平衡点

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振り子の運動は、位置真下かつ速度零 テンプレート:Math2 の状態と、位置真上かつ速度零 テンプレート:Math2 の状態という、2つの平衡点を持つテンプレート:Sfn

微分方程式における平衡点(へいこうてん)とは、独立変数に依らず一定の値となる常微分方程式である。同じものは不動点固定点臨界点休止点特異点停留点静止点危点平衡解定常解定数解静止解などの名でも呼ばれるテンプレート:Sfnm。英語では equilibrium point, fixed point, stationary solution, critical point, rest point などと呼ばれるテンプレート:Sfn力学系的視点では、平衡点とは時間が変化しても動かない相空間上の点を意味する。

平衡点は、微分方程式の解を理解する上で重要で、平衡点を調べることは、微分方程式の解の定性的な振る舞いを知りたいときの最初の手段である。問題の微分方程式が非線形系の場合、解析的な解が得られることはまれだが、非線形系であっても平衡点を求めることなら可能である。

数式では、微分方程式 テンプレート:Math2 において テンプレート:Math2 を満たす テンプレート:Mvar が平衡点である。線形系あるいは線形近似された系の平衡点は、係数行列固有値によって、平衡点近傍の解軌道が近づくか離れるかといった安定性の問題を判別できる。ハートマン・グロブマンの定理により、平衡点が双曲型平衡点であれば、非線形系の平衡点近傍の振る舞いと線形近似した系の平衡点近傍の振る舞いが、定性的に同じであることが保証されている。

定義と一般的性質

微分方程式の独立変数テンプレート:Math とし、従属変数テンプレート:Math とする。このとき、テンプレート:Math が次のような テンプレート:Mvar を陽に含まない自励的な常微分方程式で与えられているとするテンプレート:Sfn

d𝒙dt=f(𝒙)

ここで、

𝒙=(x1, x2,, xn)
d𝒙dt=(dx1dt, dx2dt,,dxndt)
f=(f1, f2,, fn)
x1, x2,, xn𝐑

であり、右肩の ⊤ は転置行列を意味するテンプレート:Sfn。もし従属変数の定義域テンプレート:Mathの適当な部分集合 テンプレート:Mvar で考えても一般性は失われないテンプレート:Sfn

上記の微分方程式に対して テンプレート:Math

d𝒙dt|𝒙=𝒙e=f(𝒙e)=0

を満たすとき、テンプレート:Math平衡点などと呼ぶテンプレート:Sfn。一方で、

f(𝒙)0

を満たす テンプレート:Math通常点などと呼ぶテンプレート:Sfnm

微分方程式の定義域 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar力学系では相空間と呼ぶテンプレート:Sfn。力学系では、独立変数 テンプレート:Mvar はしばしば時間とみなすテンプレート:Sfn。力学系的視点では、平衡点とは時間が変化しても動かない相空間上の点を意味するテンプレート:Sfn。微分方程式の解は相空間上で曲線を描くので、これを解軌道などと呼ぶテンプレート:Sfn。平衡点も1つの解軌道であるテンプレート:Sfnテンプレート:Mvar が一般的な滑らかな関数であれば、微分方程式の解の存在と一意性の要請のため、平衡点以外の解軌道が有限時間以内に平衡点に到達することはないテンプレート:Sfn。ただし、後述のように テンプレート:Math で平衡点に収束する解軌道はあり得る。

どれだけ時間変化しても解軌道が相空間上のある集合から出ない場合、その集合を不変集合というテンプレート:Sfn。平衡点はもっとも単純な閉不変集合であるテンプレート:Sfn。またさらに、閉不変集合 テンプレート:Mvar部分集合閉不変集合であるのは テンプレート:Mvar空集合だけであるとき、テンプレート:Mvar極小集合というテンプレート:Sfn。平衡点は極小集合でもあるテンプレート:Sfn

平衡点の計算例

微分方程式系 テンプレート:Math2 および テンプレート:Math2 の平衡点とベクトル場の様子。2つの青点 テンプレート:Math2テンプレート:Math2 が平衡点で、矢印のベクトル場は解軌道の流れを示す。

