接続 (微分幾何学)
テンプレート:Pathnavbox テンプレート:Otheruses
微分幾何学において接続(せつぞく、テンプレート:Lang-en-short)とは、多様体のファイバーバンドル上に平行移動の概念を定義する事ができる数学的構造である。ただし数学的な取り扱いを容易にするため、平行移動の概念で直接的に接続を定義するのではなく、実質的に等価な別概念を用いて接続を定義する。
接続概念はゲージ理論やチャーン・ヴェイユ理論で用いられる。特にチャーン・ヴェイユ理論の特殊ケースとして、曲面に関する古典的なガウス・ボンネの定理を一般の偶数次元多様体に拡張するのに役立つ。
接続は元々はクリストッフェル並びにレヴィ-チヴィタ、リッチによって[1]リーマン多様体上に導入された概念(レヴィ-チヴィタ接続)であるが、一般のベクトルバンドル上の接続(Koszul接続テンプレート:Refn)や主バンドルの接続(主接続)にも拡張され、さらに一般のファイバーバンドルの接続へと拡張された。ただし実際に研究が進んでいるのは、ベクトルバンドルとその主バンドルに対する接続概念である。
以下、本項では特に断りがない限り、多様体、関数、バンドル等は全てテンプレート:Mvar級の場合を考える。よって紛れがなければ「テンプレート:Mvar級」を省略して単に多様体、関数、バンドル等という。また特に断りがない限りベクトル空間は実数体上のものを考える。
概要
多様体テンプレート:Mvar上のベクトル場テンプレート:Mvarとテンプレート:Mvar上のに対し、テンプレート:Mvarのに沿った「方向微分」を定義することを考える。ユークリッド空間における微分を参考にすると、
のように定義するのがよいように思えるが、多様体上ではとは別の点なので、両者の差は意味も持たない。しかしをまで「平行移動」できれば、平行移動の結果との差を取る事で「方向微分」を定義でき、これをテンプレート:Mvarのに沿った共変微分という。
逆にに沿った共変微分が定義できていれば、
が恒等的に成立している事をもって、テンプレート:Mvarはに沿って平行と呼ぶことで平行の概念を定義できる。
このように平行移動と共変微分は実質的に同値な概念であり、多様体のベクトル場に対して平行移動・共変微分を定義できる構造を多様体(の接バンドル)の接続という。
接続概念から定まる平行移動により、(何ら構造が定義されていない)多様体では無関係なはずの点におけるベクトルをにおけるベクトルと「接続」して関係づける事ができ、これが「接続」という用語の語源である[2]。
上では接バンドルに対する接続を説明したが、より一般にベクトルバンドルの接続、あるいはさらに一般にファイバーバンドルの接続を考える事ができる。上述のように平行移動と共変微分は実質的に同値な概念なので、平行移動・共変微分のうち、定義しやすい方をもとにして接続概念を定義すればよい。
そこでベクトルバンドルの場合は共変微分を、一般のファイバーバンドルの場合は平行移動をベースにして接続概念を定義する。
接続によって定まるもう一つの重要概念として曲率があり、これはファイバーバンドルの「曲がり具合」を表している。特に接ベクトルバンドルの曲率は多様体それ自身の「曲がり具合」とみなせる。曲率概念は歴史的には3次元ユークリッド空間内の曲面に対して定義されたものだが、実は「外の空間」であるがなくても定義できる曲面に内在的な量である事が示されたので、これを一般のリーマン多様体(の接ベクトルバンドル)、さらには一般のファイバーバンドルに対して拡張したものである。多様体に内在的な量としてみなしたとき、曲率の幾何学的意味は、閉曲線に沿ってベクトルを一周平行移動したとき、もとのベクトルとどの程度ずれるかを測った量であるとみなせる。
ベクトルバンドルの接続
本節ではまずリーマン多様体の接続であるレヴィ-チヴィタ接続の定義を述べ、次により一般的なベクトルバンドルに対する接続の定義を述べる。
レヴィ-チヴィタ接続の定義
テンプレート:Main テンプレート:Mvarをの部分多様体とし、をテンプレート:Mvar上の曲線とし、さらにを上定義されたテンプレート:Mvarのベクトル場とし(すなわち各時刻テンプレート:Mvarに対し、はを満たすとし)、
と定義する。ここでテンプレート:Mathはテンプレート:Mvarの点テンプレート:Mathにおける内の接平面(と自然に同一視可能なテンプレート:Math)への射影である。またテンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarをテンプレート:Mvar上のベクトル場とするとき、
と定義する。ここでは時刻テンプレート:Mvarに点を通るテンプレート:Mvarの積分曲線である。実はこれらの量はテンプレート:Mvarの内在的な量である事、すなわちからテンプレート:Mvarに誘導されるリーマン計量(とその偏微分)のみから計算できる事が知られている。
