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数学において"テンプレート:Math"は、小数点の後に無限に"テンプレート:Math"が続く循環十進小数である。
概要
実数として "テンプレート:Math" と"1"は等しくなることを示すことができる(ただし、テンプレート:Mathなど途中で終了する小数はテンプレート:Mathと等しいと言えない)。この証明は、実数論の展開・背景にある仮定・歴史的文脈・対象となる聞き手などに応じて、多様な数学的厳密性に基づいた定式化がある[注釈 1]。
循環する無限小数一般に言えることだが、テンプレート:Math の末尾の … は省略記号であり、続く桁も テンプレート:Math であることを示す。省略記号の前の テンプレート:Math の個数はいくつでもよく、テンプレート:Math のように書いてもよい。あるいは循環節を明確にするために テンプレート:Math2 などと表記される。
一般に、ある数を無限小数で表すことも有限小数で表すこともできる。本稿で示されるように テンプレート:Math と テンプレート:Math は等価であるから、例えば テンプレート:Math は テンプレート:Math と書いても同じ数を表す。十進数を例に採ったが、数が一意に表示されないことは別の底の位取り記数法でも生じ、また小数表示以外でも同様に起こり得る。
テンプレート:Math と テンプレート:Math の等価性は、実数の体系(これは解析学では最も一般的に用いられる体系である)に テンプレート:Math でない無限小が存在しないことと深く関係している。一方、超実数の体系のように テンプレート:Math でない無限小を含む別の数体系もある。そのような体系の大半は、標準的な解釈(有限小数の極限としての解釈)の下で式 テンプレート:Math の値は テンプレート:Math に等しくなるが、一部の体系においては記号 "テンプレート:Math" に別の解釈を与えて テンプレート:Math よりも無限小だけ小さいようにすることができる。
算数・数学教育において、テンプレート:Math という関係(または類似の関係)が正しいことを教えることは一つの課題となっている。個別には例えば、テンプレート:Math のような簡単な数に対しても別の表示方法(この場合、テンプレート:Math)があることや、テンプレート:Math が数列の極限の簡便な記法であること、極限の値は必ずしも元の数列に含まれないこと、また極限という概念そのものの理解が難しいことなどが挙げられる。
代数的な証明
テンプレート:Math という実数を明確にとらえるには、やはり小数点以下の位がすべて テンプレート:Math であることを利用する。位取り記数法で表された有限小数における"位ごとの四則演算"が無限小数に対しても適用できる、と見なすと、テンプレート:Math を初等的に導くことができる。
分数による証明
テンプレート:Math を小数表示すると、小数点以下の位は全て テンプレート:Math であることを利用する。テンプレート:Math は テンプレート:Math2 の商であり、割り算の筆算により、循環小数 テンプレート:Math となる。ここで テンプレート:Math は無限に続く。この小数点以下の各位は テンプレート:Math 倍するといずれも テンプレート:Math となることから、有限小数のときと同様に各位への一斉な掛け算が可能とみなせば、無限小数 テンプレート:Math を テンプレート:Math 倍するとテンプレート:Math に等しい。一方、テンプレート:Math2 である。従って テンプレート:Math2 である[注釈 2]。同様な別証明として、テンプレート:Math2 の両辺に テンプレート:Math を掛けることでもできる。
位取り記数法の性質を利用した証明
十進法表示の有限小数に テンプレート:Math を掛けると、数字は変化することなく、小数点が1つ右に移動する。このことが無限小数に対しても成り立つと見なせば、テンプレート:Math2 であり、これはもとの数に比べて テンプレート:Math 大きい。引き算が位ごとに扱えることが無限小数に対しても成り立つと見なせば、テンプレート:Math2 である。ところが、小数点以下に無数に続く テンプレート:Math は数を変化させないので、この差はまさしく テンプレート:Math に等しい。問題の小数 テンプレート:Math を テンプレート:Mvar と置くと、テンプレート:Math2 であり、この方程式を解くと、テンプレート:Math2 が得られ、証明が完了する[注釈 2]。つまり、導出は以下のようになる。
この位取り記数法の性質を利用した証明は他の有限小数(テンプレート:Math と テンプレート:Math など)にも適用できる。
無数の位ごとの操作の正当性
テンプレート:出典の明記 以上の2つの証明で用いた、無数の桁に対する位ごとの操作(つまり、掛け算や引き算)を一斉に行う(つまり…の部分に行う)ことは、厳密性に欠け、その正当性が明らかではない。有限小数に関しては、この過程は実数の計算法則にのみ依存している。この操作が無限小数にも適用できることを証明するためには、次節 #解析的な証明 に述べる実解析の手法を必要とする。
日本の数学教育においては、高校数学の数学Iで循環小数の足し算・引き算・10倍が公理として採用されているため、上記の代数的な操作は高校数学の範囲内では正しい証明とされる。
解析的な証明
テンプレート:Math という小数点以下の位に無数の テンプレート:Math を加えていくという定義自体が解析的である。これが テンプレート:Math に等しいことを厳密に証明するには、実解析の手法を必要とする。テンプレート:Math という無限小数を正確にとらえるには、小数部分の位が無数に並ぶことを明確に定義し直すことが必要となる。
差に着目した証明
テンプレート:出典の明記 テンプレート:Math が テンプレート:Math に等しいことを証明するには、それらの差が テンプレート:Math であることを証明すればよい。その分、無数に並ぶ テンプレート:Math についての定義はぼやけるが、初等的かつ解析的に導くことができる。 テンプレート:Quotation なお、この証明では、最後に
であることを証明抜きで用いている。
これを証明するためには、実解析における実数の連続性(アルキメデスの性質)が必要となる。
無数の位の定義の再考
テンプレート:Math、一般には無限小数(小数点以下に無数に位が並ぶ実数)の明確な定義を議論し直すために、定式化する。テンプレート:Math を考えるのに、整数部分は1桁だけ考えれば十分であり、負の数は考えなくてよいので、考察するべき小数表示は
の形である。小数部分は整数部分と違って有限の桁数に制限されない。これは基数 テンプレート:Math の位取り記数法であるから、例えば テンプレート:Math の単位は テンプレート:Math の単位の [[10|テンプレート:Math]] 倍、テンプレート:Math の単位は テンプレート:Math の単位の テンプレート:Math 倍である。
級数の計算
小数展開の一般的な定義としては、おそらく級数(無限数列の総和)として定義することである。つまり
と表される。
ここで、テンプレート:Math の小数部分の計算には等比級数の公式[2]:
- テンプレート:Math2 のとき
を適用することが可能である。
テンプレート:Math は、上式の左辺で初項 テンプレート:Math2, 公比 テンプレート:Math2 としたものであるから、この公式より
と簡単に問題を解決することができる。この証明は早くて1770年のレオンハルト・オイラーによる Elements of Algebra[3] において(実際には テンプレート:Math の証明としてだが)見られる。