テンプレート:Math が代数的に解けるときは、平衡点 テンプレート:Mvar を式で書き表すことができるテンプレート:Sfn。例えば、

{dxdt=x(2xy)dydt=xy

という微分方程式系であれば、

{x(2xy)=0xy=0

という連立方程式を解くことにより、テンプレート:Mathテンプレート:Math の2点がこの微分方程式系の平衡点であることが分かるテンプレート:Sfn

方程式の係数が変数で与えられているような例としては、次のローレンツ方程式を挙げるテンプレート:Sfn

{dxdt=σyσxdydt=rxyxzdzdt=xybz

ここで、テンプレート:Math2テンプレート:Mvar に依存しない定数(パラメータ)である。ローレンツ方程式の1つの平衡点は

(xyz)=(000)

で、この原点の平衡点はパラメータの値に依存せずに常に存在するテンプレート:Sfn。さらに テンプレート:Math2 の条件下で、原点の平衡点 に加え、次の2つの平衡点が存在するテンプレート:Sfn

(xyz)=(b(r1)b(r1)r1)
(xyz)=(b(r1)b(r1)r1)

平衡点近傍における解軌道の振る舞い、安定性判別

平衡点は、微分方程式の解を理解する上で重要な役割を果たすテンプレート:Sfn。微分方程式系の解の振る舞いを知りたいとき、最初の取っ掛かりとなるのが平衡点の調査であるテンプレート:Sfnm。相空間の全体での大域的な性質を問題にする場合であっても、平衡点近傍の局所的な性質の解明が基礎となるテンプレート:Sfn。平衡点近傍の解軌道の振る舞いを調べ、分類するのが、解軌道の幾何学的構造を理解する第一歩であるテンプレート:Sfn

とくに、微分方程式のある解軌道とその近くを通る別の解軌道が、任意の時刻 テンプレート:Mvar においても十分近く同士にあるのか、それとも テンプレート:Math で離れていくかといったような問題は、安定性の問題と言われ、微分方程式の定性理論においてもっとも基本的な問題であるテンプレート:Sfn

安定性の定義

リアプノフ安定の概念図。平衡点を中心とする半径 テンプレート:Mvar の円中から出発した解軌道は、半径 テンプレート:Mvar の同心円中に留まる。
漸近安定の概念図。平衡点を中心とする半径 テンプレート:Mvar の円中から出発した解軌道は、半径 テンプレート:Mvar の同心円中に留まり、なおかつ平衡点へ収束する。

平衡点 テンプレート:Mvar の十分近くの初期値を取る解が、全ての時刻 テンプレート:Mvar において テンプレート:Mvar の近くに留まり続けるようなとき、その平衡点をリアプノフ安定であるというテンプレート:Sfn。厳密に言うと、平衡点 テンプレート:Mvar がリアプノフ安定であるとは、 任意の定数 テンプレート:Mvar が与えられたときにある定数 テンプレート:Mvar が存在し、テンプレート:Math2 を満たすような任意の解 テンプレート:Math が、全ての テンプレート:Mvarテンプレート:Math2 を満たすことをいうテンプレート:Sfn。ここで、テンプレート:Math2 は相空間に定義されたノルムを表す。リアプノフ安定であるとき、単に安定であるともいうテンプレート:Sfn

一方、リアプノフ安定とは別の安定性の概念もあるテンプレート:Sfn。平衡点の近くにある初期点を取る解がその平衡点へ収束するとき、そのような平衡点を吸引的であるというテンプレート:Sfn。厳密な定義では、平衡点 テンプレート:Mvar に対してある定数 テンプレート:Mvar が存在し、テンプレート:Math2 を満たすような任意の解 テンプレート:Math が、テンプレート:Math のときにテンプレート:Math を満たすことを吸引的というテンプレート:Sfn。吸引的な平衡点は沈点とも呼ばれるテンプレート:Sfnm

さらに、平衡点がリアプノフ安定なおかつ吸引的であるとき、漸近安定であるというテンプレート:Sfn。誤解や混乱を生まないようであれば、漸近安定な平衡点を単に「安定な平衡点」と呼ぶこともあるテンプレート:Sfn。平衡点がリアプノフ安定であるが吸引的ではないときは、とくに中立安定な平衡点というテンプレート:Sfn

平衡点がリアプノフ安定ではないとき、あるいは平衡点がリアプノフ安定でも吸引的でもないとき、不安定であるというテンプレート:Sfnm。吸引的とは逆に、平衡点近傍の全ての初期値の解が時間経過に従って平衡点から離れるとき、そのような平衡点を反発的であるというテンプレート:Sfn。反発的な平衡点は源点とも呼ばれるテンプレート:Sfnm