具体的にはテンプレート:Mvarに局所座標を取ると、以下のように書ける(アインシュタインの縮約で表記):
- where
そこでやをリーマン多様体に内在的な値とみなしたものを考える事ができる。は以下の公理で特徴づけられる事が知られている:
テンプレート:Math theorem ここでテンプレート:Mvar、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarはテンプレート:Mvar上の任意の可微分なベクトル場であり、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarはテンプレート:Mvar上定義された任意の実数値テンプレート:Mvar級関数であり、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarは任意の実数であり、は点においてとなるベクトル場であり、はテンプレート:Mvarのテンプレート:Mvar方向微分であり、はテンプレート:仮リンクである。
はを曲線上に制限したものとして定義できる。
ベクトルバンドルの接続の定義
テンプレート:Mainを可微分多様体テンプレート:Mvar上のベクトルバンドルとし(テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarのいずれにもリーマン計量が入っているとは限らない)、をテンプレート:Mvarの切断全体の集合とし、をテンプレート:Mvar上のベクトル場全体の集合とする。
ベクトルバンドルの接続は前述したレヴィ-チヴィタ接続の公理的特徴づけの5つの性質のうち3つを使って定義される。
テンプレート:Math theorem ここでテンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarはテンプレート:Mvar上の任意のベクトル場であり、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarはテンプレート:Mvarの任意の切断であり、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarは実数であり、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarはテンプレート:Mvar上定義された任意の実数値可微分関数であり、は点テンプレート:Mvarにおいてとなるテンプレート:Mvarの切断であり、はテンプレート:Mvarのテンプレート:Mvar方向微分である。
上述の定義から、一般のベクトルバンドルの接続もレヴィ-チヴィタ接続と同様、
という形で書ける。ここではテンプレート:Mvarの局所座標であり、はテンプレート:Mvarの局所的な基底である[注 1]。ただしもちろんレヴィ-チヴィタ接続と違いは計量で書けるとは限らない。
さらに以下の定義をする:
テンプレート:Math theorem
リーマン幾何学の基本定理から、レヴィ-チヴィタ接続とは、唯一の計量と両立する捻れなしのアフィン接続として特徴づけられる。
曲線上の微分
テンプレート:Mvarの曲線上に切断が定義されているとき、接続の成分表示のを形式的にに置き換えた
を、曲線に沿った共変微分という。この定義は基底の取り方によらずwell-definedである。
平行移動

をベクトルバンドルとし、テンプレート:Mvarの曲線
上定義されたテンプレート:Mvar上のベクトル場
が
を恒等的に満たすとき、は上平行であるという[3]。また、上の接ベクトルと上の接ベクトルに対し、、を満たす上の平行なベクトル場が存在するとき、はをに沿って平行移動(テンプレート:Lang-en-short )した接ベクトルであるという[3]。
ユークリッド空間の平行移動と異なる点として、どの経路に沿って平行移動したかによって結果が異なる事があげられる。この現象をテンプレート:仮リンク(テンプレート:Lang-en-short)という[4]。
右図はホロノミーの具体例であり、接ベクトルを大円で囲まれた三角形に沿って一周したものを図示しているが、一周すると元のベクトルと90度ずれてしまっている事が分かる。
に沿ってをまで平行移動したベクトルをとするとは線形変換である[5]。また共変微分は平行移動で特徴づけられる:
上述のように平行移動があれば共変微分が定義できるので、一般のファイバーバンドルではむしろ平行移動に基づいて接続概念を定義する。
テンプレート:Mvar上に計量テンプレート:Mvarが定義されていてしかもテンプレート:Mvarが計量と両立しているとすると、以下が成立する:
テンプレート:Math theorem
接続形式テンプレート:Anchors
本章では接続テンプレート:Mvarの「接続形式」という概念を述べる。本章で述べるように、むしろ接続形式から接続を定義したほうが数学的な構造を探る上で有利な点があり、このアイデアに沿って接続を定式化したのが後の章で述べる主バンドルの接続概念である。
定義
を開集合上で定義されたテンプレート:Mvarの局所的な基底とするとき、接続形式を以下のように定義する:テンプレート:Math theorem接続形式が与えられれば
により接続を再現できるので、この意味において接続形式は接続テンプレート:Mvarの情報をすべて含んでいる。
性質
接続概念において重要な役割を果たす平行移動の概念は接続形式テンプレート:Mvarと強く関係しており、底空間テンプレート:Mvarの曲線に沿って定義された局所的な基底をテンプレート:Mvarで微分したものが接続形式に一致する。
よって特に(レヴィ・チヴィタ接続などの)テンプレート:Mvarがテンプレート:Mvarの計量と両立する接続の場合、テンプレート:Mvarによる平行移動は回転変換、すなわちの元なので、その微分である接続形式テンプレート:Mvarはのリー代数の元、すなわち歪対称行列である[注 2]:テンプレート:Math theorem
このように接続形式を用いるとベクトルバンドルの構造群(上の例では)が接続形式の構造をリー群・リー代数対応により支配している事が見えやすくなる。
上では回転群の場合を説明したが、(を自然にの部分群とみなしたもの)や、物理学で重要なシンプレクティック群やスピン群に対しても同種の性質が証明でき、接続形式がリー群・リー代数対応により支配されている事がわかる。
こうした事実は接続概念を直接リー群と接続形式とで記述する方が数学的に自然である事を示唆する。後で説明する、リー群の主バンドルに対する接続はこのアイデアを定式化したもので、主バンドルの接続は接続形式に相当するものを使って定義される。
そこで本項では、まずベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の両方を包括する概念であるファイバーバンドルの接続概念を導入する。この概念は「そもそも平行移動とは何か」を直接的に定式化したもので、この概念それ自身が接続形式の言葉で記述されるわけではない。
そして次にファイバーバンドルの接続概念を用いて主バンドルの接続概念を定義すると同時に、主バンドルの接続を接続形式の言葉で再定式化し、ベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の接続形式の言葉で記述する。
ファイバーバンドルの接続テンプレート:Anchors
テンプレート:Main 主バンドルの接続を定義する前準備として、一般のファイバーバンドルに対する接続を定義する。後述するように、主バンドルの接続はファイバーバンドルに対する接続で群作用に対して普遍になるものである。
すでに述べたように研究が進んでいるのばベクトルバンドルの接続なので、そのような目的のためにはこの一般の接続概念は必要ない。しかしファイバーバンドルの接続により、ベクトルバンドルの接続と次章に述べる主バンドルの接続とを統一的な視点から語る事ができるようになり、主バンドルの接続に基づいてベクトルバンドルの接続の性質をそれに対応する主バンドルの接続と対応付けて調べる事ができる。
定義に至る背景テンプレート:Anchors
をベクトルバンドルとし、テンプレート:MvarをこのバンドルのKoszul接続とする。テンプレート:Mvar上の任意の曲線テンプレート:Mathとテンプレート:Math上の任意の切断テンプレート:Mathで平行なものに対し、テンプレート:Mathをテンプレート:Mvar上の曲線とみなしたときにが入るテンプレート:Mvarの部分空間を「水平部分空間」と呼ぶ。
以上のように接続テンプレート:Mvarから水平部分空間が定まるが、逆に水平部分空間の情報があれば接続を再現できる事も知られている[6]。
このことからベクトルバンドルの場合は接続概念は水平部分空間の概念は等価なので、一般のファイバーバンドルに対する接続を水平部分空間の概念を用いて定義する事にする。
定義
以上の考察を元に、ファイバーバンドルの接続を定義する。そのためにまず「垂直部分空間」という概念を定義する。をファイバーテンプレート:Mvarを持つファイバーバンドルとし、テンプレート:Mathをテンプレート:Mvarの元とするとしテンプレート:Mvarが誘導する写像をとするとき、
を、テンプレート:Mvarにおけるテンプレート:Mvarの垂直部分空間(テンプレート:Lang-en-short)という[7][8]テンプレート:Refn。そしてファイバーバンドルの接続を以下のように定義する:
