フーリエ変換

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テンプレート:出典の明記

上は時間領域で表現された矩形関数テンプレート:Math(左)と、周波数領域で表現されたそのフーリエ変換テンプレート:Math(右)。テンプレート:MathSinc関数である。下は時間遅れのある矩形関数 テンプレート:Math と、そのフーリエ変換 テンプレート:Math。 時間領域における平行移動 (ディレイ)は、周波数領域では虚数部の位相シフトとして表現される。

数学においてフーリエ変換(フーリエへんかん、テンプレート:Lang-en-short、FT)は、変数複素または数値関数fを、別の同種の関数テンプレート:Mathに写す変換である。

工学においては、変換後の関数テンプレート:Mathはもとの関数fに含まれる周波数を記述していると考え、しばしばもとの関数f周波数領域表現 (テンプレート:En) と呼ばれる。言い換えれば、フーリエ変換は関数f正弦波・余弦波に分解するとも言える。

フーリエ変換 (FT) は他の多くの数学的な演算と同様にフーリエ解析の主題を成す。特別の場合として、もとの関数とその周波領域表現が連続かつ非有界である場合を考えることができる。「フーリエ変換」という言葉は関数の周波数領域表現のことを指すこともあるし、関数を周波数領域表現へ写す変換の過程・公式を言うこともある。なおこの呼称は、19世紀フランスの数学者・物理学者で次元解析の創始者とされるジョゼフ・フーリエに由来する。

定義

絶対可積分関数に対する定義

絶対可積分関数 テンプレート:Math のフーリエ変換の定義として、よく用いられるものにもいくつか異なる流儀があるテンプレート:Sfn。本項では テンプレート:Indent を定義として用いる。ここでギリシャ文字小文字の [[Ξ|テンプレート:Math]] は任意の実数である。(他の流儀による定義については後述 → #その他の定義

対象の関数における独立変数が物理量の場合、フーリエ変換は独立変数の次元をもとの逆数に移す。例えば、変換前の関数における独立変数 テンプレート:Math時間の次元をもつとき、変換後の独立変数 テンプレート:Math周波数の次元を持つ。あるいは、変換前の独立変数 テンプレート:Math長さの次元をもつとき、変換後の独立変数 テンプレート:Math波数の次元を持つ。この性質は定義より テンプレート:Math無次元量であることから従う。

適当な条件のもと、テンプレート:Math はその変換 テンプレート:Math からフーリエ逆変換 テンプレート:Lang テンプレート:Indent によって復元することができる(テンプレート:Math は任意の実数)。

超関数としての定義

上記の絶対可積分関数の定義では、次のような関数は|f(x)|dx=のため絶対可積分ではなく、フーリエ変換が定義できない。

  • f(x)=ccはゼロ以外の定数)
  • f(x)=xnnは自然数)
  • 周期関数(f(x)=0を除く)

このように、周期関数のようなフーリエ級数展開が可能な関数が、絶対可積分関数の意味でフーリエ変換できないことは非常に不便であり、またフーリエ変換の理解を難しくしている。

そこで、フーリエ変換の定義を超関数に拡張することが行われる。

超関数とは、急減少関数(シュワルツ空間の元である関数)の列{fn(x)}n=1であって、任意の急減少関数ϕ(x)についてlimnfn(x)ϕ(x)dxが存在するものを言い、 2つの急減少関数の列{fn(x)}n=1{gn(x)}n=1が、任意の急減少関数ϕ(x)についてlimnfn(x)ϕ(x)dx=limngn(x)ϕ(x)dxが成り立つとき、{fn(x)}{gn(x)}は同一の超関数を表すものとする。

イメージとしては、超関数は関数列の極限であるが、関数列自体が超関数であり、limnfn(x)が収束値を持つ必要はない。

急減少関数は絶対可積分関数であるため、絶対可積分関数としてのフーリエ変換が定義されるが、急減少関数のフーリエ変換は急減少関数になるという性質がある。この性質を利用し、次のように超関数のフーリエ変換が定義される。

定義 急減少関数の列である超関数{fn(x)}n=1のフーリエ変換は、急減少関数の列{fn(x)e2πixξdx}n=1からなる超関数と定義される。

f(x)=ccはゼロ以外の定数)については、急減少関数の列である超関数{cexp(x2/n)}を考え

limncexp(x2/n)=cのため、任意の急減少関数ϕ(x)について
limncexp(x2/n)ϕ(x)dx=cϕ(x)dxとなり広い意味で同一視可能、

そのフーリエ変換は急減少関数の列である超関数{cexp(x2/n2πixξ)dx}={cexp(nπ2ξ2)exp((x+nπiξ)2/n)dx}={cnπexp(nπ2ξ2)}となる。

ここで、
ξ0のときはlimnnπexp(nπ2ξ2)=0
ξ=0のときはlimnnπexp(nπ2ξ2)=であり
nπexp(nπ2ξ2)dξ=1である。これはデルタ関数と言われ、f(x)=cのフーリエ変換は、cδ(ξ)となる。

導入

テンプレート:See also この節の記載は、フーリエ変換の「動機」についてのものであるが、フーリエ変換の理解に必須のものではなく、むしろ理解を妨げる要因(数学的に不正確な内容を含む)もあるため、注意が必要である。フーリエ変換についてのイメージを掴むには有用であるが、この節の理解に拘泥するとむしろ本質的な理解が阻害されることになる。すなわち、以下の段落では [−T/2, T/2]でのフーリエ級数展開を考察し、T → ∞として、(−∞, ∞)でのフーリエ変換を考えようとするものであるが、[−T/2, T/2]と(−∞, ∞)では全く様相が異なり、[−T/2, T/2]ではどのような連続関数もフーリエ級数展開可能であるが、(−∞, ∞)では拡張されたフーリエ級数展開(フーリエ変換)ができない連続関数が多数存在し、n次関数、三角関数、指数関数、対数関数はどれもフーリエ変換ができない。任意のTについて、[−T/2, T/2]である命題が言えたとしても、(−∞, ∞)ではその命題が成り立たない典型例となっており、単純にT → ∞として、(−∞, ∞)での結論を導き出すことはできない。