等比級数の公式自体はオイラー以前の成果であるが、18世紀まではその導出がいずれも項別演算を証明なしで行われていた。1811年になってやっと、Bonnycastle の教科書 An Introduction to Algebra で等比級数に関する議論を行うことで テンプレート:Math に関する項別操作を正当化している[4]。
19世紀には、それまでの自由すぎる無限和の計算に対する反動として、「級数はその部分和の極限として定義される」という、現在の数学でも用いられている定義が生み出された。このころの証明に基づいた微積分学や解析学の入門書においては、関連する定理を証明することによりこの等比級数もはっきりと計算されている[5]。
数列 テンプレート:Math において、番号 テンプレート:Mvar を限りなく進ませると距離 テンプレート:Math が テンプレート:Math に近づくときに、数列 テンプレート:Math の極限が テンプレート:Mvar であると定義される。等式 テンプレート:Math 自身は以下のように極限として表すことにより証明される。
最後の等号 () は、実数の連続性の一つであるアルキメデスの性質を用いて証明される。このような極限を基にした テンプレート:Math の説明はしばしば、分かりやすいが不正確な言葉によって説明されている。例えば、1846年の教科書 The University Arithmetic は「テンプレート:Math と無限に続く数は テンプレート:Math である。なぜなら テンプレート:Math を積み重ねるたびにその値は テンプレート:Math に近づくからである」と説明しており、1895年の Arithmetic for Schools は「テンプレート:Math を十分多く用いれば、テンプレート:Math と テンプレート:Math の距離は驚くほど小さい値である」と説明している[7]。直観に頼らず、はっきりとした理解を得るために、コーシーやボルツァーノらにより微積分を厳密な理論で再構築する流れが生まれた。1860年代にワイエルシュトラスにより ε-δ論法が考案され、無限の概念を不等式の任意性に置き換えることにより、項別操作の可能性などについても説明がついていくこととなる。
区間縮小法と上限

無限小数の小数部分を級数として直接計算する前述の導出に対して、それとは別に、もう一つの方法は、無限小数が取らない値の範囲を排除していくという方法である。
実数 テンプレート:Mvar は閉区間 テンプレート:Math(すなわち テンプレート:Math 以上 テンプレート:Math 以下)に属するとし、この区間 テンプレート:Math を一の位ごとの テンプレート:Math 個の区間 テンプレート:Math2 に分割(端点のみで重なる)する。実数 テンプレート:Mvar はこのうちの少なくとも1つに属し、その区間の下限、例えば テンプレート:Mvar が区間 テンプレート:Math に属するときには "テンプレート:Math" を記録する。次に、属している区間 テンプレート:Math を小数第一位ごとに テンプレート:Math2 に分割し、テンプレート:Mvar が属する区間の下限を記録する、という操作を繰り返すと テンプレート:Math2 から決まる区間の減少列が生み出される。この数列から
と表現される。
この記録の仕方により、実数 テンプレート:Math は最初に テンプレート:Math に属するかそれとも テンプレート:Math に属するかにより テンプレート:Math2 と テンプレート:Math2 の2通りの表示が得られることになる。このそれぞれの小数記録表示が表す実数が等しいことを証明するには、直接的には極限を用いてなされるが、順序の議論を続ける別の構成方法もある[8]。
直接的な方法としては区間縮小法が挙げられる。この原理によれば、閉区間の減少列が与えられ、その幅が テンプレート:Math に収束するとき、それらの区間の共通部分はただ1つの実数からなる1点集合であることが、実数の連続性より証明される。したがって テンプレート:Math2 は テンプレート:Math2 のすべてに属する唯一の実数であると定義される。したがって テンプレート:Math は テンプレート:Math2 のすべてに属する唯一の実数である。一方、実数 テンプレート:Math はこれらすべての区間に属するので テンプレート:Math2 となる[9]。
区間縮小法は、実数の連続性のうちのより直観的であると思われる上限の存在に基づいている。この事実を直接用いると、テンプレート:Math2 を近似値の集合 テンプレート:Math2 の上限として定義することができる[10]。増加列の上限の存在定理は実数の連続性として区間縮小法と同値であることが示せるので、再び テンプレート:Math を得る。トム・アポストルは次のように結論付けた[11]。
- 「実数が異なる2つの小数表示を持つ可能性があるという事実は、単に、実数からなる異なる2つの集合の上限・下限が等しくなる可能性があるという事実の裏返しに過ぎない。」
実数の構成
テンプレート:Main 公理的集合論を用いて、実数の集合をテンプレート:仮リンクある種の構造として明示的に定義する方法はいくつか存在する。まず、自然数とは、ものを数えるときに用いる番号のことであり、テンプレート:Math から始めて テンプレート:Math2 と、テンプレート:Math ずつ添加していくことにより得られる。自然数を拡張して整数全体を得るには、各自然数の反数を添加すればよい。さらにそれらの商を添加すると、有理数全体が得られる。これらの数体系には、加減乗除という四則演算が付随しており、さらに、任意の2数を比較しての大小関係(どちらが大きいか、小さいか、等しいか)という順序をも備えている。
有理数から実数への拡張は(自然数から整数や有理数への拡張と比べて)大きな飛躍である。この拡張の方法は、少なくとも2つの手法がよく知られている。ともに1872年に発表された有理数の切断によるものとコーシー列によるものである。テンプレート:要出典範囲。現代数学では、解析学的に実数を構成し、それが数の公理を満たすかどうかに注意が払われる。公理による解析的手法により テンプレート:Math を証明することになるからである。しかしながら、実数の構成をより適切に、論理的に行うことにより、テンプレート:Math2 の証明はもっと直接的になされる (self-contained) と主張する人もいる[注釈 3]。
デデキント切断による構成
テンプレート:See also デデキント切断のアプローチでは、任意の実数 テンプレート:Mvar は、「テンプレート:Mvar より小さい有理数全体からなる無限集合」と定義される[注釈 4]。この考え方では、実数 テンプレート:Math は「テンプレート:Math より小さいすべての有理数の集合」となる[12]。
正の数でのデデキント切断は、その小数展開により得られる。小数表示を適当な位までで切って得られる有理数を使い、それより小さい有理数全体の和集合を作ればいいのである。この方法で実数 テンプレート:Math というものが何であるかを考えるなら、テンプレート:Math2(つまり、ある自然数 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Math2 を満たす有理数 テンプレート:Mvar すべてが作る集合)として定義されるということになる[13]。テンプレート:Math より小さい有理数すべては テンプレート:Math より小さいので、これは実数 テンプレート:Math の元に含まれる。一方、実数 テンプレート:Math の元となる任意の有理数
(テンプレート:Math) を考えると、
となるため、テンプレート:Math は テンプレート:Math の元になっている。よって、テンプレート:Math と テンプレート:Math とは全く同じ有理数をすべて元として含み、これらは集合として等しい。つまり テンプレート:Math2 であるというわけである。
