代数曲線

提供: testwiki
2022年11月19日 (土) 02:03時点におけるimported>Anakabotによる版 (セクションリンク修正)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
ナビゲーションに移動 検索に移動
テンプレート:仮リンクは三次の代数曲線である。

数学における代数曲線(だいすうきょくせん、テンプレート:Lang-en-short)、特にユークリッド幾何学における平面代数曲線 (plane algebraic curve) は、ユークリッド平面内の点集合であって、各点が適当な二変数多項式函数零点として与えられるものを言う。

様々な技術的理由を考慮するならば、多項式の任意の複素零点をその曲線上の点とみなした方が都合がよい。同様に、代数曲線の概念も、定義多項式の係数や曲線上の点の座標が任意のに属することも許すように一般化される。代数幾何学において、体 テンプレート:Mvar 上で定義された平面アフィン代数曲線 (plane affine algebraic curve) とは、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の適当な代数閉拡大体として、適当な テンプレート:Mvar-係数二元多項式の零点を座標に持つ テンプレート:Mvar-平面 テンプレート:Math 内の点すべてからなる集合を言う。この曲線上の点で、テンプレート:Mvar に座標を持つものは テンプレート:Mvar-有理点 (テンプレート:Math-point) と総称され、テンプレート:Mvar-有理点の全体をこの曲線の テンプレート:Mvar-成分 (テンプレート:Math-part) と呼ぶ。

  • 例えば、点 テンプレート:Mathテンプレート:Math で定義される曲線上の点であり、通常の単位円はこの曲線の実成分である。ここで、「単位円」というのは実点のみならず任意の複素点に関して言う(ふつうは正確な意味は文脈から明らかなはずである)。方程式 テンプレート:Math は実成分が空となるような代数曲線を定義する。

より一般には、平面に含まれない(が、より高次の空間に含まれる)代数曲線というものも考えることができる。平面代数曲線ではない代数曲線はテンプレート:仮リンクであると言う。もっとも簡単な非平面代数曲線はテンプレート:仮リンク(三次撓線)である。射影空間に含まれる代数曲線というものも考えることができるし、もっと言えばどんなアフィン空間や射影空間へ埋め込まれるかというようなこととは独立した形で代数曲線を定義するさえこともできる。そうして代数曲線の最も一般の定義に達する:

「代数幾何学における代数曲線とは、テンプレート:仮リンク代数多様体のことを言う。」

ユークリッド幾何学において

ユークリッド平面内の代数曲線とは、二元多項式方程式 テンプレート:Math の解を座標に持つ点全体からなる集合を言う。「テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar の函数として陽 (explicit) に定義される」ときの函数のグラフとして曲線が得られる場合と対照して、この方程式はしばしばこの曲線の陰伏方程式(あるいはこの方程式がこの曲線を陰 (implicit) に定義する)といわれる(陰函数の項も参照)。

そのような陰伏的に与えられた曲線に対して、最初の問題は曲線の形を決定して曲線を描くことである。これらの問題は、さまざまな テンプレート:Mvar に対して容易に計算できない テンプレート:Mvar については、函数のグラフとして陽に得られる場合と比べて容易ではない。定義方程式が多項式であるという事実は、曲線がこれら問題を解決する手助けとなるある種の構造的性質を持つということを意味する。

任意の代数曲線は、有限個の滑らかで単調な(これをこの曲線のあるいは分枝 (branches) と呼ぶ)を適当な点(分点、あるいは「特徴点」("remarkable point") と呼ぶ)で結んだものに一意的に分解することができる。ここに、「単調で滑らかな弧」とは テンプレート:Mvar-軸内の開区間上で定義された単調かつ滑らか函数のグラフとなるものである。どちらの方向についても、弧は非有界(無限弧 (infinite arc))となってもよいし、端点を持ってもよい(端点は特異点(後述)でもよいし、何れかの座標軸に平行となってもよい)。

