンプレート:Math theorem 曲率がテンプレート:Mvarである事は水平部分空間が可積分である事と同値であったので、水平部分空間が自明になる一点上のバンドルでは曲率がテンプレート:Mvarになるのは自明である。


実は以下が成立する: テンプレート:Math theorem

実際、底空間が一点である事から TgG𝒱gは同次元なので垂直射影は恒等写像しか存在せず、しかも基本ベクトル場の定義からgGA𝔤に対し、

A_g:=ddt(gexp(tA))|t=0=(Lg)*(A)=μg1(A)

であるので、G{x0}上の接続は

TgG=𝒱gμg𝔤

のみになる。


以上のことから接続形式テンプレート:Mvarが定義されたテンプレート:Mvar-主バンドルπ:PMに対し、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar上の一点テンプレート:MvarのファイバーPx0=π1(x0)(すなわちこの接続の垂直方向)に制限したものは必ずモーレー・カルタン形式テンプレート:Mvarに一致する。


実は次が成立する: テンプレート:Math theorem

以上のことから、接続形式とは、各ファイバー上ではモーレー・カルタン形式に一致し、しかもテンプレート:Mvarの作用との両立性(Rg)*ωp=(Adg1)ωpをみたすものとして特徴づけられる。

平行移動

主バンドルの接続の場合、平行移動は以下を満たす: テンプレート:Math theorem テンプレート:Math theorem よって特に以下が成立する: テンプレート:Math theorem 実際、hφ=φ(e)とすれば上の系が成立する。ここでテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの単位元である。

ベクトル値を取る微分形式

本節では主バンドルテンプレート:Mvarの微分形式のうち性質の良いものがテンプレート:Mvarに対応するベクトルバンドルの微分形式と1対1に対応する事を見る。次節でこの同型を曲率形式がリー代数のバンドルの元とみなせる事を示すのに利用し、更に後の章でベクトルバンドルの共変外微分を定義するのに利用する。


テンプレート:Mvarをベクトル空間とし、

ρ:GGL(V)

をリー群テンプレート:Mvarからテンプレート:Mvar上の一般線形群GL(V)へのなめらかな準同型(すなわちなめらかな線形表現)としテンプレート:RefnPMを接続形式テンプレート:Mvarが定義されたテンプレート:Mvar-主バンドルとする。 テンプレート:Math theoremベクトルバンドルE=P×ρVMを考え、pPに対し、

φp:vV[(p,v)]Eπ(p)P×ρV=E

を商写像とすると、𝒜ρk(P,V)の元はφpにより𝒜k(M;E)の元と自然に対応する。ここで𝒜k(M;E)テンプレート:Mvarに値を取るテンプレート:Mvar次微分形式全体の集合である:

テンプレート:Math theorem 上記の写像の逆写像は以下のように書ける: テンプレート:Math theorem

随伴バンドル

本節ではリー群の随伴バンドルを定義し、曲率形式は随伴バンドル上の微分形式とみなせる事を見る。まず随伴バンドルを定義する:テンプレート:Math theorem前述した主接続の曲率の性質から、テンプレート:Mvarに接続形式テンプレート:Mvarが定義されているとき、

Ω𝒜Ad2(P;𝔤)𝒜2(M;P×Ad𝔤)

が成立する。すなわち曲率形式は随伴バンドルの元と見なすことができる[24]テンプレート:Anchors一方、接続形式は(恒等的にテンプレート:Mvarでない限り)テンソル形式の定義における水平性を満たさないので、ω𝒜Ad1(P;𝔤)である[25]

共変外微分

主バンドル上の共変外微分

π:PMを接続形式テンプレート:Mvarが定義されたテンプレート:Mvar-主バンドルとし、

Hp:TpPp

を接続テンプレート:Mvarに関するテンプレート:Mvarの点テンプレート:Mvarにおける水平射影とし、さらにテンプレート:Mvarをベクトル空間とする。𝒜k(P;V)Vテンプレート:Math-形式全体の集合とすると、η𝒜k+1(P;V)に対し、

H*(η)(X1,,Xk+1):=η(H(X1),,H(Xk+1))

を定義できる。

テンプレート:Math theorem

共変外微分は通常の外微分と違い、dωdωテンプレート:Mvarになるとはかぎらないが、Vが構造群テンプレート:Mvarのリー代数𝔤である場合には、以下の関係式を示すことができる。以下でテンプレート:Mvarは接続形式テンプレート:Mvarに関する曲率である: テンプレート:Math theorem

