「連続写像」の版間の差分

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実関数の連続性: 表現の改良
 
(相違点なし)

2024年6月8日 (土) 11:43時点における最新版

テンプレート:脚注の不足 テンプレート:Calculus 数学において、関数または写像 テンプレート:Mvar が、定義域のある点 テンプレート:Mvar において連続(れんぞく、テンプレート:Lang-en-short)であるとは、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar において極限を保つこと、平たく言えば、テンプレート:Mvar の入力 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar に「限りなく近づける」ことで、その近づけ方によらず、出力 テンプレート:Math をも テンプレート:Math に「限りなく近づける」ことができるということである。特に定義域の全ての点において連続であるとき、 テンプレート:Mvar連続関数(れんぞくかんすう、テンプレート:Lang-en-short)または連続写像(れんぞくしゃぞう)という。連続でないことは不連続(ふれんぞく、テンプレート:Lang-en-short)という。

連続性は多項式関数指数関数といった多くの初等関数が備える性質であり、実数値関数では連結集合テンプレート:Efn2の上で中間値の定理コンパクト集合テンプレート:Efn2の上で最大値最小値定理が成り立つほか、微分可能であるための必要条件や積分可能であるための十分条件でもあるなど、解析学的に重要な性質を伴う。

連続性は位相空間論において一般化され、近傍系開集合系などの位相的構造逆像で保つこととして定義され(後述)、この意味で連続写像は位相的構造についての準同型である。そのため、位相空間の間の写像が、双方向に位相的構造を保つ写像、つまり同相写像であることは、も連続な全単射連続写像であることと同値である。さらに、連続写像は位相空間の圏におけるとなる。また、連続性はホモトピーの定義などを通じて位相幾何学の土台をなす。

実関数の連続性

ε-δ論法による関数の連続性

実関数、すなわち定義域値域がともに実数直線上にある関数 テンプレート:Mathテンプレート:Math を含む区間で定義されているとき、座標平面上にそのグラフを描くことができるが、テンプレート:Mvar における連続性とは、『数直線上の左から テンプレート:Math に近づいたときの極限値と、数直線上の右から テンプレート:Math に近づいたときの極限値が一致して、しかも テンプレート:Math に等しいこと』テンプレート:Sfnであり、関数の極限を用いて以下の等式で定義されるテンプレート:Sfnテンプレート:Efn2

limxaf(x)=f(a)

これはε-δ論法によって次のように言い換えることができる。

任意の実数 テンプレート:Mvar について、適切に正の実数 テンプレート:Mvar をとることで、テンプレート:Mvar の定義域に含まれて テンプレート:Math を満たす全ての テンプレート:Math について テンプレート:Math が成り立つ。

これはつまり、どれだけ小さな正の実数 テンプレート:Mvar に対しても「テンプレート:Mvar との誤差が テンプレート:Mvar 未満である テンプレート:Math を持ってくれば、テンプレート:Math との誤差が テンプレート:Mvar 未満であることが保証された テンプレート:Math を得られる」ような正の実数 テンプレート:Mvar が存在するということを意味するテンプレート:Sfn。なお、テンプレート:Math の条件は無くてもよいテンプレート:Efn2

関数 テンプレート:Math が定義域上のすべての点において連続であるとき、これを連続関数と呼ぶテンプレート:Sfn

以下に挙げるように、連続関数を組み合わせてできる様々な関数が再び連続関数になることが知られているテンプレート:Sfnテンプレート:Sfn

二次関数は連続関数である。
床関数は整数において不連続である。

距離空間の間の写像の連続性

一般の距離空間 テンプレート:Mathテンプレート:Math の間の写像 テンプレート:Math についても、テンプレート:Math における連続性の定義は

limxaf(x)=f(a)

で与えられる。

これもまたε-δ論法によって、

任意の正の実数 テンプレート:Mvar について適切な正の実数 テンプレート:Mvar をとることで、テンプレート:Math を満たす全ての テンプレート:Mvar について テンプレート:Math が成り立つ

と言い換えることができるテンプレート:Sfn

また、点 テンプレート:Mvar の [[球体#一般の距離空間における球体|テンプレート:Mvar-近傍]] テンプレート:Math の概念を用いることで、

任意の正の実数 テンプレート:Mvar について適切な正の実数 テンプレート:Mvar をとることで、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar-近傍に含まれる全ての テンプレート:Mvar について テンプレート:Mathテンプレート:Mathテンプレート:Mvar-近傍に含まれる

とも言えてテンプレート:Efn2テンプレート:Math であることから、一階述語論理

ε>0δ>0[f(Bδ(a))Bε(f(a))]
テンプレート:Math の任意の テンプレート:Mvar-近傍は テンプレート:Mvar のある テンプレート:Mvar-近傍の像を包む)