デデキント切断による実数の定義は、1872年にリヒャルト・デーデキントによって初めて発表された[14]。上記の、実数をそれぞれの小数展開に帰着させる方法は、フレッド・リッチマン (Fred Richman) によって雑誌 Mathematics Magazine に投稿された "Is 0.999… = 1?" という解説論文による説明である。この論文は大学の数学教師とその生徒向けに書かれている[15]。リッチマンは、有理数の任意の稠密な部分集合における切断を考えても同様な結果をもたらすことを指摘している。その中で彼は、分母が テンプレート:Math の冪である分数全体の成す稠密部分集合を用いて、テンプレート:Math の証明をより直接的に与えている。また、テンプレート:Math となる テンプレート:Mvar は切断を有するが、テンプレート:Math2 となる テンプレート:Mvar は切断をもたないことも指摘し、「これは テンプレート:Math と テンプレート:Math が異なってしまうことを排除するものである。……実数の伝統的な定義の中に、等式 テンプレート:Math は最初から組み込まれている」と評した[16]。リッチマンは、この手順に修正を加えることで、テンプレート:Math2 となる別の構造を導いている。
コーシー列による構成
テンプレート:Main 実数を構成するもう一つの方法は、実数の切断に比べれば間接的にではあるがやはり有理数の順序を用いるものである。まず、2つの有理数 テンプレート:Mvar と テンプレート:Mvar に対して、距離 テンプレート:Math を絶対値 テンプレート:Math で定義する(テンプレート:Mvar の絶対値 テンプレート:Math とは テンプレート:Mvar と テンプレート:Math の小さくない方と定義され、非負である)。そして実数全体というものを、この距離 テンプレート:Mvar に関する有理数のコーシー列全体を以下で定義する同値類で割ったものとして定義するのである(実数の完備性も参照のこと)。ここで、有理数列(つまり自然数から有理数への写像)テンプレート:Math がコーシー列であるとは、
- 任意の正の数 テンプレート:Mvar に対して、番号 テンプレート:Mvar が存在し、テンプレート:Mvar より大きいすべての テンプレート:Math に対して テンプレート:Math2
が成り立つ(つまり、番号が十分先なら隣接2項間の距離が限りなく小さくなる)ことと定義される[17]。
2つのコーシー列 テンプレート:Mathと テンプレート:Math が同値であることを、テンプレート:Math が テンプレート:Math に収束することと定める。小数 テンプレート:Math に対して、各位以降を順に切り捨てていくことにより得られる数列は有理数のコーシー列を定めるので、このコーシー列が、この小数展開の表している実数の真の値と定められることになる[18]。
この性質より テンプレート:Math を証明するためにしなければならないことは、有理数のコーシー列
が同値である、すなわち
が テンプレート:Math に収束することを証明することである。
この極限は単純で[19]、数列の極限の定義により示される。こうして、やはり テンプレート:Math が示されたことになる。
コーシー列による実数の定義は、最初に(いずれも)1872年にエドゥアルト・ハイネとゲオルク・カントールにより独立に発表された[14]。テンプレート:Math の証明を含む、小数展開による上記のアプローチは1970年にグリフィス (Griffiths) とヒルトン (Hilton) の書いた教科書 A comprehensive textbook of classical mathematics: A contemporary interpretation (「古典数学に関する総合教科書:現代的解釈」)に従っている。この教科書は、よく知られた概念について、現代の観点から再検討することを主眼に書かれている[20]。
他の数体系での振る舞い
実数は標準的な数体系であるが、"テンプレート:Math" という無数桁の表記がある実数を表すだろうと、テンプレート:誰範囲は自然に考えている。ウィリアム・ティモシー・ガワーズは Mathematics: A Very Short Introduction で、等式 テンプレート:Math を結論することも同様に『慣習』であると述べている。すなわち、
- 「しかしながら、それは決して恣意的な慣習ではない。なぜなら、それを受け入れなければ、一風変わった新しい対象を発明するか、または算術のよく知られた規則のいくつかを諦めるかのどちらかが強制されるからである[21]。」
標準的な数体系である実数体に対して、通常と異なる方法で数を構成し、テンプレート:Math という表記が意味を持つ、実数とは別の数体系を定義することができる。テンプレート:独自研究範囲。
無限小を含む体系
テンプレート:See also テンプレート:Math のいくつかの証明は、通常の実数がアルキメデス順序体であること、すなわち、"テンプレート:Math でない無限小は存在しない" ことに依存している。特に、差 テンプレート:Math は任意の正の有理数よりも小さいはずであるから、それは(テンプレート:Math か)無限小でなければならないが、実数の体系には テンプレート:Math でない無限小は無いので、差は テンプレート:Math、つまり二つの値は等しいことが結論付けられる。それでも、実数の非アルキメデス的代替となりうる様々な体系を含む、数学的に一貫したテンプレート:仮リンクは存在する。
超実数
テンプレート:See also 超準解析によって、無限小(およびその逆数)の完全な系列を含んだ数体系が提供される[注釈 5]。テンプレート:仮リンクは区間 テンプレート:Math に属する超実数 (hyperreal number) に対する小数展開を考えることで、無限小数に対する別の解釈を与えている[22]。ライトストーンは、超実数に超自然数で添字付けられた数字列
が対応することを指摘した。ここでセミコロンの左側は有限(標準)自然数桁を表し、セミコロンの右側は無限大(超準)自然数桁を表す。ここで、セミコロンの直前や直後の桁といったものは存在しないことに注意。ライトストーンは テンプレート:Math について直接扱ったわけではなく、テンプレート:仮リンク の帰結として実数 テンプレート:Math が テンプレート:Math で表されることを指摘した。故に テンプレート:Math2 である。ここで言う意味での小数展開が必ずしも数を表すとは限らないことに注意すべきである。特に "0.333…;…000…" や "0.999…;…000…" は何の数とも対応しない。この事実はテンプレート:仮リンクを使って説明できる。小数展開の各桁を写像 と見做す。有限桁目が全て テンプレート:Math だと仮定する。つまり
である。ここにoverspill principleを適用すると、ある無限大超自然数 があって
が成り立つ。つまり は "0.333…;…333000…" や "0.333…;…333001854…" のように、ある無限大桁目まで3が連続する超実数でなければならない。
数 テンプレート:Math の標準的な定義は テンプレート:Math2 なる数列の極限である。この定義に移行原理を適用した場合、つまり で添字付けられた有向点族テンプレート:Math2の順序位相による極限を考えれば、これは テンプレート:Math に正確に等しい。超準解析において無限小数表示は通常この意味で用いられる。前段で述べた超実数の無限小数表示もこの定義に基づいている。なお、超実数の可算列 は収束しない。