ただし、ルベーグの優収束定理により、ある関数φ(x)が存在し、(−∞, ∞)で絶対可積分|φ(x)|dx<で、|e2πinx/Tf(x)|=|f(x)||φ(x)|が言える場合は、
fN(x)を、fN(x)=f(x)(NxN)fN(x)=0(N<|x|)と置けば、|fN(x)||φ(x)|であり、
limNNNe2πinx/Tf(x)dx=limNe2πinx/TfN(x)dx=limNe2πinx/TfN(x)dx=e2πinx/Tf(x)dx となり、有限区間での議論を(−∞, ∞)に拡張可能である。なお、この節の以下の段落では、リーマン和の極限であるリーマン積分でフーリエ変換を定義しているが、リーマン積分ではルベーグの優収束定理は成立せず、従ってフーリエ変換の性質のうち優収束定理に依存するものは成立しない。通常、フーリエ変換は、ルベーグの優収束定理が成立するルベーグ積分で定義され、それにより種々の性質が言えるものであり、この点でもこの節の記載は数学的に厳密ではない。

フーリエ変換を考える動機はフーリエ級数の研究に始まる。フーリエ級数の研究において、複雑な周期関数は単純な波動の数学的な表現である正弦関数余弦関数の和として表される。正弦や余弦の性質のおかげで、この和に現れる各波の量、フーリエ係数を積分によって計算することができる。

多くの場合に、e2πiθ=cos2πθ+isin2πθオイラーの公式)を用いて、正弦関数および余弦関数の代りに基本波動 e2πiθ を用いた方が便利である。この場合には多くの公式が簡単化され、本項で後述するフーリエ変換のほかの類似の定式化をあたえるという点に優位性がある。この正弦・余弦から複素指数関数への移行にはフーリエ係数が複素数値であることを要する。この複素数は、関数に含まれる波動の振幅(あるいは大きさ)と、位相(あるいは初期角)の両方を与えているものと通常は解釈される。また、この移行に際して「負の周波数」も導入される。例えば、波動 e2πiθ および e2πiθ はともに周期1を持つが、複素フーリエ級数においては別々の成分として取り扱われる。したがって、周波数を単純に周期の逆数と考えることはできなくなる。

フーリエ級数を以下のようにしてフーリエ変換の動機付けに用いることができる。関数 ƒ をある区間 [−L/2, L/2] の外側で 0 となるようなものとすると、任意の TL に対して ƒ を区間 [−T /2, T /2] 上のフーリエ級数に拡張できる。ここで f のフーリエ級数に現れる波動 e2πinx/T の係数となる cn で表される「量」は

f^(nT)=cn:=T/2T/2e2πinx/Tf(x)dx

で与えられ、ƒ は公式

f(x)=1Tn=f^(nT)e2πinx/T

で与えられなければならない。ξn = n/T とおき、Δξ = (n + 1)/Tn/T = 1/T とおくと、最後の和をリーマン和

f(x)=n=f^(nT)e2πixξnΔξ

として考えることができる。T → ∞ とすることにより、このリーマン和は定義節で与えられるフーリエ逆変換に収束する。適当な条件の下では、この議論をもっと明確化することができるテンプレート:Sfn。したがって、この場合はフーリエ級数だが、フーリエ変換は関数に含まれる個々の特定の周波数がどの程度あるかを測るものと考えることができ、それらの波動を積分(あるいは「連続和」)によって再結合して元の関数を復元することができる。

以下の画像はフーリエ変換が特定の関数に含まれる周波数を測る方法を視覚的に現したものである。関数として、(t が秒で測られる場合には)3 ヘルツで振動し、急速に 0 になる

f(t):=cos(6πt)eπt2

を描く。この関数は特に描画しやすい実フーリエ変換をもつものとして選ばれたものであり、最初の画像はそのグラフである。テンプレート:Math を計算するために、e−2πi(3t)ƒ(t) を積分する。二枚目の画像はこの被積分関数の実部および虚部である。被積分関数の実部は殆ど常に正となる。これは ƒ(t) が負であるときには e−2πi(3t) の実部が同様に負となることによる。それらは同じ比率で振動するから、ƒ(t) が正であるときも同様に e−2πi(3t) の実部も正になる。

この結果、被積分関数の実部のを積分すれば、比較的大きな数値(ここでの場合 0.5)を得ることになる。

一方、(テンプレート:Math を見る場合のように)含まれない周波数を測れば、被積分関数は十分に振動し、それゆえにその積分はとても小さい値となる。一般の設定ではこれよりは少し複雑になるが、それでもフーリエ変換は関数 ƒ(t) に含まれる個々の周波数がどれくらいあるかを測るものという考え方に変わりはない。

この例では、cos(6πt)ではなく、cos(6πt)eπt2と、不自然なeπt2がかかっているが、cos(6πt)は、(−∞, ∞)で絶対可積分ではなくフーリエ変換は不可能であり、eπt2は、eπt2dt=1のため(−∞, ∞)で絶対可積分であり、cos(6πt)eπt2は、|cos(6πt)eπt2|eπt2と絶対値が絶対可積分関数より小さくなるため、それ自身絶対可積分関数となり、フーリエ変換が可能となっているものである。

フーリエ変換の性質

実数直線上で定義される関数 f絶対可積分であるとは、

|f(x)|dx<

を満たすルベーグ可測関数であることをいう。

基本性質

絶対可積分関数 テンプレート:Math が与えられたとき、これらのフーリエ変換をそれぞれ テンプレート:Math, テンプレート:Math, テンプレート:Mathで表す。フーリエ変換は以下の基本性質を満たすテンプレート:Sfn