線形系

問題が次のような定数係数の線形微分方程式であれば、全ての解を厳密に解くことができるテンプレート:Sfn

d𝒙dt=𝑨𝒙

ここで、テンプレート:Mvar は次のような定数を各要素とする テンプレート:Mvar正方行列であるテンプレート:Sfn

𝑨=(a11a12a1na21a22a2nan1an2ann)

この線形微分方程式系の初期値を テンプレート:Math とすると、一般解は行列の指数関数を使って テンプレート:Math と表すことができるテンプレート:Sfnm。このような線形微分方程式系では、テンプレート:Mvar にかかわらず原点 テンプレート:Mvar はつねに平衡点であるテンプレート:Sfn

線形微分方程式を解く上で中心的役割を果たすのが固有値固有ベクトルであるテンプレート:Sfn。一般に、テンプレート:Mvar 次正方行列 テンプレート:Mvar から導かれる特性方程式

det(𝑨λI)=0

を解くことで、重複も含めて テンプレート:Mvar 個の固有値 テンプレート:Mvar と固有ベクトル テンプレート:Mvar が得られるテンプレート:Sfnテンプレート:Mvar の固有値 テンプレート:Mvar の値によって、線形微分方程式系の平衡点 テンプレート:Mvar の安定性は次のように判別できるテンプレート:Sfn

  • 全ての固有値の実部が負のとき、平衡点は漸近安定。
  • 実部が正の固有値を少なくとも1つ以上含むとき、平衡点は不安定。
  • 全ての固有値が実部が負の固有値と純虚数(実部が零)の固有値から成るとき、平衡点は中立安定。

ポアンカレの分類

アンリ・ポアンカレは、次のような2次元自励線形微分方程式の平衡点を、平衡点近傍の解軌道の振る舞いにもとづき分類したテンプレート:Sfnm

{dxdt=ax+bydydt=cx+dy

この場合、原点 テンプレート:Math が常に平衡点であるテンプレート:Sfn。この系の係数行列

𝑨=(abcd)

とし、テンプレート:Mvar の固有値を テンプレート:Math および テンプレート:Math とする。 テンプレート:Mathテンプレート:Math の値によって、平衡点 テンプレート:Mvar は次のように分類される。

結節点、あるいはノード(テンプレート:Lang-en
テンプレート:Mathテンプレート:Math が同符号の実数である(テンプレート:Math2 または テンプレート:Math2)場合の平衡点テンプレート:Sfnm。平衡点が結節点のとき、平衡点の周囲の解軌道は、平衡点に向かって回転せずに単調に近づいていくか離れていくかのいずれかであるテンプレート:Sfnmテンプレート:Mathテンプレート:Math の符号が負であれば解軌道は平衡点へ近づいていき、結節点は漸近安定な沈点でもあるテンプレート:Sfn。この場合は安定結節点安定ノードと呼ばれるテンプレート:Sfnmテンプレート:Mathテンプレート:Math の符号が正であれば解軌道は平衡点から離れていき、結節点は不安定な源点でもあるテンプレート:Sfn。この場合は不安定結節点不安定ノードと呼ばれるテンプレート:Sfnm。とくに、テンプレート:Math2 かつ テンプレート:Math2 であるときは、結節点の周囲の解軌道は結節点を通る放射状の直線群となり、スターノードなどと呼ばれるテンプレート:Sfnm
鞍状点、鞍点、あるいはサドル(テンプレート:Lang-en
テンプレート:Mathテンプレート:Math が互いに異符号の実数である(テンプレート:Math2 または テンプレート:Math2)場合の平衡点テンプレート:Sfnm。平衡点が鞍状点のとき、周囲の解軌道には平衡点に向かって近づいていく方向と離れていく方向が同居しているテンプレート:Sfn。鞍状点の場合、4本の半直線の解軌道が平衡点へ到達するテンプレート:Sfn。2本は テンプレート:Math で鞍状点へ収束し、もう2本は テンプレート:Math で鞍状点へ収束するテンプレート:Sfn
渦状点、スパイラル(テンプレート:Lang-en)、焦点、あるいはフォーカス(テンプレート:Lang-en
テンプレート:Mathテンプレート:Math が互いに共役な実部非零の複素数である(テンプレート:Math2 かつ テンプレート:Math2)場合の平衡点テンプレート:Sfnm。平衡点が鞍状点のとき、周囲の解軌道は対数螺旋群となり、平衡点へ回転しながら近づいていくか離れていくかのいずれかであるテンプレート:Sfnm。固有値実部 (テンプレート:Math) の符号が負であれば解軌道は平衡点へ近づいていき、渦状点は漸近安定な沈点でもあるテンプレート:Sfn。この場合は渦状沈点安定スパイラル安定焦点と呼ばれるテンプレート:Sfnm。固有値実部 (テンプレート:Math) の符号が正であれば解軌道は平衡点から離れていき、渦状点は不安定な源点でもあるテンプレート:Sfn。この場合は渦状源点不安定スパイラル不安定焦点と呼ばれるテンプレート:Sfnm
渦心点、あるいはセンター(テンプレート:Lang-en
テンプレート:Mathテンプレート:Math が互いに共役な純虚数である(テンプレート:Math2)場合の平衡点テンプレート:Sfnm。平衡点が渦心点のとき、周囲の解軌道は平衡点を中心とする閉曲線)群であるテンプレート:Sfnm。周囲の解軌道は吸引されることも反発することもなく、渦心点は中立安定な平衡点であるテンプレート:Sfn
行列式 テンプレート:Mvar とトレース テンプレート:Mvar による2次元自励線形微分方程式の平衡点の分類テンプレート:Sfnm