例えば、テンプレート:仮リンクは、原点 テンプレート:Math を端点に持つふたつの無限弧を持つ。原点はこの曲線上の唯一の特異点である。さらに二つ、原点を一方の端点に持ち、他方の端点は水平接線を持つ点とする有限弧があり、さらに後二つ、水平接線を持つ点を片方の端点とし、曲線上の唯一垂直接線を持つ点をともにもう片方の端点とする有限弧を持つ。他方、正弦曲線は明らかに代数曲線ではなく、無限個の単調弧を持つ。

代数曲線を描くためには、分点および分点での接線、無限弧となる枝と(もしあれば)その漸近線、およびそれら枝の分点での繋がり方などを知ることが重要である。変曲点も特徴点として考えるのは有効である。これらすべての情報を紙面に描き連ねたとき、曲線の形状はふつうはかなりはっきり見えてくるはずである。もし不足があるのならば、さらにいくつか曲線よく表す点および接線を描き加える。

特徴点およびその接線の計算法は後述。

平面射影曲線

射影空間内の曲線を考える方が望ましいということはしばしばある。射影平面内の代数曲線、あるいは平面射影曲線とは、三変数斉次多項式 テンプレート:Math の零点を射影座標に持つ射影平面内の点全体の成す集合を言う。

方程式 テンプレート:Math の定める任意のアフィン代数曲線は、テンプレート:Mvar斉次化

hp(x,y,z)=zdeg(p)p(xz,yz)

の定める方程式 テンプレート:Math の定義する射影曲線に完備化することができる。逆に テンプレート:Math が射影曲線を定める斉次方程式ならば、テンプレート:Math はこの射影曲線上の第三射影座標が零でないような点全体の成すアフィン曲線の方程式になる。これら二つの操作は互いに逆になっている。実際、テンプレート:Math であり、また テンプレート:Mvarテンプレート:Math で定義されるものとすれば テンプレート:Mathテンプレート:Mvarテンプレート:Mvar で割り切れない限り直ちに得られる。

これにより、アフィン曲線とその射影完備化は同じもの(より精確には、アフィン曲線は射影曲線の中で「完全な」曲線を定めるに十分大きな部分を成している)と看做すことができる。このような観点は、射影完備化の中でアフィン部分に属さない(有限個の)点をアフィン曲線に関する「無限遠点」と呼ぶことによって広く言い表される。

射影曲線はそれ自身しばしば研究の対象となるが、アフィン曲線の研究にも有用である。例えば、テンプレート:Math がアフィン曲線を定義する多項式ならば、偏微分 テンプレート:Mvar を持つが、そのほかに無限遠における微分 (derivative at infinity)

p'(x,y)=hp'z(x,y,1)

を考えることは有用である。例えば、方程式 テンプレート:Math のアフィン曲線の点 テンプレート:Math における接線の方程式は

xp'x(a,b)+yp'y(a,b)+p'(a,b)=0

で与えられる。

平面曲線の特徴点

テンプレート:Expand section テンプレート:See also 本節では、二元多項式 テンプレート:Math の定める平面代数曲線と、テンプレート:Mvar の斉次化多項式 テンプレート:Math の定める射影完備化を考える。

直線との交点

曲線に対して、与えられた直線との交点を知ることはしばしば有効である。座標軸との交点や漸近線との交点は曲線を描くために利用できる。軸に平行な直線との交点を考えれば、曲線の各枝に少なくとも一点を求めることができる。効果的な求根アルゴリズムが利用できるならば、テンプレート:Mvar-軸上の各画素を通り テンプレート:Mvar-軸に平行な任意の直線との交点をプロットすることで曲線を描きだすことが可能になる。

曲線の定義多項式が次数 テンプレート:Mvar ならば、任意の直線は高々 テンプレート:Mvar 個の点において曲線を横切る。 ベズーの定理は、代数閉体(例えば複素数体)上の射影平面の点について調べる限りにおいて、重複度を込めて数えれば、この数がちょうど テンプレート:Mvar 個であることを主張する。以下に述べる計算法はこの単純な場合においてこの定理を再び証明するものである。

