分数

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動
1 個のケーキから 4 分の 1 (テンプレート:Math)を除いたら 4 分の 3 (テンプレート:Math)が残る。

分数(ぶんすう、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Efn2テンプレート:Sfnとは、2つのの間の割り算の商を表す数の記法である。例えば テンプレート:Mvarテンプレート:Math で割った商 テンプレート:Math は分数を用いて テンプレート:Math と表せる。

日常的には テンプレート:Math のように整数の分数がよく使われるが、分数で表される数に制限はなく、例えば テンプレート:Mathテンプレート:Math のように無理数(より一般に実数)を含んだり、テンプレート:Math のように虚数(より一般に複素数)を含んでもよい。また定数に限らず テンプレート:Mathテンプレート:Math のように変数を含んでもよい。

記法

通常の算術において、2つの数の間の割り算は分数で表される。

分数は上下2つに分けて書いた数とその間の線によって表される。分数表記において、被除数にあたる数を分子(ぶんし、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfn、除数にあたる数を分母(ぶんぼ、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfnと呼ぶ。分数の表記法はいくつかあるが、一般的には下記のように横線を引き、分子 テンプレート:Mvar を線の上、分母 テンプレート:Mvar を線の下に書く:

nd

あるいは文中などにおいて、以下のように斜線を引くこともある:

n/d

これは逆向きに

dn

とも書かれるテンプレート:要検証

読み

分数 テンプレート:Math は日本語で「テンプレート:Mvar テンプレート:読み仮名テンプレート:Mvar」と読む(例:テンプレート:Mathテンプレート:読み仮名テンプレート:Mathテンプレート:読み仮名[1]。「テンプレート:Mvar 割る テンプレート:Mvar」とも読む[1]

英語では一般に テンプレート:En ないし テンプレート:En と読むが[1]、分子と分母が整数の場合には テンプレート:En のように読む(例:テンプレート:Mathテンプレート:En, テンプレート:Mathテンプレート:En)。分母は序数詞と同じように読み、また分子が テンプレート:Math 以外の場合は複数形として扱う。例外として、分母が テンプレート:Math の場合には テンプレート:En を用い(例:テンプレート:Mathテンプレート:En または テンプレート:En, テンプレート:Mathテンプレート:En)、分母が テンプレート:Math の場合には テンプレート:Enテンプレート:En のいずれも用い得る(例:テンプレート:Mathテンプレート:En または テンプレート:En)。分子は基数詞と同じように読む。

帯分数 テンプレート:Math は日本語で「テンプレート:Mvar テンプレート:Mvar 分の テンプレート:Mvar」または「テンプレート:Mvar テンプレート:読み仮名 テンプレート:Mvar 分の テンプレート:Mvar」と読む[2]

明治初期の教科書では「か」であったが、その後西洋風に(英語ではこの部分を テンプレート:En と読むように)「と」と読ませる教科書も現れた。1905年以降の教科書では、1910年から1937年までと1950年代のもので「と」と「か」が併用されていたほかは、「と」と読ませている[3]

分類

既約分数

分子と分母が テンプレート:Math 以外に共通の因数を持たない分数を既約分数(きやくぶんすう、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfnという(例:テンプレート:Mathテンプレート:Math)。言い換えると「分数 テンプレート:Math が既約(テンプレート:En)である」とは分子 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar互いに素最大公約数テンプレート:Math)であることを意味する。

反対に、ある分数が既約でないことを可約(かやく、テンプレート:Lang-en-short)または約分可能という(例:テンプレート:Mathテンプレート:Math は可約)。可約な分数を既約分数に書き換える操作を約分(やくぶん、テンプレート:Lang-en-short)あるいは簡約(かんやく)という。

分数 テンプレート:Math が可約なら、その分子 テンプレート:Mvar と分母 テンプレート:Mvarテンプレート:Math でない最大公約数 テンプレート:Mvar を持ち、

N=gnD=gd

因数分解できる。従って、以下のように分数 テンプレート:Math を既約分数 テンプレート:Math に書き換えられる。

ND=gngd=nd

整数の分数に限らず、分子分母が因数分解できるなら約分できる。例えば分子分母が不定元 テンプレート:Mvar多項式の分数(有理式)について、

x35x2+8x4x3x28x+12=(x1)(x2)2(x+3)(x2)2=x1x+3

のように約分できるテンプレート:Efn2

単位分数

テンプレート:Main 分子が テンプレート:Math で分母が整数の分数を単位分数(たんいぶんすう、テンプレート:Lang-en-short)という。例えば テンプレート:Math は単位分数だが、テンプレート:Math は単位分数ではない。

異なる有限個の単位分数の和をエジプト式分数と呼び、数を単位分数の和に置き換えることを単位分数展開と呼ぶ。例えば テンプレート:Math の右辺はエジプト式分数の一つである。