名称に関して
ファイバーバンドルの接続のことをエーレスマン接続[9](テンプレート:Lang-en-short)と呼ぶ場合があるが[10]、主バンドルに対する接続の事を「エーレスマン接続」と読んでいる書籍[11]もあるので注意が必要である[12]。なお主バンドル上においても両者の概念は同値ではなく、ファイバーバンドルの接続のうち構造群の作用に関して不変なものを主バンドルの接続と呼ぶ。
両者の区別のため、一般のファイバーバンドルの接続を一般の接続(テンプレート:Lang-en-short[13])、主バンドルの接続を主接続(テンプレート:Lang-en-short[14])と呼ぶ場合がある。
またファイバーバンドルの接続のうち、完備なもののみを「エーレスマン接続」と呼ぶ場合もある[15]。なおエーレスマン自身による定義では完備性を仮定していた[16]。
平行移動、共変微分
平行移動
をファイバーバンドルとし、をその接続とする。 テンプレート:Math theorem
接続の定義から、
はベクトル空間としての同型であるので、この逆写像
を考える事ができる。をのテンプレート:Mvarへの水平リフト(テンプレート:Lang-en-short[17])という。水平リフトの定義から明らかなように、切断が平行である必要十分条件は
を満たす事である[17]。
共変微分
テンプレート:Math theorem同様にテンプレート:Mvar上の曲線に沿った切断に対し、のに沿った共変微分を
により定義する。この事からすなわち、共変微分とは、平行移動からのズレを表す量である事がわかる。
一般の接続からベクトルバンドルの接続へ
ベクトルバンドルのKoszul接続から一般の接続概念が得られる事をすでに見たが、逆にベクトルバンドル上の(一般の)接続が定める共変微分がKoszul接続の公理を満たす条件は以下の通りである:テンプレート:Math theoremKoszul接続から一般の接続概念を誘導する方法と(上記の定理の条件を満たす)一般の接続概念からKoszul接続を誘導する方法は「逆写像」の関係にあり、上記の定理の条件を満たす一般の接続概念とKoszul接続は1:1に対応する[18]。
主バンドルの接続テンプレート:Anchors
定義
主バンドルの接続は、ファイバーバンドルの接続で群作用に対して不変になるものである。すなわち、テンプレート:Math theoremここでは垂直部分空間であり、はのテンプレート:Mvarへの右からの作用がテンプレート:Mvarに誘導する写像である。をテンプレート:Mvarにおける水平部分空間という。
リー代数を使った定式化
本節では、前節で定義した主バンドルの接続概念をリー代数を使って特徴づける。後述するようにこちらの定義が自然にベクトルバンドルの接続と対応する。
そのために基本ベクトル場の概念を導入する。テンプレート:Mvarをリー群とし、をそのリー代数とし、さらにをテンプレート:Mvar-主バンドルとするとき、リー代数の元と点に対し、
により、テンプレート:Mvar上のベクトル場を定義する。をテンプレート:Mvarに対応するテンプレート:Mvar上のテンプレート:仮リンク(テンプレート:Lang-en-short)というテンプレート:Refnテンプレート:Refn。
基本ベクトル場の定義より明らかに各に対し、写像
は全単射であるので、テンプレート:Mvarの写像の逆写像を考えることができる。この逆写像を分解の垂直部分空間への射影と合成する事で、
を作る事ができる。この写像をに値を取る1-形式とみなしたものを
とし、各点テンプレート:Mvarにテンプレート:Mvarを対応させるテンプレート:Mvar上の値1-形式の場テンプレート:Mvarを接続形式(テンプレート:Lang-en-short)というテンプレート:Refn。
以上の議論から明らかに垂直射影からテンプレート:Mvarが定まり、逆にテンプレート:Mvarから垂直射影が定まるのでテンプレート:Mvarによって接続概念を定式化できる:テンプレート:Math theorem
ここではのテンプレート:Mvarへの右からの作用がテンプレート:Mvarに誘導する写像であり、テンプレート:Mathは随伴表現(テンプレート:Lang-en-short)
である[19]。
主バンドルとしての接続から前述の方法でテンプレート:Mvarの接続形式が定まり、逆に接続形式テンプレート:Mvarがテンプレート:Mvarになる方向を水平方向とすることでテンプレート:Mvarに主バンドルとしての接続が再現できるので、両者の定義は同値である。
ベクトルバンドルの接続と主バンドルの接続の関係性テンプレート:Anchors