線型性

任意の複素数 テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar について テンプレート:Math であるならば

h^(ξ)=af^(ξ)+bg^(ξ)

が成り立つ。

平行移動

任意の実数 テンプレート:Math に対して テンプレート:Math であるならば

h^(ξ)=e2πix0ξf^(ξ)

が成り立つ。

変調

任意の実数 テンプレート:Math に対して テンプレート:Math ならば

h^(ξ)=f^(ξξ0)

が成り立つ。

定数倍

非零実数 テンプレート:Mvar に対し、テンプレート:Math ならば

h^(ξ)=1|a|f^(ξa)

が成り立つ。テンプレート:Math つまり テンプレート:Math の場合には、時間反転性 (テンプレート:En)

h^(ξ)=f^(ξ)

が導かれる。

複素共役

テンプレート:Math複素共役 テンプレート:Math について

f^(ξ)=f^(ξ)

が成り立つ。

畳み込み

テンプレート:Math ならば

h^(ξ)=f^(ξ)g^(ξ)

が成り立つ。

一様連続性とリーマン・ルベーグの補題

絶対可積分関数のフーリエ変換は、常に成り立つというわけではない性質も持っている。絶対可積分関数 ƒ のフーリエ変換は一様連続で

f^f1

を満たすテンプレート:Sfn。絶対可積分関数のフーリエ変換は

f^(ξ)0 as |ξ|

であることを述べたリーマン・ルベーグの補題をも満足するテンプレート:Sfn。絶対可積分函数 f のフーリエ変換 テンプレート:Math は有界連続だが絶対可積分であるとは限らず、その逆変換をルベーグ積分として書くことは一般にはできない。しかしながら、ƒ および テンプレート:Math がともに絶対可積分ならば、反転公式

f(x)=f^(ξ)e2iπxξdξ

が殆ど全ての x において成り立つ。つまり、ƒ は右辺で定義される連続関数と殆ど至る所等しい。特に ƒ が実数直線上の連続関数として与えられたならば全ての x において等式が成り立つ。

前述の結果としてわかることは、フーリエ変換が L1(R) 上単射であることである。

プランシュレルの定理とパーセバルの定理

f(x) および g(x) は絶対可積分であるとし、そのフーリエ変換をそれぞれ テンプレート:Math および テンプレート:Math と表す。f(x) および g(x) がともに自乗絶対可積分であるならばパーセバルの定理

f(x)g(x)dx=f^(ξ)g^(ξ)dξ

が成立するテンプレート:Sfn。ここで上付きバーは複素共役を表す。

パーセバルの定理と同値なプランシュレルの定理によれば

|f(x)|2dx=|f^(ξ)|2dξ

が成立するテンプレート:Sfn。プランシュレルの定理により、L2(R) に属する関数の後述する意味でのフーリエ変換を定義することが可能になる。プランシュレルの定理は、フーリエ変換はもとの量のエネルギーを保存するという自然科学における解釈を持つ。著者によってはこれらの定理のどちらともをプランシュレルの定理あるいはパーセバルの定理と呼んでいる場合があるので注意を要する。

局所コンパクトアーベル群に関する文脈におけるフーリエ変換の概念の一般の定式化についてはポントリャーギン双対の項を参照されたい。

不確定性関係

テンプレート:Main 一般的に言って、f(x) が凝縮されればされるほどそのフーリエ変換 テンプレート:Math はより拡散される。特に、フーリエ変換のスケール性からわかることとして、関数を x において「圧搾」するならば、そのフーリエ変換は ξ において「伸展」される。したがって、関数とそのフーリエ変換の両方ともを勝手に凝縮させることはできない。

関数とそのフーリエ変換のコンパクト化のあいだの得失評価は不確定性関係の形で定式化することができる。ƒ(x) は絶対可積分かつ自乗絶対可積分であると仮定する。一般性を失うことなく関数 ƒ(x) は

|f(x)|2dx=1

に正規化されているものと仮定してよい。このとき、プランシュレルの定理により テンプレート:Math も同様に正規化される。

x = 0 の周りでの拡散を

D0(f):=x2|f(x)|2dx

で定義される「0 の周りでの分散」テンプレート:Lang によって測ることにするテンプレート:Sfn。確率の言葉で言えば、これは |f(x)|2 の 0 の周りでの二次のモーメントである。

このとき不確定性原理は、関数 ƒ(x) が絶対連続で、関数 x·ƒ(x) および ƒ′(x) が自乗絶対可積分であるならば

D0(f)D0(f^)116π2

が成り立つことを述べるテンプレート:Sfn。等式が成立するのは

f(x)=C1eπx2/σ2

したがって、

f^(ξ)=σC1eπσ2ξ2

である場合に限る。ただし、定数 σ > 0 は任意であり、係数 C1ƒL2-正規化する定数であるテンプレート:Sfn。言い換えれば、 ƒ は 0 を中心に持つ(正規化)ガウス関数のとき等号が成り立つ。

事実として、この不等式は任意の x0, ξ0R について

[(xx0)2|f(x)|2dx][(ξξ0)2|f^(ξ)|2dξ]116π2

が成立することをも含むテンプレート:Sfn

量子力学において、運動量位置波動関数は(プランク定数を因子に持つ)フーリエ変換対である。プランク定数でスケールしなおせば、上述の不等式はロバートソンの不確定性関係を記述する。これは、ハイゼンベルグが構想した不確定性原理そのものではないが、深い関係がある。

ポアソン和公式

テンプレート:Main

ポアソン和公式はフーリエ変換とフーリエ級数の間の関連性を提供する。絶対可積分関数 ƒL1(Rn) が与えられたとき、ƒ周期化

f¯(x)=knf(x+k)