連分数

テンプレート:Main 以下の形式の数の表示を連分数(れんぶんすう、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfnという。

a0+b1a1+b2a2+b3a3+

連分数は分母が数と分数の和として再帰的に表された分数である。通常、分子 テンプレート:Mvar および要素 テンプレート:Mvar の範囲は整数に限られる。特に分子 テンプレート:Mvar がすべて テンプレート:Math の連分数を正則連分数または単純連分数と呼ぶ。

連分数に含まれる要素 テンプレート:Mvar の個数が テンプレート:Math 個の連分数を特に テンプレート:Mvar 階の連分数と呼ぶ。連分数の階数は有限の場合も無限の場合もあり得る。

絶対値テンプレート:Math より小さい分数を真分数(しんぶんすう、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfnという。すなわち、分子の絶対値が分母の絶対値より小さな分数を真分数と呼ぶ(例:テンプレート:Math2)。 他方、真分数でない分数を仮分数(かぶんすう、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfnという(例:テンプレート:Math2)。仮分数は 0 でない整数部を持ち、整数と真分数の和に分解できる。具体的には テンプレート:Math を仮分数とし、分子 テンプレート:Mvar を分母 テンプレート:Mvar倍数テンプレート:Mvar で割った余り テンプレート:Mvar の和 テンプレート:Math として表せば(テンプレート:Math)、

nd=kd+rd=kdd+rd=k+rd

となる(例:テンプレート:Math, テンプレート:Math)。

帯分数

整数と真分数の和

k+nd

から足し算の記号 + を省略した表記

knd

帯分数(たいぶんすう、テンプレート:Lang-en-shortテンプレート:Sfnという。

代数学における一般的な規約として、掛け算の記号を省略するため、帯分数は掛け算と混同される恐れがある。テンプレート:Math と書いた際、掛け算 テンプレート:Math と足し算 テンプレート:Math のいずれとも解釈でき、掛け算と帯分数を区別できない。そのため、具体的な数量を扱う場面を除いては帯分数は用いられない。

繁分数

分子または分母が分数で表される分数を繁分数(はんぶんすう、テンプレート:Lang-en-short)という。例えば、

abc,bca,abcd

ab+cd,b+cda,a+bcd+ef

はいずれも繁分数である。

繁分数は通常の分数に書き直すことができる。0でない数 テンプレート:Mvar について テンプレート:Math であるため、例えば

abc=abc×cc=a×cbc×c=acb

のように書き換えられる。

演算規則

基本的な演算

34+14=1(=44) あるいはその逆 4414=34 を示す図。
同値
2つの分数 テンプレート:Mathテンプレート:Math が等しいことは、以下の等式を満たすことから確かめられる:
adbc=0ab=cd.
特に、2つの分数 テンプレート:Mathテンプレート:Math は等しく、テンプレート:Math と書き直せる:
(a)(b)ba=0(a)b=a(b)=ab.
乗法
2つの分数 テンプレート:Mathテンプレート:Math掛け算は以下のようになる:
abcd=acbd=acbd.
同様に分数 テンプレート:Math と数 テンプレート:Mvar の掛け算は以下のようになる:
abc=acb=acb.
逆数
テンプレート:Math でない分数 テンプレート:Math逆数テンプレート:Efn2テンプレート:Math である:
abba=1.
特に テンプレート:Math でない数 テンプレート:Mvar の逆数は テンプレート:Math である:
a1a=1.
除法
2つの分数 テンプレート:Mathテンプレート:Math割り算は被除数 テンプレート:Math と除数の逆数 テンプレート:Math の掛け算に等しい:
ab÷cd=abdc=adbc.
同様に分数 テンプレート:Math と数 テンプレート:Mvar の割り算は以下のようになる:
ab÷c=ab1c=abcc÷ab=c1ba=bca.
加法・減法
2つの分数 テンプレート:Mathテンプレート:Math足し算引き算はそれぞれ以下のようになる:
ab+cd=adbd+bcbd=ad+bcbd,abcb=adbdbcbd=adbcbd.
特に分母の等しい2つの分数 テンプレート:Mathテンプレート:Math の足し算と引き算はそれぞれ単に分子同士の足し算と引き算で表せる:
ab+cb=a+cb,abcb=acb.
分母 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar が共通因数 テンプレート:Mvar を持ち、テンプレート:Math, テンプレート:Math と書ける場合、足し算と引き算は以下のようになる:
arp+crq=aq+pcrpq,arpcrq=aqpcrpq.
同様に分数 テンプレート:Math と数 テンプレート:Mvar の足し算と引き算は以下のようになる:
ab+c =a+bcb,abc =abcb,cab=bcab.

部分分数分解

テンプレート:Main

分母の有理化

テンプレート:Main

性質

加比の理

2つの分数 テンプレート:Math, テンプレート:Math が以下の2つの不等式を満たす場合、

cdab0,bcad0,

以下の不等式が成り立つ:

cda+cb+dab.