多項式 テンプレート:Mvar の定義する曲線と、直線 テンプレート:Math との交点を計算するために、直線の方程式を テンプレート:Mvar に関して(テンプレート:Math のときは テンプレート:Mvar について)解く。それを テンプレート:Mvar に代入すれば、一元方程式 テンプレート:Math(直線を テンプレート:Mvar について解いたときは テンプレート:Math)を得て、その根は交点の座標の一つを与える。他の座標の値は直線の方程式から求められる。交点の重複度は、対応する根の重複度である。テンプレート:Mvar の次数が テンプレート:Mvar の次数より低いならば、無限遠点において交点が存在し、そのような無限遠点の重複度は次数の差 テンプレート:Math で与えられる。

各点の接線

曲線上の各点 テンプレート:Math における接線は、陰伏的に定義された任意の可微分曲線に対すると同様に、方程式 テンプレート:Math の定める直線である。多項式の場合には、より単純な定数項を持ち、より対称性の高い形の接線の公式

xp'x(a,b)+yp'y(a,b)+p'(a,b)=0

が存在する。ただし、テンプレート:Math は無限遠における微分である。これら二つの方程式の同値性はオイラーの斉次函数定理テンプレート:Mvar に適用した結果である。

これは直ちに射影曲線の場合にも拡張できる。方程式 テンプレート:Math の定める射影曲線の、射影座標 テンプレート:Math の点における接線の方程式は

xP'x(a,b,c)+yP'y(a,b,c)+zP'z(a,b,c)=0

で与えられ、この曲線上の特異点は

P'x(a,b,c)=P'y(a,b,c)=P'z(a,b,c)=0

で与えられる(条件 テンプレート:Math は、これらの条件から、オイラーの斉次函数定理により得られる)。

漸近線

代数曲線の各無限枝はその曲線の無限遠点(つまり、その射影完備化の点でアフィン部分に属さない点)に対応する。そして対応する漸近線はその無限遠点における曲線の接線である。接線に対する一般式を射影曲線に適用することはできるが、今の場合は陽には意味を成さない。

曲線の定義多項式の斉次成分への分解を テンプレート:Math(各 テンプレート:Mvar は次数 テンプレート:Mvar の単項式の和)と書けば、

P=hp=pd+zpd1++zdp0,

および

P'z(a,b,0)=pd1(a,b)

である。この曲線の無限遠点は テンプレート:Mvarテンプレート:Math の形の零点である。あるいは同じことだが、テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の零点である。代数学の基本定理によれば、代数閉体(典型的には複素数体)上では、テンプレート:Mvar は一次式の積に分解される。各一次の因子は曲線の無限遠点を定義する(テンプレート:Math をそのような因子とすれば、それは無限遠点 テンプレート:Math を定義する)。実数体上では、テンプレート:Mvar は一次式と二次式からなる積に分解される。既約な二次の因子は非実無限遠点を定義し、一次の因子は実点を定義する。点 テンプレート:Math が曲線の無限遠点であることを、テンプレート:Math漸近方向であると言い表す。テンプレート:Math と置くと、対応する漸近線の方程式は

xq'x(a,b)+yq'y(a,b)+pd1(a,b)=0

となる。テンプレート:Math かつ テンプレート:Math ならば漸近線は無限遠直線であり、実係数の場合には曲線は放物線のように見える枝を持つ。このことを曲線は「放物的な分枝を持つ」と言い表す。

q'x(a,b)=q'y(a,b)=pd1(a,b)=0

ならば、曲線は無限遠に特異点を持ち、複数の漸近線を持ち得る。これらは特異点の接錐の計算法によって計算することができる。

特異点

次数 テンプレート:Mvar の多項式 テンプレート:Math の定義する次数 テンプレート:Mvar の曲線の特異点の全体は、連立方程式

p'x(x,y)=p'y(x,y)=p(x,y)=0

の解の全体である。標数 テンプレート:Math の場合、この方程式系は

p'x(x,y)=p'y(x,y)=p'(x,y)=0

に同値である。ただし、先の節の記号に従い テンプレート:Math である。これらの方程式系の同値性はオイラーの斉次函数定理による。後者の連立方程式では、三つ目の多項式の次数が テンプレート:Mvar ではなく テンプレート:Math である点で有利である。