テンプレート:Mainテンプレート:See also 本節では接続形式の章で述べたアイデアに基づいて、ベクトルバンドルの接続(Koszul接続)と主バンドルの接続(主接続)の関係を述べる。
接続形式の章で見たのケースだけでなくの部分リー群テンプレート:Mvarに対して両者の関係性を示すため、本章ではまず「テンプレート:Mvar-フレーム」、および「テンプレート:Mvar-テンプレート:仮リンク」という概念を導入する。「テンプレート:Mvar-フレーム」はテンプレート:Mvarがの場合は正規直交基底に相当するものであり、テンプレート:Mvar-フレームバンドルはテンプレート:Mvar-フレームを束ねてできるバンドルであり、自然にテンプレート:Mvar-主バンドルとみなせる。
次に本章ではテンプレート:Mvarのフレームバンドル上の接続からテンプレート:MvarのKoszul接続が定まる事を見る。そして構造群テンプレート:Mvarを持つベクトルバンドルの接続がテンプレート:Mvarと「両立する」事を定義し、最後にテンプレート:Mvar-フレームバンドルの接続の接続形式とベクトルバンドルのテンプレート:Mvarと両立する接続の接続形式が1対1の関係にある事を見る。
フレームバンドル
定義
「テンプレート:Mvar-フレーム」とは正規直交基底の概念を一般化したもので、テンプレート:Mvarがの場合、テンプレート:Mvar-フレームが正規直交基底に相当する。
テンプレート:Math theorem ここではの標準的な基底であり、は線形変換をテンプレート:Mvarに作用させたものである。
構造群テンプレート:Mvarを持つベクトルバンドルの定義から、テンプレート:Mvar-フレームの定義はバンドルチャートの取り方によらずwell-definedである。
を上のテンプレート:Mvar-フレーム全体の集合とすると、
は自然にテンプレート:Mvar上のテンプレート:Mvar-主バンドルをなし、を構造群テンプレート:Mvarに関するフレームバンドルという[20]テンプレート:Refn。
主接続からKoszul接続の誘導
をテンプレート:Mvarを構造群を持つベクトルバンドルとし、をそのフレームバンドルとする。さらにテンプレート:Mvar-主バンドルに接続形式がの接続が入っているとする。開集合上定義されたテンプレート:Mvarの局所的な基底に対し、
を、テンプレート:Mvarをテンプレート:Mvarからテンプレート:Mathへの写像と見たときの接続形式テンプレート:Mvarのテンプレート:Mvarへの引き戻しとし、をと成分表示する。
構造群と接続の両立
テンプレート:Mvarをの部分リー群とする。構造群テンプレート:Mvarを持つベクトルバンドルの接続(Koszul接続)がテンプレート:Mvarと両立する事を以下のように定義する。直観的には平行移動がテンプレート:Mvarの元で書ける事を意味する:テンプレート:Math theorem定義より明らかに以下が従う:テンプレート:Math theorem接続がテンプレート:Mvarと両立する事は、接続形式がテンプレート:Mvarのリー代数に入っている事と同値である:テンプレート:Math theorem接続形式の章では平行移動が常にの元で表せるときに接続形式がのリー代数に入っている事を示したが、上記の定理はこの事実をの任意の部分リー群に対して示したものである。
ベクトルバンドルの接続から主接続の接続へ
テンプレート:Mvarと両立する接続はフレームバンドルの接続に対応している:テンプレート:Math theorem本章の成果をまとめると、以下の結論が得られる:テンプレート:Math theorem
共変微分の対応関係
ベクトルバンドルの切断テンプレート:Mvarが与えられたとき、上の関数
- , where
を定義できる。このとき次が成立する:テンプレート:Math theoremここでは上のベクトル場により上の値関数の各成分を微分したの事である。
曲率
一般のファイバーバンドルの曲率
テンプレート:Main ファイバーバンドルの接続(テンプレート:Lang-en-short)が与えられているとき、テンプレート:Mvarの接ベクトル空間はと分解できた。そこで
- 、
をそれぞれ垂直部分空間、水平部分空間への射影とする。曲率概念はこのテンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarを使って定義する:テンプレート:Math theoremここではテンプレート:仮リンクである。テンプレート:Mvarは-線形であり[21][22]テンプレート:Refnテンプレート:Refn、よってテンプレート:Mvarは双線形写像
であるとみなせる[注 3]。