によって与えられる。このとき、ポアソン和公式は f のフーリエ級数を ƒ のフーリエ変換に結びつけるもので、特に f のフーリエ級数は

f¯(x)knf^(k)e2πikx

で与えられることを述べるものである。ポアソン和公式を用いて、大きな次元のユークリッド球面における格子点の数に対するランダウの漸近公式を導出することができる。また、絶対可積分函数 fテンプレート:Math がともにコンパクト台を持つならば ƒ = 0 を示すこともできるテンプレート:Sfn

畳み込み定理

テンプレート:Main

フーリエ変換は、関数の畳み込みと関数の(点毎の)積とを相互に変換する。ƒ(x) および g(x) が絶対可積分関数であるとし、そのフーリエ変換をそれぞれ テンプレート:Math および テンプレート:Math で表す。さらに ƒg との畳み込みが存在して絶対絶対可積分であるならば、この畳み込みのフーリエ変換はフーリエ変換 テンプレート:Mathテンプレート:Math との積で与えられる(ただし、フーリエ変換の定義の仕方によっては定数因子が現れる場合もある)。

これを式で表せば、∗ を畳み込みとして

h(x):=(f*g)(x):=f(y)g(xy)dy

と表されるとき、

h^(ξ)=f^(ξ)g^(ξ)

が成立することを意味する。線型時不変 (LTI) 系理論において、f(x) を単位インパルスで置き換えたものが h(x) = g(x) を与えることから、通例 g(x) は、入力 ƒ(x) と出力 h(x) に関する LTI 系のインパルス応答として解釈される。この場合、テンプレート:Math はこの系の周波数応答を表す。

逆に、ƒ(x) がふたつの自乗絶対可積分函数 p(x) および q(x) の積に分解されるならば、 ƒ(x) のフーリエ変換は、各因子のフーリエ変換 テンプレート:Math および テンプレート:Math の畳み込みで与えられる。

相互相関定理

テンプレート:Main

同様の方法で、h(x) が ƒ(x) と g(x) との相互相関

h(x):=(fg)(x):=f(y)g(x+y)dy

であるならば h(x) のフーリエ変換が

h^(ξ)=f^(ξ)g^(ξ)

で与えられることが示される。

固有関数

L2(R) の正規直交基底の重要な一つはエルミート函数系

ψn(x):=24n!eπx2Hn(2xπ)

で与えられる。ここで Hn(x) は「確率論者の」エルミート多項式と呼ばれる、Hn(x):=(1)nex2/2Dnex2/2 で定義される関数である。この規約の下、フーリエ変換は

ψ^n(ξ)=(i)nψn(ξ)

で与えられる。言い換えれば、エルミート関数系は L2(R) 上のフーリエ変換の固有関数からなる完全正規直交系を成すテンプレート:Sfn。しかしながら、この固有関数系の選び方は一意ではなく、フーリエ変換の相異なる固有値は {±1, ±i} の 4 つしかなく、同じ固有値に属する固有関数の任意の線型結合はふたたび固有関数になる。この結果として L2(R) を 4 つの空間 H0, H1, H2, H3 で、フーリエ変換が Hk 上で単に ik-倍として作用するものの直和に分解することができる。この方法によるフーリエ変換の定義はウィーナーによるテンプレート:Sfn。エルミート関数を選ぶのが便利なのは、それらが周波数域と時間域の両方で指数関数的に局在することと、それゆえに時間周波数解析において用いられる非整数次フーリエ変換が得られることにある テンプレート:要出典

球面調和関数

テンプレート:Main 𝒜k で次数 k斉次調和多項式全体の成す集合を表す。集合 𝒜kテンプレート:仮リンクとして知られる。高次元において体球面調和関数系はエルミート多項式と同様の役割を演じる。具体的には、𝒜k の適当な P(x) に対し、f(x) = e−π|x|2P(x) のフーリエ変換は

f^(ξ)=ikf(ξ)

で与えられる。集合 kf(|x|)P(x) (P(x) ∈ 𝒜k) の形の関数から作られる線型結合全体の成す集合の L2(Rn) における閉包とする。このとき、空間 L2(Rn) は空間 k の直和に分解され、フーリエ変換は各空間 k をそれ自身に移す。また、各空間 k へのフーリエ変換の作用を特徴付けることができるテンプレート:Sfnƒ(x) = ƒ0(|x|)P(x) (P(x) ∈ 𝒜k) と表される関数のフーリエ変換は

f^(ξ)=F0(|ξ|)P(ξ)

となる。ただし、

F0(r)=2πikr(n+2k2)/20f0(s)J(n+2k2)/2(2πrs)s(n+2k)/2ds

であり、J(n + 2k − 2)/2 は次数 (n + 2k − 2)/2 の第一種ベッセル関数である。k = 0 のとき、これは動径関数のフーリエ変換に対する有用な公式を与えるテンプレート:Sfn

一般化

他の函数空間上のフーリエ変換

フーリエ変換の定義を他の函数空間に対するものへ拡張することができる。コンパクト台を持つ滑らかな函数は絶対可積分で、その全体は L2(R) において稠密であるから、プランシュレルの定理を用いて、L2(R) の一般の函数にまで(コンパクト台をもつ滑らかな函数によって近似して)フーリエ変換の定義を拡張することができる。さらに

:L2()L2()

ユニタリ作用素であるテンプレート:Sfn。フーリエ変換の多くの性質はこの場合にもそのまま成立する。ハウスドルフ・ヤング不等式を用いて 1 ≤ p ≤ 2 に対する Lp(R) の函数を含むようにフーリエ変換の定義を拡張することができる。

だが、さらなる拡張はもっと技巧的である。2 < p < ∞ の範囲でのLp に属する函数のフーリエ変換には超函数の研究が必要であるテンプレート:Sfn。事実として、p > 2 に関する Lp に属する函数のフーリエ変換は函数としては定義できないことを示すことができる テンプレート:Sfn