同様に、次数 テンプレート:Mvar の斉次多項式 テンプレート:Math の定義する射影曲線に対し、その特異点は、連立方程式

P'x(x,y,z)=P'y(x,y,z)=P'z(x,y,z)=0

テンプレート:仮リンクに関する意味での解である(正標数の場合には、方程式 テンプレート:Math も系に加える)。

ここから、テンプレート:Math あるいは テンプレート:Mathテンプレート:仮リンク 限りにおいて特異点が有限個であることが導かれる。ゆえにベズーの定理により特異点の個数が高々 テンプレート:Math となることが従うが、上記の連立方程式はテンプレート:仮リンクであるから、この上界はぎりぎりの評価(上限)ではない。可約多項式も許すならば、上限は テンプレート:Math であり、この値が達成されるのは多項式因子が一次式となるとき、すなわち曲線が テンプレート:Mvar 本の直線の合併となるときである。既約曲線および既約多項式に対しては、特異点の数は高々 テンプレート:Math である。これは種数を特異点の言葉で表す公式(後述)による。最大値は、種数 テンプレート:Math の曲線で全ての特異点が重複度 テンプレート:Math かつ接線が相異なるようなものによって達成される。

特異点における接線の方程式は、その特異点における定義多項式のテイラー級数の次数最小の非零斉次成分によって与えられる。特異点を座標系の原点に取り直すとき、その特異点における接線の方程式は、従って定義多項式の次数最小の非零斉次成分で与えられ、この斉次成分の次数が特異点の重複度になる。

非­平面代数曲線

「代数曲線はテンプレート:仮リンク代数多様体である」というのは、テンプレート:Mvar-次元アフィン空間内のアフィン曲線が少なくとも テンプレート:Math 本の テンプレート:Mvar-変数多項式によって定義されることを含意する。曲線が定まるためにはそれらの多項式がクルル次元 テンプレート:Math素イデアルを生成しなければならない。この条件を実際の場面において確かめるのは容易ではない。そこで以下のように非平面曲線を表現する方法はしばしば有効である。

テンプレート:Mathテンプレート:Math 本の二変数 テンプレート:Math に関する多項式で テンプレート:Mvar は既約とする。テンプレート:Mvar-次元アフィン空間内の点でその座標が以下の等式および非等式

f(x1,x2)=0,g0(x1,x2)0;x3=g3(x1,x2)g0(x1,x2),,xn=gn(x1,x2)g0(x1,x2)

を満足するものの全体は、適当な代数曲線の有限個の例外を除く全ての点を表す。この曲線は、適当な整数 テンプレート:Mvar をとれば テンプレート:Mathテンプレート:Math の生成するイデアルに入るような多項式 テンプレート:Mvar たちの成すイデアルの生成系によって定義される。この表現は テンプレート:Mvar が定義する平面曲線と曲線の間のテンプレート:仮リンクである。任意の代数曲線をこの方法で表現できるが、最初の二つの変数への射影がほとんど常に一対一 (injective) であるようにするために一次の変数変換が必要となることもある。変数変換が必要となるとき、それが無限体上定義されている限り直ちに、ほとんど全ての変換が有効である。

この表現により、非平面代数曲線の任意の性質(例えばそれを図示することなど)を、その平面射影に対する対応する性質から容易に演繹することが可能となる。

陰伏方程式によって定義される曲線に対する上記の表示は、最小の変数ブロックが テンプレート:Math となる消去順序に対するグレブナー基底から容易に演繹できる。まず、多項式 テンプレート:Mvar はこの基底の中で テンプレート:Math のみに依存する唯一の多項式である。テンプレート:Math に対して、函数 テンプレート:Math はこの基底の テンプレート:Mvar に関して一次かつ テンプレート:Math のみに依存する多項式を選ぶことで得られる。そのようなものが選べない場合というのは、その方程式が代数多様体ではない代数的集合 を定めているか、代数多様体を定めるが一次元でない場合か、座標を取り直す必要があるかの何れかである。この最後の場合というのは、テンプレート:Mvar が一意に存在して、テンプレート:Math に対して先頭単項式が テンプレート:Math のみに依存する単項式が取れるときに起きる。

