黄金比

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テンプレート:参照方法 黄金比(おうごんひ、テンプレート:Lang-en-short)とは、次の値で表されるのことである:

1:1+52.
黄金長方形(縦横の長さの比が黄金比( 1: 1.618…)である長方形)から最大正方形を切り落とすと、元の長方形と相似になる。赤線は黄金螺旋、緑線は正方形内の四分円を接続したものである。黄色は重なっている部分を表す。

以下で述べるような数理的な性質は、有理数にならないこの値のみが持つ性質であり、有理近似等には基本的には意味が無い。「デザインを美しくする」などといった巷間よく見られる説については#用途を参照。小数に展開すると 1 : テンプレート:Val あるいは テンプレート:Val : 1 といった値となる。

黄金比は貴金属比の一つである(第1貴金属比)。

幾何的には、テンプレート:Math が黄金比ならば、

テンプレート:Math2

という等式が成り立つことから、縦横比が黄金比の矩形から最大正方形を切り落とした残りの矩形は、やはり黄金比の矩形となり、もとの矩形の相似になるという性質がある。正五角形の1対角線との比は黄金比に等しい。数列 テンプレート:Math2 は、等比数列をなす。そのため、(中項 テンプレート:Mvar と末項 テンプレート:Math2 の比という意味で)中末比(ちゅうまつひ)とも呼ばれる。

線分を2つに分け、短い部分と長い部分の長さの比が、長い部分と全体の長さの比に等しくなるようにしたときの比であるため、外中比(がいちゅうひ、テンプレート:Lang-en-short)とも呼ばれる。黄金比で長さなどを分けることを黄金比分割または黄金分割テンプレート:Lang-en-short または テンプレート:Lang-en-short)という。

黄金比における

1+52

黄金数(おうごんすう、テンプレート:Lang-en-short)という。しばしばギリシア文字テンプレート:Mvar(ファイ)で表されるが、テンプレート:Mvar(タウ)を用いる場合もある。黄金数は、二次方程式 テンプレート:Math の正のである:

φ=1+52=1.6180339887

黄金数の性質

既約多項式

φ=1+52=1.6180339887
  • φ1=φ1=1+52=0.6180339887

連分数表示

  • 黄金数は次の連分数表示を持つ:
φ=1+11+11+11+1=[1;1,1,1,]
  • 次の表示もある:
φ1=0+11+11+11+1=[0;1,1,1,]

無限多重根号による表示

φ=1+1+1+1+
  • 次の表示もある:
φ=2+22+2
φ1=22+22+

級数表示

  • φ=138+n=0(1)n+1(2n+1)!(n+2)!n!42n+3

三角関数による表示

三角関数を使うと次のように表すことができる:

  • φ=2cosπ5=2cos36=2cos6×6×6
  • φ=2sin3π10=2sin54=2sin666
  • φ=1+2sinπ10=1+2sin18
  • φ=1+2cos2π5=1+2cos72
  • φ=12cscπ10=12csc18
  • φ=12sec2π5=12sec72
  • φ1=2sinπ10=2sin18
  • φ1=2cos2π5=2cos72

指数関数による表示

指数関数を使うと次のように表すことができる。

  • φ=eiπ5+eiπ5

黄金比に関する極限

  • n=1nφ2n=1
  • n=11φn=φ

フィボナッチ数列との関連

Fn=15{(1+52)n(152)n}=φn(1φ)n5=φn(φ)n5
この式は、ビネの公式と呼ばれることがある。
  • フィボナッチ数列の隣接2項の比は黄金数に収束する。
limnFn+1Fn=φ
等比数列 テンプレート:Math2 は、第3項以降がそれぞれ直前の2項のに等しい性質を幾何学的に表した図。青色、緑色、黄色、赤色の線分は階差を表し、同色どうしは長さが等しくなる。
テンプレート:Math2テンプレート:Mvar は自然数)