一方、通常と異なる解釈として超極限 (ultralimit) と呼ぶ数列 テンプレート:Math2 のテンプレート:仮リンクに関する同値類 テンプレート:Math2 と見做す解釈があるが、これは テンプレート:Math より無限小だけ小さい。より一般に、階数 テンプレート:Mvar の無限大超自然数の位置に最後の 9 がくる超実数 テンプレート:Math は狭義の不等式 テンプレート:Math2 を満足する。これに応じて、「無限個の 9 のあとに 0 が続く」ことの別解釈を
と理解することができる。このように解釈した "テンプレート:Math" は テンプレート:Math に「無限に近い」。イアン・スチュアートはこの解釈を、「テンプレート:Math は テンプレート:Math よりも『ほんの少しだけ小さい』」という直観を厳密に正当化する「全く合理的な」方法と位置付けた[24]。テンプレート:Harvtxt に基づき、テンプレート:Harvtxt もまた学生のもつ「テンプレート:Math2 という考えを実数に対する誤った直観とする仮定に疑問を呈し、むしろそれを「超準的」直観と解釈した方が解析学の習得において価値があるのではないかとした。Jose Benardete は自身の著書 Infinity: An essay in metaphysics において、過度に制限された数体系に話を限定する限り、数学以前の自然な直観のいくらかは言い表すことができないのだと主張した。 テンプレート:Quotation
超現実数・ゲーム
テンプレート:See also 前項と特に関連して、テンプレート:仮リンクにおける同様の実数代替体系として、"無限二色ハッケンブッシュゲーム (infinite Blue-Red Hackenbush)" を考えることができる。1974年に、エルウィン・バーレカンプ (Elwyn Berlekamp) はデータ圧縮のアイディアに刺激されてハッケンブッシュ文字列と実数の2進展開の関係について述べた。例えば、"ハッケンブッシュ文字列 (Hackenbush string)" LRRLRLRL… の値は テンプレート:Math2 である。しかしながら、文字列 LRLLL…(テンプレート:Math に対応する)の値は テンプレート:Math に比べてごくわずかだけ小さい。 これらの2数(LRLLL… と テンプレート:Math)の差は超現実数 テンプレート:Math(テンプレート:Mvar は最小の超限順序数)である。これに関連するゲームは LRRRR… すなわち テンプレート:Math である[注釈 6]。
減法の再考
別の方法は、引き算はいつでもできるわけではなくて「テンプレート:Math は存在しない」としてしまうことである。加法をもつが減法をもたない数学的構造には、可換半群、可換モノイド、半環 などが含まれる。リッチマンは テンプレート:Math2 となるようにデザインされた、そのような2つの構造を考えた。
まず、リッチマンは負でない"十進数"を文字通り小数展開となるように定義する。彼は辞書式順序と加法を定義した。ここでは テンプレート:Math2 であることに注意する。なぜなら単に、一の位において テンプレート:Math2 となるからである。しかし、どんな「無限小数」テンプレート:Mvar に対しても テンプレート:Math2 である。だから、"十進数"に特徴的なこととして、一つは加法が必ずしも打ち消し合わないということであり、もう一つは テンプレート:Math に対応する"十進数"は存在しないということである。乗法を定義すると、"十進数"は正値全順序可換半環をなす[25]。
乗法を定義する際、リッチマンはまた、"cut D" と呼ばれる別の構造を定義する。これは小数の切断の集合である。通常この定義は実数を導くが、彼は小数 テンプレート:Mvar に対して、切断 テンプレート:Math と "principal cut" テンプレート:Math の両方を許す。その結果、実数たちは小数と「不安定な状態で共存する (living uneasily together with)」ことになる。したがって、再び テンプレート:Math2 を得る。"cut D" には正の無限小は存在しないが、"一種の負の無限小" テンプレート:Math が存在する。テンプレート:Math には小数展開は存在しない。彼は テンプレート:Math であると結論したが、一方、方程式 "テンプレート:Math2" は解をもたない[注釈 7]。
テンプレート:Math は何になるかを尋ねると、しばしば "テンプレート:Math" を浮かべられることがある。これに意味を持せることができるか否かは別として、テンプレート:Math の "最後の テンプレート:Math" に テンプレート:Math を足すことで次々に繰り上がり、すべての テンプレート:Math が テンプレート:Math に変わって、一の位に テンプレート:Math が残るという意図は直観的には明白である。この考えは、(他にも理由はあるが)テンプレート:Math には "最後の テンプレート:Math" がないので失当である[26]が、『最後のテンプレート:Math』を持つ無限文字列を持つ体系というのは存在する。

[[p進数|テンプレート:Mvar進数]]は整数論が研究対象とする数体系である。実数と全く同様に、テンプレート:Mvar進数はコーシー列を経由して有理数の完備化として作ることができる。ただしこの構成には、テンプレート:Math は テンプレート:Math よりも テンプレート:Mvar に近く、テンプレート:Mvar にはもっと近いという、(実数の構成のときとは)異なる距離を用いる。テンプレート:Mvar進数は テンプレート:Mvar が素数のとき体をなし、テンプレート:Mvar が素数でないとき(テンプレート:Math はこの場合である)でも環をなす。したがって、テンプレート:Mvar進数に足し算や掛け算のような計算を実行することができ、無限小は存在しない。
テンプレート:Mvar進数には小数展開の類似を考えることができ、位が左へ進む(実数の小数展開とは逆に、右へは有限桁しか進めない)。テンプレート:Math進展開 テンプレート:Math を考える。一の位に テンプレート:Math を加えることができるが、すると テンプレート:Math だけが残されて繰り上がりが続き、その結果 テンプレート:Math2 となる。すなわち、テンプレート:Math である[27]。もう一つの導出方法は等比級数を用いる。"テンプレート:Math" の意味をもつ等比級数は実数においては収束しないが、テンプレート:Math進数では収束し、よく知られた公式を再び用いることができて
となる(前述の等比級数と比較せよ)。3番目の導出方法はある中学1年生によって発明された。その生徒は教師が テンプレート:Math を極限を用いて行った議論に疑いをもったが、[[#位取り記数法の性質を利用した証明|上記の テンプレート:Math を掛ける証明]]を反対の方向へ用いてみようとした。すると、テンプレート:Math2 ならば テンプレート:Math2 であるから、テンプレート:Math2 であり、再び テンプレート:Math となる[27]。
最後の拡張として、テンプレート:Math2(実数における等式)と テンプレート:Math2(テンプレート:Math進数における等式)であるから、「盲目的に記号を偽弄することを恥じなければ (by blind faith and unabashed juggling of symbols)」[29]2つの等式の両辺を加えて テンプレート:Math2 を得る。この等式はもはや 10-進数としても通常の小数展開としても意味をもたないが、よく知られた体系、すなわち実数を表現するために、左方への循環も許す「二重十進」(double-decimals) の理論を誰かが開発すれば、一転してこの等式も意味をもち正しくなる[30]。
一般化