また、いずれか一つが テンプレート:Math でない非負の数 テンプレート:Math について、以下が成り立つ:

cdpa+qcpb+qdab.

不等式の等号が成立するのは2つの分数が等しい(テンプレート:Math)場合に限る。その場合、2つの等しい分数について、それらの分子の和と分母の和からなる分数もまた等しいことが言える:

ab=cdab=a+cb+d=cd.

この性質はテンプレート:読み仮名と呼ばれる。

分数 テンプレート:Math幾何学的に平面上の直交座標系の原点を通る直線傾きと見なせ、分子と分母はその直線上の点 テンプレート:Math に対応する。分数 テンプレート:Math は原点から生えた2つのベクトル テンプレート:Math, テンプレート:Math の和 テンプレート:Math の傾き、すなわち線分 テンプレート:Math, テンプレート:Math のなす平行四辺形の原点を共有する対角線の傾きに対応する。 1つ目の不等式 テンプレート:Math は分数に対応した直線の傾きの大小関係を表し、2つ目の不等式 テンプレート:Mathベクトル積 テンプレート:Math の向きが正であること、すなわち テンプレート:Math, テンプレート:Math のなす平行四辺形が テンプレート:Math から見て左側(反時計回りの向き)に作図されることを表す。

2つの不等式から テンプレート:Math が得られる。分母 テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar, テンプレート:Math の符号はいずれも一致するから、

bcad=bc+(cdcd)ad=(b+d)c(a+c)d0

および

bcad=bc+(abab)ad=(a+c)b(b+d)a0

より、以下の不等式が得られる:

cda+cb+dab.

有理数の表現

一般の有理数整数 テンプレート:Mvar と 0 でない整数 テンプレート:Mvar の分数 テンプレート:Math で表せる。言い換えると、整数の分子と分母を持つ分数で表される数全体が有理数である。

正の整数 テンプレート:Math について、分数 テンプレート:Math を考えることができる。分数 テンプレート:Math は割り算 テンプレート:Math、あるいは単位分数 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar 倍の数と捉えることができる。また、テンプレート:Mathを持つ2つの数量のうち、テンプレート:Mvar に相当する数量の大きさを 1 とした場合、他方の テンプレート:Mvar に相当する数量の大きさは テンプレート:Math となる。この事実から、分数 テンプレート:Math で表わされる数のことを指し、2つの数 テンプレート:Math の比と表現することがある。

一般化

テンプレート:Main

分数は自然数だけではなく、整数全体や実数複素数などを用いても定義される。

抽象代数学において分数は、に十分な逆元を追加することで新しい環を作り出す環の局所化あるいは全商環などの概念として一般に捉えることができる(分数環あるいは商の環というような言い方もある)。

可換環 テンプレート:Mvar部分集合 テンプレート:Mvar は、テンプレート:Mvar の単位元 1 を含み、テンプレート:Mvar の任意の2つの テンプレート:Math について、それらの積 テンプレート:Mvar が再び テンプレート:Mvar の元となる(つまり乗法について閉じている)場合、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar積閉集合という。可換環 テンプレート:Mvar とその積閉集合 テンプレート:Mvar に対し、テンプレート:Math における二項関係 テンプレート:Math

(r1,s1)(r2,s2)tS,t(r1s2r2s1)=0

で定めると、これは テンプレート:Math における同値関係を与える。テンプレート:Math をこの同値関係で割ったものを テンプレート:Math で表し、テンプレート:Math の属する同値類テンプレート:Math などで表す。このとき、テンプレート:Math には、もとの環 テンプレート:Mvar における演算と両立する和や積といった環としての演算が、すでに上で述べた規則に従って与えられる。

可換環 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Mvar零因子でない元の全体は積閉集合である。積閉集合 テンプレート:Mvar をそのようなものとする場合、環 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar全商環と呼ばれる。また、積閉集合 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar素イデアル テンプレート:Mvar補集合として与えられている場合には、テンプレート:Math の代わりにしばしば テンプレート:Mvar と書いて テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar における局所化と呼ぶ。なお、テンプレート:Mvar整域ならば、このような同値関係は簡約できて

r1s2r2s1=0

によって与えられ、これによって得られる全商環は可換体の構造を持つ。これを分数体あるいは商体と呼ぶ。

全商環や商体といった構造はある種の普遍性を与えており、たとえば整域の商体はもとの整域を含む最小の体を与えることなどが確かめられる。

積演算が非可換である場合、除法が左右で区別されるように分数も割る方向の左右で区別される。

辞書的な定義

いくつかの辞典では、分数を有理数同義語として扱っている。例えば『精選版 日本国語大辞典』において分数は「整数aを零でない整数bで割った商を、横線を用いてa/bと表わしたもの。aを分子、bを分母と呼ぶ。有理数。」[4]、また『小学館デジタル大辞泉』においては「二つの整数a・bの比として表される数。」[5]と説明されている。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Notelist2

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

外部リンク

テンプレート:Normdaten