あるいは

ε>0δ>0[Bδ(a)f1(Bε(f(a)))]
テンプレート:Math の任意の テンプレート:Mvar-近傍の逆像は テンプレート:Mvar のある テンプレート:Mvar-近傍を包む)

と表すこともできるテンプレート:Sfn

さらに、点 テンプレート:Mvar近傍の全体 テンプレート:Math を用いて、テンプレート:Varテンプレート:Mvar が現れず距離に明示的に依存しない形に書き直すことができる。テンプレート:Math の任意の近傍 テンプレート:Mvar はある テンプレート:Mvar-近傍を包んでいるので、それに対応した テンプレート:Mvar のある テンプレート:Mvar-近傍を近傍 テンプレート:Mvar として持ってくるのである。その結果、

V𝒩(f(a))W𝒩(a)[f(W)V]
テンプレート:Math の任意の近傍 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar のある近傍 テンプレート:Mvar の像を包む)

あるいは

V𝒩(f(a))W𝒩(a)[Wf1(V)]
テンプレート:Math の任意の近傍 テンプレート:Mvar の逆像は テンプレート:Mvar のある近傍 テンプレート:Mvar を包む)

とあらわすことができる。特に後者はより短く

V𝒩(f(a))[f1(V)𝒩(a)]
テンプレート:Math の任意の近傍 テンプレート:Mvar の逆像は テンプレート:Mvar の近傍である)

と表すこともできる。

位相空間の間の写像の連続性

一点における写像の連続性。テンプレート:Math の任意の近傍 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Mvar の近傍 テンプレート:Mvarテンプレート:Math となるものが存在する。すなわち
V𝒩(f(x))U𝒩(x)[f(U)V]

前節の通り、距離空間の間の写像の連続性は、近傍を用いて距離に明示的に依存せずに表すことができた。これを位相が定める近傍系に適用することで、一般の位相空間 テンプレート:Mathテンプレート:Math の間の写像 テンプレート:Math について テンプレート:Math における連続性は、

V𝒩(f(a))[f1(V)𝒩(a)]

で定義されるテンプレート:Sfn。これは距離空間のときと同じように

V𝒩(f(a))W𝒩(a)[f(W)V]

あるいは

V𝒩(f(a))W𝒩(a)[Wf1(V)]

と書いても同じである。写像 テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar のすべての点において連続であるならば、テンプレート:Mvar を連続写像というテンプレート:Sfn

連続写像は近傍系以外の位相的構造を用いて定義することもできる。位相空間 テンプレート:Mathテンプレート:Math の間の写像 テンプレート:Math について、以下の3条件は互いに同値であるテンプレート:Sfn

このことから、開集合や閉集合を用いて連続写像を定義することもできる。特に、位相を開集合によって定義する流儀が多いことに伴い、開集合を用いた定義が採用されることが多い。他に、テンプレート:仮リンク テンプレート:Math開核作用素 テンプレート:Math も位相を定めるが、以下の条件も連続性と同値である。

点列および有向点族を用いた定義

この記事の冒頭では、「(点を)限りなく近づける」という喩えを用いて、連続写像を極限を保つ写像だと説明した。距離空間上で点の極限を厳密に議論するためにはε-N論法で定義されるような列の極限がよく用いられる。しかし、これは一般の位相空間に対して連続性を特徴づけるには(単にε-N論法の テンプレート:Mvar-近傍を一般の近傍に書き換えるだけでは)不十分であり、極限の概念を点列より広い概念に拡張する必要がある。

「列の極限を保つ」写像は点列連続テンプレート:Lang-en-short)と呼ばれる。すなわち、写像 テンプレート:Math が点列連続であるとは、テンプレート:Mvar 内の点列 テンプレート:Math極限点 テンプレート:Mvar に収束するならば像の列 テンプレート:Mathテンプレート:Math に収束することである。

任意の連続写像は点列連続である。さらに、テンプレート:Mvar第一可算空間商位相空間ならば、逆もまた成立して任意の点列連続写像は連続であり、このような空間は列型空間と呼ばれる。特に、任意の距離空間は自然数 テンプレート:Mvar についての テンプレート:Math-近傍の全体が基本近傍系をなすことから、第一可算公理を満たして列型空間である。

列型空間でない位相空間では点列連続性が連続性よりも真に弱い。そのような空間でも極限によって連続性を扱えるようにするために点列の概念を拡張したものが有向点族(有向点列、ネット)である。これは可算全順序集合である自然数 N の代わりに、適当な有向集合 テンプレート:Mvar添字集合とするような点の族である。有向点族 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar に収束するとは、テンプレート:Mvar の任意の近傍 テンプレート:Mvar に対しても、適当な テンプレート:Math が存在して、テンプレート:Math を満たす全ての テンプレート:Math について テンプレート:Math であることとして定義されるテンプレート:Sfn。特に、ハウスドルフ空間では収束する有向点族の極限はただ一点であるテンプレート:Efn2