等式 テンプレート:Math2 の証明は直ちに2つの方法で一般化される。最初に、まさにその特別な場合において考えられたように、すべての テンプレート:Math でない有限小数(すなわち、後に テンプレート:Math が限りなく続く)は テンプレート:Math が後ろにずっと続く別表現をもっている。例えば、テンプレート:Math は テンプレート:Math に等しい[31]。
次に、テンプレート:Math2 に相当する結果を他の基数にも適用することができる。例えば 二進法では テンプレート:Math2 であり、三進法では テンプレート:Math2 である。一般に、基数を テンプレート:Mvar とするとき、小数点以下には テンプレート:Math2 が繰り返し並ぶ。実解析の教科書は テンプレート:Math2 の例を飛ばして、これらの一般化のうちの一つか両方を最初から紹介する傾向がある[32]。
テンプレート:Math の別表現は、非整数を基数としても現れる。例えば、黄金比を基数とすると、2つの標準的表示は テンプレート:Math と テンプレート:Math であるが、他にも テンプレート:Math2 のように隣接する "テンプレート:Math" を含む無数の表現がある。一般的に、テンプレート:Math と テンプレート:Math の間のほとんどすべての テンプレート:Mvar に対し、"非可算無限" の 『テンプレート:Math の テンプレート:Mvar進表現』が存在する。他方で、(テンプレート:Math より大きい自然数を含めた)なお"非可算無限"の テンプレート:Mvar が テンプレート:Math の テンプレート:Mvar進表現を(自明な テンプレート:Math を除いて)ただ一つしかもたない。この結果は1990年頃に ポール・エルデシュ (Paul Erdős)、ミクローシュ・ホルヴァート (Miklos Horváth)、イストヴァン・ヨー (István Joó) によって最初に述べられた。1998年に Vilmos Komornik とパオラ・ロレティ (Paola Loreti) はこのような最小の基数として テンプレート:Math2 を決定した。この基数においては、テンプレート:Math2 であり、この数はトゥエ・モース列 (Thue-Morse sequence) を与える。これは循環しない[33]。
さらに変則的な規則に基づく記数法 (the most general positional numeral systems) においても テンプレート:Math2 に相当する結果が得られる。これらもまた多様な表現をもつので、ある意味で扱いはさらに困難である。例えば[34]、
- 平衡三進法 (balanced ternary system) においては、テンプレート:Math2
- 階乗進法 (factorial number system) においては、テンプレート:Math
マルコ・ペトカイゼク (Marko Petkovšek) は、そのように一つの数が複数の方法で表せるということは位取り記数法を用いることの必然的な結果であると述べ、すべての実数を扱う任意の位取り記数法において複数の表現をもつ実数の集合は常に稠密であることを証明した。彼はこの証明を「一般位相空間に関する初級の教育的な練習問題」と呼んだ。それは、位取り記数法の値の集合を Stone空間と見ること、その実数表現が連続関数によって与えられることに気づくことを、その証明が含んでいるからである[35]。
応用例
テンプレート:Math の別表現としての テンプレート:Math に関する一つの応用が初等整数論に見られる。1802年にグッドウィン (H. Goodwin) は、ある種の素数を分母とする分数では、循環小数表示したときに 9 が現れることを発表した。例えば、
と書かれている。
ミディ (E. Midy) は1836年にこのような分数に関する一般的な結果を証明して、現在はミディの定理と呼ばれている。その論文は曖昧であり、彼の証明が直接 テンプレート:Math を含むかどうか定かではない。しかし、レーヴィット (W. G. Leavitt) による少なくとも一つの現代的な証明ではそれが含まれている。もし、テンプレート:Math という形の小数が正の整数であることを証明できれば、それは テンプレート:Math に他ならず、それがこの定理において テンプレート:Math たちが出現する原因となる[36]。この方向への研究は 最大公約数、剰余計算、フェルマー素数、群の元の位数、平方剰余の相互法則などの概念に動機付けを与える[37]。

テンプレート:See also 実解析では、三進法での類似表現 テンプレート:Math2 は最も単純なフラクタルの一つ、カントール三進集合 (the middle-thirds Cantor set) の特徴づけに重要な役割を果たしている。
- 単位区間 テンプレート:Math の点は、三進法で テンプレート:Math と テンプレート:Math のみを用いて表現される場合に限りカントール集合に属するという。
小数第 テンプレート:Mvar 位の数字は、この構成における第 テンプレート:Mvar 段階の点の位置に反映する。例えば、点 テンプレート:Math は通常の テンプレート:Math または テンプレート:Math として表現される。なぜなら、それは最初の欠損部分の右側に位置し、それ以後のすべての欠損部分の左に位置するからである。また、点 テンプレート:Math は テンプレート:Math ではなく テンプレート:Math として表現される。なぜなら、それは最初の欠損部分の左側に位置し、それ以後のすべての欠損部分の右側に位置するからである[38]。
テンプレート:Math の繰り返しはカントールのもう一つの仕事にさえも現れる。彼が1891年に対角線論法を適用して単位区間 テンプレート:Math の非可算性の適切な証明を与えたことを考慮しなければならない。このような証明ではある2つの実数が小数表現において異なることを言明することが必要とされる。したがって、テンプレート:Math と テンプレート:Math のような組を避けなければならない。簡単な方法においては、すべての数を無限小数で表すが、それに対する方法では テンプレート:Math が最後に連続することを排斥する[注釈 8]。カントール独自の議論に近いといえる証明の変形では実際にテンプレート:Math進表現を用いており、3進表現を2進表現に変えることによりカントール集合の非可算性を同様に証明することができる[39]。
典型的な誤解とその原因
数学の初学者はしばしば テンプレート:Math と テンプレート:Math が等しいことを理解できない。極限の概念や無限小の性質が日常の感覚と大きく異なっていることがその理由とされる。その共通の要因として次のようなものがある。
- 生徒は「十進数では、一つの数はただ一通りの小数で表すことができるはずだ」と思い込んでいる場合が多い。表示が異なる2つの小数が等しいことが分かると、それが逆説であるように見える。見かけ上よく知られた数 テンプレート:Math の登場でその感がさらに強くなる[40]。
- "テンプレート:Math"(または同様の表現)を、多いけれども有限の個数の "テンプレート:Math" の列(おそらく可変であり特定できない長さ)として解釈する生徒もいる。たとえ生徒が "テンプレート:Math" の無限個の列であることを受け入れたとしても、まだ最後の "テンプレート:Math" が「無限の彼方に」あると期待しているのかもしれない[41]。
- 直観やあいまいな教え方により、生徒は数列の極限を、一つの決まった値ではなくある種の無限操作と考えるようになる。それは数列の各項はその極限に達する必要はないからである。生徒が数列とその極限の違いを受け入れても、彼らは "テンプレート:Math" を極限ではなく数列を意味するものと読む可能性がある[42]。