フロベニウスの定理を用いると、曲率形式が恒等的に0である事は超平面の族が可積分である事と同値である事を示せる[23]。したがって曲率形式は水平部分空間 が可積分ではない度合いを表す量である。
主接続の曲率
テンプレート:Main 本節では、主接続の場合に対し、上記で定義した曲率形式をリー代数の言葉で書き換える。テンプレート:Mvarをリー群とし、をテンプレート:Mvarのリー代数とし、さらにをテンプレート:Mvar-主バンドルとし、テンプレート:Mvarをテンプレート:Mvarの主接続とする。リー代数におけるリー括弧を使って
と定義しテンプレート:Refn、さらに前の章と同様、リー代数の元に基本ベクトル場を対応させる写像
を考える。紛れがなければ添字テンプレート:Mvarを省略し単にテンプレート:Mvarと書く。テンプレート:Math theorem
ベクトルバンドルの接続の曲率
定義
Koszul接続が定義されたベクトルバンドルの曲率を以下のように定義する:
テンプレート:Math theoremテンプレート:Mvarはテンプレート:Mvar、テンプレート:Mvar、テンプレート:Mvarに関して-線形であり[24]、よってテンプレート:Mvarは各点に対し、
を対応させるテンソル場とみなせる。
さらにKoszul接続の曲率形式を以下のように定義する:テンプレート:Math theorem
一般の接続の曲率形式との関係
すでに述べたようにベクトルバンドル上のKoszul接続テンプレート:Mvarには、それと対応するファイバーバンドルとしての接続が定義可能であるが、上述したKoszul接続の曲率は前述した一般のファイバーバンドルの曲率形式と以下の関係を満たす。ここでテンプレート:Mvarは水平部分空間への射影である。テンプレート:Math theoremよって特にKoszul接続の曲率形式とは以下の関係を満たす:
ここでであり、はその双対基底である。
主接続の曲率との関係
のフレームバンドルの曲率形式とKoszul接続の曲率形式は以下の関係を満たす:テンプレート:Math theorem
ホロノミー群
本節では特に断りのない限り、を完備な接続が定義されたファイバーバンドルでテンプレート:Mvarが連結なものとする。ここで接続が完備であるとは、テンプレート:Mvar上の任意の曲線上にからまでの平行移動を常に定義可能な事を指す。
定義
をテンプレート:Mvarの点とし、をテンプレート:Mvarからテンプレート:Mvar自身への区分的になめらかな閉曲線とすると、接続が完備なのでテンプレート:Mvarのファイバーの任意の元テンプレート:Mvarに対し、テンプレート:Mvarをに沿って一周平行移動してできた元をとする事で、上の可微分同相写像
を定義できる。 テンプレート:Math theorem
ホロノミーリー代数
における接ベクトルに対し、にのテンプレート:Mvarでの水平リフトを対応させる
をファイバー上の切断とみなしたものをと書く。
2つのベクトルに対し、、はいずれも上のベクトル場なので、曲率形式テンプレート:Mvarに対して、
を定義でき、これは上のベクトル場とみなせる[25]。さらにをfixし、テンプレート:Mvarからまでつなぐ曲線に沿ってを平行移動したものをと書く。
実は以下の定理が成立する。なお、以下の定理は主バンドルに対するAmbrose–Singerの定理を任意のファイバーバンドルに一般化したものである: テンプレート:Math theorem
接続の歴史
接続は、歴史的にはまずリーマン幾何学において見出された。接続の概念のはじまりをどこに置くかについては諸説あるが、クリストッフェルの研究をその淵源とする見方があるテンプレート:Refn。クリストッフェルは1869年の論文で、座標変換の導関数が満たす関係式の研究を通じ、現在クリストッフェル記号とよばれる量を発見したテンプレート:Sfn。これを用いて、リッチはその学生であるレヴィ=チヴィタとともに、彼らがテンプレート:仮リンクとよんだ、共変微分を用いる今でいうテンソル解析の計算の手法をつくりあげたテンプレート:Sfn。
レヴィ=チヴィタはまた、1916年に、リーマン幾何学における接ベクトルの平行移動の概念を発見し、これが共変微分によって記述されることをみつけたテンプレート:Sfn(レヴィ-チヴィタ接続の名前はこのことによる)。1918年にワイルはそれを一般化して、アフィン接続の概念に到達したテンプレート:Sfnテンプレート:Refn。ここで「接続」にあたる語(テンプレート:Lang-de-short)がはじめて使用されたテンプレート:Citation needed。