同伴バンドルへの接続の誘導テンプレート:Anchors

本節では主バンドルの接続からそれに同伴するバンドルに接続を誘導する方法を述べる。

準備:同伴バンドル

まず同伴バンドルの定義を復習する。π:PMテンプレート:Mvar-主バンドルとし、テンプレート:Mvarを左からのテンプレート:Mvarの作用GFを持つ多様体とするとき、テンプレート:Math

(p,ga)(pg,a) for gG

という同値関係で割った空間をP×GFとすると、

[(p,a)]P×GFπ(p)M

は構造群テンプレート:Mvarを持つファイバーテンプレート:Mvarのファイバーバンドルになる。P×GFテンプレート:MvarGFに関するテンプレート:仮リンクという。

接続の誘導

定義

本節では主バンドルπ:PM上定義された接続{p}pPを用いて同伴バンドルP×GFMに接続を定義する方法を説明する。

aFに対し、写像

φa:pP[(p,a)]P×GF

を考える。 テンプレート:Math theorem

上記の定義において'[(p,a)]は代表元(p,a)の取り方によらずwell-definedである。

別の定式化

本節では、前節で定義した同伴バンドルに誘導された接続を別の方法で特徴づける。

そのためにテンプレート:Mvar上の積を取る写像と逆元を取る写像

μ:(g,h)G×GghG
ν:gGg1G

を考え、これらが接バンドルテンプレート:Mvarに誘導する写像

μ*:TG×TGTG
ν*:TGTG

をそれぞれテンプレート:Mvar上で積を取る演算、逆元を取る演算とみなすと、テンプレート:Mvarがこの積に対して群になる事を示す事ができるテンプレート:Refnテンプレート:Refn。この群をリー群テンプレート:Mvarテンプレート:訳語疑問点範囲テンプレート:Lang-en-short)という[26]


テンプレート:Mvarを上記の方法で群とみなすと、テンプレート:Mvar-主バンドルπ:PMが誘導するπ*:TPTMテンプレート:Mvar主バンドルとみなせ、GFが誘導するTGTFは群テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarへの群作用とみなせる。

このため同伴バンドル

TP×TGTFM

を考える事ができる。しかも

T(P×F)TP×TFTP×TGTF

が同型

T(P×GF)TP×TGTF

を誘導することも示す事ができる。

テンプレート:Math theorem

本節で定義された「誘導された接続」が前節で定義されたものと同一であることを用意に示す事ができる。

誘導された接続の性質

共変微分

本節では同伴接続の共変微分が主接続の接続形式を用いて表現できる事を見る。まず記号を定義する。

π:P×GFMを主バンドルPMと作用GFから定義されたテンプレート:Mvarバンドルとする。

さらにPMに接続形式がテンプレート:Mvarの接続形式が定義されているとし、この接続がπ:P×GFMに誘導する接続の共変微分をテンプレート:Mvarとする。

そしてpPに対し、

ψp:aF[(p,a)]P×GF

とする。

テンプレート:Math theorem

曲率

主接続の曲率とそこから誘導された接続の曲率は以下の関係を満たす。

テンプレート:Math theorem

誘導された接続の特徴づけ

本節ではファイバーバンドル上の(一般の)接続が主バンドルの接続から誘導された接続である条件をクリストッフェル形式を用いて記述する。

テンプレート:Math theorem

なお上では「あるバンドルアトラスが存在して」としたがあるバンドルアトラスに対して上記の性質が成立すれば任意のバンドルアトラスに対して上記の性質が成立する事が知られている[27]

ベクトルバンドルの接続テンプレート:Anchors

本節ではベクトルバンドルとしての接続(すなわちKoszul接続)と、一般の接続概念主接続の概念との関係をみる。

Koszul接続の定義

まずKoszul接続の定義を復習する: テンプレート:Math theorem ここでテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar上の任意のベクトル場であり、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvarの任意の接続とし、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar上定義された任意の実数値可微分関数であり、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarは任意の実数であり、fYは点テンプレート:Mvarにおいてf(P)YPとなるベクトル場であり、X(f)テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar方向微分であり、[X,Y]テンプレート:仮リンクである。


ファイバーバンドルの接続との関係

ベクトルバンドルπ:EMにおいては垂直部分空間と接空間が自然に同一視できるので、その同一視の写像を

ϕ:𝒱e~Tπ(e)E

と書く。

本節では一般の接続概念から定義される共変微分をテンプレート:Mvarとするとき、ϕがKoszul接続になる条件を述べる。なお、逆にKoszul接続から一般の接続概念を誘導する方法はすでに述べたテンプレート:Math theorem

Koszul接続から一般の接続概念を誘導する方法と(上記の定理の条件を満たす)一般の接続概念からKoszul接続を誘導する方法は「逆写像」の関係にあり、上記の定理の条件を満たす一般の接続概念とKoszul接続は1:1に対応する[28]