これらの考えは、通常の実数を扱う文脈においては誤っている。しかしながら、通常と異なる場面で適用するために発明された、もしくは、テンプレート:Math を理解するのに有益な反例としての、より精巧な数の体系構造においては、それらの考えの多くが部分的に正しいことが示される。
これらの要因の多くはデイヴィッド・トール (David Tall) 教授により発見された。教授は、自らが遭遇した大学生の誤解のいくつかについて、それを生徒に抱かせる原因となった指導法と認識の特徴を研究している。非常に多くの生徒がなぜ最初はこの等式を受け入れないのかを調べるために生徒を面接して、次のようなことを発見した[43]。
- 「生徒は テンプレート:Math を、決まった値ではなく テンプレート:Math に限りなく近づく数列として理解し続けようとする。その原因は『先生は小数点以下の桁数がいくつあるかをはっきりと教えていなかった』という指導法の欠陥、または『テンプレート:Math は テンプレート:Math より小さい数の中で、存在しうる、テンプレート:Math に最も近い小数である』という認識である。」
初等的な証明の中で テンプレート:Math2 の両辺を テンプレート:Math倍する方法は、テンプレート:Math2 であることを容認できない生徒に受け入れさせるための、最も有効な手段であるかのように見える。しかしながら、第1の等式を信じることと、第2の等式を信じないことの矛盾に直面すると、今度は第1の等式を疑い始める者も現れるし(後述も参照)、または単に不満を抱くだけの生徒もいる[44]。これより簡潔で有効な説明方法もなかなかない。厳密な定義を十分適用する能力のある生徒が、テンプレート:Math を含めてさらに進んだ数学の結果に驚いたとしても、なお直観的な想像に頼ってしまうことがある。例えば、ある解析学を学ぶ生徒は テンプレート:Math2 であることを上限の定義を用いて証明することができるが、その後もなお、昔の筆算の理解に基づいて テンプレート:Math2 であると主張した[45]。別の生徒は、テンプレート:Math2 であることを証明することができるが、分数による証明に直面して「論理」が数学の計算を征服していると主張する。
ジョセフ・メイザー (Joseph Mazur) は別の才能豊かな微積分学の生徒について語る。その生徒は「私が授業で言ったことにはほとんどすべて異議を唱えるが、自分の使っている計算機には決して異議を唱えない」。さらに、23 の平方根を計算することも含めて、数学をするのに必要なのは 9桁(程度)だと信じるようになった。その生徒は テンプレート:Math2 であるという極限の議論に相変わらず不愉快な感じを抱いていたが、それは「乱暴な推測をする、無限概念の成長過程 (wildly imagined infinite growing process)」と呼ばれる[46]。
エド・デュビンスキー (Ed Dubinsky) による数学学習の理論 (APOS theory) の一部分として、デュビンスキーとその共同研究者 (2005) は、テンプレート:Math を「テンプレート:Math から無限に小さい距離だけ離れている数を表す有限で不確定の文字列」であると思う生徒は「無限小数の構成過程の完全な概念がまだ形成されていない」と述べた。たとえ テンプレート:Math の構成過程の完全な概念を身につけた生徒であっても、まだその過程を(すでに持っている "テンプレート:Math" の概念と同様の)一つの「対象」としてとらえ直すことができずに、テンプレート:Math という一つの過程と テンプレート:Math という数の存在を矛盾するものととらえるかもしれない。デュビンスキーらはまた、「一つの対象としてとらえ直す」というこの精神的能力が、テンプレート:Math それ自体を数と見なしたり、自然数の集合それ自身を一つの対象として取り扱ったりすることと関係していると考えている[47]。
メディアでの議論
インターネットの登場に伴い、テンプレート:Math に関する論争は教育現場だけでなく、ニュースグループや電子掲示板など、普段はあまり数学に関係のない場所でも話題となることがある。ニュースグループ sci.math では、テンプレート:Math に関する議論は「流行のスポーツ」であり、それは FAQ で回答された問題の一つである[48]。その FAQ は テンプレート:Math を用いる方法、10倍する方法、極限を用いる方法を簡潔に扱い、さらには同様にコーシー列にも言及している。
アメリカの新聞 Chicago Reader のコラム The Straight Dope の2003年版では、誤った概念に関して言及しつつ、テンプレート:Math や極限を通して テンプレート:Math について次のように議論している。
- 「我々の中の類人猿的要素が、『テンプレート:Math は実際に数 を表しているのではなく、過程 を表している。一つの数を見つけるために我々はその過程を途中で断ち切らなければならない。その時点において テンプレート:Math という概念は崩壊する。』と言って依然として抵抗している。
- ナンセンスだ![49]」
The Straight Dope は「他の掲示板…ほとんどがビデオゲーム」から独立した専用の掲示板で議論を載せている。同様の調子で、テンプレート:Math の問題は、アメリカのゲーム開発会社ブリザード・エンターテイメントの Battle.net フォーラムで最初の7年間にとても一般的な話題であることが分かったため、社長の Mike Morhaime は2004年4月1日の記者会見で テンプレート:Math であると発表した。
- 「我々はこの問題に対しきっぱりと決着をつけることに大変興奮しています。我々は テンプレート:Math が テンプレート:Math に等しいのか等しくないのかについての、心痛や心配に立ち会ってきました。ここに次の証明を提示し、我々の顧客に対して、最終的に断固としてこの問題に対処できることを嬉しく思います[50]。」
続くプレスリリースで、極限に基づくものと テンプレート:Math を掛けるものの2つの証明を提供している。
関連する問題
- ゼノンのパラドックス、とりわけアキレウスと亀のパラドックスは、見かけ上のパラドックス テンプレート:Math を連想させる。アキレウスのパラドックスは数学的にモデル化され、テンプレート:Math と同じように等比数列を用いて解決される。しかしながら、この数学的な取り扱いがゼノンが探求していた潜在的な形而上の問題に対処しているかどうかは明らかでない[51]。ただし、無限和の値(ここでは有限小数の無限和としての無限小数)は、部分和の極限(限りなく近づいていくが、決して到達しない点)によって定義されているので、この方法では、パラドックスを解決したことにはならない、という論議がある(総和、循環小数、循環論法を参照)。この点に留意すれば、テンプレート:Math であると言う帰結は、極限によって無限小数の値を定義した結果であり、必ずしも自明なことではない(その意味では前述の「第1の等式を信じることと、第2の等式を信じないことの矛盾に直面すると、今度は第1の等式を疑い始める[44]」という態度は、一定の数学的なセンスのある姿勢だと見ることもできる)。そもそも無限に存在する値を全て足し合わせることができるのか、と言う問いは未解決であり(現代数学では定義として処理されている。公理的集合論を参照)、テンプレート:Math やゼノンのパラドックスと言った話題がそのことを想起させてくれる恰好の題材であることは確かであろう。