多次元版

フーリエ変換は勝手な次元 n において考えることができる。1-次元の場合と同様にさまざまな流儀があるが、本項では絶対可積分函数 ƒ(x) に対して、

f^(ξ)=(f)(ξ)=nf(x)e2πixξdx

をフーリエ変換の定義とする。ここで、x および ξn-次元ベクトルであり、x · ξ はベクトルの点乗積である。点乗積はしばしば <x, ξ> とも書き表される。

プランシュレルの定理やパーセバルの定理がそうであるように、上述の基本性質は n-次元フーリエ変換においても成立する。函数が絶対可積分であるとき、フーリエ変換はやはり一様連続であり、リーマン・ルベーグの補題が成立するテンプレート:Sfn

より高い次元ではフーリエ変換の制限問題の研究が興味深いものになる。絶対可積分函数のフーリエ変換は連続で、この函数の任意の集合への制限が定義される。しかし自乗絶対可積分函数のフーリエ変換は自乗絶対可積分函数の一般の類を成す。そのような L2(Rn)-函数のフーリエ変換の制限は測度 0 の集合上では定義することができない。1 ≤ p ≤ 2 に対する Lp における制限問題の理解はいまだ活発な研究の行われる領域である。驚くべきことに、集合 S の曲率が非零であるようないくつかの場合には、フーリエ変換の S への制限を定義することができる。SRn における単位球面であるときが特に興味深い。この場合に、トマス-ステインの制限定理によれば、フーリエ変換の Rn における単位球面への制限は 1 ≤ p ≤ (2n + 2)/(n + 3) に対する Lp 上で有界作用素である。

1-次元の場合と多次元の場合とで、フーリエ変換の大きな違いは部分和作用素に関係する。与えられた絶対可積分函数 ƒ に対し

fR(x)=SRf^(ξ)e2πixξdξ,xn

で定義される函数 ƒR を考える。さらに ƒLp(Rn) に属すると仮定する。n = 1 で 1 < p < ∞ とし、SR = (−R, R) と置くと、ヒルベルト変換の有界性から ƒRR を無限大に飛ばす極限で ƒLp 内で収束する。素朴に n > 1 の場合にも同様であることを期待するかもしれない。SR を一辺の長さが R の立方体とするならば、確かに部分和作用素はもとの函数に収束する。別の自然な候補としてユークリッド球体 SR = {ξ : |ξ| < R} をとると、部分和作用素が収束するためには単位球体に対するマルチプライヤーが Lp(Rn) において有界である必要がある。n ≥ 2 に対しては、単位球体に対するマルチプライヤーは p = 2 でない限り有界にはならないというよく知られたチャールズ・フェファーマンの定理があるテンプレート:Sfn。事実として、p ≠ 2 のときには ƒRƒLp 内で収束しないだけではなく、函数 ƒLp(Rn) であっても ƒRLp の元でさえないようなものまでが存在する。

フーリエ・スティルチェス変換

Rn 上の有限ボレル測度 μ のフーリエ変換は

μ^(ξ)=ne2πixξdμ

によって与えられるテンプレート:Sfn。この変換は絶対可積分函数のフーリエ変換がもつ多くの性質を引き続き満足する。大きな違いの一つに、測度に関してリーマン・ルベーグの補題が成り立たないことが挙げられるテンプレート:Sfndμ = ƒ(x)dx の場合には上述の定義式を f の通常のフーリエ変換の定義に簡約化することができる。

このフーリエ変換を用いて連続測度の特徴づけを与えることができる。テンプレート:仮リンクはそのような函数を測度のフーリエ・スティルチェス変換として得られるものとして特徴付けるテンプレート:Sfn

さらに言えば、ディラックのデルタ函数は函数ではないが有限ボレル測度であり、そのフーリエ変換は定数函数となる(特殊値は用いるフーリエ変換の形に依存する)。

緩増加超函数

フーリエ変換はシュワルツ函数全体の成す空間(シュワルツ空間)をそれ自身に移す同相写像を与えるテンプレート:Sfn。これにより、緩増加超函数のフーリエ変換を定義することができる。これには上述の絶対可積分函数が全て含まれ、それに加えて緩増加超函数のフーリエ変換がふたたび緩増加超函数となるという利点がある。

超函数のフーリエ変換を定義するいくつかの動機は、以下のふたつの事実に由来する。ひとつめは、ƒg が絶対可積分函数でそのフーリエ変換をそれぞれ テンプレート:Math, テンプレート:Math とするとき、フーリエ変換は乗法公式

nf^(x)g(x)dx=nf(x)g^(x)dx

に従うことテンプレート:Sfn。ふたつめは、任意の絶対可積分函数 ƒ は、任意のシュワルツ函数 φ に対して

Tf(φ)=nf(x)φ(x)dx

を満たすという条件によって超函数 Tƒ を定めることである。これらの事実により、与えられた超函数 T に対してそのフーリエ変換を、任意のシュワルツ函数 φ に対して

T^(φ)=T(φ^)

なる関係式によって定義する。これは テンプレート:Mathf = Tf^ から従う。

超函数は微分可能であり、緩増加超函数のフーリエ変換と微分および畳み込みとはやはり上述の意味で両立する。

局所コンパクトアーベル群

フーリエ変換を任意の局所コンパクトアーベル群に対して一般化することができる。局所コンパクトアーベル群とは、抽象アーベル群であると同時に局所コンパクトハウスドルフ空間であって、なおかつその位相に関して群演算が連続となるものである。G が局所コンパクトアーベル群ならば、Gハール測度と呼ばれる平行移動不変な測度 μ を持つ。また、局所コンパクトアーベル群 G に対して、その位相を指標全体の成す集合 テンプレート:Math へ移行することができて、テンプレート:Math 自身も局所コンパクトアーベル群の構造を持つ。L1(G) に属する函数 f に対して、そのフーリエ変換を

f^(ξ)=Gξ(x)f(x)dμ( ξG^)