この有向点族の極限を用いることで、写像の連続性を表すことができるようになる。というのも、テンプレート:Math に収束する任意の有向点族 テンプレート:Math について テンプレート:Math が必ず テンプレート:Math に収束することが、テンプレート:Mvar において テンプレート:Math が連続であるための必要十分条件となるテンプレート:Sfnテンプレート:Efn2からである。これにより、連続写像を「有向点族の極限を保つ」写像として定義することができる。

性質

二つの写像 テンプレート:Math が連続ならば、それらの合成 テンプレート:Math もそうである。また テンプレート:Math が連続のとき、

である。

一つ固定した空間 テンプレート:Math 上に入れることのできる位相の全体には半順序を入れることができて、位相 テンプレート:Math が別の位相 テンプレート:Math よりもテンプレート:仮リンク (テンプレート:Math) とは、テンプレート:Math に関する任意の開集合が、必ず テンプレート:Math に関する開集合ともなるときに言うのであった。さてこのとき、恒等写像

テンプレート:Math

が連続となる必要十分条件は テンプレート:Math が成り立つことである。より一般に、連続写像

(X,τX)(Y,τY)

に対し、位相 テンプレート:Math をより粗い位相に取り換えても、また テンプレート:Math をより細かい位相に取り換えても、連続性は保たれる。

同相写像

テンプレート:Main 連続写像は開集合の逆像が開集合となり、閉集合の逆像が閉集合となる写像であったが、それと対照的に「開集合の像が開集合となる」写像と「閉集合の像が閉集合となる」写像は、それぞれ開写像と閉写像と呼ばれる。つまり、開写像あるいは閉写像が逆写像を持てばそれは連続であり、連続写像が逆を持てばその逆写像は開かつ閉写像であるテンプレート:Efn2。このことから、位相空間の間の写像について以下は全て同値である。

  • 両連続写像(逆も連続な連続写像テンプレート:Efn2
  • 全単射な連続開写像
  • 全単射な連続閉写像
  • 逆も開である開写像
  • 逆も閉である閉写像
  • 逆が閉である開写像・逆が開である閉写像テンプレート:Efn2

このような写像は開集合系や近傍系といった位相的構造をも双方向に保つテンプレート:Efn2ため、位相同型写像、あるいは同相写像と呼ばれる。また、同相写像 テンプレート:Math が存在するとき、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar は互いに位相同型である、あるいは同相であるというテンプレート:Sfn

連続写像の定める位相

位相空間 テンプレート:Math から(特に位相を考えない)集合 テンプレート:Math への写像

f:XS

が与えられたとき、テンプレート:Math 上のテンプレート:仮リンクは、テンプレート:Math の部分集合 テンプレート:Math が開集合であるということを、テンプレート:Mathテンプレート:Math の開集合であることと定めることにより定義される。テンプレート:Math に予め位相が定められていたとき、テンプレート:Math がその位相に関して連続となる必要十分条件は、もとの位相が テンプレート:Math 上の終位相よりも粗いことである。従って、終位相は テンプレート:Math 上の テンプレート:Math を連続にする最も細かい位相となる。テンプレート:Math全射のとき、終位相は テンプレート:Math の定める同値関係のもとでの商位相と自然に同一視される。

これと双対的に、集合 テンプレート:Math から位相空間への写像 テンプレート:Math に対し、テンプレート:Math 上のテンプレート:仮リンクは、テンプレート:Math の部分集合 テンプレート:Math が開集合であることを、テンプレート:Mathテンプレート:Math の開集合となることと定めることによって定義される。テンプレート:Math にもともと位相が入っているとき、テンプレート:Math がその位相に関して連続となる必要十分条件は、その位相が テンプレート:Math 上の始位相よりも細かいことである。従って、始位相は テンプレート:Math 上の位相として テンプレート:Math を連続にする最も粗い位相となる。テンプレート:Math単射のとき テンプレート:Mathテンプレート:Math の部分集合と同一視すれば、テンプレート:Math 上の始位相は テンプレート:Math から定まる部分空間としての位相と自然に同一視される。

より一般に、集合 テンプレート:Math が与えられたとき、任意の位相空間 テンプレート:Math への連続写像 テンプレート:Math 全体の成す集合を特定することにより、テンプレート:Math に位相が定まる。双対的に同じことが テンプレート:Math に対しても考えられる。これは普遍性の一例である。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ

注釈

テンプレート:Notelist2

出典

テンプレート:Reflist

文献

関連項目

連続性の関連概念
連続関数によって定義されるもの

外部リンク

テンプレート:Analysis-footer テンプレート:Calculus topics テンプレート:Topology