- [[ゼロ除算|テンプレート:Math による除算]]は テンプレート:Math のいくつかの一般的な議論に見られるが、それもまた論争を引き起こす。多くの著者が テンプレート:Math を定義することを選択する一方で、実数の現代的な取り扱いでは テンプレート:Math による除算は定義されない。というのは、それが通常の実数の範囲では意味を与えられないからである。しかしながら、テンプレート:Math による除算は複素解析など他の体系では定義されている。複素解析では、拡張された複素平面(リーマン球面)は無限遠点をもつ。ここで、テンプレート:Math を無限大であると定義することには意味がある[52]。また、実際その結果は奥深く、工学や物理学にも応用できる。何人かの著名な数学者は、どの数体系も発達するずっと前からそのような定義を論じていた[53]。
- 冗長な数表記の類例として[[−0|負の テンプレート:Math]] が挙げられる。実数などの数体系においては、"テンプレート:Math" は加法に関する単位元を意味し、正の数でも負の数でもない。通常 "テンプレート:Math" は加法に関する テンプレート:Math の逆元を表すと解釈されるため、テンプレート:Math2 でなければならない[54]。それにもかかわらず、いくつかの科学的な応用では、正と負の テンプレート:Math を分けて用いる[55]。これはいくつかのコンピュータの数体系(例えば符号付数値表現、1 の補数表現、IEEE 754 で定義されたような浮動小数点表示)でもそうである[56]。IEEE の浮動小数点数の場合は、負の テンプレート:Math は、与えられた正確な数値を表すには(絶対値が)小さすぎるが、それでもなお負の数である値を表している。したがって、IEEE 浮動点数表示における「負の テンプレート:Math」は本来の意味で"負の テンプレート:Math" ではない。
脚注
注釈
出典
参考文献
- テンプレート:Cite book
- 力学系に関するこの入門的な教科書は、学部生または初級の大学院生向けである (p.ix)。
- テンプレート:Cite book
- 微積分学からより進んだ解析学 Mathematical analysis への変遷が「ごまかさないで、厳密で、最新であると同時に学者ぶることのないように」意図されている。(序文)Apostol は実数の構成に上限の存在公理を用いており、無限小数が2ページ後で紹介されている (pp.9-11)。
- テンプレート:Cite book
- このテキストは「実解析の基本的性質と技巧を扱う、理解しやすくてほどよい進度の教科書」を目指している。実数の構成には上限の存在公理を用いている。(pp.vii-viii)
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- この本は、その中心的な話題「数学的な現実性と物理的な現実性のやや希薄な関係」を調べる道具として、パラドックスと誤った推論による解析を紹介している。高校1年生程度の代数を仮定しており、(第2章の等比数列を含めて)さらに進んだ数学はこの本の中で発展していく。0.999… は完全に扱われているものの一つではないが、カントールの対角線論法を扱う中で簡潔に述べられている (pp.ix-xi, 119)。
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- このテキストは必修科目としての「基本的な微積分の厳密な課程」の役割を担っており、述べられているその原則は "An Introduction to Mathematics" として複素解析を紹介し、対象を明確に正確に述べることである (p.vii)。
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite journal
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- テンプレート:Cite book
- 集合論の入門的な学部生用の教科書であり、「特別な予備知識を前提としない」。公理的集合論または数体系の構成に焦点をおいた学習課程を提供するために書かれているが、公理という題材は、あまり重要視されないような方法で扱われている (pp.xi-xii)。
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite journal
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book (LCC QA37.2 G75)
- この本は、バーミンガム地方のグラマースクールの数学教師の課程から生まれたものである。この課程は、学校で教えられる数学を基にして大学レベルの数学への展望を伝えるのが目的であり、「大学で数学の専門課程を1年間学んだ程度のレベル」の生徒向けである。実数の構成は第24章で述べられているが、「おそらくこの本全体の中で最も難しい章」である。しかしながら著者たちはこの難しさをイデアル論を用いているためとしている。イデアル論はここでは扱われていない (pp.vii, xiv)。
- テンプレート:Cite journal
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- テンプレート:Cite web
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- テンプレート:Cite book
- Mankiewicz は、数学、数学者の著作、歴史的概略の視覚的な側面と質的な側面を組み合わせることによって「理解しやすい形式で数学の歴史」を述べようとしている (p.8)。
- テンプレート:Cite book
- 年代順というより話題別の無限に関する回顧。この本は「一般的な読者を意図している」が「数学者の視点から語っている」。数学的な厳密性と読みやすい言葉遣いの板ばさみで、Maor は「この問題を正しく取り扱うことに成功したことを願っている」と述べている。(pp.x-xiii)
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- 形式的な予備知識を必要としないで「大学3-4年生または大学院の1年生レベル」における入門書を意図している。「読者が集合論についてよく知っていることを仮定すらしない。」(p.xi) Munkres の実数の扱いは公理的であり、この道具を持たない構成方法について彼は「このアプローチの方法は多くの時間と努力を必要とし、数学的な興味として扱うよりもはるかに論理的である。」と述べている。(p.30)
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- テンプレート:Cite book
- この本は「微積分学の標準的な仮定を終えた生徒に適切な、解析学の理論的構成を紹介する」ことを目標とする (p.vii)。第2章の終わりで著者は、実数において有界単調列が収束するということを公理として仮定しているが、その後で区間縮小法と上限の存在を証明している (pp.56-64)。小数展開は Appendix 3 "Expansions of real numbers in any base" に見られる (pp.503-507)。
- テンプレート:Cite book
- 実数のよく知られた性質を仮定する一方で、Pugh はできるだけ早い段階で実数の切断を紹介する。公理的な取り扱いについて「実数の体系に基づいて実数が構成されていることを考えると、これは一つの詐欺である。」と述べている (p.10)。上限の存在の性質とそれに関係するいくつかの事実を証明した後は、その他の場面で切断は用いられていない。
- テンプレート:Cite journal Free HTML preprint: テンプレート:Cite web 注:雑誌の論文にはプレプリントには見られない記述が含まれている。
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