によって定義することができるテンプレート:Sfn

この一般化を概周期函数に適用した理論や、準周期函数に適用した理論が知られている。

応用

テンプレート:Main

微分方程式の解析学

フーリエ変換および近い関係にあるラプラス変換微分方程式の解法において広く用いられる。テンプレート:Math を可微分函数で、そのフーリエ変換を テンプレート:Math とすると、導函数のフーリエ変換が テンプレート:Math で与えられるという意味でフーリエ変換と微分作用素は両立する。このことを用いて微分方程式を代数方程式に変換することができる。ただし、この手法は定義域が実数全体である場合にしか適用できないことに注意が必要である。これを拡張して、定義域が テンプレート:Math であるような多変数函数に関する偏微分方程式を代数方程式に書き換えることもできる。

フーリエ変換の定義域と値域

フーリエ変換を可能な限り最も一般な定義域上で考えることが望ましいことも多々ある。フーリエ変換を積分として定義すれば、定義域は絶対可積分函数全体の成す空間に自然に制限されてしまうが、不幸にして絶対可積分函数のフーリエ変換として得られる函数の簡単な特徴づけは知られていないテンプレート:Sfn。フーリエ変換の定義域の拡張は上述のようにいくつかの方法を用いて行うことができる。以下いくつか、フーリエ変換の定義されるより広範な定義域と領域について詳細を述べる。

  • シュワルツ函数全体の成す空間(シュワルツ空間)はフーリエ変換の下で閉じている。シュワルツ函数は急減少函数であって、フーリエ変換の関連する函数すべてを含んでいるわけではない。より詳細は テンプレート:Harv を参照せよ。
  • ルベーグ絶対可積分函数全体の成す空間 L1 はフーリエ変換によって、無限遠で 0 に収束する連続函数全体の成す空間 C0 へ写される。
  • 自乗絶対可積分函数全体の成す空間 L2 はフーリエ変換のもとで閉じている。しかしここでのフーリエ変換はもはや積分によって定義されるものではない。
  • 空間 Lp は空間 Lq へ写る。ここに、 1/p + 1/q = 1 であり、 1 ≤ p ≤ 2 とする(ハウスドルフ・ヤング不等式)。
  • 緩増加超函数全体の成す集合はフーリエ変換の下で閉じている。緩増加超函数は函数の一般化ともなっている。この一般化ではディラックの櫛型函数のようなもののフーリエ変換も定義することができる。

その他の記法

フーリエ変換の記法として テンプレート:Math 以外によく用いられるものに

F(ξ),(f)(ξ),(f)(ξ),(f(t))

などがある。あるいはもっと他の記号を使うことも在りうる。たとえば、(f(x) と F(ξ) のように)もとの函数を表している文字の対応する大文字を用いてそのフーリエ変換を表すことは自然科学や工学においてとくによく用いられる記法である。

複素函数 テンプレート:Math は、極座標に関してこれを表示することにより、振幅

A(ξ)=|f^(ξ)|,

および位相

φ(ξ)=arg(f^(ξ))

と呼ばれるふたつの実函数 A(ξ) および φ(ξ) を用いて

f^(ξ)=A(ξ)eiφ(ξ)

なる形に解釈することができる。

このとき逆変換は ƒ(x) の周波数成分すべての再結合として

f(x)=A(ξ)ei(2πξx+φ(ξ))dν

と書くことができる。各成分は振幅A(ξ) で(x = 0 における)初期位相角が φ(ξ) であるような eixξ のかたちの複素正弦曲線である。

フーリエ変換は函数空間の間の写像として考えることもできる。この写像はここでは で表し、函数 f のフーリエ変換には (f) が用いられる。この写像 は函数空間上の線型変換とみることができ、それによって (f) と書く代わりに、ベクトル(ここでは函数 f)の線型変換を表す線型代数学の標準的な記法で f と書くこともできる。函数にフーリエ変換を施した結果は再び函数となるから、この新たな函数の ξ における値というものには意味があり、それを (f)(ξ) あるいは (f)(ξ) などと表す。前者の場合には はまず f に施されて、その後に得られた函数の ξ における値が評価されるものと暗黙に理解されているということに注意しなければならない。

数学や多くの応用科学において、函数 f それ自身と函数 f の変数 x における値 f(x) とを峻別しなければならないことがしばしばある。このことが意味するのは、たとえば(f(x)) のような記法は、形式的には fx における「値」のフーリエ変換と解釈できてしまうということである。このような不具合にもかかわらず、特定の函数あるいは特定の変数の函数を頻繁に変換しなければならないような場合には、このような記法はよく用いられる。たとえば

(rect(x))=sinc(ξ)

は矩形函数のフーリエ変換が sinc-函数であることを表すために用いられることがあり、またたとえば

(f(x+x0))=(f(x))e2πiξx0

はフーリエ変換のシフト性を表すのに用いられることがある。最後の例は、変換される函数 fx0 のではなく x の函数であるという前提のもとでのみ正しいということに注意を要する。

その他の定義

フーリエ変換の定義として慣習的によく用いられるものが3個ある。しばしば、フーリエ変換を毎秒ラジアンを単位とする角周波数 ω = 2πξ を用いて表す。ξ = ω/(2π) と置き換えれば、上述の定義式はこの規約の下

f^(ω)=nf(x)eiωxdx

と書くことができ、また同じくこの規約の下で逆変換は

f(x)=1(2π)nnf^(ω)eiωxdω

となる。本項における定義とは異なり、この規約によって定義されるフーリエ変換はもはや L2(Rn) 上の変換としてユニタリではなく、フーリエ変換と逆変換との間の対称性も失われている。