代数函数体

代数曲線の研究は既約代数曲線(より小さな曲線の合併として表すことができない曲線)の研究に還元される。双有理同値違いを除いて、体 テンプレート:Mvar 上の既約曲線全体の成す圏は テンプレート:Mvar 上の一変数代数函数体全体の成す圏に圏同値である。そのような代数函数体は、テンプレート:Mvar超越的な元 テンプレート:Mvar を含む テンプレート:Mvar拡大体 テンプレート:Mvar であって、テンプレート:Mvar を不定元とする テンプレート:Mvar 上の有理函数体 テンプレート:Math の有限次代数拡大となっているようなものである。

例えば、複素数体 テンプレート:Math を考えると、その上に テンプレート:Math-係数有理函数体 テンプレート:Math が定義できる。テンプレート:Math とすれば、体 テンプレート:Math楕円函数体である。元 テンプレート:Mvar は一意に決まるものではなく、例えばいま挙げた例を テンプレート:Math の拡大体と看做すことも可能である。この函数体に対応する代数曲線は、単純に テンプレート:Math を満たす点 テンプレート:Math 全体の成す集合である。

テンプレート:Mvar代数閉体でない場合には、函数体を考える視点のほうが点の軌跡を考える視点よりも少しだけ一般である(これは例えば、点が一つも載っていない「曲線」なども考えるからである)。例えば、係数体 テンプレート:Mvar が実数体 テンプレート:Math であるとき、テンプレート:Mathテンプレート:Math の代数拡大体を定義するが、対応する曲線は テンプレート:Math の部分集合と見れば点を持たない。方程式 テンプレート:Math は、スキームの意味での テンプレート:Math 上の既約代数曲線(テンプレート:Mathテンプレート:仮リンク)を定義する。この意味において、テンプレート:Mvar 上の既約代数曲線の全体(を双有理同値で割ったもの)と テンプレート:Mvar 上の一変数代数函数体の全体との間の一対一対応は、一般に成立する。

曲線としては同型でない二つの曲線が双有理同値となる(つまり同型な函数体を持つ)ことが起こり得る。この状況は非特異(つまり如何なる特異点も持たない)曲線を扱うときには簡単になる。すなわち、体上の二つの非特異射影曲線が同型となるための必要十分条件は、それらの函数体が同型となることである。

テンプレート:仮リンクは代数閉体上の代数曲線の函数体に関するものである。

複素曲線と実曲面

複素射影代数曲面が存在する テンプレート:Mvar-次元複素射影空間 テンプレート:Math は、(複素次元は テンプレート:Mvar だが)実多様体として位相次元 テンプレート:Mathコンパクト連結かつ向き付け可能な多様体である。複素代数曲線も同様に位相次元は テンプレート:Math、つまり曲面になる。

この曲面の位相的種数(つまりハンドル体やドーナツ穴の数)は、代数曲線の幾何種数に等しく、代数的な意味で計算することができる。要するに、次数 テンプレート:Mvar の非特異曲線の平面射影を考えるとき、常特異点(相異なる接線を持つ重複度 テンプレート:Math の特異点)しか持たないならば、その種数は テンプレート:Math となる。ただし、テンプレート:Mvar はそのような特異点の数とする。

コンパクトリーマン面

リーマン面とは複素一次元の連結な複素解析的多様体のことであり、これを連結な実二次元多様体と看做すことができる。リーマン面がコンパクトであるとは、それが位相空間としてコンパクトとなるときに言う。

テンプレート:Math 上の非特異既約射影代数曲線の全体が(定数でない正則写像を射として)成す圏、コンパクトリーマン面の全体が(定数でない正則写像を射として)成す圏、テンプレート:Math 上の一変数代数函数体の全体(が テンプレート:Math を固定する体準同型を射として)成す圏の反対圏の三者の間には圏同値が存在する。これは、この三つの主題を研究するにあたって、そのうちの一つについて知ることはほかの二つにおいても同じであることを意味する。これにより、代数幾何学において複素解析的手法を用いたり、複素解析において代数幾何学的手法を用いたり、両方において体論的手法を用いたりすることができるようになる。これは代数幾何学におけるかなり広範なクラスの問題の持つ特徴である。 テンプレート:Seealso