が成り立つ。

テンプレート:Math2,
テンプレート:Math2,
テンプレート:Math2,
テンプレート:Math2,
テンプレート:Math2,

となり、係数にフィボナッチ数が出現する。そのため、テンプレート:Mvar は次のように表すことができる。

テンプレート:Math2

さらに、フィボナッチ数と、フィボナッチ数列の同伴リュカ数列であるリュカ数テンプレート:Mvarを用いて、次のように表すこともできる。

テンプレート:Math2

ピゾ数

黄金数はピゾ数であり、ピゾ数の集合の最小の集積点である。そのため黄金数の累乗は、ほとんど整数になる。例えば、

φ17=3571.000280
φ18=5777.999826
φ19=9349.000106

である。黄金数の累乗がほとんど整数になる理由は、該当記事を参照されたい。

幾何学的性質

半径の比が

(φφ):1:(φ+φ)

である3つの円が互いに外接する時、その3つの円の全てと外接する大小2つの円を描くことができ、それらを合わせた5つの円の半径の比は

(φφ)2:(φφ):1:(φ+φ):(φ+φ)2

である。

ここで

φφ=1φ+φ

であり、隣接する円との半径の比が同じで、互いに密に接する円の列を螺旋状に無限に配置することができる。

(→デカルトの円定理

応用

1のn乗根

テンプレート:Math2
テンプレート:Math2
そのため、1の1以外の5乗根は次のように表される。
x=φ±i3φ2,φ1±iφ+22
  • 同様に、1の テンプレート:Math 以外の10乗根は、上記の4つに加えて次のように表される。
x=φ±i3φ2,φ+1±iφ+22
  • 同様に、1の テンプレート:Math 以外の20乗根は、上記の8つに加えて次のように表される。(複合任意)
x=±3φ±iφ2,±φ+2±i(φ1)2

ゲーム

作図

最も簡単な作図方法は下記の通り。

  1. 正方形 abcd を描く。
  2. 辺 bc の中点 o を取る。
  3. 中心を o とし、d (a) を通る円を描き、辺 bc の延長との交点を e とする。
  4. 長方形 abef を描く。
  5. ab : be は黄金比となる(長方形 abef は黄金長方形)。

五角形五芒星(星形:☆)(何れも作図可能)から容易に作図することができる。正五角形の一辺と対角線の比、五芒星の辺と隣接2頂点の距離の比は、黄金比に等しい。

歴史

ジャック=ルイ・ダヴィッドの『レカミエ夫人の肖像』(1800年)。構図が安定して見えるのは、夫人の横たわる姿が黄金比の長方形に収まるように構成されているからだという。

伝承では、古代ギリシアの彫刻家ペイディアステンプレート:Lang, 紀元前490年頃 - 紀元前430年頃)が初めて使ったといわれる。黄金数の記号φは彼の頭文字であるが、使われ始めたのは20世紀である。なお、τはギリシア語の「分割」に由来し、やはり20世紀に使われ始めた。

同じく古代ギリシアの数学者ユークリッド紀元前3世紀? - )の著書『ユークリッド原論』では第6巻の定義3で外中比の定義が記されている。『原論』第6巻の命題30で「与えられた線分を外中比に分ける作図法」が記されている。東京工芸大学教授の牟田淳によると、ローマ建築の理論にも、黄金比の考え方が見られる[1]

ルネサンスイタリアの学者レオナルド・ダ・ヴィンチ1452年4月15日 - 1519年5月2日ユリウス暦))も発見していた記録が残っている。彼が描いた有名な美人画『モナ・リザ』の顔は黄金比になっているという指摘もある[1]

ダ・ヴィンチの同時代人であったルカ・パチョーリは著書で『神聖比例論』として言及した[1]。「黄金比」という用語が文献上に初めて登場したのは1835年刊行の、ドイツの数学者マルティン・オーム(「オームの法則」で有名なゲオルク・オームの弟)の著書『初等純粋数学』。また、1826年刊行の初版にはこの記載がないことから、1830年頃に誕生したと考えられる。