他によく用いられる流儀は (2π)n の因子をフーリエ変換とその逆変換の間で均等に分割するもので、

f^(ω)=1(2π)n/2nf(x)eiωxdx,

f(x)=1(2π)n/2nf^(ω)eiωxdω

という定義が導かれる。この規約のもとでは、フーリエ変換はふたたび L2(Rn) 上のユニタリ変換となり、また フーリエ変換と逆変換の間の対称性も回復することができる。

これら三種類の定義はどれも、順変換逆変換ともに複素指数函数的な積分核を結びつけることによって形成されている。順変換と逆変換で肩に付く符合は反対でなければならないが、どちらがどちらの符号を持つべきであるかという選択は、やはり定義の仕方によるということになる。

よく用いられる定義のまとめ
周波数 ξ(ヘルツ) ユニタリ f^1(ξ) =def nf(x)e2πixξdx=f^2(2πξ)=(2π)n/2f^3(2πξ)

f(x)=nf^1(ξ)e2πixξdξ 

角周波数 ω(ラジアン毎秒) 非ユニタリ f^2(ω) =defnf(x)eiωxdx =f^1(ω2π)=(2π)n/2 f^3(ω)

f(x)=1(2π)nnf^2(ω)eiωxdω 

ユニタリ f^3(ω) =def 1(2π)n/2nf(x) eiωxdx=1(2π)n/2f^1(ω2π)=1(2π)n/2f^2(ω)

f(x)=1(2π)n/2nf^3(ω)eiωxdω 

主なフーリエ変換の一覧

以下にフーリエ変換の閉じた表示に関する表を掲げる(フーリエ変換はよく用いられる三種類を挙げてある)。函数 ƒ(x) , g(x), h(x) に対して、それらのフーリエ変換をそれぞれ テンプレート:Math, テンプレート:Math, テンプレート:Math で表す。

函数の関係式

以下の表におけるフーリエ変換は テンプレート:Harv あるいは テンプレート:Harv の付録に見つけることができる。

もとの函数 ユニタリ・周波に関するフーリエ変換 ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 非ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 備考
f(x) f^(ξ)=

f(x)e2πixξdx

f^(ω)=12πf(x)eiωxdx f^(ν)=

f(x)eiνxdx

101 af(x)+bg(x) af^(ξ)+bg^(ξ) af^(ω)+bg^(ω) af^(ν)+bg^(ν) 線型性
102 f(xa) e2πiaξf^(ξ) eiaωf^(ω) eiaνf^(ν) 時間領域シフト
103 e2πiaxf(x) f^(ξa) f^(ω2πa) f^(ν2πa) 周波数領域シフト
102の双対
104 f(ax) 1|a|f^(ξa) 1|a|f^(ωa) 1|a|f^(νa) |a| が大きければ f(ax) は 0 の周りに集中し 1|a|f^(ωa) は平らに広がる
105 f^(x) f(ξ) f(ω) 2πf(ν) ここで、f^ は、それぞれの列で考えているフーリエ変換を施した結果の、変数を x に取替えたものである。
106 dnf(x)dxn (2πiξ)nf^(ξ) (iω)nf^(ω) (iν)nf^(ν)
107 xnf(x) (i2π)ndnf^(ξ)dξn indnf^(ω)dωn indnf^(ν)dνn 106の双対
108 (f*g)(x) f^(ξ)g^(ξ) 2πf^(ω)g^(ω) f^(ν)g^(ν) fgfg との畳み込みである。この公式は畳み込み定理と呼ばれる。
109 f(x)g(x) (f^*g^)(ξ) (f^*g^)(ω)2π 12π(f^*g^)(ν) 108の双対
110 純実偶関数f(x) f^(ω),f^(ξ),f^(ν) はいずれも純実偶関数 正弦・余弦変換も参照
111 純実奇関数f(x) f^(ω),f^(ξ),f^(ν) はいずれも純虚奇関数

自乗絶対可積分函数

以下の表におけるフーリエ変換は テンプレート:Harv, テンプレート:Harv あるいは テンプレート:Harv の付録に見つけることができる。

もとの函数 ユニタリ・周波に関するフーリエ変換 ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 非ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 備考
f(x) f^(ξ)=

f(x)e2πixξdx

f^(ω)=

12πf(x)eiωxdx

f^(ν)=

f(x)eiνxdx

201 rect(ax) 1|a|sinc(ξa) 12πa2sinc(ω2πa) 1|a|sinc(ν2πa) 矩形波と標準化されたsinc関数sinc関数はsinc(x) = sin(πx)/(πx)で表される
202 sinc(ax) 1|a|rect(ξa) 12πa2rect(ω2πa) 1|a|rect(ν2πa) 201の双対で矩形波は理想的なローパスフィルターである。sinc関数はそのようなフィルターの非因果波応答である。
203 sinc2(ax) 1|a|tri(ξa) 12πa2tri(ω2πa) 1|a|tri(ν2πa) tri(x)は三角形関数である。
204 tri(ax) 1|a|sinc2(ξa) 12πa2sinc2(ω2πa) 1|a|sinc2(ν2πa) 203の双対
205 eaxu(x) 1a+2πiξ 12π(a+iω) 1a+iν u(x)はヘビサイドの単位ステップ関数であり、a>0
206 eαx2 παe(πξ)2α 12αeω24α παeν24α これが示すものは、ガウス関数exp(−αx2)でαを選んだ場合はユニタリフーリエ変換である。 Re(α)>0で積分可能である
207 ea|x| 2aa2+4π2ξ2 2πaa2+ω2 2aa2+ν2 a>0である
208 Jn(x)x 2in(i)nUn1(2πξ)

   14π2ξ2rect(πξ)

2πin(i)nUn1(ω)

   1ω2rect(ω2)

2in(i)nUn1(ν)

   1ν2rect(ν2)

関数Jn (x)は、n次の第1種ベッセル関数である。関数Un (x)は第2種チェビシェフ多項式である。下記315と316を参照
209 sech(ax) πasech(π2aξ) 1aπ2sech(π2aω) πasech(π2aν) 双曲線正割は自分自身をフーリエ変換したものである