特異点

内在的な接空間の概念を用いて、代数曲線上の点 テンプレート:Mvar を非特異(滑らか)か特異かに分類することができる。テンプレート:Math 本の テンプレート:Math 変数多項式が与えられたとき、全ての偏微分からなる テンプレート:Math 行列としてヤコビ行列を得ることができる。この行列の階数テンプレート:Math ならば、これら多項式は代数曲線を定義する(さもなくばより高次元の代数多様体を定義する)。このヤコビ行列を曲線上の点 テンプレート:Mvar において評価したものがやはり階数 テンプレート:Math となるならば、その点 テンプレート:Mvar滑らかあるいは正則点であるといい、さもなくば テンプレート:Mvar特異あるいは臨界点と呼ぶ。特に、考える曲線が一本の斉次多項式方程式 テンプレート:Math で定義された平面射影代数曲線のとき、その特異点とは テンプレート:Math ヤコビ行列の階数が零、すなわち

fx(P)=fy(P)=fz(P)=0

を満たす点 テンプレート:Mvar のことに他ならない。テンプレート:Mvar は多項式であるから、この定義は純代数的であり、体 テンプレート:Mvar の持つ特性については何も仮定する必要はない(特に テンプレート:Mvar が実数体や複素数体である必要はない)。もちろん、点 テンプレート:Math はこの曲線上の点ではなく、したがって特異点でもないことを断っておく。

同様に、一つの多項式方程式 テンプレート:Math で定義されたアフィン代数曲線に対して、その特異点はちょうど テンプレート:Math ヤコビ行列の階数が零、すなわち

f(P)=fx(P)=fy(P)=0

を満たす点 テンプレート:Mvar で与えられる。曲線の特異点は双有理不変ではないが、曲線の特異点の位置を特定して分類することは、双有理不変量である幾何種数を計算する一つの方法である。これをうまく行うには、曲線を射影的に考え、曲線に属する全ての特異点が考慮されるために テンプレート:Mvar が代数閉体であることを仮定しなければならない。

特異点の分類

曲線 テンプレート:Math

特異点には、曲線がそこで自己交叉を持つ多重点や、例えば方程式 テンプレート:Math の表す曲線の テンプレート:Math に見るような様々な種類の尖点がある。

曲線 テンプレート:Mvar は高々有限個の特異点を持つ。特異点の数が零ならば、曲線は滑らかあるいは非特異であると言う。一般的には、この定義は代数閉体上で テンプレート:Mvar射影空間にあるとき(つまり、代数幾何学的な意味で「完備」のとき)にいうものと理解される。例えば、方程式 テンプレート:Math の定める曲線は特異曲線で、無限遠点に特異点(尖点)を持つものと考える。

特異点は幾つかの不変性の意味で分類される。多重点 テンプレート:Mvar の重複度 テンプレート:Mvar は、テンプレート:Mvar において テンプレート:Mvarテンプレート:Math 階までの微分係数がすべて消えているような最大の整数として定義される(曲線の、テンプレート:Mvar における直線との間の交点数の最小値としても定義できる)。直観的に、特異点がデルタ不変量 テンプレート:Math を持つのは、それが テンプレート:Mvar において テンプレート:Math 個の常二重点が寄り集まったときに起きる。これをより精確にするには、ブローアップの過程を施していわゆるテンプレート:仮リンクを作り出し、各無限に近い点の重複度を テンプレート:Math とするときの テンプレート:Math を全ての無限に近い点に関して足し上げたものが テンプレート:Math である。既約かつ被約曲線および点 テンプレート:Mvar に対して、テンプレート:Math𝒪~P/𝒪P の長さとして代数的に定義することができる。ただし、𝒪Pテンプレート:Mvar における局所環であり、𝒪~P はその整閉包である[1]

特異点のミルナー数 テンプレート:Math は半径 テンプレート:Math の小球上で定義された写像 テンプレート:Math の写像度(連続写像の位相的な写像度)に一致する。ここに テンプレート:Mathテンプレート:Mvar の(複素)勾配ベクトル場である。テンプレート:仮リンク:

テンプレート:Math

テンプレート:Mathテンプレート:Math および テンプレート:Mvar を結びつける。ここに点 テンプレート:Mvar における分岐数 テンプレート:Mvar は、テンプレート:Mvar における局所既約な分子の数を言う。例えば、常尖点において テンプレート:Math であり常二重点において テンプレート:Math である。テンプレート:Math が必ず テンプレート:Mvar 以上であり、テンプレート:Mvar が特異であるための必要十分条件が テンプレート:Mathテンプレート:Math 以上となること、さらに言えば テンプレート:Mathテンプレート:Math 以上であることを注意しておく。

全ての特異点におけるデルタ不変量を計算することで、曲線の種数 テンプレート:Mvar を決定することができる。すなわち、曲線の次数を テンプレート:Mvar とすれば

g=12(d1)(d2)PδP

が成り立つ。ここに和は平面複素射影曲線の特異点 テンプレート:Mvar すべてに亙ってとる。これをテンプレート:仮リンクという。

特異点に不変量 テンプレート:Mathテンプレート:Mvar: 重複度、δ: デルタ不変量、テンプレート:Mvar: 分岐数)を割り当てるものとすると、常尖点は不変量 テンプレート:Math を持つ点であり、常二重点は不変量 テンプレート:Math を持つ点であり、常 テンプレート:Mvar-重点は不変量 テンプレート:Math を持つ点である。

曲線の例

有理曲線

有理曲線(一筆書き曲線とも言う)は直線に双有理同値な任意の曲線の総称である(ここに直線は射影直線の意味にとるものとする)。従って、この曲線の函数体を一変数有理函数体 テンプレート:Math と同一視することができる。テンプレート:Mvar が代数閉体ならば、これは種数 テンプレート:Math の曲線に同値である。しかし、実代数多様体 テンプレート:Math 上で定義された実代数函数全体の成す体は、種数 テンプレート:Math の体ではあるが、有理函数体でない。

逆に任意の体 F 上の種数0の曲線は、その体上に一点でも点をもつならば射影直線 P1(F) に双有理同値である。実際、代数曲線 C因子 D に対し、曲線上の有理関数 f(f)+D0 となるもの全体のなすベクトル空間の次元を l(D) とかくと代数曲線に対するリーマン–ロッホの定理より l(D)=deg(D)+1 がつねに成り立つ。特に任意の点 P に対し l(P)=2 であるから (f)+(P)0 となる、定数関数でない有理関数 f が存在する。fP で位数1の極をもち、それ以外の極をもたない。よって任意の定数 c に対し f-cP で位数1の極をもち、それ以外の極を持たないので、 f-c はただ一つの零点を持つ。よって f は無限大を含むすべての値を一度ずつとるので、fC と射影直線の1対1対応を与える[2]

具体的に、テンプレート:Mvarテンプレート:Mvar 次元の有理曲線は、一つの助変数 テンプレート:Mvar によって定義された テンプレート:Mvar 本の有理函数からなるという意味において、(孤立した例外点を除いて)パラメータ付けすることができる。分母を払って、これらの有理函数を射影空間内の テンプレート:Math 本の多項式函数にすることができる。一つの例がテンプレート:仮リンクである。

テンプレート:Mvar 上定義された テンプレート:Mvar-有理点を持つ任意の円錐曲線は有理曲線である。これは有理点を通る傾き テンプレート:Mvar の直線を描くことによりパラメータ付けすることができ、交線は平面二次曲線になる。これは テンプレート:Mvar-有理係数の多項式と一つの テンプレート:Mvar-有理根をあたえるから、ほかの根もまた テンプレート:Mvar-有理根(つまり テンプレート:Mvar に属する)である。

テンプレート:Math

例えば、楕円 テンプレート:Mathテンプレート:Math を有理点に持つ。テンプレート:Math から傾き テンプレート:Mvar の直線 テンプレート:Math を描いて、楕円の方程式に代入し、因数分解して テンプレート:Mvar について解けば

x=1t21+t+t2

を得る。従って方程式から テンプレート:Mvar

y=t(x+1)=t(t+2)1+t+t2

と書けて、これらがこの楕円の有理媒介変数表示を定めるから、この楕円が有理曲線であることが示された。これによりこの楕円上の全ての点が、テンプレート:Math に対応する点 テンプレート:Math を除いて与えられる。従って、曲線全体は実射影直線によってパラメータ付けられている。