また、テンプレート:Mvar行列式テンプレート:Math とし、テンプレート:Mvarトレーステンプレート:Math とする。これらは

q=adbc=λ1λ2
p=a+d=λ1+λ2

というように各係数あるいは各固有値で表されるテンプレート:Sfn。したがって、これらの テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の値によっても平衡点の定性的分類を行うことができ、結節点、鞍状点、渦状点、渦心点の判別は次のようになるテンプレート:Sfnm

以上のような平衡点の定性的分類を テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar を軸とする テンプレート:Mvar-平面に書き込むと、2次元線形微分方程式の分岐図を作ることができるテンプレート:Sfn

非線形系

問題の微分方程式が非線形系の場合、解析的な解が得られることはまれであるテンプレート:Sfn。しかし、非線形系であっても平衡点を求めることなら可能であるテンプレート:Sfn。そして、線形系の平衡点に対する安定判別法を非線形の平衡点に対する安定性判別に応用することはできるテンプレート:Sfn。1つは、平衡点周りで線形化する方法である。

下記のような一般的な自励系的微分方程式が与えられているとする。

d𝒙dt=f(𝒙)

この微分方程式の平衡点を テンプレート:Mvar とする。テンプレート:Mvar を原点とする新たな変数を テンプレート:Mvar として導入すると、テンプレート:Math2 である。テンプレート:Mvar滑らかであれば、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar 周りでテーラー展開し、テンプレート:Mvar の2次以上のオーダーの項を無視することで、

d𝒚dt=Df(𝒑)𝒚

という、平衡点近傍で線形近似した微分方程式を得ることができるテンプレート:Sfn。ここで、テンプレート:Math は次のような テンプレート:Mvar についての テンプレート:Mvarヤコビ行列である。

Df(𝒙e)=(f1x1(𝒙e)f1xn(𝒙e)fnx1(𝒙e)fnxn(𝒙e))

テンプレート:Math2 と書き換えれば、近似した微分方程式は上記の線形系とまったく同じであるテンプレート:Sfn

そして、平衡点 テンプレート:Mvar のヤコビ行列 テンプレート:Math の全ての固有値の実部が零ではない場合、そのような平衡点 テンプレート:Mvar双曲型平衡点というテンプレート:Sfn。もし平衡点 テンプレート:Mvar が双曲型平衡点であれば、ハートマン・グロブマンの定理によって、元の非線形微分方程式とそれを線形近似して得られた微分方程式の解は テンプレート:Mvar の近傍で位相共役であることが知られているテンプレート:Sfn。言い換えれば、線形近似の方程式の解は テンプレート:Mvar の近傍で元の方程式の解と質的に同じであるテンプレート:Sfn

一方で、平衡点 テンプレート:Mvar のヤコビ行列 テンプレート:Math の全ての固有値の実部が零(純虚数)の場合、そのような平衡点 テンプレート:Mvar楕円型平衡点というテンプレート:Sfn。楕円型平衡点は一般的な微分方程式ではまれだが、ハミルトン力学系では珍しくないテンプレート:Sfn。2次元線形系であれば、楕円型平衡点とは渦心点を指すテンプレート:Sfn。しかし一般的には、楕円型平衡点の近傍の解が閉曲線となることは成り立たず、楕円型平衡点の近傍の解の挙動は複雑であるテンプレート:Sfn