クリストッフェル記号

π:EMをベクトルバンドルとし、(x1,,xm)テンプレート:Mvarの局所座標とし、e1,,enテンプレート:Mvarの局所的な基底とし、テンプレート:Mvarの元テンプレート:Mvarv=vjejと表すと、クリストッフェル写像の節で述べたように、eEにおける水平リフトを

Lifte(xi)=xkΓik(v)vi

と書ける。一方、Koszul接続のクリストッフェル記号

xkek=Γkjiei

と定義すると、上述の定理から以下が従う: テンプレート:Math theorem

フレームバンドル

次に我々は主バンドルの接続とベクトルバンドルの接続の関係を見る。そのための準備として本節では「テンプレート:Mvar-フレーム」、および「テンプレート:Mvar-テンプレート:仮リンク」の概念を導入する。

定義

テンプレート:Mvar-フレーム」とは正規直交基底の概念を一般化したもので、テンプレート:MvarSO(n)の場合、テンプレート:Mvar-フレームが正規直交基底に相当する。

テンプレート:Math theorem ここでe'1,,e'nnの標準的な基底であり、geiは線形変換gGGLn()テンプレート:Mvarに作用させたものである。

構造群テンプレート:Mvarを持つベクトルバンドルの定義から、テンプレート:Mvar-フレームの定義はバンドルチャートの取り方によらずwell-definedである。


FG(E)uuM上のテンプレート:Mvar-フレーム全体の集合とすると、

FG(E):=uMFG(E)u

は自然にテンプレート:Mvar上のテンプレート:Mvar-主バンドルをなし、FG(E)を構造群テンプレート:Mvarに関するフレームバンドルという[29]テンプレート:Refn

テンプレート:Mathに対応する主バンドルとの関係

PMπ:EMに対応するテンプレート:Mvar-主バンドルとすると、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar-フレームバンドルと自然に同一視できる:

テンプレート:Math theorem


よって以後、π:EMに対応するテンプレート:Mvar-主バンドルとFG(E)を自然に同一視する。

商写像との関係

フレームバンドルの利点は、主バンドルからベクトルバンドルへの商写像に直観的な意味を与えられることにある。以下でPMは前節同様π:EMに対応するテンプレート:Mvar-主バンドルである。テンプレート:Math theorem

主接続によるKoszul接続の誘導

接続の対応関係

本節ではテンプレート:Mvar-主バンドルの接続形式の関係とこの接続がベクトルバンドルテンプレート:Mvarに誘導する接続の関係を述べる。これまで同様テンプレート:MvarGLn()の閉部分リー群とする。また前節で主バンドルがフレームバンドルと自然に同一視できる事を見たので、以下主バンドルとフレームバンドルを区別せずに用いる。


本節では以下特に断りがない限り、テンプレート:MvarGLn()の部分リー群とし、𝔤テンプレート:Mvarのリー代数とし、π:EMテンプレート:Mvarを構造群を持つベクトルバンドルとし、FG(E)をそのフレームバンドルとする。


主接続とKoszul接続の関係を見るための準備として、以下の概念を導入する:テンプレート:Math theorem上で定義したKoszul接続の接続形式ω^eを使ってFG(E)の接続形式テンプレート:Mvarを定義するのだが、ω^eは一般には行列値の1-形式、すなわち

𝔤𝔩n()に値を取る1-形式であるが、FG(E)の接続形式は必ずテンプレート:Mvarのリー代数𝔤に値を取る必要がある。そこでω^e𝔤に値を取る場合に話を限定する。テンプレート:Math theoremこのとき、以下が従う:テンプレート:Math theorem


上の定理で、FG(M)上の主接続に対応するのは、この接続がテンプレート:Mvarに誘導するが定義する共変微分テンプレート:Mvarである。接続の誘導の定義から共変微分がKoszul接続に一致する条件を満たすのを容易に確認できる。

逆にテンプレート:Mvarと両立する接続が与えられたとき、eFG(E)に対し、

e:={dedt(0)|e(t)=(e1(t),,en(t))は時刻0にテンプレート:Mvarを通り、しかもedt(0)=0となる切断}

を水平部分空間とするFG(E)の主接続が与えられる[30]。なお、この主接続の接続形式テンプレート:MvarFG(E)の局所自明化π1(U)U×Gテンプレート:Mvarの接続形式ω^eテンプレート:Mvarのモーレー・カルタン形式テンプレート:Mvarを用いて

ω(u,g)=Ad(g1)ω^(u,id)+μg

と書ける[31]。ここでテンプレート:Mathテンプレート:Mvarの単位元である。

共変微分の対応関係

ベクトルバンドルEMの切断テンプレート:Mvarが与えられたとき、FG(M)上の関数

ψs:(e1,,en)FG(M)(s1,,sn)n, where s=siei

を定義できる。このとき次が成立する:

テンプレート:Math theorem ここでLift(X)ψsFG(M)上のベクトル場Y:=Lift(X)によりFG(M)上のn値関数ψsの各成分を微分したY(ψs)の事である。

ホロノミーによるKoszul接続が導出される条件

前節ではフレームバンドルテンプレート:Mathに接続が定義されている状況下でその接続がテンプレート:Mvarに誘導するKoszul接続を考察してきたが、本節ではこの逆、すなわちテンプレート:MvarのKoszul接続テンプレート:Mvarがどのような条件を満たせばテンプレート:Mvarがフレームバンドルテンプレート:Mathに接続から誘導されたものと一致するかを調べる。このために以下の定義をする:

テンプレート:Math theorem

前述のAmbrose-Singerの定理の一般化から以下の定理が従う:

テンプレート:Math theoremKoszul接続テンプレート:Mvarが「テンプレート:Mvarと両立する」事の定義は上で挙げたものの他に前の節で挙げたものがあるが、この2つは同値である。実際、これら2つのいずれか言えればテンプレート:Mvarは主接続から誘導される事を前節の定理上記の定理から言え、主接続から誘導される接続はこれら2つの「テンプレート:Mvarと両立する」事の定義を両方満たすので、この2つは同値である。

定義

Koszul接続が定義されたベクトルバンドルの曲率を以下のように定義する:テンプレート:Math theorem

Koszul接続の曲率形式を以下のように定義する: テンプレート:Math theorem

一般の接続の曲率形式との関係

すでに述べたようにベクトルバンドルπ:EM上のKoszul接続テンプレート:Mvarには、それと対応するファイバーバンドルとしての接続{Ve}eEが定義可能であるが、上述したKoszul接続の曲率は前述した一般のファイバーバンドルの曲率形式Ω(ξ,η)=V([H(ξ),H(η)])と以下の関係を満たす。ここでテンプレート:Mvarは水平部分空間への射影である。 テンプレート:Math theorem よって特にKoszul接続の曲率形式Ω^eとは以下の関係を満たす:

Ω^ij(X,Y)=ei,V(Liftej(X),Liftej(Y))

ここでe=(e1,,en)であり、(e1,,en)はその双対基底である。

主接続の曲率との関係

EMのフレームバンドルFG(M)の曲率形式とKoszul接続の曲率形式は以下の関係を満たす: テンプレート:Math theorem

共変外微分

定義

本節ではベクトルバンドルの共変外微分を定義する。 そのために主バンドル上の共変外微分が[[#テンソル形式の定義|タイプテンプレート:Mvarのテンソル形式]]をタイプテンプレート:Mvarのテンソル形式に写す事を見る: テンプレート:Math theorem

E:=P×ρVとすると前に述べたように

𝒜ρk(P;V)𝒜k(M;E)

が成立するので、上記の定理から、主バンドルの共変外微分テンプレート:Mvarを使ってベクトルバンドルの共変外微分を以下のように定義できる: テンプレート:Math theorem

具体的表記

本節ではベクトルバンドルの共変外微分を具体的に表記する。テンプレート:Mvarをベクトル空間とし、ρ:GGL(V)を構造群テンプレート:Mvarの(なめらかな)線形表現とするとき、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarのリー代数𝔤からGL(V)のリー代数𝔤𝔩(V)への写像

ρ*:𝔤𝔤𝔩(V)

を誘導する。𝔤𝔩(V)テンプレート:Mvar上の線形写像全体と自然に同一視できるので、u𝔤vVに対し、ρ*(u)テンプレート:Mvarに作用させた

ρ*(u)v

を定義できる。 テンプレート:Math theorem ここでpPX1,,Xk+TpPであり、𝔖k+k+次の対称群である。

特にV=𝔤である場合は、u,v𝔤に対し、

ρ*(u)v=[u,v]𝔤

𝔤上のリー括弧[,]𝔤で書けるので[32]、上記の定義のρ*(τ())η()の部分を[τ(),η()]𝔤に置き換えられる[32]

上記の定義を使うと共変外微分を以下のように具体的に表記できる: テンプレート:Math theorem

主バンドルの共変外微分との関係

E:=P×ρVとすると前述の同型

𝒜ρk(P;V)𝒜k(M;E)

を使って上記の定理を𝒜k(M;E)上の定理に書き換える事ができる: テンプレート:Math theorem

ここで「」はテンソル形式と底空間上の切断の同型写像である。

脚注

出典

テンプレート:Reflist

注釈

テンプレート:Reflist

文献

参考文献

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