このような有理媒介変数表示は、初めの方の射影座標はこの媒介変数表示の分子と等しいと置き、最後の座標は表示の共通分母ととることにより射影空間内で考えることができる。この助変数が射影直線上定義されているのと同じく、この助変数に関する各多項式も斉次化を考えるべきである。つまり、例えば上記の楕円に関する射影的媒介元数表示は

X=U2T2,Y=T(T+2U),Z=T2+TU+U2

となる。これら方程式から テンプレート:Mvarテンプレート:Mvarテンプレート:仮リンクすれば、楕円の射影的方程式

X2+XY+Y2=Z2

が回復される(この式自体は上記の楕円の方程式を斉次化すれば直接に得られる)。

テンプレート:仮リンクに挙げられている多くの曲線が有理曲線であり、したがって同様の有理媒介変数表示を持つ。

楕円曲線

楕円曲線有理点を持つ種数 テンプレート:Math の任意の曲線として定義することができる。よく用いられるモデルは非特異テンプレート:仮リンクで、これは種数 テンプレート:Math の任意の曲線のモデルとして十分である。

種数1の曲線 E の任意の体 F 上の点 P に対し、上と同様に代数曲線に対するリーマン–ロッホの定理より、n > 0 ならば l(nP) = n が成り立つ。よって (X)+2(P)=0,(Y)+3(P)=0 となる有理関数 X, Y がとれる。このとき7つの有理関数 1,X,Y,X2,XY,Y2,X3 はいずれも P において高々位数6の極をもち、その他の極をもたないから L(6P) に属する。しかし l(6P)=6 であるから、これらの7つの有理関数は線型従属である。したがって

bY2+b1XY+b3Y=b0X3+b2X2+b4X+b6

となる b,b0,b1,,b6 が存在する。ここで b, b0 のどちらかが0ならばこれは有理曲線を表すから、 b, b0 はいずれも0ではない。よって X を何倍かしてテイト–ヴァイアシュトラス形

Y2+a1XY+a3Y=X3+a2X2+a4X+a6

を得る。Y=y/z,X=x/z とおくことで射影的に

y2z+a1xyz+a3yz2=x3+a2x2z+a4xz2+a6z3

とあらわすことができる。 したがって、種数1の曲線は体 F 上に一点でも点をもつならば、 F 上、平面3次曲線に双有理同値であり、このモデルにおいて、共通して識別点 (distinguished point) を無限遠にある変曲点にとることができる[3]

楕円曲線には、識別点を群演算の単位元とするアーベル群の構造を入れることができる。平面三次曲線モデルにおいて、この群構造に関する意味での三点の和が零となるための必要十分条件は、それら三点が共線である(つまり同一直線上にある)ことである。複素数体上定義された楕円曲線に対して、この群は複素数平面を対応する楕円函数テンプレート:仮リンクで割った加法群に同型になる。

二つの二次曲面の交わりは、一般に種数 テンプレート:Math かつ次数 テンプレート:Math の非特異曲線、従ってそれが有理点を持つとき楕円曲線となる。特別の場合には、交線は有理特異四次曲線にもなり得るし、必ずしも相異ならないより小さい次数の曲線(三次曲線と直線、二つの円錐曲線、円錐曲線と二つの直線、四つの直線)に分解されることもある。

種数 1 より大きな曲線

テンプレート:Math より大きな種数を持つ曲線は有理曲線とも楕円曲線とも著しく異なる。有理数体上定義されたそのような曲線は、ファルティングスの定理により有理点を有限個しか持たず、またそのような曲線は双曲幾何構造を持つものと見ることができる。例として、超楕円曲線テンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンク テンプレート:Math (テンプレート:Math) などが挙げられる。

関連項目

古典代数幾何学

テンプレート:Colbegin

テンプレート:Colend

現代代数幾何学

テンプレート:Colbegin

テンプレート:Colend

リーマン面の幾何学

テンプレート:Colbegin

テンプレート:Colend

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:Commons category


テンプレート:Reflist

テンプレート:Algebraic curves navbox

テンプレート:Normdaten