用途

長方形は縦と横の長さの比が黄金比になるとき、安定した美感を与えるという説がある。これはグスタフ・フェヒナー1867年の実験を論拠としている。しかし、フェヒナーの実験の解釈については否定的な様々な見解がある。1997年に国際経験美学会誌の黄金分割特集では、この実験結果を「永遠に葬るもの」とする見解が掲載された。また類似の(すなわち、同様に根拠が極めてあやしい)安定した比とされるものに白銀比があるテンプレート:Efn

黄金比は、長方形の形状の物の縦横比に利用されることが多い。例えば、名刺クレジットカードをはじめとする様々なカード類などは、短辺と長辺の比率が1対1.6台であることが多い[1][2][3]

ディスプレイアスペクト比には、WQXGA(解像度2560x1600)、WUXGA1920x1200)など、黄金比に近い8:5 (16:10) のものもある。

黄金比はパルテノン神殿[1]ピラミッドといった歴史的建造物美術品の中に見出すとされてきたが、これらは後付けの都市伝説であるものが含まれる。一方で、意図的に黄金比を意識して創作した芸術家も数多い[4]

自然界に存在する植物の葉脈巻貝の断面図など対数螺旋ではないが黄金比に近い例として度々挙げられる。工学分野では、自動車ではスポーツカーオフロードセミトレーラー用トラクタ軽トラックトレッド(輪距)とホイールベース(軸距)の関係が黄金比に近い。具体的には 普通乗用車であれば1500 mm 程度のトレッドに対し、ホイールベースが2400 mm 前後とやや短い値となる。これは、いずれの車種においても旋回性能が重要視されるためである。

黄金比は、容姿の美しさの指標として美容業界でもよく用いられ、身体において足底から(へそ)までの長さと臍から頭頂までの長さの比が黄金比であれば美しい、また、顔面の構成要素である目、鼻、口などの長さや間隔、細かな形態も黄金比に合致すれば美しいとされている。そして、その黄金比は横1:縦1.618となっている顔である[5]。 なお、黄金比に近い容貌コーカソイド白人)に多く[6]日本人を含むアジア人は黄金比とはかけ離れてることが多いため[7]、日本においてはアジア人に近い「白銀比」(別名「大和比」)という比率で美しさを論じる審美観が存在し[1][8][9][10]、白銀比が古代から現代までの建築、仏像の造形、さらには現代の創作などにおいて「かわいい」キャラクターデザインなど日本の文化の背景の一つになっているという分析もある[1]

黄金数の小数展開

テンプレート:Mono

テンプレート:OEIS

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Notelist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

テンプレート:Div col

テンプレート:Div col end

外部リンク

テンプレート:Algebra-stub テンプレート:Navbox テンプレート:貴金属比 テンプレート:Normdaten

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 【くらし探検隊】「かわいい」白銀比 日本に宿る*欧米は黄金比優勢 好みに差『日本経済新聞』土曜朝刊別刷り「日経+1」2022年11月19日11面
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite web
  4. テンプレート:Cite web
  5. イケメン顔の特徴と条件!顔の形・黄金比率は?Spicomi(2021年12月14日公開)2022年12月3日閲覧
  6. A・ジョリーにはあてはまらない? 現代美人顔の基準「新黄金律」が判明、米加研究AFP(2009年12月19日)2022年12月3日閲覧
  7. 美人顔の黄金比率♡ 医療法人社団 孝昭クリニック(2016年9月12日)2022年12月3日閲覧
  8. 日本人に似合う白銀比メイクとは?メイコー化粧品 BEAUTY COLUMN(2022年12月3日閲覧)
  9. 【プラチナ比メイクって何!?】旬なモテ顔になれる黄金比を超えた最新美人メイク【小田切ヒロ発】VoCE(2018年4月22日)2022年12月3日閲覧
  10. 美人顔の条件&特徴6つ!可愛い顔になる方法はバランスにあり!黄金比/白銀比」BELCY(2020年2月6日)2022年12月3日閲覧