非線形微分方程式のある平衡点が双曲型であれば、ハートマン・グロブマンの定理により、その平衡点周りで線形近似した微分方程式によって安定性を正確に判別することができるテンプレート:Sfn。また、平衡点 テンプレート:Mvar が双曲型であるか否かにかかわらず、テンプレート:Math の固有値が少なくとも1つ以上の固有値が正であれば、テンプレート:Mvar が不安定であることも分かるテンプレート:Sfn。以上をまとめると、非線形系の平衡点についてもヤコビ行列の固有値にもとづいて次のように判別できるテンプレート:Sfnm

しかし、平衡点のヤコビ行列の固有値の実部が負の値と零の値から成るとき、ヤコビ行列だけから安定性を判別することはできないテンプレート:Sfn。非双曲型平衡点に対して安定性を議論する一般的方法を与えるのは中心多様体による方法であるテンプレート:Sfn。次のような微分方程式系が与えられているとするテンプレート:Sfn

d𝒙dt=A𝒙+f(𝒙,𝒚)
d𝒚dt=B𝒚+g(𝒙,𝒚)

ここで、

𝒙𝐑c, 𝒚𝐑s
f(0,0)=0, g(0,0)=0
Df(0,0)=0, Dg(0,0)=0

であり、テンプレート:Mvar は全ての固有値の実部が零であるような テンプレート:Mvar 次正方行列、テンプレート:Mvar は全ての固有値の実部が負の値であるような テンプレート:Mvar 次正方行列であるテンプレート:Sfn。この場合、平衡点は原点 テンプレート:Mvar に平行移動されているテンプレート:Sfn。このような微分方程式系に対しては、平衡点を通る中心多様体およびその中心多様体に制限されたベクトル場を平衡点近傍で計算することで安定性を判別できるテンプレート:Sfnm。これらを解析的に厳密解を求めるのは難しいが、中心多様体の定理によって好きな精度で近似的に計算できることが保証されるテンプレート:Sfn

ヤコビ行列の固有値を調べることなく平衡点の安定性を判別する方法としては、リアプノフ関数を見つける方法があるテンプレート:Sfn。平衡点 テンプレート:Mvar を含む開集合 テンプレート:Mvar 上に定義された実数値関数 テンプレート:Math が条件

  1. テンプレート:Math かつ テンプレート:Math ならば テンプレート:Math
  2. テンプレート:Math 上で テンプレート:Math2

を満たすとき、テンプレート:Mathリアプノフ関数というテンプレート:Sfn。条件2の代わりに、

  1. テンプレート:Math 上で テンプレート:Math2

を満たすとき、テンプレート:Math狭義リアプノフ関数というテンプレート:Sfn。平衡点 テンプレート:Mvar に対してリアプノフ関数が存在するときは、テンプレート:Mvar はリアプノフ安定であるテンプレート:Sfn。平衡点 テンプレート:Mvar に対して狭義リアプノフ関数が存在するときは、テンプレート:Mvar は漸近安定であるテンプレート:Sfn。ただし、リアプノフ関数を見つける一般的で決まった方法はなく、発見的に試行錯誤して探すしかないテンプレート:Sfnm

写像の「平衡点」

テンプレート:Main

一般に、相空間の1点 テンプレート:Math2テンプレート:Math2 から テンプレート:Math2 へ写す写像 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar反復 テンプレート:Math を考えることで、離散的な時間 テンプレート:Math2 の力学系が定まるテンプレート:Sfn。このような離散的力学系に対して テンプレート:Math2 を満たす テンプレート:Mvar不動点というテンプレート:Sfn。不動点は任意の時間 テンプレート:Mvar に対して テンプレート:Math2 を満たすテンプレート:Sfn

不動点 テンプレート:Mvar では離散的力学系の解軌道は テンプレート:Mvar に留まり続けることを意味し、写像の不動点と微分方程式の平衡点は同じような性質を持つテンプレート:Sfn。微分方程式の平衡点と同様に、写像の不動点もまた離散的力学系において中心的役割を担うテンプレート:Sfn。微分方程式については「平衡点」と呼び、写像については「不動点」と呼び、それぞれを呼び分けることもあればテンプレート:Sfnm、これら2つをまとめて「不動点」や「固定点」や「平衡点」と呼ぶこともあるテンプレート:Sfnm

出典

テンプレート:Reflist

参照文献

外部リンク

テンプレート:Commonscat