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- より進んだ学部生の課程のための教科書。「有理数から実数を構成する方法から始めるのは(論理的には正しいけれども)教育上好ましくないことを経験上確信している。初期の段階では、多くの生徒は、このことの必要性についてその価値を認めることができない。それゆえ、実数の体系は、上限が存在する実数体として紹介され、この性質の興味深いいくつかの応用例がすぐになされる。デデキントの構成は無視されている。現在はこれは第1章の Appendix にあり、機が熟したときにいつでも勉強して楽しむことができる。」(p.ix)
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- この本は「生徒たちが微積分を理解するのを援助」し、「観念に対する理解を育成する」ことを目的としている (p.v)。微積分の基本性質の証明は省略されている。
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関連項目
- 循環小数
- 十進法
- 超準解析
- 実数
- 実数の連続性
- コーシー列
- デデキント切断
- [[1/2 + 1/4 + 1/8 + 1/16 + ⋯|テンプレート:Math]]: テンプレート:Math と同じく、テンプレート:Math に等しい数式。
外部リンク
- .999999... = 1? テンプレート:En icon from cut-the-knot
- Why does 0.9999… = 1 ? テンプレート:En icon
- Repeating Nines テンプレート:En icon
- Point nine recurring equals one テンプレート:En icon
- David Tall's research on mathematics cognition テンプレート:En icon
引用エラー: 「注釈」という名前のグループの <ref> タグがありますが、対応する <references group="注釈"/> タグが見つかりません
- ↑ テンプレート:Cite journal p.150 より
- ↑ Rudin p.61, Theorem 3.26; J. Stewart p.706
- ↑ Euler p.170
- ↑ Grattan-Guinness p.69; Bonnycastle p.177
- ↑ 例えば、J. Stewart p.706, Rudin p.61, Protter and Morrey p.213, Pugh p.180, J.B. Conway p.31
- ↑ この極限については例えば以下に従う: Rudin p.57, Theorem 3.20e。より直接的なアプローチについては、以下も参照:Finney, Weir, Giordano (2001) Thomas' Calculus: Early Transcendentals 10ed, Addison-Wesley, New York. Section 8.1, example 2(a), example 6(b).
- ↑ Davies p.175; Smith and Harrington p.115
- ↑ Beals p.22; I. Stewart p.34
- ↑ Bartle and Sherbert pp.60-62; Pedrick p.29; Sohrab p.46
- ↑ Apostol pp.9, 11-12; Beals p.22; Rosenlicht p.27
- ↑ Apostol p.12
- ↑ Rudin pp.17-20, Richman p.399, or Enderton p.119。正確には、この3人はこの切断をそれぞれ テンプレート:Math, テンプレート:Math, テンプレート:Math と呼んでいる。3人ともそれを伝統的な テンプレート:Math の定義と同一視している。Rudin と Enderton が『デデキント切断』と呼ぶものを Richman は『nonprincipal なデデキント切断』と呼ぶことに注意。
- ↑ Richman p.399
- ↑ 14.0 14.1 テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Richman pp.398-399
- ↑ Griffiths & Hilton §24.2 "Sequences" p.386
- ↑ Griffiths & Hilton pp.388, 393
- ↑ Griffiths & Hilton p.395
- ↑ Griffiths & Hilton pp.viii, 395
- ↑ Gowers p.60
- ↑ Lightstone pp.245-247
- ↑ Katz & Katz 2010
- ↑ Stewart 2009, p.175; the full discussion of 0.999… is spread through pp.172-175.
- ↑ Richman pp.397-399
- ↑ Gardiner p.98; Gowers p.60
- ↑ 27.0 27.1 Fjelstad p.11
- ↑ Fjelstad pp.14-15
- ↑ DeSua p.901
- ↑ DeSua pp.902-903
- ↑ Petkovšek p.408
- ↑ Protter and Morrey p.503; Bartle and Sherbert p.61
- ↑ Komornik and Loreti p.636
- ↑ Kempner p.611; Petkovšek p.409
- ↑ Petkovšek pp.410-411
- ↑ Leavitt 1984 p.301
- ↑ Lewittes pp.1-3; Leavitt 1967 pp.669, 673; Shrader-Frechette pp.96-98
- ↑ Pugh p.97; Alligood, Sauer, and Yorke pp.150-152。Protter と Morrey (p.507) および Pedrick (p.29) はこの記述を練習問題として位置づけている。
- ↑ Rudin p.50, Pugh p.98
- ↑ Bunch, p.119; Tall and Schwarzenberger, p.6. 最後の提案は Burrell (p.28) による。すなわち、「おそらくすべての数の中で最も安心する数は テンプレート:Math であろう。したがって、テンプレート:Math を テンプレート:Math として扱うときにとりわけ不安を覚える。」
- ↑ Tall and Schwarzenberger pp.6-7; Tall 2000 p.221
- ↑ Tall and Schwarzenberger p.6; Tall 2000 p.221
- ↑ Tall 2000 p.221
- ↑ 44.0 44.1 Tall 1976 pp.10-14
- ↑ Pinto and Tall p.5, Edwards and Ward pp.416-417
- ↑ Mazur pp.137-141
- ↑ Dubinsky 他 261-262
- ↑ Richman (p.396) が述べている。テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ Wallace p.51, Maor p.17
- ↑ 例えば以下を参照。J.B. Conway's treatment of Möbius transformations, pp.47-57
- ↑ Maor p.54
- ↑ Munkres p.34, Exercise 1(c)
- ↑ テンプレート:Cite book
- ↑ テンプレート:Cite web