それからすぐに、エリ・カルタンによって、さらなる一般化が行われた。カルタンはクラインのエルランゲン・プログラムの局所化を試みていたのである。1920年代にカルタンは、微分形式を用いた記述によって、現在テンプレート:仮リンクと呼ばれるものを発見していったテンプレート:Sfn。カルタンのこの仕事により、リーマン幾何学だけでなく、テンプレート:仮リンク、射影幾何学などのさまざまな幾何学を研究するための基礎が築かれた。
しかしカルタンの記述は、微分幾何学の他の基本的概念の整備が進んでいない当時、理解されづらいものだった。その仕事をよりわかりやすいものにして発展させるために、カルタンの学生にあたるCharles Ehresmannは、1940年代から主バンドルやファイバーバンドルを研究した。1951年の論文でEhresmannは、主バンドルの接続を、テンプレート:仮リンクを用いる方法と微分形式による方法の両方で定義したテンプレート:Sfn(ファイバーバンドルの接続)。
その一方で、1950年にJean-Louis Koszulは、ベクトル束の接続の代数的定式化を与えたテンプレート:Sfn(ベクトルバンドルの接続)。Koszulの定式化によると、クリストッフェル記号を明示的に用いる必要は必ずしもなくなり、接続の取り扱いは容易になったテンプレート:Citation needed。
関連項目
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク:対角線の無限小近傍からのテンプレート:仮リンク(descent)であるデータとみなすことができる。テンプレート:Harv
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク
- テンプレート:仮リンク
注
出典
注釈
文献
参考文献
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Citation 上記の2つの書籍の英語版
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite web
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite book
- テンプレート:Cite thesis
- テンプレート:SpringerEOM
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation.
- テンプレート:Cite book
歴史的な文献
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
- テンプレート:Citation
外部リンク
- Connections at the Manifold Atlas
- ↑ テンプレート:Citation(絶対微分学の方法とその応用)矢野(1971) 和訳pp.17-95
- ↑ #Spivak p.251. 「this possibility of comparing, or "connecting", tangent spaces at different points gives rise to the term "connection".」
- ↑ 3.0 3.1 #Tu p.263.
- ↑ #Tu p.113.
- ↑ #Tu p.263.
- ↑ #Spivak p.251.
- ↑ #Tu p.256.
- ↑ #Wendl3 p.73.
- ↑ 「エーレスマン接続」という訳語は#佐古を参考にした。#佐古に目次にこの名称が確認できる。
- ↑ #Epstein p.95.
- ↑ #Tu p.256.
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ #Kolar p.80.
- ↑ #Kolar p.99.
- ↑ #Kolar p.81.
- ↑ #Tuynman p.345.
- ↑ 17.0 17.1 引用エラー: 無効な
<ref>タグです。「Wendl3-74」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません - ↑ #Wendl3 p.78.
- ↑ #Tu p.123.
- ↑ #Salamon p.5.
- ↑ #Wendl5 p.121.
- ↑ #Kolar p.77.
- ↑ #Wendl5 pp.119,121.
- ↑ #小林 p.43.
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>タグです。「Kolar82」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
引用エラー: 「注」という名前のグループの <ref> タグがありますが、対応する <references group="注"/> タグが見つかりません