超函数

以下の表におけるフーリエ変換は テンプレート:Harv あるいは テンプレート:Harv の付録に見つけることができる。

もとの函数 ユニタリ・周波に関するフーリエ変換 ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 非ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 備考
f(x) f^(ξ)=

f(x)e2πixξdx

f^(ω)=

12πf(x)eiωxdx

f^(ν)=

f(x)eiνxdx

301 1 δ(ξ) 2πδ(ω) 2πδ(ν) δ(ξ) はディラックのデルタ関数
302 δ(x) 1 12π 1 301の双対
303 eiax δ(ξa2π) 2πδ(ωa) 2πδ(νa) 103と301より導かれる。
304 cos(ax) δ(ξa2π)+δ(ξ+a2π)2 2πδ(ωa)+δ(ω+a)2 π(δ(νa)+δ(ν+a)) 101、303とオイラーの公式cos(ax)=(eiax+eiax)/2.より導かれる。
305 sin(ax) iδ(ξ+a2π)δ(ξa2π)2 i2πδ(ω+a)δ(ωa)2 iπ(δ(ν+a)δ(νa)) 101、303と sin(ax)=(eiaxeiax)/(2i). より導かれる。
306 cos(ax2) πacos(π2ξ2aπ4) 12acos(ω24aπ4) πacos(ν24aπ4)
307 sin(ax2) πasin(π2ξ2aπ4) 12asin(ω24aπ4) πasin(ν24aπ4)
308 xn (i2π)nδ(n)(ξ) in2πδ(n)(ω) 2πinδ(n)(ν) n自然数、 δ(n )(ξ) はディラックのデルタ関数のn 階微分。107と301より導かれる。さらに101と組み合わせることで、任意の多項式を変換できる。
309 1x iπsgn(ξ) iπ2sgn(ω) iπsgn(ν) sgn(ξ) は符号関数。1/x は超関数ではないことに注意。シュワルツ関数に対してテストするときにコーシーの主値を使用する必要がある。この規則はヒルベルト変換を研究するとき有用である。
310 1xn iπ(2πiξ)n1(n1)!sgn(ξ) iπ2(iω)n1(n1)!sgn(ω) iπ(iν)n1(n1)!sgn(ν) 309の一般化
311 1|x| 1|ξ| 1|ω| 2π|ν|
312 sgn(x) 1iπξ 2π1iω 2iν 309の双対。積分はコーシーの主値を考える。
313 u(x) 12(1iπξ+δ(ξ)) π2(1iπω+δ(ω)) π(1iπν+δ(ν)) u (x ) はヘヴィサイドの階段関数。101、301および312より導かれる。
314 n=δ(xnT) 1Tk=δ(ξkT) 2πTk=δ(ω2πkT) 2πTk=δ(ν2πkT) この関数はくし型関数といわれる。302、102および、超関数として n=einx=k=δ(x+2πk) であることから導かれる。
315 J0(x) 2rect(πξ)14π2ξ2 2πrect(ω2)1ω2 2rect(ν2)1ν2 J0 (x ) は0次の第1種ベッセル関数
316 Jn(x) 2(i)nTn(2πξ)rect(πξ)14π2ξ2 2π(i)nTn(ω)rect(ω2)1ω2 2(i)nTn(ν)rect(ν2)1ν2 315の一般化。Jn (x ) はn 次の第1種ベッセル関数Tn (x ) は第1種チェビシェフ多項式

二変数函数

もとの函数 ユニタリ・周波に関するフーリエ変換 ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 非ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 備考
f(x,y) f^(ξx,ξy)=

f(x,y)e2πi(ξxx+ξyy)dxdy

f^(ωx,ωy)=

12πf(x,y)ei(ωxx+ωyy)dxdy

f^(νx,νy)=

f(x,y)ei(νxx+νyy)dxdy

ξx , ξy , ωx , ωy , νx , νy は実変数。積分領域は全平面である。
401 eπ(a2x2+b2y2) 1|ab|eπ(ξx2/a2+ξy2/b2) 12π|ab|e(ωx2/a2+ωy2/b2)4π 1|ab|e(νx2/a2+νy2/b2)4π 両方のガウス関数は規格化されている必要はない。
402 circ(x2+y2) J1(2πξx2+ξy2)ξx2+ξy2 J1(ωx2+ωy2)ωx2+ωy2 2πJ1(νx2+νy2)νx2+νy2 元の函数は circ(r ) = 1 (0≤r ≤1), and 0 (otherwise) で定義される。これはエアリー分布であり、1次の第1種ベッセル函数 J1 で表されるテンプレート:Sfn

一般の n-変数函数

もとの函数 ユニタリ・周波に関するフーリエ変換 ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 非ユニタリ・角周波に関するフーリエ変換 備考
f(x) f^(ξ)=

nf(x)e2πixξdx

f^(ω)=1(2π)(n/2)nf(x)eiωxdx f^(ν)=

nf(x)eixνdx

501 χ[0,1](|x|)(1|x|2)δ πδΓ(δ+1)|ξ|(n/2)δ
Jn/2+δ(2π|ξ|)
2δΓ(δ+1)|ω|(n/2)δ
Jn/2+δ(|ω|)
πδΓ(δ+1)|ν2π|(n/2)δ
Jn/2+δ(|ν|)
χ[0,1] は区間 [0, 1] の指示関数、Γ(x ) はガンマ関数、Jn /2+δn /2 + δ次の第1種ベッセル関数である。n = 2 およびδ = 0とすると402を得るテンプレート:Sfn

関連項目

テンプレート:Div col

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出典

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:No footnotes

関連図書

  • 高橋洋一郎:「実関数とフーリエ解析」、岩波書店、ISBN 4-00-005457-0 (2006年7月7日).

外部リンク

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